コンタクトセンター関連ベンダー動向
〔2024/3/14〕KDDIウェブコミュニケーションズ、スマホに特化したクラウド型コンタクトセンターソリューション「UJET」を提供開始
KDDIウェブコミュニケーションズ(本社:東京都港区、山﨑雅人社長)は、米国UJET社(読み:ユージェット)と業務提携し、スマートフォンに特化したクラウド型コンタクトセンターソリューション「UJET(ユージェット)」の提供を日本で初めて開始した。
UJETは、スマートフォンの普及率向上により、アプリを日常的に使うようになった現代に合わせて生まれた、従来の「音声通話のみの対応」だけではない、スマートフォンに特化した次世代のコンタクトセンターソリューション。
大きな特長は、自社アプリにUJETのモバイルSDK(Software Development Kit)を組み込むことで、顧客側(スマートフォン側)と音声通話できるだけでなく、静止画・動画の共有や生体認証、位置情報・OS情報などの取得ができること。
例えば、オペレーターは通話したままの状態で、UJETが特許を取得している「スマートアクション」ボタンからワンクリックで顧客側に生体認証を求めたり、静止画・動画の撮影を依頼したり、位置情報・OS情報の取得をすることが可能。
また、画面共有機能で顧客側の画面をリアルタイムで共有し、ポインターやペンで指示することができるので、操作がわからない場合もスムーズに操作指示をすることができる。
さらに、Google が提供するコンタクトセンター特化のAI機能「CCAI ( Contact Center AI )」を活用しているので、生成AIによる顧客の感情分析や会話内容の要約などが可能になる。これにより、顧客対応後のレポート作成が格段に容易になり、これまでにコールセンター業務で多くの時間を占めていた後処理作業の時間や負担が大幅に削減される。
またUJETは、完全なクラウド環境で1席から使用できるため、スモールスタートが可能。音声通話のほかにも、メール、チャット、SMS、SNS(WhatsApp)などを利用したマルチチャネルに対応している。
UJETは、生成AI機能による会話内容の要約機能により、後処理の時間が短縮されることで1件あたりにかかる対応時間が短くなり、オペレーターの業務負担を減らすことができる。業務時間内で対応できる顧客人数が増えることで、放棄呼を減らすことも期待できる。
このように、UJETはコールセンター業界における長年の課題であった「オペレーターの人材不足」「顧客満足度の伸び悩み」「マルチチャネル化によるシステムの複雑化」などを根本的に解決することができ、オペレーターにも顧客にも複雑な操作が発生しないため、スムーズなやり取りで優れたカスタマー・エクスペリエンスを提供できるソリューションとなっている。
〔2024/3/14〕ファブリカコミュニケーションズ、SMS送信サービス「メディアSMS」が「BIZTEL」と連携
ファブリカコミュニケーションズの完全子会社、メディア4u(本社:東京都港区、奥岡征彦社長)が運営するメディアSMSが、リンク(本社:東京都港区、岡田元治社長)が提供するクラウド型CTI/コールセンターシステム「BIZTEL」とシステム連携したことを発表した。
メディアSMSは、携帯電話番号がわかればメッセージを送ることができる法人向けのSMS送信サービス。国内主要4キャリアとの直接接続設計により、高い着信率とセキュリティを持つ送信品質や全キャリア660文字~670文字の長文化などを実現しており、2023年10月末時点で導入社数5,000社を突破している。、
BIZTELは、メーカー・小売・金融・製薬・IT・インフラ・サービス業など、幅広い業界の2,000社以上が利用するクラウド型のコールセンターシステム。
今回のシステム連携により、BIZTELを導入している企業は、IVRを通じて、顧客に対しSMSを送信することができるようになるなど、受電以外の応対フローに誘導することが可能になる。
これにより、時間外の注文の受付やFAQページへの誘導などができ、機会損失の防止や業務の効率化、顧客満足度の向上を実現することが可能となる。
今回の連携は、両サービスの基本プランと、BIZTELのオプション機能である「API連携IVR」または「API連携コールアクション」を申し込むことで、利用できるようになる。
〔2024/3/13〕CTC、Google Cloudの生成AIを活用したコンタクトセンターソリューションを提供開始
伊藤忠テクノソリューションズ(略称、CTC)は、生成AIを含めたGoogle Cloud のAIサービスを活用したコンタクトセンターソリューションの提供を開始した。AIを活用して、顧客からの問い合わせに適切な情報を提供するもので、コンタクトセンターにおけるオペレータ業務の効率化と顧客満足度の向上を実現する。金融業の企業を中心に展開し、3年間で10社の提供を目指す。
金融業界では、非対面型の顧客対応が増えており、コンタクトセンターは、商品の理解促進や、信頼性向上につながる重要な役割を果たしている。近年、金融商品は多様化しており、オペレータによる対応品質の維持や応答の効率化が課題となっている。
今回、提供するコンタクトセンターソリューションは、Google CloudのAIサービスを活用して、コンタクトセンター業務の効率化を図るもの。オペレータをサポートして的確な説明につなげ、対応時間の削減と迅速な問題解決を実現する。
