コンタクトセンター関連ベンダー動向

〔2024/9/13〕スタジアム、コールセンターの通話品質管理・応対評価をAIで自動化する「Dr.Tel」を提供開始

 スタジアム(本社:東京都港区、石野悟史社長)は、コールセンターの品質管理・応対評価における通話データの評価精度と評価頻度を向上させるために、AIを活用して通話データのスコアリングとフィードバックを自動化する新サービス「Dr.Tel」の提供を正式に開始したことを発表した。
 Dr.Telは、通話の録音データをもとに、AIが個々のコールセンターの評価基準通りにスコアリングとフィードバックを行うクラウドサービス。
 コールセンターの品質管理・応対評価の現場では、「数ヶ月に一度の評価しかできていない」、 「適切にサンプリングして評価できていない」、 「評価にかかる工数負担が重い」、「評価に透明性がなく納得感が低い」、「AIツールを検討したが自社の評価項目に合わない」という評価の“頻度”と“精度”に関わる課題が顕在化している。
 スタジアムでは、このような課題に直面するコールセンター企業の声を受け、同社で保有するAIと音声コミュニケーション解析の知見を元に、人間以上の評価精度と評価頻度を可能にするサービスの開発に取り組んできた。
 会社やチームごとに必要な項目と評価基準でカスタマイズができる。同じ評価項目でも、会社やチームのポリシーによって評価基準は変わる。Dr.Telは企業が本当に大事にしたい基準に合わせた評価をサポートする。
 今まで難しかった「発話内容や文脈に対する評価」をAIが可能にする。「人間にしか評価できなかったこと」をより正確にAIが自動で評価できるようになった。
 評価結果だけ見ても、何をどう改善すべきなのかはレポートを見る人に委ねられがち。Dr.Telは「オペレーターが改善行動に繋げられること」を重視して、シンプルで温かいフィードバックを行う。
 音声データが手元にあればすぐにでも導入できる。面倒な設定や連携などのハードルはない。もちろん利用中の電話ツール・CRMなどとの連携の相談も可能。
 解析件数単位の料金にすることで、コールセンターの規模にかかわらず導入しやすいプラン体系になっている。
 現在、実際の音声データをプリセット評価項目で解析する無償トライアルを受け付けている。

〔2024/9/12〕ギブリー、システム改修不要でカスタマーサービス業務に生成AIを導入できる「DECA AIウィジェット」を提供開始

 生成AIの法人活用推進およびマーケティングDX支援サービス「DECA(デカ)」を提供するギブリー(本社:東京都渋谷区、井手高志社長)は、2024年9月11日よりブラウザ拡張型の生成AIアシスタントツール「DECA AIウィジェット」の提供を開始した。
 Webブラウザの拡張機能として導入できるため、企業が利用しているシステムを改修することなく、コンタクトセンターを中心としたカスタマーサービス業務に生成AIを導入して効率化を実現することができる。
 現在コンタクトセンター業界では、人口減少と労働力不足を背景として人材確保が困難となっており生産性向上を図ることが急務となっている。そのため、生成AIを代表とする先端テクノロジーの活用が注目を集めており、同社ではそのようなニーズに応えるAIソリューション「DECA AI接客」を提供してきた。
 生成AIを活用して有人対応業務の効率化支援を提供する中で、コンタクトセンターに特有の課題が浮かび上がった。既存のシステムのリプレイスや改修を伴う導入は、時間・費用・現場の学習コストなどの面で高いハードルとなる。さらに、オペレーターは、社内ナレッジや顧客ごとの対応履歴、ダッシュボードなど複数のウィンドウを切り替えて情報を確認しながら、電話、メール、チャットなど多岐にわたる手段を駆使して顧客対応を行っている。こうした状況で、新たなツールを導入することは業務の複雑性を増し、現場にとって大きな負担となりえる。同社はこれらの課題を解決し、コンタクトセンター業務をAIで効果的にアシストできるツールとして、この度「DECA AIウィジェット」をリリースした。
 DECA AIウィジェットは、コンタクトセンターおよびカスタマーサービスのオペレーションに最適化された、ブラウザ拡張型のAIアシスタントツール。
 既存システムを切り替えることなくすぐに導入でき、ウィンドウやタブを切り替えることなく現場でもスピーディーに利用可能。社内ナレッジとの連携で、オペレーター1人ひとりに専属のAIスーパーバイザーとして専門的な質問への回答から文章添削まで高精度に業務をサポートする。カスタマーサービス業務に生成AIを手軽に取り入れ、生産性を大幅に引き上げる。
 電話対応中に画面を切り替えずナレッジを引き出し、通話時間を短縮。顧客からの電話対応で問い合わせ内容に関連したナレッジをウィンドウやタブを切り替えずその場で検索可能。
 顧客からのメール/チャット対応で問い合わせ内容に関連したナレッジを基に返信文を自動で作成。また、顧客からのメール/チャット対応で返信文の誤字脱字をワンクリックで修正し対応品質を平準化。
 エスカレーション対応時に、これまでの顧客対応履歴を自動で要約し、担当者へスムーズに引き継ぎが可能。

