コンタクトセンター関連ベンダー動向

〔2024/4/11〕鹿島建物、「PKSHA AI ヘルプデスク」を導入

 PKSHA Technology(以下、PKSHA)は、グループ会社であるPKSHA Workplace(本社:東京都文京区、佐藤哲也社長)が、鹿島建物総合管理(本社:東京都中央区、山本和雄社長、以下、鹿島建物)と、「PKSHA AI ヘルプデスク」の運用を開始したことを発表した。2024年4月の経理部での導入により、同社での導入部門は3部門に拡大した。PKSHA Workplaceはチャットボットをはじめとする自然言語処理技術を活用した多様なAI SaaSプロダクトにより、働く人々とソフトウエアが相互に関わり合いながら共に進化していく新たな関係性を実現し、運用性の高いプロダクトを提供することで企業のDX推進を支援する。
 鹿島建物は、ITに関する問合せ先としてサポートセンターを設けるとともに、チャットボットも導入していたが、チャットボットの回答精度や、利用者の問合せ先が一元化されていないこと、管理者のメンテナンス工数が高いことに課題を感じていた。また、問合せ対応の効率化・負担軽減はIT部門に限らず全社的な課題でもあり、今後の対応範囲拡大を見据え、AIによるチューニング機能などを備える、メンテナンスしやすいシステムの導入が急務となっていた。
 この課題を解決するため、回答精度の高いAI対話エンジンやFAQ自動生成、有人連携、問合せ管理といった複数機能がシームレスに連携する「PKSHA AI ヘルプデスク」の導入が決定した。
 2023年11月よりITに関する問合せに「PKSHA AI ヘルプデスク」での対応を開始した。その後、営業支援システムでも導入し、2024年4月からは経理システムでも導入することが決まった。同社は、全国の管理物件に常駐して24時間365日業務にあたっており、時間を選ばず問合せできる「PKSHA AI ヘルプデスク」は、回答を探す時間を削減し、仕事の生産性を上げる効果も期待されている。さらに回答精度の向上、問合せ範囲の拡大、社内PR活動を継続し、全社的に問合せ対応の効率化と負担軽減を目指している。
 PKSHA Workplaceは従業員領域での導入実績及びPKSHAグループが保持する自然言語処理をはじめとする技術力をベースにAIと人が協働するベストケースを創り、企業独自のナレッジマネジメントを加速していく。

〔2024/4/10〕バーチャレクス、「顧客フロント」としての活用可能な生成AIコンタクトセンターサービスを提供開始

 バーチャレクス・コンサルティング(以下、バーチャレクス)は、生成AIを活用した次世代型コンタクトセンターサービスとして、「生成AIコンタクトセンターサービス(AI-BPO)」の提供を開始した。
 バーチャレクスは創業以来、25年にわたり、非対面顧客接点領域(CRM)を中心に、各種コンサルティング、IT/テクノロジー、アウトソーシングのサービスを提供してきた。近年では、少子高齢化による労働力不足を背景に、AI活用によるDX化が急速に進む中、特にコンタクトセンター業界においては、生成AI技術に対する注目が高まっている。
 しかし、生成AIの最大の弱点である回答の精度(誤った回答を行うリスク)から、オペレータの業務支援的な活用が主流であり、顧客フロントとしての活用がさほど進んでいないのが現状だ。
 この現状を打破し、本格的な顧客フロントとしての活用に向けては、回答精度の担保が重要であり、そのためには生成AI側に適切な指示(プロンプト)を提供することが求められる。
 この課題に対し、バーチャレクスは生成AI活用の活用基盤システムを有するKotozna社と提携し、適切なプロンプトを生み出すシステム×運用の提供を行う。
 Kotozna社の生成AI活用基盤は個社、個別プロジェクトごとにプロンプトを書くカスタマイズ性と独自の製法により、適正な質とサイズを持ったプロンプト作成が可能。一方で、バーチャレクスは長年にわたり培ってきた高いコンサルティング能力と運営力を背景に、Kotozna社の仕組みを正しく運用し、顧客フロントとして活用できる生成AIオペレーションの提供が可能。
 本サービスにより、生成AIをオペレータの代わりに、顧客フロントとして活用することで、顧客対応の省人化、コスト削減だけでなく、電話ではなくノンボイスのチャネルで自己解決したいユーザーのCX向上にも貢献する。