入電時に電話番号や契約番号から顧客を特定し、購買履歴に加え、Webサイト・アプリ上の行動データも活用してAIが問い合わせ内容を推測し、ユーザーの問い合わせ目的に応じた音声ガイダンスを優先的に案内する。2021年からCTCが提供している顧客データ分析サービス「CTC Autonomous Marketing with Google Cloud 」と連携しており、顧客の発話に応じてボイスボットが適切な回答を行い、無人対応を実現する。
さらに顧客とオペレータの会話から、問い合わせのポイントを特定して、参考となる関連情報をオペレータの画面に表示する。通話終了後には、対話を要約してシステムに自動で保存することができる。
また、顧客の質問から社内情報に基づく回答までをAIで自動化することで、コンタクトセンター運営の更なる効率化や省人化につなげることも可能。
Google Cloud のAIサービスは膨大なデータを対象とした機械学習に優れており、対話型の自然な文章の生成や、AIモデルの柔軟なカスタマイズ機能が特長。CTCは、顧客の通話管理システムとGoogle Cloud のAIとの連携、応答ガイダンスやアルゴリズムの開発、定期的な機械学習のチューニングを行う。
CTCは、長年、金融業向けにコンタクトセンターの設計、導入、運用・保守を含めたトータルなサービスを提供しており、生成AIに関連したシステム構築実績もベースに今回のコンタクトセンターソリューションを開発した。また、Google Cloud のAI活用についてのサポートプログラムTrusted Testerには、2023年7月より参加している。今後も、Google Cloud の生成AIサービスについて最新機能をいち早く検証し、金融業界をはじめとしたクライアント企業の業務効率化やCX向上に貢献していく。
〔2024/3/13〕カラクリ、「電話の鳴らない」コールセンターを、SBI VCトレードが実現
カラクリ(本社:東京都中央区、小田志門社長)は、SBIグループの仮想通貨取引所であるSBI VCトレード(本社:東京都港区、近藤智彦社長)に、デジタル接客を促進するため2022年11月に高精度AIチャットボット「KARAKURI chatbot」・有人チャットツール「KARAKURI talk」を導入し、インバウンド(受信)の電話受付の終了を実現した。2023年12月にはチャット対応率87%を達成し、顧客満足度も高く維持している。
SBI VCトレードのカスタマーサポートでは顧客対応、口座開設や登録事項の変更管理などの業務を担っている。2021年12月のTaoTao社との合併、2022年6月のサービス統合に伴い、従来の問い合わせに加えて「口座移管」、「統合」などに関する問い合わせが急増していた。オペレータの研修に時間を要するため増員もできない状況が続き、電話の受電率の低下、呼損率(電話に接続されなかった率)の上昇、メールの返答にも日数を要するというカスタマーサポートとしては最悪の状況となっていた。そこで顧客の自己解決を進め、Web上でのサポート体制の強化を図るため「KARAKURI chatbot」、「KARAKURI talk」の導入を決定した。
KARAKURI chatbotは24時間365日の自動対応が可能なのはもちろん、高精度なAIにより曖昧な質問に対しても的確な回答が可能。SBI VCトレードでは入電などの問い合わせ内容から「口座移管」、「統合」、「ログインエラー」など頻度の高い問い合わせやチャットボットで解決できる可能性が高い問い合わせを分析、対応範囲を精査した。これによりチャットボットに学習させる「質問・回答セット」の作成がスムーズとなり、2022年10月に導入を決定してから、わずか7週間でチャットボットの開始を実現している。また導入と合わせて、Webサイトの目立つ箇所に「サポートコンシェルジュ」の案内を掲載し、チャットボット利用率の促進も図った。
入電対応と有人チャット対応を比較した場合、有人チャットの対応範囲の拡大が挙げられる。電話対応は1対1の接客になるところ、1対nの対応が可能だからだ。SBI VCトレードでは、2022年12月より有人チャット「KARKAURI talk」も導入し、1人のスタッフが対応できる顧客数の拡大を図られている。
本人確認などをメールで受けた場合、必要項目の抜け漏れなどにより何度も確認が必要になるなど、顧客・カスタマーサポートの双方に負担がかかる状況となる。SBI VCトレードでは、チャット内にフォームを設定することで、顧客側が事前に必要な項目を確認できるため、抜け漏れが削減される。また問い合わせ内容が明確なため、案件内容が明確になり対応スピードも飛躍的に向上されている。
SBI VCトレードでは、チャットボット導入の翌月にはチャットボット対応件数がメール対応件数を越える利用となっている。2023年1月(チャット導入翌々月)にはチャット対応比率が全体の約60%となり、チャットボットのフォーム機能を利用した架電予約システムにより、完全にインバウンドの電話受付を終了されている。2023年12月(導入後1年時点)ではチャット対応比率は87%を占め、顧客対応満足度も高く評価されている。
〔2024/3/11〕UKABU、トーク支援ツールUKABU「トークスクリプト AI生成機能」をリリース
