CRM関連ベンダー動向

〔2024/7/23〕スマートウィル、「クライアンテリングCRM」を提唱

 CRMコンサルティングサービスやデジタルソリューションを提供するスマートウィル(本社:東京都渋谷区、坂本雅志社長)は、小売・サービス企業向けのCRMツール「BoCRM(ボクルム)」の開発を進めてきた。CRMを起点としたマーケティング活動の重要性が再注目される昨今、良質な顧客体験を提供し企業の利益向上を叶える「クライアンテリングCRM」の普及に取り組むことを発表した。
 日本国内におけるCRM市場は活況であり、オンプレミス型とクラウド型を合わせたCRMアプリケーションの市場規模は、2023年度で1兆円近くとなり、2027年度には1.5兆円近くになると予想されている。
 このようにCRMへの需要が高まる中、生成AIによるCRM機能が深化し、顧客のコミュニケーションが更に高度にデジタル化し、「業務効率化」を叶えるテクノロジー主導のCRM市場は成熟しつつある。一方、近年の消費者のニーズの多様化、サービスの選択肢の拡大などにより、企業はより精度の高い顧客理解とよりパーソナルで質の高い体験価値の提供が求められている。とりわけ海外のラグジュアリーファッションブランドにおいては、販売員が顧客の情報や購買習慣を把握し、新商品や今後の購入について積極的に相談に応じるなどして、顧客との密接な関係を築く「クライアンテリング」の質的向上に注目している。このように、リアルな現場が存在する業態(ファッション、コスメ、ホテル、エステ、旅行サービスなど)では、テクノロジー主導のCRMだけではなく、熟練販売員や接客スタッフのコミュニケーション技術を形式知化していくCRMの在り方が求められている。
 スマートウィルはこのような時代の潮流を受け、「クライアンテリングCRM」を提唱する。スマートウィルは、自社が開発するCRMシステム「BoCRM」の基本機能である顧客データの「収集・管理・分析・活用」の4ステップに、「クライアンテリング」機能を追加した。これにより、顧客情報を深く集め、気付きを導出する分析を行うことで、コミュニケーションすべき対象顧客や、コミュニケーションすべき内容が最適化され、顧客満足度が上がり、企業・ブランドへのエンゲージメントが高まり、収益貢献に繋がる。

〔2024/7/23〕電通デジタルとプレイド、 広告×CRMの領域横断専門チーム発足

 電通デジタル(本社:東京都港区、瀧本恒社長)とプレイド(本社:東京都中央区、倉橋健太社長)は、プレイドが提供するCX(顧客体験)プラットフォーム「KARTE」を活用し、1stパーティデータを軸とした広告とCRMの融合によりLTV(顧客生涯価値)向上の実現を目指すため、プレイドからの支援のもと両社協業による領域横断の専門チームを電通デジタル内に新設したことを発表した。
 近年、企業のマーケティング活動において、データを活用した高度なCXの提供が重要視されている。一方で、多くの企業ではこれを推進するにあたり、広告・マーケティング・情報システムなど、関係部署が多岐にわたることやそのデータの取り扱いがシームレスに連携できないことで、高度なCXの実現とひいてはLTV向上に繋がりにくいといった課題を抱えている。
 このような企業の課題解決に向けて、電通デジタルとプレイドは協業し、このたび専門チームを発足する運びとなった。本チームは、電通デジタルが持つ広告とCRMにおける幅広いケイパビリティと、プレイドが提供するKARTEのプロダクト群による1stパーティデータの分析・可視化とマルチチャネルでの活用という強みを生かし、広告とCRMのデータを掛け合わせることでLTV向上を目指す専門チーム。
 具体的には、顧客軸でリアルタイム分析・可視化を行うKARTEを用いて広告領域とCRM領域間で相互にデータを共有し、ソーシャル、広告、実店舗、ECまであらゆるコミュニケーションを含む一貫したマーケティング施策を行う。
 同チーム組成にあたり、プレイドからはKARTEのプロダクト群における豊富な知見を持つ人材が積極的に支援を行い、電通デジタルからは広告やCRMにおける高い専門性と実績を有するデジタルマーケター、KARTE認定資格を保有するフロントエンドエンジニア、「dentsu CX-Connect」に在籍のCXプロデューサーが参画する。随時連携を図りながら、クライアント企業のあらゆる課題に対し、最適なソリューションの提案とチャネル横断したシステム設計・実装を行い、高度なマーケティング施策の実現を目指す。