〔2024/9/11〕コラボス、AIマーケティングシステム「UZ」をバージョンアップ

 コラボスは、独自開発のAIエンジンを搭載したAIマーケティングシステム「UZ(ウズ)」のバージョンアップを実施した。
 新バージョンでは、新たにアドバンスト・メディアが提供する「AmiVoice」の音声認識データのインポート機能を追加したほか、ポジティブorネガティブフレーズの自動抽出などのコンテンツ生成機能の強化およびセキュリティ強化を実施した。
 本バージョンアップにより、コールセンターのVOC(顧客の声)分析や活用を促進するとともに、より効果的なコンテンツ生成機能の提供と利便性および汎用性の向上により、企業における営業活動やマーケティング施策に大きく貢献する。
 UZは、コールセンターの通話録音データから、高い訴求効果が見込める「興味関心キーワード」を独自開発のAIエンジンで自動抽出する。その抽出結果を基に生成AIの活用により、広告テキストやメルマガ、トークスクリプトなどのさまざまな例文を自動生成し、企業のVOC分析やマーケティング施策に貢献するシステム。

〔2024/9/10〕トゥモロー・ネット、「CAT.AI CX-Bot」をMS&ADインシュアランスグループがロードサービスの問い合わせ対応で国内初採用

 トゥモロー・ネット(本社:東京都品川区、李昌珍社長)は、MS&ADインシュアランス グループの三井住友海上火災保険(以下、三井住友海上)、あいおいニッセイ同和損害保険(以下、あいおいニッセイ同和損保)、MS&ADグランアシスタンスが、ロードサービス受付の業務効率化と顧客サービス品質向上を目的に、AIを活用した自動化システム「CAT.AI CX-Bot」を、2024年7月より導入したことを発表した。なお、ロードサービス分野での「CAT.AI」の導入は、今回が国内初となる。
 近年、酷暑やゲリラ豪雨をはじめとする異常気象による車のトラブルが増加しており、ロードサービスの需要が高まっている。ロードサービスの受付業務は、台風などの突発的な天候不順や気候・気温の変化、お盆や年末年始などの休暇シーズンに受電数が増加する傾向にある。このような受電数の急激な変動に対応するため、オペレーターの確保が急務となっている。十分な対応を実現するためには、AIを活用した自動化が必須と考え、三井住友海上ならびにあいおいニッセイ同和損保は、ロードサービス受付内容でウェイトの大きいバッテリー上がりの受付対応(全体の約17%)の自動化を検討開始した。
 ロードサービスは、緊急性が高く迅速な対応が求められることから、一度の受付で氏名やナンバープレートなど多くの情報を正確に聞き出す必要があり、ユーザーにわかりやすく操作しやすいシステムが不可欠。
 CX-Botは、チャットボット(テキスト)とボイスボット(音声)が1つのプラットフォームで同時に利用でき、
カメラや位置情報機能を活用してユーザーが直感的に操作できる特徴が導入の決め手となった。また、トゥモ
ロー・ネットのプロフェッショナルチームによる週次レポート、対話ログの解析を元にした定期的な品質向上
サポートにより、運用面においても、継続的にAI対応完了率の向上を期待できる点も高い評価を受けた。
 バッテリー上がりの受付では、氏名や連絡先などの基本情報に加えて、車のナンバープレートや位置情報を
入力する必要がある。CX-Botは、チャットボットとボイスボットの併用ができるだけでなく、カメラモードや
GPSモード機能が搭載された独自の「CXマルチモードAI」を活用することで、ナンバープレートを撮影するだけ
で認識可能。また、ロードサービスにおいて必須である位置情報は、マップ上で現在地を特定できるため、入
力の手間を省けるほか、住所のわからない外出先でのトラブルにも柔軟に対応することができる。さらに、CX
とAIの専門知識を有したCXデザイナーによる専用のシナリオデザインを駆使して、ユーザーを緊急時でもわか
りやすくナビゲートする。
 今後、MS&ADインシュアランス グループは、今回のロードサービスへのCX-Bot導入の実績をもとに、さらな
るお客さま対応の効率化を目指して、他カテゴリのロードサービスでもCAT.AIプラットフォームサービスの導
入を検討する予定。

