コンタクトセンター関連ベンダー動向

〔2026/6/4〕帝国不動産、入居者への案内品質向上へ向けロボットコールセンターを導入

 帝国不動産(本社:東京都中央区、木本啓紀社長)は、賃貸管理やリーシング業務を担うプロパティマネジメント本部において、入居者への案内品質向上と賃貸管理業務の効率化を目的に、グリーン・シップ(本社:東京都千代田区、田中明子社長)が提供するロボットコールセンターを導入し、2026年6月より銀座支店でトライアル運用を開始した。
 近年、賃貸住宅市場では、更新時の賃料改定対応や管理受託戸数の増加に伴い、更新手続きや支払いに関する案内業務が増えている。こうした手続きは、入居者にとっても日々の生活の中で見落としやすく、対応が後回しになることがある。
 今回導入するロボットコールセンターでは、自動音声による電話案内やSMS送信を通じて、必要な情報を適切なタイミングで届ける。これにより、入居者の手続き忘れや行き違いを減らすとともに、担当者が、より丁寧な対応が必要な個別相談や状況確認などの業務に時間を使える体制を目指す。
 帝国不動産では、管理受託戸数の増加に伴い、更新や事務手続きの案内業務が増加している。特に賃料改定を伴う更新の割合は、2022年時点では全体の約20%であったが、2026年には約67%まで拡大した。更新合意書の回収や更新料の案内など、入居者への連絡機会も増えている。契約の電子化を進める一方で、書類返送の確認や支払いに関する案内など、入居者1人ひとりに応じた丁寧なフォローの重要性も高まっている。
 こうした中、電話による定型的な連絡業務が担当者の大きな負担となっていたため、同社では定型的な案内の自動化を推進。入居者への連絡をより迅速かつ確実に行う体制づくりを進めている。
 ロボットコールセンターは、更新手続きや支払い案内の対象者リストをアップロードすることで、自動音声による電話案内を行うサービス。電話がつながらなかった場合にはSMSを自動送信し、必要な案内を届ける。また、入居者から折り返しの電話があった場合も自動音声で対応し、必要に応じて担当者へ転送する。さらに、架電日時や応答状況などの履歴を記録することで、案内漏れの防止や、その後のフォローにも活用する。
 更新書類の返送や支払いに関する手続きは、忙しさの中で見落とされることがある。自動音声案内やSMSを活用し、必要なタイミングで継続的に案内することで、入居者の手続き忘れや行き違いを防ぐ。
 電話案内や折り返し対応などを自動化することで、担当者は個別相談や状況確認など、人による対応が必要な業務により多くの時間を使えるようになる。
 帝国不動産では、更新手続きや支払い案内に関する電話対応について、年間約1,100時間超の工数が発生していると試算している。ロボットコールセンターの導入により、年間約281万円相当の工数削減効果を見込んでいる。