〔2024/7/2〕セプテーニ・インキュベート、「Ocean Dict.」をアップデートし、CRM機能を拡充

 セプテーニ・ホールディングスの連結子会社で、新規事業の開発を手がけるセプテーニ・インキュベート(本社:東京都新宿区、松田忠洋社長)は、オンチェーンマーケティングプラットフォーム「Ocean Dict.(オーシャンディクト)」をアップデートし、CRM機能を拡充した。プロジェクトが発行するトークンコントラクトアドレスの登録機能、トークンホルダーのデモグラフィック解析機能、および見込み顧客育成のためのオンチェーンKPIレポートを提供する。
 プロジェクトに関連するトークンコントラクトアドレスを登録することで、プロジェクトのトークンホルダーを一元管理することが可能になった。複数のコントラクトアドレスおよび10種類以上のブロックチェーンに対応しており、プロジェクトのトークンホルダーの分析を多角的に行えるようになった。
 他プロジェクトのトークン保有状況から、自身のプロジェクトのトークンホルダーがどのようなデモグラフィック属性を持っているかについて分析することが可能になった。Ocean Dict.では数百のコントラクトに対して独自のラベリングを行っており、ブロックチェーンゲームホルダー/日本語圏のNFTホルダー/コミュニティトークンホルダー/ブランドトークンホルダーなど多数のラベルを元に分析することができる。ホルダー別に付与されたラベリングから導き出された統計データを元に、データドリブンなマーケティングを行うことが可能になる。
 オンチェーン上のホルダー数などのKPIを日別の推移で確認することができるレポートを提供する。登録したトークンコントラクトアドレスに対して、日別の新規ホルダー/離脱ホルダー/買い増しホルダー/売り減らしホルダー などの切り口から推移をモニタリングすることが可能になった。これにより、実施したキャンペーン施策がオンチェーン上のアクティビティに寄与しているかが可視化され、リードナーチャリングをデータドリブンに行うことができるようになる。

〔2024/6/26〕モビルス、「CRM Connect for Salesforce」を提供開始

 モビルスは、MOBI AGENT(モビエージェント)をはじめとしたモビルスのCXソリューションとコンタクトセンター向けCRMクラウド市場における主要CRMの1つであるSalesforceをつなぐデータ連携サービス「CRM Connect for Salesforce」の提供を開始した。これにより、コンタクトセンターでも多く利用され、充実した機能を持つ有人チャットMOBI AGENTなどでの対応時に別ウインドウを開くことなく、CRMの顧客情報や問い合わせ履歴などを参照できるようになり、問い合わせ業務の情報参照の簡素化を実現した。
 オムニチャネル化が進むコンタクトセンター向けIT市場では、CX(顧客体験)向上の重要性が高まるにつれ、チャネル間での「一貫性のある対応」を実現するために、顧客データベースの重要度が高まっている。コンタクトセンターにおけるCRMの導入状況は高く、今後導入予定の企業も多くなっている。クラウドCRM市場におけるSalesforceのシェアは非常に大きく、モビルスのCXソリューションとSalesforceを利用するユーザーの利便性を向上させる必要があった。主要クラウドCRMであるSalesforceとのデータ連携強化により、既存ユーザーのみならず今後導入予定の企業の業務効率化やCX向上にも貢献することができるものと考えている。
 CRM Connect for Salesforce はMOBI AGENTをはじめとした、モビルスのCXソリューションとCRM(Salesforce)をつなぐデータ連携サービス。チャット対応時、今まで別のウインドウを開き対応していた状態から、画面を切り替えずにクライアント企業固有の情報を元に顧客情報およびケース情報を参照できるようになる。利用項目の設定が簡単で必要な項目に絞っての運用が可能。
 チャットボットツールのMOBI BOT(モビボット)やボイスボットツールのMOBI BOIVE(モビボイス)との連携開発を進めており、手続き受付時の情報参照や、電話の事前ヒアリング内容の一元管理など、顧客情報や問い合わせ内容の参照・管理を容易にすることで、付加価値の高いサポートを実現していく。