〔2024/9/10〕ベクスト、オンプレ閉域環境でも構築可能なコンタクトセンター向け自動要約ソリューションを提供開始

 ベクスト(本社:東京都目黒区、小橋寿彦社長)は、インターネットから遮断されたオンプレ閉域環境でも構築可能なコンタクトセンター向け自動要約ソリューション「VextResume+ powered by Local SLM(β版)」の提供を開始した。
 VextResume+ powered by Local SLM(β版)は、ベクスト独自の自然言語処理(NLP)技術と小規模言語モデル(SLM)の推論能力を活用することで、音声認識システムから自動取得した音声認識テキストを、事前のルール定義や辞書設定無しで高精度に自動要約し、人間工学に基づくUI/UXデザインでオペレーターの応対履歴入力を支援するコンタクトセンター向けソリューション。テキストマイニング技術を応用し、生成AI特有のハルシネーション(=事実に基づかない情報)をチェックする機能や、音声認識テキストに含まれる個人情報の自動マスキング機能などを搭載している。
 ベクスト独自の再学習やマージなどの最先端手法で構成されたLocal SLMで、導入後すぐに高精度・高速に動作する要約機能を安心して利用開始可能。
 また、最新の大規模言語モデル(LLM)にも順次対応しており、「VextResume+ powered by gpt-4o-mini」「VextResume+ powered by Gemini」を今秋リリース予定。試験的に「VextResume+ powered by gpt-4o(β版)」「VextResume+ powered by Gemini(β版)」の提供を開始している。2024年1月にリリースされたクラウド版の「VextResume+ powered by ChatGPT」に関しては、Azure OpenAI Service モデルの非推奨と提供終了の状況を鑑みて、更に高精度・低コストで互換性のある別のモデルに順次切り替え予定となる。今後も企業の生成AI利用ポリシーに応じて柔軟にLLMモデルを選択して利用できるように開発を行っていく。
 これら製品は、生成AIを利用する基盤として、Microsoft Azure/Google VertexAIを採用しており、同社クラウドのみから接続を受け付けるようアクセス制限を行うことでエンタープライズレベルでのセキュリティを実現している。さらに、音声認識結果を要約する際は、不要表現や個人情報を予めマスキングした後に該当のセキュアな環境へリクエスト送信を行うため、大幅なトークン数の節約と共に非常に高いセキュリティを実現している。

〔2024/9/9〕ジェネシス、CXにおけるAIの利用状況に関する調査結果を発表

 ジェネシスクラウドサービス(本社:東京都港区、ポール・伊藤・リッチー社長)は、日本企業のCXにおけるAIの利用状況に関する調査結果を発表した。この調査から、日本企業の60%がすでにAIを導入しており、16.7%が導入を検討していることが明らかになった。また、導入を検討している日本企業では、顧客の感情を理解する生成AIの活用に重点を置いていることがわかった。
 ジェネシスが実施したこの調査では、AIを導入済みまたは導入を計画している企業の57.4%がCX業務にAIを使用、もしくは使用を検討しており、顧客体験戦略におけるAI活用がすでに一般化しつつあることを示している。また、CXにAIを導入している企業の86.4%が「(AIを)効果的に活用している」と回答しておりており、各社のビジネス目標の達成の背景には、AIの利活用が深く関わっていることがわかる。
 AIに対する期待としては、「応答時間の短縮や迅速なサービス提供(54.7%)」「24/7のサービス提供およびセルフサービスオプションの拡充(51%)」などCX業務の効率化を利点として挙げている。それに対して、生成AIに対する最も高い期待は、「顧客理解の向上(54.7%)」であり、「顧客対応などの自動化(41%)」を大きく上回っている。企業は生成AIの活用をきっかけに、顧客の感情を正確に理解し、よりパーソナライズされた体験を提供するためのAI活用にシフトする可能性があると言えそうだ。
 一方で調査結果からは、AI導入にはいくつかの懸念があることも明らかになった。最も一般的な課題は技術を理解するスタッフの不足(44.3%)であり、これはAI導入の大きな障壁となっており、より良いトレーニングおよび採用の必要性を示している。次いで、エラーや不正確さ(27.3%)、セキュリティリスク(21.7%)が主な懸念事項として挙げられており、AIには多くの利点がある一方で、その適切な活用には管理の必要性やさまざまなリスクが存在することを示している。
 また、CX分野においては、「信頼の構築(52.0%)」や「顧客の視点や感情の理解(46.7%)」はAIでは代替不可能とされており、AIがCXの多くの側面を向上させる一方で、特定の人間的要素はAI技術では対応ができない重要なものと捉えられている事実がこの調査結果から判明した。AIが持つ可能性と限界を理解し、適切に活用することが企業の成功につながる。

