コンタクトセンター関連ベンダー動向

〔2024/3/4〕PKSHA Technology、業界初、アート引越センターが「PKSHA Voicebot」を導入

 PKSHA Technology(本社:東京都文京区、上野山勝也社長、以下、PKSHA)は、グループ会社であるPKSHA Communication(本社:東京都文京区、佐藤哲也社長)が、アート引越センター(本社:大阪府大阪市、寺田政登社長)において、電話対応を効率化するために、深層学習と自然言語処理 (NLP) を活用したAIボイスボット「PKSHA Voicebot」を2024年2月より導入したことを発表した。
 アート引越センターは創業以来、引越をサービス業として発展させてきた引越専業者として、業界でもトップクラスのシェアを誇る。年間多くの利用者がいる中、顧客との最初の接点窓口としてコールセンターを設け、月間数万件の問合せに対応している。
 コールセンターに電話で寄せられる問合せは、新規の問合せや、成約済みの顧客からの引越手続きに関する問合せなど、顧客の利用段階によって多岐にわたることからコールセンターにかかる負担も大きく、顧客への対応品質向上のためにも電話対応業務の効率化が課題となっていた。
 アート引越センターではデジタルツールの積極的な活用により、サービスの品質向上を目指すDX戦略を推進しており、この施策の一環として、電話問合わせ対応工数の削減を目指し、音声対応をAIにより自動化するPKSHA Voicebotの導入が決定された。
 AIボイスボットを導入するにあたり、まずは成約済みの顧客から特に多い問合せ内容の自動化対応を対象とした。一次受付では、AIボイスボットが個人の特定と依頼詳細のヒアリングを行い、問合せ内容を担当部門に自動でメールを送付し、担当部門はその内容を元にお客様対応を行う。10日間にわたり試験的な導入を行ったところ、問合せの30%の対応をAIボイスボットが代替、電話を取ることができない「あふれ呼」を30%削減といった成果を実現することができた。顧客の要望にお待たせすることなく対応でき、お客様対応の品質向上にも繋がると判断されたことから、全国のコールセンターでの本導入
が決定された。

〔2024/2/29〕米国セールスフォース、CRM向け生成AIアシスタント「Einstein Copilot」の正式ベータ版を提供開始

 米国セールスフォース(以下、Salesforce)は、カスタマイズ可能で対話型の新しいCRM向け生成AIアシスタントであるEinstein Copilotの正式ベータ版を提供開始すると発表した。
 有用な回答を生成するための適切な企業データが不足している他のAIアシスタントやCopilotとは異なり、Einstein Copilotにより、Salesforceの顧客は自社で保有する信頼できるデータを活用して回答を生成することが可能となる。これにより、Einstein Copilotは、質問への回答、コンテンツの要約、新しいコンテンツの作成、複雑な会話の解釈、ユーザーに代わりタスクを動的に自動化することができる。これらはすべてSalesforceのNo.1 AI CRMアプリケーションに直接組み込まれた単一で一貫性のあるユーザー体験で実現できる。
 これは、対話型UI、基盤となる大規模言語モデル、信頼できる企業データを組み合わせることで実現され、Salesforceユーザーは生成AIの力を活用し、まったく新しい方法でアプリケーションと対話することができる。

〔2024/2/28〕テリロジーホールディングス、ログイットの株式取得を取得して子会社化

 テリロジーホールディングスは、インフォコム傘下でコンタクトセンター向けソリューションを提供するログイット(本社:東京都豊島区、鈴木禎宏社長)の全株式を取得し子会社化することを決めたことを発表した。
 テリロジーホールディングスグループは、サイバーセキュリティ事業を中核に課題解決型の特徴のある各種ICTサービス事業の提供を推進してきた。米国シリコンバレーやイスラエルから海外先進・先端ソリューションおよびサービスを目利き・ソーシングし、自社開発商品も含めた新技術の組み合わせの妙味を差別化の強みとし、日本およびアジア市場での事業展開を行っている。
 ログイットは CXに特化したソリューション提案・販売を行っているのみならず、高い技術力とデータ解析力による通話録音ソリューションのインテグレーションや受託開発、自社ブランドによる感情解析ソリューションの提供を通じ、高い顧客満足度を獲得し、取引関係の維持継続・強化および業容の拡大を図っている。
 このたびログイットを同社グループに迎えることで、ログイットが創業来20年以上にわたって培ったコールセンターソリューション、およびCXに関する技術力・ノウハウと同社グループの海外先端ソリューションに関する目利き力、IT テクノロジーにおけるグローバルな関係性を活かし、クライアント企業へのサポート能力の更なる強化を可能となる。

〔2024/2/26〕AI Shift、サポータスと販売パートナー契約を締結

 サイバーエージェントの連結子会社であるAI Shift(本社:東京都渋谷区、米山結人社長)は、サポータス( 本社 : 東京都千代田区、永江恭社長)と販売パートナー契約を締結し、生成AIを活用したコールセンターの構築を促進することを発表した。
 AI Shiftでは、カスタマーサポート業務のDXを推進するため、チャット応対を自動化する「AI Messenger Chatbot」や、電話応対を自動化する「AI Messenger Voicebot」(以下、ボイスボット)など、生成AIを活用した業務改善プロダクトを提供している。また、サポータスはAppleの100%子会社であるClaris社が提供するClaris FileMaker(ローコード開発)を使ったソリューションや、AIを活用したハイブリッド型コールセンターサービスの提供を行うソリューションベンダーであり、国内・アジアでは業界最大規模を誇る。この締結により、生成AIを活用したコールセンターの構築を促進し、より多くの企業様の課題解決を実現する。