〔2024/6/26〕レオパレス21、CRMツール「Service Cloud」の導入により、顧客接点を強化

 レオパレス21は、顧客満足度の向上と業務の効率化を目指し、セールスフォース・ジャパン(本社:東京都千代田区、小出伸一会長兼社長)が提供するCRMソリューション「Service Cloud」を導入した。
 レオパレス21では、顧客情報をさまざまなシステムで管理していたことから、データのサイロ化・属人化が課題となっていた。CRMソリューションを導入し、顧客からの問合せ内容と同社既存システムを自動連携することで、データの管理を一元化する。リアルタイムでの情報共有や自動入力を可能にすることで、応対品質の向上や業務効率化を実現する。
 同社では、オンラインでのお部屋探しを推進しており、2023年9月にお部屋探しの一次問い合わせ対応を行うコンタクトセンターを開設した。同年11月には、国内109拠点を72拠点へ集約を行い、それと同時に、コンタクトセンターは本格稼働を開始した。
 コンタクトセンターへは、電話や同社のお部屋探しサイトだけでなく、不動産情報サイトなど、さまざまな方法で問い合わせがある。そのような中、情報の入力などの手作業で行う業務は負担が大きくなっていた。これらの課題解決のためにCRMソリューション「Service Cloud」を導入し、情報の自動入力・一元管理を実現することで、業務負荷の軽減や業務効率化に取り組んでいる。
 顧客情報の管理を一元化することで、データの可視化やリアルタイムで情報を共有することが可能となり、担当者が不在・変更となった場合でも、応対品質が変わることなく、迅速なご対応が可能となる。
 同社コンタクトセンターへの電話問合せの記録も、システム連携により自動で入力・蓄積されていく。また、同社の既存システムにも自動で連携することが可能となり、情報が統制されることで、サイロ化・属人化を解決する。
 顧客から問い合せ情報は、システム毎に手作業で入力を行い、管理してきた。手作業での入力においては、ヒューマンエラーなどの課題も存在していたが、今回の導入により、情報が自動で入力されるため、業務負担の軽減に繋がるだけでなく、人的ミスの削減にもつながる。
 今後は、問い合わせのデータ入力の自動化、一元管理だけではなく、データ管理の範囲を拡大し、あらゆる情報を集約・管理・分析を行っていくことで、さらなる業務効率化とデータ価値の向上を図っていく。