〔2026/6/3〕ラストワンマイル、VideoTouchの「AIロープレ」を導入

 VideoTouch(本社:東京都渋谷区、上坂優太社長)は、同社が提供するコンタクトセンター特化のAIロールプレイング「AIロープレ」が、ラストワンマイル (本社:東京都豊島区、渡辺誠会長兼社長)に導入されたことを発表した。
 ラストワンマイルは、新生活における電気、ガス、インターネットなどの生活インフラに関わる各種サービスの販売や契約手続き代行、24時間365日対応のコンタクトセンターなど、全4拠点の自社グループコンタクトセンターを活用した事業を主力事業として行っている 。これまでも高いサービス品質と効率性を維持してきたが、さらなる事業拡大と体制強化を見据え、AI技術の積極的な活用による飛躍的な生産性向上を目指している。
 具体的には、これまでのコールセンターにおけるマネジメント体制は「管理者1名に対しオペレーター10名」という規模であっが、AIのサポートにより「1名で100名をマネジメントできる体制」へと進化させるなど、従来の枠組みを超えた業務改革によりスケーラビリティ向上を推進する。この大きな変革を実現するため、以下の観点からAIロープレの導入に至った。
・急増する需要に対し、迅速なサービスを提供し続けるための体制強化
 電気・ガス・インターネット開通などの需要が集中する繁忙期(特に2~3月)においても、これまで以上のスピードと規模で即戦力を育成できる体制を構築する 。AIによる24時間・何度でも実施可能なセルフロープレを組み込むことで、研修の圧倒的な効率化を図り、サービス提供スピードをさらに加速させる。
・さらなる高水準での評価品質の均一化と可視化
 現在維持している高い応対品質を、AIによる統一指標で管理することで、全拠点においてより高次元で均一化されたサービスを実現する 。AIロープレのレポート機能によってオペレーターごとの練習量やスキル推移も可視化され、データに基づいた客観的なフィードバックをすることで、オペレーターのスキルアップを高い精度で支援し、顧客満足度のさらなる向上を目指す。
 AIロープレは、コンタクトセンター特化のAIロールプレイング。AIロープレを活用することで、オペレーターが待機時間なしに練習できる環境を提供することができ、繰り返し練習することが可能になる。また、AIがロープレ内容を評価することで、発言の良し悪しを具体的かつ公正にフィードバックし、人が評価する場合に発生しやすい、指導のブレを解消する。

〔2026/6/1〕アイティフォー、コンタクトセンターの3つの壁を打破する自律型AIエージェントプラットフォーム「NiCE Cognigy」を販売開始

 アイティフォーは、高度な生成AIを活用して人間のような自然な対話を実現し、さらに基幹システムやCRMとの連携によって裏方業務の自動化までを一気通貫で行う、大規模向け自律型AIエージェントプラットフォーム「NiCE Cognigy(コグニジー)」の販売を開始した。
 Cognigyによって、深刻化するコンタクトセンターの人手不足解消と、24時間365日の高度な顧客体験の提供を同時に実現し、従来のAIチャットボットの限界を超えた自律的な「思考・行動」型アプローチを提案する。
 同社は、これまで金融機関をはじめとする幅広い業界に向けてコンタクトセンター関連ソリューションや業務システムを提供してきた。各業界で蓄積してきた業務知識やノウハウを生かし、新たにCognigyをラインアップに加えることで、企業の業務変革をより一層力添えしていく。
 現在、カスタマーサポートやコンタクトセンターの現場では、問い合わせ内容の複雑化、テクニカル・ソリューションスペシャリストを中心とした慢性的な人手不足、そして「24時間365日対応」への顧客期待の高まりが大きな課題となっている。しかし、従来導入されてきたチャットボットやIVRでは、以下の3つの壁にぶつかり、根本的な解決に至らないケースが多発していた。
・シナリオ:事前に定義されたルールから外れると回答できない。
・メンテナンス:想定される意図が増えすぎて管理・運用が破綻する。
・顧客の体感:定型的な応答になりがちで、顧客満足度が向上しない。
 こうした背景から、単なるシナリオ依存ではなく、LLM(大規模言語モデル)やナレッジ検索、業務システム連携を駆使して自律的に思考・行動する「次世代のAIエージェント(エージェンティックAI)」への転換が求められている。
 アイティフォーは、長年にわたりコンタクトセンターソリューションを提供してきた。昨今、多様化・高度化する企業のニーズに柔軟に応えるため、同社の強みであるCTI基盤と最先端のAI技術を融合させ、より付加価値の高いソリューションを提供すべく、Cognigyの販売開始に至った。
 AIエージェントの施行エンジンとして、OpenAIやGoogleなど任意のLLMを設定できるため、従来のルールベースのチャットボットとは異なり、言葉の“ゆらぎ”を吸収。ユーザーの文脈や曖昧な話し方からでも的確に「意図」を理解・推論し、一問一答型ではない、まるで人間と話しているかのような自然な会話対応が可能。
 Cognigyの最大の強みは、会話の受け答えだけでなく、お客様のご要望をかなえるため、あらかじめ連携設定された外部システムへアウトプットできる点にある。APIを介したCRM(顧客管理システム)のデータ参照、基幹システムへの書き込み、請求書の送付、予約の照会といった「複雑な業務プロセスの自動化」までをAIエージェントが一気通貫で実行する。
 現在コンタクトセンターで利用している主要な電話基盤を変更することなく、そのまま統合が可能。さらに、契約済みの汎用AI、社内外のデータやWebサイト、IoT端末とも柔軟に連携できるため、既存資産を最大限に無駄なく活かせる。
 Cognigyは、コンタクトセンターにおける以下のような幅広い業務での活用を想定している。
・本人確認や要件のヒアリング
・会話内容からの必要情報の抽出、CRMや基幹システムへのデータ書き込み
・注文、注文変更、注文キャンセル、発送手配、配送状況確認
・顧客への案内やリマインド
期待される効果
・24時間365日、いつでも一貫した高品質なクオリティで顧客対応が可能になる。
・定型業務や一次対応をAIが代替することで、オペレーターはより高度な業務に集中できる。
・会話データから顧客の潜在的なニーズや不満を分析し、サービス改善へ直結させる。

