〔2025/3/17〕バーチャレクス、毎年実施する「カスタマーサクセス日本市場動向&実態調査」2025年版の第五弾結果を公開

 バーチャレクス・コンサルティング(以下、バーチャレクス)は「カスタマーサクセス日本市場動向&実態調査」を実施し、この度2025年版第五弾の結果を取りまとめた。2025年版第五弾の結果:https://www.virtualex.co.jp/news/2025/03/2025CS-research-5.html
  今回の分析テーマは、カスタマーサクセスを自社で取り組んでいる839人を対象に、カスタマーサクセス導入・運用にあたっての課題とカスタマーサクセス運用課題解決のための取り組み。
 カスタマーサクセスを導入・運用する際には、必ずと言ってよいほど発生する運用上の課題がある。そこで今回はカスタマーサクセス取り組み企業がカスタマーサクセスに取り組む企業が どのような悩みや障壁に直面し、どのように克服してきた(あるいは現在克服しようとしている) のかを確認した。
 まず、現在は解決済みではあるものの、導入当初に抱えていた課題や障壁をカスタマーサクセスの効果実感層と未実感層で比較したところ、早期に課題を明確化し対処できた企業ほど成功につながり、逆に課題認識や取り組み不足が成果の差を生んでいる実態が浮かび上がった。
 最初に効果実感層(n=494)のうち、最も多かった課題は「何から手をつけたらいいのか分からない/マニュアルがない」(46.0%)であった。続いて「人材・組織体制が不十分」(28.1%)や「上層部の理解不足」(27.7%)が大きな障壁となっている。導入当初は手探りの状態で始めたものの、これらを解決できたからこそ「効果を感じる」までに至ったと考えられる。
 一方、効果未実感層(n=345)では、「特にない」が46.4%とトップ。続いて「何から手をつけたらいいのか分からない」(32.5%)が挙がった。課題認識が低い企業ほど、実際には問題を抱えていても「特にない」と回答しがちで、たとえば経営層の理解不足や人材不足などの障壁が潜在的にあっても具体策を取らずに導入を進めた結果、十分な成果を得られていない可能性がある。また、ツール導入やKPI設定、顧客セグメント化といった基礎的な運用が不十分なまま属人的に運用してしまうことも、効果を阻む要因になり得る。
 次に、「現在解決すべく取り組んでいる課題」を尋ねると、効果実感層では「特にない」が37.0%と最も多く、すでに初期的課題を克服し、導入・運用の基礎を整えた企業が多いと考えられる。一方で「経営層/上層部の理解が得られない」(25.9%)や「人材・組織体制が不十分」(22.5%)など、より組織的・戦略的な課題が浮上している。これは「何から始めるか」「どのツールを選ぶか」といった初期的な悩みを乗り越えた企業が、次のステップとして経営への説明責任や組織横断での連携、成果指標の設定・評価など、さらに高度な課題に直面していると言える。
 対して効果未実感層では「特にない」(48.1%)が依然として最も多く、課題認識が薄いまま施策を続けている可能性が高いと推察される。その結果、具体的な対策を打たずに停滞しているケースが多いとみられる。また、「人材・組織体制が不十分」(24.6%)や「経営層/上層部の理解が得られない」(22.9%)など、組織面の課題は効果実感層と類似しているにもかかわらず、解決が進んでいないことが成果低迷の一因となっているようだ。さらに、「KPI/KGI設定が難しい」「ツール導入費用がかかる」「顧客のセグメント化が難しい」など基礎的な運用体制の整備段階での課題が多く、施策の軸となる指標設定や顧客データ活用が十分に機能せず、結果として「効果を感じられない」状況が続いていると考えられる。
 次に、これまで挙がったカスタマーサクセスの導入・運用上の課題について、実際にどのような対策を取ったのか、どんな取り組みを行ったかを確認した。
 まず「過去に取り組んだことがあるもの」を見ると、効果実感層では「外部専門家に依頼/相談」が46.0%と際立って高く、さらに「日本語・外国語の書籍やオンライン記事の情報収集」「セミナーや勉強会への参加」「オンラインコミュニティへの参加」など、複数のチャネルを活用して知見を得ようとする姿勢が特徴的。加えて「人材育成プログラムの作成」や「評価基準/制度の見直し」など、組織内部での施策も積極的に進められている様子がうかがえる。
 一方、効果未実感層では「特になし」(51.0%)が過半数に達しており、「外部専門家への依頼」(21.2%)や「セミナー・勉強会への参加」(14.2%)といった具体的行動の比率が低い点が目立つ。つまり、効果実感層が外部リソースや学習機会を積極的に活用し、組織内での制度改革やコミュニケーション強化にも取り組んだ結果、課題解決につなげているのに対し、未実感層はこうした行動が十分に取られないまま施策を進め、カスタマーサクセスの効果を得にくい構造に陥っていると言える。word 続いて、「現在取り組んでいること」を見ると、効果実感層では「日本語の書籍やオンラインの記事を読んで情報を収集」(35.8%)や「セミナーや勉強会に参加」(23.7%)、「外国語の書籍やオンラインの記事を読んで情報を収集」(23.5%)など、外部情報を積極的に吸収する割合が高くなっている。過去に外部専門家への依頼やイベント参加などで課題を明確化した企業が、現在も継続的な学習・人材育成を進めている状況がうかがえる。すでに一定の成功を収めている企業の中には「特になし(これ以上必要なものはない)」と回答するところもある一方、海外事例や外国語情報を取り入れるなど、さらなる高度化を図る動きも活発だ。
 一方、効果未実感層では「特になし」(48.7%)が約半数を占め、他の具体的な取り組みのも軒並み2割以下にとどまっている。つまり、成果を実感している企業ほど複数の学習・交流手段を併用し、課題解決に向けて主体的に行動しているのに対し、未実感層はカスタマーサクセスへの危機感や課題意識が希薄で、情報収集や専門家の活用、人材育成などの施策を行わないまま進めている可能性が高いと考えられる。その結果、十分な効果を得られないまま悪循環に陥っている構図が浮き彫りになっている。
 これらの結果から、早期に課題を認識し、的確に可視化することが企業のカスタマーサクセス施策成功の鍵であるということが言える。導入当初に抱えた課題を迅速かつ戦略的に解決し、経営層および現場を巻き込みながら改善策を実施している企業は、その後「効果を感じる」成果につながっている。具体的には、情報収集、外部専門家の活用、さらには人材育成プログラムの整備など、多角的なアプローチが統合された対策が、施策の成果向上に大きく寄与していると考えられる。
 一方で、課題認識が低かったり、対策が後手に回ったりする企業では、必要な改善策が十分に実施されず、結果としてカスタマーサクセス施策の効果が得られていない状況が浮かび上がっている。こうした企業は、課題解決への取り組みが単一の方法に偏るか、そもそも行動に移さない傾向があるため、施策全体のパフォーマンスやカスタマーサクセスの組織内定着度合いに大きな差が生じていると考えられる。総じて、課題の早期認識と、多角的かつ積極的な対策実施が、持続的なカスタマーサクセス成果の実現に直結することが今回の結果から明らかとなった。


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