〔2024/6/11〕Micoworks、クラシアンがLINEを活用したマーケティングプラットフォーム「MicoCloud」を導入

 Micoworks(本社:大阪市北区、山田修社長)は、クラシアン(本社:横浜市港南区、今田健治会長兼社長)がLINEを活用したマーケティングプラットフォーム「MicoCloud(ミコクラウド)」を導入したことを発表した。
 水まわりの緊急メンテナンス市場は約800億円と推定され、生活インフラとして安定した需要がある一方、少子高齢化による世帯数の減少により縮小が見込まれている。一方で住宅の築年数増加に伴う老朽化によって水まわりの住宅設備の定期的なメンテナンスやリフォーム需要は年々増えており、矢野経済研究所の「住宅設備機器市場における調査」によると主要住宅設備機器(水まわり設備機器+水まわり関連設備機器+創エネ関連設備機器)の2022年度市場規模は前年度比7.7%増の1兆9,430億円となっている。
 水まわりの緊急メンテナンス依頼件数No.1のクラシアンでは、水まわりの定期メンテナンスやリフォーム事業など事業の多角化を図っている。緊急メンテナンス周辺領域である他事業のサービス促進を目的に、新規顧客獲得偏重のマーケティングから、既存の顧客基盤を活かした関係強化とロイヤルカスタマー化を進めるためのCRM(顧客関係管理)施策を推進している。
 生活者にとって身近なオンライン接点で中長期的なつながりを構築するため、LINEを通じたコミュニケーションを行うべくMicoCloudの導入に至った。
 クラシアンではMicoCloudを活用し、LINE公式アカウントの友だちから得た顧客データ(年齢、性別、住宅形態(戸建、マンションなど)、住宅の築年数、暮らしのお悩み)の収集・分析を行い、将来的には年間約200万件に及ぶ問い合わせデータとLINE経由の顧客データと紐付け、ロイヤルカスタマー育成に向けたマーケティング施策に活かしLTV向上を目指す。

〔2024/6/11〕Salesforce、「Einstein Copilot」と「Data Cloudベクトルデータベース」の日本市場で提供開始を発表

 セールスフォース・ジャパン(本社:東京都千代田区、小出伸一会長兼社長、以下、Salesforce)は、CRM向け対話型AIアシスタント「Einstein Copilot(ベータ版)」およびハイパースケールのデータプラットフォーム「Salesforce Data CloudのData Cloudベクトルデータベース」の日本市場での提供を開始したことを発表した。これらの機能を活用することで、ユーザー企業は信頼できるデータソースを確保して、自社のニーズに合わせて生成AIをSalesforceのCRMアプリで活用できるようになる。また、SlackとTableauの最新のAIイノベーションにより、AIを活用した働き方と分析を加速することができる。
 Einstein Copilotは、SalesforceのあらゆるCRMアプリ向けの統合的な対話型AIアシスタント。顧客は自社で保有する信頼できるデータを活用して回答を生成でき、質問への回答、コンテンツの要約、新しいコンテンツの作成、複雑な会話の解釈など、タスクを動的に自動化することができる。提供開始予定は、2024年10月(日本語対応ベータ版)。利用可能なエディションは、Einstein 1 Editionsを購入するか、Enterprise EditionsまたはUnlimited Editionsにアドオンライセンスを追加することで利用可能。
 Einstein Copilot向けに事前プログラムされた独自の機能であるCopilot Actionsにより、ユーザー企業はEinstein Copilotを業務に合わせてカスタマイズできる。これにより、Einstein Copilotはビジネスデータを使用して質問に回答するだけでなく、ユーザーに代わり業務を実行するためのワークフローを自律的に構成し、実行することが可能となる。Copilot ActionsにおいてSalesforceが標準で提供するアクションライブラリとして、Sales Copilot Actions(セールス向け)とService Copilot Actions(カスタマーサービス向け)が提供開始される。
 Salesforceに組み込まれたハイパースケールデータプラットフォームのSalesforce Data Cloudにより、ユーザー企業はSalesforceのあらゆる製品およびシステムからすべての顧客データを接続、連携、調和させることができ、顧客に関する信頼できる唯一の情報源となる。
 Data Cloud ベクトルデータベースは、PDF、メール、会話記録などの非構造化データを含むあらゆるビジネスデータと、購入履歴、カスタマーサポートケース、製品在庫などの構造化データが統合され、生成AIのプロンプト上でグラウンディングして活用できる。提供開始予定は、2024年8月末まで。
 SlackおよびTableauの生成AI機能を活用することで、ユーザーはAIを使った働き方やAIによるインサイトある分析を実現することが可能となる。


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