〔2026/5/29〕Scene Live、応対品質管理ソリューション「Dr.Tel」との協業開始

 コールシステム「lisnavi」や「OSORA」を提供するScene Live(本社:大阪府大阪市、磯村亮典社長)は、応対品質管理ソリューション「Dr.Tel」を提供するスタジアム(本社:東京都港区、河嶋孝俊社長)と協業を開始することを発表した。本協業により、コールセンターの応対評価自動化による品質向上と工数削減への支援が可能となる。
 Scene Liveは、アウトバウンドコールシステム「lisnavi」や、インバウンド向けコールシステム「OSORA」の開発・提供を通じ、企業の電話業務における徹底的な効率化と生産性向上を支援してきた。しかし、多くのコールセンター現場において、依然として管理者が通話を1つずつ聞き起こして評価をおこなっており、膨大な工数と評価基準のバラつきが課題となっている。
 そこで、Scene Liveが提供するアウトバウンドコールシステム「lisnavi」による発信効率の最大化と、スタジアムの「Dr.Tel」による生成AIを用いた自動応対評価を組み合わせ、営業活動の「量」と「質」の両面を支援する。
 AIが「顧客ニーズの把握」や「クロージングの適切さ」を自動スコアリングし、データに基づいた的確な指導が可能になる。
 協業の一環として、Scene Liveのlisnaviを利用する上で、より高度な応対品質管理や効率的な人材育成を必要とするクライアント企業に対し、スタジアムのDr.Telを連携ソリューションとして紹介・提供する。
 これにより、会社間の垣根を超えて両社が適切なサービスを提供することで、音声データがあればツールに依存せず活用できるDr.Telの柔軟性と、高機能なコールシステムをトータルで提供することが可能となる。評価結果に基づいた具体的な改善フィードバックを通じ、クライアント企業のさらなる生産性の向上と成長を支援していく。
 Dr.Telは、AIを活用してコールセンターの通話データを自動評価する品質管理ツール。音声認識による文字起こし、生成AIによるGood/Badポイントの特定、感情解析などを組み合わせ、各社の基準に合わせたスコアリングとフィードバックを自動化する。
 isnaviは、発信業務における課題を、柔軟性・可用性・効率性で解決するアウトバウンドコールシステム。発信業務に必要な機能を豊富に搭載し、電話業務の効率化と生産性向上を実現する。さらに、柔軟なカスタマイズ性により、複数の案件や商材を扱う現場の多様なニーズにも対応。複数の案件を同時に運用する業務において、「複数の案件管理が煩雑」「分析や集計に手間がかかっている」といった課題を抱える担当者にとって、有効なソリューション。