〔2024/4/9〕カラクリ、アンファーが「KARAKURI chatbot」で、コールセンターの無人対応比率81%を達成

 カラクリ(本社:東京都中央区、小田志門社長)は、アンファー(本社:東京都千代田区、吉田南音社長)が運営する公式通販の顧客対応チャネルに、高精度AIチャットボット「KARAKURI chatbot」を2020年より導入し、カスタマーサポート業務の無人化対応比率81%を達成したことを発表した。また問い合わせハードルが低いチャットボット導入により、顧客の見えない本音の可視化を実現し、ECサイト利用者の「顧客体験の向上」を実現した。
 14年連続で売上No.1の「スカルプD」の提供をはじめ、世の中に革新的な商品を提供しつづけるアンファーの根幹にあるのは「新しい挑戦」。2020年、基幹システムのリプレイスおよびECサイトリニューアルプロジェクトが発足した際も、アンファーが重要視したのは「新しい顧客体験の創出」であった。そこで、当時はまだ一般的ではなかったチャットボットに着目し、サイレントカスタマー(疑問があるのに問い合わせをせずに離脱する顧客層)の掘り起こしを計画した。数あるAIチャットボットの中でも高精度な回答と導入前後のサポート体制を評価し、KARAKURI chatbotの導入が決定した。
 アンファーが運営する公式通販の問い合わせ対応チャネルとして、AIチャットボット「KARAKURI chatbot」を導入し、24時間365日の自動対応の体制を構築した。またスカルプDという「悩み商材」への問い合わせハードルを下げる役割を持ち、顧客の見えないニーズの可視化・お困りごとの発掘を実現している。
 KARAKURI chatbotは自然言語処理技術を活用しており、より自然な会話での1問1答が可能。アンファーでは24時間365日の自動対応だけでなく、チャットボットに入力された問い合わせ内容からFAQやサイト内の改善も実現している。具体的には、定期ご購入者の多くが利用しており、チャットボットからのお困りごとを抽出し、サイト上の表記に反映した。また、定期購入内容の柔軟性を高めるなど、サービス提供の改善にも活用している。これにより、サイト上の利便性が向上し、2023年9月にはFAQとチャットボットによる無人対応比率は単月で最大81%まで増加した。さらに、コールセンターへの電話問い合わせ数も減少したため、コールセンターの営業時間(「午前9時から午後9時まで」→「午前9時から午後6時まで」)が短縮された。
 チャットボットのメリットの1つとして、問い合わせハードルが低いことが挙げられる。スカルプDや発毛剤というのは、悩み商材ということで少しセンシティブな側面がある。アンファーは電話より問い合わせハードルが低いチャネルを準備することで、「円形脱毛症には効きますか」「高校生でも使えますか」といった顧客のストレートな声や「スプレー 機内持ちこみ」といった入力内容から利用シーンの収集を可能にしている。これにより、サイト上の新たな案内ページの拡充など顧客体験の向上に寄与している。またこれらVOCを商品開発にも活かす予定でおり、アンファー全体で顧客へ新しい価値提供ができる体制を実現している。

〔2024/4/4〕RevComm、AIが自動で改善ポイントをアドバイスする「会話コーチング機能」をリリース

 RevComm(本社:東京都渋谷区、會田武史社長)は、「分析力のMiiTel」から「伴走するMiiTel」への進化に向けた機能強化の第4弾として、1人ひとりの通話実績に基づき、AIが自動で毎週コーチングしてくれる機能をリリースした。
 これまで「MiiTel」では、Talk比率・被り回数・話速といった定量指標を「MiiTel」の管理画面「MiiTel Analytics」にて数値で表示することによって、活動の分析・評価を提示してきた。
 多くの企業においてこれらの定量指標が活用される一方、集計の数値を読み解くことができてはじめて自分の強み、弱み、改善ポイントを理解することができることから、新入社員や業務歴の浅いスタッフにとって、数値を解釈して使いこなすことは難易度が高いという声があった。同時に、スタッフを管理するマネージャーやSVにとっても、1人ひとりの強み、弱み、改善ポイントを、数値を読み解いてから解説しながら説明することに時間や工数をとられてしまうことから、サポートが十分行き届かないといった声もあった。
 今回リリースした「会話コーチング機能」では、前週1週間の活動データをもとに、AIが1人ひとりの強み、弱み、改善ポイント、ネクストアクションを総合的に読み解き、示唆出しを行う。これにより、1人ひとりが自分の強み、弱み、改善ポイント、ネクストアクションをマネージャーやSVの指導や指示を受けることなく自ら確認できるようになり、これまで以上にセルフコーチング効果を高める。