UKABU(本社:東京都渋谷区、丸山隼平社長)は、同社が提供するAI搭載トーク支援ツール「UKABU(ウカブ)」 が、商品案内資料や社内向けマニュアル資料などのPDFファイル、議事録テキストファイルやサービスサイトURLなどをUKABUに読み込ませるだけで、オリジナルのトークスクリプト&フローチャート作成できる「トークスクリプト AI生成機能」をリリースしたことを発表した。
2024年1月に先行リリースしたAI スクリプト テンプレート機能では不足していた、自社のサービス名やサービス事業に応じたスクリプト文面の作成も可能となった。
2023年にリリースしている「AI FAQ生成機能」に加えて、今回の「トークスクリプト AI生成機能」の2つにより、コールセンター責任者や営業企画部門のトークスクリプト作成&FAQ作成の工数の大幅に軽減する。
新しいサービスリリース時や営業方針が変わった際も即時に営業やカスタマーサポート、コールセンターなどの顧客対応を行う組織の標準化を促進する。
UKABUは、これまで「AI FAQ生成機能」「AI スクリプトテンプレート機能」をリリースしているが、トークスクリプトの作成については、テンプレートだけでなく、FAQ生成のように自社のサービスに関するスクリプト文面やフローチャートまでできるようにしてほしい、という声も多くいただいていた。
この度、開発を進め、商品案内資料や社内向けマニュアル資料などのPDFファイル、テキスト、URLから、トークスクリプトのフローチャート作成が数十秒でできる「AI トークスクリプト作成機能」をリリースした。
昨年リリースしているFAQの新設計を自動生成するAI FAQ設定機能と合わせて、顧客への営業や対応するためのトークスクリプト&FAQをUKABUが簡単に作成し、早期に営業やコールスタッフへ展開し、対応も可能になる。
〔2024/3/7〕リンク、「BIZTEL」がAI音声自動対話サービス「AI Messenger Voicebot」とシステム連携を実現
リンク(本社:東京都港区、岡田元治社長)は、生成AIの活用によって業務改善を推進するAI Shift(本社:東京都渋谷区、米山結人社長)が提供する「AI Messenger Voicebot」とのシステム連携の開発・検証を行ったところ、ボイスボット運用時の通信コストの削減や、オペレーターへ顧客応対を引き継ぐ際の課題解決が実現した。本システム連携に関するサービスの提供開始は、2024年4月頃の予定。
電話業務における人手不足の対応策として、生成AIをはじめとした人工知能の活用に注目が集まるなか、音声による対話が可能な「ボイスボット」は応対の自動化が可能になるため、オペレーター業務の削減を実現する効果的なソリューションとして期待が寄せられている。
導入するコールセンターの多くは、既存の電話番号にかけることでボイスボットが利用できるようにしているが、着信をボイスボットへつなぐ際や、ボイスボットでの完結が難しい応対をオペレーターに引き継ぐ場合、従来は外線経由での転送をしており、企業側でそのための通信費用を負担していた。
また、ボイスボットからオペレーターへ通話を転送する際、顧客の電話番号がオペレーターに通知されないため、顧客データの参照に時間がかかるなどの運用課題があった。
今回のBIZTELとAI Messenger Voicebotの取り組みでは、SIPで接続することによって、外線を介さずに両サービスが連携できるようになるため、ボイスボットの運用にかかる通信コストを抑えることができる。また、シームレスな情報伝達が可能になり、ボイスボットを経由しても顧客の電話番号がオペレーターに通知されるため、即時に顧客データの確認ができるなど、業務の効率化も実現する。
さらに現在は、ボイスボットによる応対履歴をオペレーター用のBIZTEL操作画面に表示させる機能の開発も進めている。この機能が実現することで、用件を繰り返し説明するといった顧客の手間がなくなり、ボイスボット利用時のユーザビリティが向上するほか、オペレーターはスムーズな用件把握による迅速な対応が可能となるため、応対品質の向上、さらには顧客の満足度向上にもつながる。
〔2024/3/5〕RevComm、音声解析AI電話「MiiTel」、ギグワークスクロスアイティ「デコールCC.CRM」と連携
RevComm(本社:東京都渋谷区、會田武史社長)は、同社が提供する音声解析AI電話「MiiTel」がギグワークスクロスアイティ(本社:東京都港区、小島正也社長)が提供するコンタクトセンター向けCRMシステム「デコールCC.CRM」と連携した。デコールCC.CRM利用企業が、CRM画面内で音声解析AI電話「MiiTel」を利用することができるようになる。
デコールCC.CRMは、着信と同時に顧客情報・履歴情報を一目で確認できる、コンタクトセンター向けのCRMツール。
このたびのデコールCC.CRMとMiiTelの連携により、デコールCC.CRM利用企業は使い慣れたCRM画面を利用しながら、音声解析AIを活用した全文文字起こし、要約、話速やトーク・リッスン比率、抑揚などの通話音声分析、音声感情認識といった情報をCRM情報に自動的に紐づけることができ、1人ひとりのスタッフのセルフコーチングやコールセンター業務全体の品質向上に役立てることができるようになった。