〔2026/5/29〕ビーウィズ、クラウドPBX「Omnia LINK」のASEAN展開始動

 ビーウィズは、マレーシアをASEAN展開の起点と位置づけ、25年以上にわたり培ってきたコンタクトセンター運営ノウハウを活かしAIを搭載した自社開発クラウドPBX「Omnia LINK」を軸とした海外事業を始動する。
 ビーウィズは、25年以上にわたりコンタクトセンター・BPO事業を運営する中で、応対品質を維持しながら、限られた管理者でより多くのオペレーターを運営できる体制づくりを進めてきた。その過程で蓄積してきた業務品質管理や改善サイクルのノウハウを凝縮し開発したのが、クラウドPBX「Omnia LINK」。
 その代表的な機能の1つに「シートマップ」がある。シートマップは、1人のスーパーバイザーが多くのオペレーターの応対状況や正確性をリアルタイムで把握できる仕組みで、製造業の“見える化”の発想をサービス現場に応用している。人の経験や巡回に頼っていた品質管理をテクノロジーで可視化することで、改善活動を継続的に回せる運営基盤として、現在では国内100社以上に導入されている。
 AIやチャネル多様化が進む中、優秀な人材を多く揃えるだけでは差別化が難しくなっている。高品質な運営そのものが競争力となり、その品質を再現可能にする仕組みへの需要が高まってきた。
 現場で磨かれたOmnia LINKが持つ本質は、プロダクトではなく「品質を再現する仕組み」そのもの。この仕組みをそのままASEAN市場へ届けることが、海外展開におけるコア戦略。
 日本では少子高齢化に伴う労働力人口の減少を背景に、人手に依存した労働集約型ビジネスモデルの見直しが求められている。ビーウィズはこの課題に、Omnia LINKの外販拡大という形で応えてきた。運営ノウハウをシステムへ反映することで業務品質や改善運用の再現性を高め、労働集約型モデルからテクノロジーと人の力を組み合わせた持続可能な運営モデルへの転換を進めている。
 特にOmnia LINKのプロダクト事業においては、国内市場だけでなく海外市場への展開が中長期的な成長の鍵となっている。日本で培った運営ノウハウや改善文化を組み合わせた、日本品質のAIコンタクトセンターシステムを海外へ展開することで、プロダクト事業のさらなる拡大を目指す。今回のマレーシア進出は、その取り組みの第一歩となる。
 マレーシアは、多民族・多言語環境を背景に、ASEAN地域におけるコンタクトセンター集積地として成長を続けている。人口約3,000万人に対し約30万席規模の市場を有し、人口比では日本の約2倍の集積度を持つ。英語対応人材が豊富なうえ、オフショア需要の拡大や行政主導によるIT化・クラウド化も進んでおり、高品質な顧客接点運営への需要拡大が見込まれる状況。
 一方、現地市場におけるコンタクトセンター向けソリューションは、大規模向けの高価格帯と小規模向けの低価格帯に二極化しており、中規模向け市場には構造的な空白が存在している。Omnia LINKはこの領域に対応するソリューションとして、マレーシアをASEAN展開の起点と位置づけた。
 このASEAN展開を加速する手段として、ビーウィズは、マレーシアのAI・コンタクトセンター関連企業であるRadiant Communication Sdn. Bhd.(以下、Radiant社)の株式85%を取得し、同社を連結子会社化した。1997年創業の同社は、現地における豊富な顧客基盤とコンタクトセンター構築ノウハウを持ち、自社開発AIエージェントソリューション「KeyAI」も展開している。
 今回の子会社化により、現地顧客基盤・コンタクトセンター構築ノウハウ・AI開発力を組み合わせ、Omnia LINKのAI機能強化に取り組む。
 今後はOmnia LINKを軸に、ソフトウェア・ネットワーク・人的サービスを連動させながら、コンタクトセンター・BPO領域における提供価値のさらなる拡張を進める。マレーシアを起点に段階的に周辺国へと展開を広げ、自社プロダクトと日本で培った知見・ASEANで蓄積する多言語・AI活用のノウハウを融合させながら、ASEAN全域での成長を着実に実現していく。