〔2024/4/1〕livepass、NTTドコモのあんしん遠隔サポートサービスにインタラクティブ動画の技術を提供

 livepass(本社:東京都港区、中村旭宏社長)は、NTTドコモのあんしん遠隔サポートサービスの新たなノンボイスのサポートコンテンツに2024年3月25日からパーソナライズド動画技術を提供した。
 NTTドコモが提供するあんしん遠隔サポートにおけるDX推進の中で、従来のQ&Aコンテンツよりもよりわかりやすく、利用しやすい顧客体験を提供するノンボイスのサポートコンテンツとして提供された。
 問い合わせ時間外や電話ができない環境など、従来のサポートを利用できない状況や、顧客が自身でお困りごとを解決したい場合などに、自己解決できる手段を充実させることで、顧客の利便性向上と自己解決率の向上が期待される。
 また、このような自己解決型サポートコンテンツの提供により、顧客は、電話での問い合わせやドコモショップへの来店などに時間を割くことなく、顧客自身でお困りごとを解決できるようになる。
 livepass(リブパス)のパーソナライズド動画は、動画“なのに”、視聴者が触れたり、文字・数字を入力できたりする動画をベースとした最先端「DXソリューション」。視聴者が視聴している動画を触ったり、動画上の空欄に文字・数字を入力したりする「挙動」に応じて、動画自体が”その人専用の内容に”リアルタイムに姿を変えていく、という動画ソリューションとなっている。
 また、独自の特許取得技術により、企業が保有する個人情報をlivepassに受け渡すことなく、動画内に個人情報を反映・表示させ、視聴者1人ひとりにパーソナライズした“あなた専用の動画”として配信することも可能となっている。
 このパーソナライズド動画は「URLをクリックして再生」する形式となっており、1人ひとりの視聴者に個別URLを生成して提供をするため、個別URLごとに=視聴者ごとに視聴状況(どこまで見たか、どこで離脱したか など)や、挙動ログ(ボタン押下、文字・数字入力 など)をトラッキングすることが可能。

〔2024/4/1〕アイティフォー、セブン銀行の債権管理システム本番稼働で督促業務を自動化

 アイティフォーは、セブン銀行において、同社の債権管理システム「CMS V5」が稼働したことを発表した。同システムと連動するSMS送信システム「e-SMS」および自動受架電システム「ロボティックコール」も併せて稼働し、人的リソースを抑え、督促業務の自動化と効率化を図る。
 セブン銀行は、業務DXの推進とリソース配分の最適化による業務効率性の向上を目指している。債権管理業務の負荷軽減のため、システム化を進めることで効率的かつ効果的な督促業務への変革の意向があった。そこでセブン銀行は、同社の債権管理システムの導入を決定。督促振分機能によって最適な督促手段を自動選択することを可能にする。さらに自動架電システム「ロボティックコール」とショートメッセージ送信システム「e-SMS」も組み合わせることで、顧客ごとに最適なアプローチと督促業務自体の自動化を実現する。これらの採用は、同社のシステムが、他行をはじめ金融機関への豊富な導入実績があったことを評価するものだ。
 CMSは、地方銀行で7割以上のシェアを誇る債権管理パッケージシステム。初期延滞督促から中長期延滞管理までを一元管理する。CMSとe-SMS、ロボティックコールを連動させることで、SMS送信や自動架電、督促状出力など複数の督促手段の中から、各債務者に最適なものをCMSが自動で選択する。SMS送信を選択すれば、e-SMSから債務者へメッセージが送信される。一方、自動架電を選択すれば、ロボティックコールがオペレーターに代わって債務者に架電し、手続完了までを実施する。
 システムによる督促を導入することで、社員のスキルレベルに依存することなく安定した品質で督促を行うことができる。また督促手段の自動選択と自動督促ツールにより、1件あたりの対応にかかる時間が短縮され業務が効率化される。特に大きな効果が期待できる初期延滞者に対してこれらのツールを活用することで、オペレーターは難易度の高い中長期の延滞者に対応する時間を確保することが可能になる。さらに、オペレーターから直接電話を受けないことで顧客の心理的負担が軽減される。

〔2024/4/1〕SAS、独立系調査会社の評価においてリアルタイム・インタラクション管理のリーダー企業に選出

 米国 SAS Institute(以下、SAS)は、SAS Customer Intelligence 360が、米調査会社のForrester Researchが発表したアナリスト・レポート「The Forrester Wave Real-Time Interaction Management, Q1 2024」(https://reprints2.forrester.com/#/assets/2/202/RES180527/report)において、リーダーに選出されたことを発表した。
 卓越したカスタマー・エクスペリエンス(CX)の提供を目指すブランドにとって、ハイパー・パーソナライゼーションは重要な機能。リアルタイム・インタラクション管理(RTIM)は、これまでにない速度と精度でリアルタイム・パーソナライゼーションを提供することで、ブランドのCXパフォーマンスを向上させることができる。
 このレポートによると、「SASは、業界全体にエンタープライズRTIMを実装するための最先端のアナリティクス基盤を提供しているだけでなく、今後は、データサイエンスの一般的なパワーユーザーに加え、ナレッジワーカーや顧客対応担当者でも予測AIと生成AIをより簡単に利用できるようになることを約束する」としている。


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