〔2024/2/23〕富士山の銘水、プロジェクト・モードの「NotePM」の導入でコールセンターでのエスカレーション工数3割減に成功

 プロジェクト・モード(本社:神奈川県川崎市、小澤卓馬社長)は、同社が提供する、マニュアル作成・ナレッジ管理ツール「NotePM」が宅配水業界大手の富士山の銘水(本社:山梨県富士吉田市、粟井英朗社長)の情報共有ツールとして導入された。対応工数や業務ミスの削減、確実な情報周知に貢献している。
 同社ではNotePM導入前、オペレーター80~90人が所属するコールセンター全体に、社内の最新情報が行き届いていないという課題を抱えていた。従来は無料の情報管理ツールを社内システムとして利用していたものの、情報の更新がわかりづらかったり、必要以上の情報がヒットしてスムーズに情報を見つけにくかったりという問題が発生していた。
 また、同部門では1日に平均で5~10件ほどの情報更新があるにもかかわらず、最新の情報を把握しづらかったため、顧客を待たせてしまうよりは上司に聞いた方が良いという判断から、電話対応10件中、5件ほどエスカレーションが発生していた。しかし、従来のツールを利用し始めて4年ほど経ったタイミングで限界を感じ、wikiツールの導入を検討するようになった。
 オペレーター自身で必要な情報を見つけられるようになり、エスカレーション件数もNotePM導入前と比べて3割減少したことで、エスカレーション回答を担当する管理者の工数削減につながった。また、「このページを見た人」機能によってオペレーターが情報を確認したか把握できるため、共有情報の管理がしやすくなるという副次的な効果もあった。
 NotePMは、マニュアルやノウハウを簡単に投稿でき、強力な検索機能で欲しい情報をすぐ見つけられるサービス。マニュアル、手順書、業務ノウハウ、社内FAQ、日報・議事録など、何度も検索するような、ストック型の情報管理に最適。

〔2024/2/22〕ピーディーアール、Genesys Cloudの導入により高品質な顧客エクスペリエンスの提供を実現

 ジェネシスクラウドサービス(本社:東京都港区、ポール・伊藤・リッチー社長)は、ピーディーアール(本社:愛知県名古屋市、仲谷公司社長)のコンタクトセンターにおいてGenesys Cloudの導入・稼働が開始したことを発表した。
 ピーディーアール(以下、P.D.R.)は、歯科材料・歯科用医療機器に特化した輸入・通信販売商社で、日本全国の顧客との取引実績があり、ダイヤモンドバー、マスク、グローブ、紙コップから石膏まで、幅広い歯科材料・歯科用医療機器を「安心・安全」をモットーに顧客のもとへ届けしている。コンタクトセンターは、商品の電話注文に加え、商品に関する問い合わせや、オンラインショップのサポートなど、幅広い顧客対応を行っている。今回のGenesys Cloudへの移行は、コンタクトセンター業務の強化を目的としたものであった。複数のクラウドのコンタクトセンター・ソリューションを比較検討した結果、機能、コスト、導入実績、そして将来性とともに、ジェネシスの担当者による迅速な対応と充実したサポートを評価し、Genesys Cloudの導入を決定した。導入決定から1カ月半という短期間で、システムの構築を完了し、運用を開始している。
 Genesys Cloud導入後は、通話の音質が大幅に改善され、顧客体験が向上するとともに、レポーティング機能が充実したことで、センターのパフォーマンスがより正確に可視化できるようになった。その結果、サービスレベルを維持しながらシフトを平準化するなど、コールセンターの運営効率が大きく向上した。今後は、SMS対応やコールバック機能、スクリプト機能などの利用を開始することで、さらに運営効率の向上を図っていく予定。

〔2024/2/21〕エーアイスクエア、auじぶん銀行のコンタクトセンターに「QuickSummary2.0」を導入

 AIを活用した各種ITサービスとコンサルティングを提供するエーアイスクエア(本社:東京都千代田区、石田正樹社長)は、auじぶん銀行のコンタクトセンターにおいて、生成要約サービス「QuickSummary2.0」が採用されたことを発表した。
 auじぶん銀行のCS/CX戦略では、「品質の追求」「効率化の推進」「従業員満足の向上」の3つの重点テーマを掲げて、コンタクトセンターの改善活動を日々行っている。今回、VOC分析の高度化、後処理時間削減、KCS(Knowledge-Centered Service)の高度化を目的としてQuickSummary2.0が採用された。
 エーアイスクエアは、生成要約サービス「QuickSummary2.0」に加え、音声認識サービス「AI2ASR」も合わせて提供する。クラウドコンタクトセンターソリューション「Amazon Connect」と連携し、リアルタイムに取得した音声データから音声認識~要約を行う。
 AI2ASRは、OpenAI社がオープンソースで提供する音声認識エンジン「Whisper」を独自にカスタムし、同社クラウド環境上で提供している。ストリーミングデータを同時並列処理することでスケーラビリティを確保し、また、「Whisper」の認識精度向上のため、エーアイスクエア独自のAIモデルによる不要な発話の出力制御や、単語辞書による誤認識単語の補正処理を行っている。
 QuickSummary2.0は、エーアイスクエアが独自に開発したAIモデルと ChatGPTによる生成要約を組み合わせたコンタクトセンター向け要約サービスで、目的に応じた要約結果をオペレータが選択して表示できる機能を有している。


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