〔2024/9/5〕オリックス生命、Genesys Cloudの導入・稼働開始

 ジェネシスクラウドサービス(本社:東京都港区、ポール・伊藤・リッチー社長)は、オリックス生命保険(本社:東京都千代田区、片岡一則社長、以下、オリックス生命)のコンタクトセンターにおいてGenesys Cloudの導入・稼働が開始したことを発表した。これにより、オリックス生命は応答性の高いお客さまサポート能力が大幅に向上した。
 オリックス生命は、オリックスグループの一員として、生命保険業界で長年にわたり信頼される保険商品とサービスを提供している。個人向け生命保険、医療保険、がん保険など幅広い商品ラインナップを揃え、顧客のニーズに応じた最適な保険ソリューションを提案している。保険商品の性質上、複雑かつ難易度の高い問い合わせも発生するため、顧客ごとに最適な回答を提供する対人チャネルとしてのコンタクトセンターは、重要な顧客接点となっている。オリックス生命では、これまでオンプレミスのコンタクトセンター・システムをサービス事業者経由で長年利用してきたが、サービス提供の終了に伴い、新たなコンタクトセンター・システムの選定を進めることとなった。クラウド移行を前提に各社のコンタクトセンター基盤を比較した結果、同社が業務効率化のために独自開発したコンタクトセンター・アプリケーションとの連携性、国内での導入実績、新機能の追加などの将来性からGenesys Cloudの採用を決定し、その移行プロジェクトはすべて内製で進めた。
 同社では従来のコンタクトセンター・システムを導入した際の経験者が不在であったため、プロジェクトにはIT部門だけでなく、コンタクトセンターの業務運用を担当するユーザー部門も加わった。また、同社にGenesys Cloud導入経験者が不在であったため、ジェネシスのプロフェッショナルサービスも加わり、6つのアジャイルチームを構成し、同社初のビジネスアジリティを実現するためのフレームワークSAFe(Scaled Agile Framework)を適用して導入を進めた。2023年1月より3月までMVPの開発を実施し、評価を重ねることで、コンタクトセンター業務に対応したシステムを短期間で構築できると判断。この期間では、従来のシステムと同じ操作性と製品レベルのクオリティを備えたクライアント端末向けのソフトフォンを開発することで、Genesysへの移行にかかる教育期間を短縮できるかと操作性の差異に対応できるかという点を確認。2023年4月から9月まで基盤を含む本開発を行い、12月上旬の先行導入までを11カ月という短期間で完了。この期間では、回線工事、ネットワーク機器、電話機、コールフロー品質に関する課題や同社の別プロジェクト進行によるGenesys適用範囲の拡大など、さまざまな状況の変化に見舞われた。それに対して、ジェネシスのプロフェッショナルサービスによるサポートと6つのアジャイルチームが自律的に2週間ごとのイテレーション(反復)の目標設定と実施項目の優先順位を積極的に組み替えることで柔軟に対応。以降、順次全国5拠点での導入を進め、2024年4月に約400席の大型コンタクトセンターのクラウド移行を完了した。
 同プロジェクトでのSAFe導入については、社内SAFe認定トレーナー*3による主要メンバーへの実践的トレーニング、SAFeを参照し使いやすいアジャイルプロジェクト管理ツールの内製開発、そして稼働までのコーチングと外部研修を利用し、ユーザー部門を含めた初のアジャイル開発を実施。それにより、ジェネシスのプロフェッショナルサービスを含めた外部パートナーとのリモートによるアジャイル開発管理とスムーズなコミュニケーションを促進することができた。
 稼働後のシステム運用監視は、コンタクトセンター基盤のユーザー視点の監視を同社のクラウド型統合監視に連携し、システムオペレーターは、アラートをメールとSMS/電話通知で受信し、自社開発のITサービスマネジメントシステムを利用し、高品質なサービスを提供するように努めている。さらに、コンタクトセンター業務としては、外部委託先とのセンター間での連携が可能になったほか、分析機能の強化により、入電数や営業活動の可視化が進み、業務効率の向上が図られている。オリックス生命は今後、さらに高度な機能の活用とデジタル連携を目指すほか、CRMアプリケーションとの連携や通話内容の自動化によるオペレーターの後処理の簡易化を進めていく予定。


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