〔2026/5/28〕KDDIとアルティウスリンク、Recho、AIコンタクトセンター事業で協業

 KDDIとアルティウスリンク(本社:東京都渋谷区、那谷雅敏社長)、Recho(本社:東京都中央区、邱実社長)は、AIコンタクトセンターの構築および展開に向け協業することを発表した。AIコンタクトセンターは、2026年度上期から提供開始を予定している。
 本協業では、KDDIの通信基盤とRechoの音声AI技術を連携するのに加え、アルティウスリンクのコンタクトセンター運営および運用設計の知見を活用する。AIコンタクトセンターでは、高精度な音声認識と自然対話技術を有する音声AIエージェントによる一次応対と、想定外の問い合わせに対する有人へのエスカレーションを組み合わせる。これにより、問い合わせ対応の迅速化と応対品質の標準化を図る。人間がAIの監視・評価など高度な判断に集中できる環境となることで、コンタクトセンター業務が高度化され、結果顧客の満足度向上に寄与する。
 あわせて、将来的にはKDDIのAIデータセンターの計算基盤をRechoが活用することで、音声AIエージェントのさらなる高度化と、より自然な応対を目指す。
 なお、KDDIは2026年3月18日、本協業の推進と連携強化を目的にCVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)ファンド「KDDI Open Innovation Fund V」を通じてRechoへ出資した。
 本協業では、KDDIが長年培ってきた高品質な電話接続技術と音声インフラ、Rechoの音声AI技術、アルティウスリンクのコンタクトセンター運用設計の知見を組み合わせることで、コンタクトセンター業務へのAI実装を推進する。音声AIエージェントによる一次応対(想定内の問い合わせ内容に対する自動応対)と、想定外の問い合わせに対する有人へのエスカレーションを組み合わせ、問い合わせ対応の迅速化や応対品質の標準化を図る。待ち時間の短縮や窓口営業時間の拡大、人と遜色のないスムーズな応対を通じて、顧客の満足度向上に貢献する。
 アルティウスリンクは、大規模なコンタクトセンターの運営を通じて、現場で蓄積された応対の判断や運用の知見を有している。アルティウスリンクとRechoが現場判断を構造化してAIエージェントに反映し、通話データや応対ログの分析結果をスーパーバイザーが評価・改善することで、AIコンタクトセンターモデルを運用しながら継続的に改善する。
 また、さらなる品質向上に向け、KDDIグループの金融関連会社において音声AIエージェントを活用した業務効率化や問い合わせ対応の改善に関する検証を実施予定。本検証では、幅広い業界への展開を見据え、応対品質や業務正確性の確保が強く求められる金融業界を対象とする。金融業界における高度なセキュリティ要件や業務特性を踏まえた環境下で、音声AIエージェントによる応対の品質および安全性を確保しながら、実現可能な業務効率化の水準を検証する。
 今後KDDIのAIデータセンターの計算基盤および通信基盤をRechoが活用し、音声AIモデルの学習を強化することで、Rechoの強みである音声認識・音声合成技術を高度化し、より自然な応対を目指す。
 本協業で得られた知見をもとに、KDDIの計算基盤および通信基盤とRechoの音声AI技術を活用し、コンタクトセンター業務にとどまらず、企業内の代表電話などを含む電話業務全体へのAI実装を推進していく。
 受取予約・予約変更・キャンセル、申請中のカードの進捗確認、代理人対応など、個別性の高い対応が必要な問合せについては有人オペレーターへ適切に転送する。

〔2026/5/27〕カラクリがボイス事業へ参入、アウトカム課金型ボイスエージェントを発表

 カラクリ(本社:東京都中央区、小田志門社長)は、コンタクトセンター・CX領域に特化したAIソリューションの提供実績をもとに、ボイス事業へ参入することを発表した。
 新製品「KARAKURI voice agent」は、電話対応の一次応答に留まらず、通話後の後続業務(CRM連携・申請作成・チケット起票・メール送信など)までAIが自動完結させる設計を特徴とする。さらに業務の完結件数を課金対象とするアウトカム課金モデルの実証を進めており、現在、デザインパートナー企業を募集中。
 近年、コールセンターの自動化手段としてボイスボットの普及が進む一方、現場の「つながりにくさ」は深刻化している。コールセンター白書2025によると、市場の平均放棄呼率は12.2%(3年連続で悪化)に上昇、通話後の事務処理時間(ACW)も平均6分に長期化しており、自動化の裏で応対体制の維持が深刻な課題となっている。
 この「効率化の形骸化」を招いている要因は、大きく2つある。
 機能の限界(部分最適の壁): 従来の自動化は「受付やFAQ応答」などの初期対応に留まり、通話後のシステム入力といった後処理は依然としてオペレーターの手作業に依存しているため、全体の業務負荷を削減できていない。
 ビジネスモデルの矛盾(利害の相反): 従来のボイスボットは「通話時間」や「応答件数」に応じた従量課金モデルが主流。そのため、問題が解決せず再入電や有人転送が増えるほどベンダーが潤い、効率化(人が対応する件数の削減)が進むほどベンダーが減収になるという「インセンティブのねじれ」が長年埋め込まれていた。
 企業が真に求める「無人完結による対応コストの削減」を実現するには、この構造そのものを変革する必要がある。そこで同社は、ベンダーと企業の利害を一致させ、真の業務効率化とコスト削減にコミットすべく、「成果報酬型」のボイスエージェントを開発した。
 「KARAKURI voice agent」は、電話対応から後続の業務処理までを一貫して自動化するAIボイスエージェント。通話件数を増やすことではなく、人が対応しなければならない件数を減らすことを目的に設計されている。
 製品は3段階の深度設計を採用している。
・Level1(FAQ応答):一般的な問い合わせに即時回答
・Level2(ヒアリング+後続処理):返品・交換受付や定期便変更・停止といった申請系業務をヒアリングから処理実行まで一貫して自動化する。本人確認をふくむ情報収集からCRMへのデータ連携、申請書類の自動作成、社内チケットの起票、確認メールの送信までを担う。
・Level3(リアルタイム認証+処理実行):将来的には、通話中のリアルタイム本人確認を伴う高度な処理の実行を想定している。
 対象業界:EC・通販、会員制サービス、金融、保険など、手続きや個別対応の電話が多い大規模コンタクトセンターを主なターゲットとしている。返品・交換受付、定期便の変更・停止、注文内容確認、各種申請受付など、「ヒアリングのあとに社内手続きが発生する」業務との親和性が高い製品。
 カラクリは、KARAKURI voice agentの課金モデルとして「業務が自動完結した件数に応じて費用が発生する」成果連動型課金(アウトカム課金)の実用化を進めている。
 音声AIを活用した顧客対応サービスは欧米でも広がりをみせており、米国のSierraや英国のPolyAIなど複数のスタートアップが展開している。ただし、これらはいずれも「電話・チャットへの自動応答」が主軸であり、通話後に発生する社内手続き(顧客情報の更新・書類作成・部門間の連絡など)まで含めて一括で自動化する設計は限定的。「電話対応から後続の社内手続きまで一貫して自動化し、完結件数に応じて課金する」モデルは、国内では先駆けた取り組みとなる。
 現在、複数の企業と共同で実証・モデル構築を進めており、「何をもって業務完結とみなすか」の定義・計測方法の確立と、課金モデルの妥当性検証を行っている。商用リリースの時期については、実証の進捗をもとに改めて発表する予定。


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