調査・レポート・その他

〔2023/5/23〕IDC Japan、2022年の国内ソフトウェア市場の実績と予測を発表

 IT専門調査会社IDC Japan(本社:東京都千代田区、村橋俊介社長)は、最新のソフトウェア市場の実績と予測を発表した。
 IDCでは、ソフトウェア(パブリッククラウドサービスを含む)市場を3の大分類市場、20の中分類市場、および78の機能市場に分類し、国内市場を含むグローバルなベンダー売上額および市場予測を「IDC Worldwide Semiannual Software Tracker 」として提供している。ソフトウェア市場のグローバル売上額は2022年に前年比11.1%増の8,244億米ドルとなった。一方、国内ソフトウェア市場は前年比13.9%増の4兆1,548億6,300万円となったと推定している。
 2022年の国内ソフトウェア市場は、2021年から続いた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大によって消費者/ビジネスでのデジタルシフトが急速に進み、国内企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)進展のためのソフトウェア投資を押し上げ、堅調に成長したとIDCではみている。この中でも、ポストCOVID-19のデジタルビジネス拡大に向けた投資や、非財務側面の強化による企業価値の拡大、サイバーセキュリティ/ガバナンス対策のためのソフトウェア投資が2022年後半に増加したことが主な要因とみている。またソフトウェア市場の中でパブリッククラウドサービス売上は2022年に前年比29.1%増の1兆4,058億円に達し、高い成長となった。
 2022年のソフトウェア大分類市場のトレンドは、アプリケーション開発/デプロイメント市場は前年比15.1%増の1兆358億円となり、データドリブン経営推進のためのAI/アナリティクス市場、データ管理市場が成長。アプリケーション市場は、前年比12.7%増の1兆7483億円となり、デジタルCX向上に向けたCRM市場およびコンテンツワークフロー管理市場が成長したと分析している。
 また、システムインフラストラクチャソフトウェア市場は、前年比14.5%増の1兆3708億円となり、サイバーセキュリティ対策/デジタルトラスト向上に向けたセキュリティソフトウェア市場およびクラウド型ITシステム管理市場が成長したとしている。
 このような背景で、IDCでは企業のデジタルレジリエンシー、デジタルCXや企業価値の拡大に向けたソフトウェア投資が今後も継続し、国内ソフトウェア市場は2022年~2027年の年間平均成長率(Compound Annual Growth Rate:CAGR)が6.7%で成長し、2027年には5兆7,459億円に達すると予測している。各ソフトウェア大分類市場の2022年~2027年のCAGRは、アプリケーション開発/デプロイメント市場は11.7%、アプリケーション市場は5.0%、システムインフラストラクチャソフトウェア市場は4.9%とIDCではみている。

〔2023/4/27〕TMJ、「職場・プライベートでのデジタルサービスの活用に関する調査」を公開

 TMJ(本社:東京都新宿区、丸山英毅社長)は、ビジネスパーソン800名を対象に、「職場・プライベートでのデジタルサービス活用に関する調査」を実施した。
 社内システム、ソフトウエアの利用状況と定着化の実態を調べたところ、約8割(82.5%)が社内システムの定着化を図るための施策の実施をしていない、状況を把握をしていないと回答した。また、個人の利用でも、デジタルサービスの定着と普及に向けて、サポートやガイダンスを求める声が多いことも分かった。本調査の結果から、各企業において社内システムが定着化できていない実情が浮き彫りとなり、デジタルアダプションの現状と浸透するために求められていることを発表した。
 会社で社員が利用するシステムやソフトウェアについて、利用促進・定着化を図るための施策を実施しているか聞いたところ、「はい」は17.5%、「いいえ」は28.8%、「知らない・分からない」は53.8%だった。
 また、システムやソフトウェアの利用促進・定着化を図るための施策を実施しているとの回答者に、どのような施策を実施しているか聞いたところ、「社内マニュアル(FAQなど)の制作・共有」(48.6%)が最も多く、「デジタルアダプション(システムやソフトウェアなどのデジタル活用・定着化をめざす用語)関連のサービス活用」(14.3%)が最少だった。
 なお、社内システム、ソフトウェアの利用状況と定着化については、役職が高い人ほど、システムやソフトウェアを活用できている人が増える傾向にあり、約4割強(43.9%)が「社内システムやソフトウェアを利用している」と回答した。
 「よく分からない」が40.6%、「使っていない」が15.5%と続く。また、「よく分からない」と回答している人を役職別の割合で見ると、「一般職員」(77.5%)が多く、次に「課長代理・係長・主任クラス」(15.0%)、「課長クラス」(3.7%)だった。勤務先で利用しているシステムやソフトウェアの活用状況を役職別で見ると、「一般職員」(64.6%)、「課長代理・係長・主任クラス」(66.7%)、「課長クラス」(70.7%)となった。
 さらに約7割(69.1%)の人が「利用している社内システム・ソフトウエアに不満がある」と回答しており、一方、「業務効率や業務環境改善に役立ててみたい人」が約7割強(74.6%)となった。一方、約7割(69.1%)が何かしら不満を持っていることが判明した。そして、不満に関する選択肢の中から「会社で使用するシステム・ソフトウエアの種類が多すぎる」(23.1%)が最も多い回答となった。
 個人で利用しているデジタルサービスの利用状況と定着化では、個人利用で最も多いデジタルサービスとして、「インターネットショッピング」が67.9%でトップだった。年代別でインターネットバンキングは、20代(27.0%)、30代(33.5%)、40代(48.0%)、50代(47.0%)と年配層での利用が多い。音楽・動画配信は、20代(52.0%)、30代(40.5%)、40代(37.5%)、50代(26.0%)と若年層での利用が多い結果だった。
 また、約6割強(61.4%)の人が「今後のデジタルサービスの利用機会が増える」と回答し、約6割強(62.8%)の人が「デジタルサービスが中心になってくる分野などが増える」と回答している。
 今後、一般生活の中で、デジタルでのサービスが中心になってくる分野や場面、シーンなどは増加すると思うか聞いたところ、増加する(62.8%)が最も多く、変わらない(34.4%)、減少する(2.9)という結果になった。
 今後、一般生活の中でデジタルでのサービスが普及、定着するためには、どのようなことが必要だと感じるか聞いたところ、「さまざまなサービスを利用する際のリスクとメリットをわかりやすく教えてくれるサービス」(22.1%)が最も多い回答となった。
 次いで、「さまざまなサービスを利用するための手順や利用に際して必要な情報などがひとまとめに整備されたコンテンツやガイダンス」(19.8%)、「さまざまなサービスを利用したくても利用できない人をサポートするようなサービス」(17.5%)という結果になった。
 この結果から、個人の利用でも、デジタルサービスの定着と普及に向けて、約4割強(41.9%)の人が「サービスを安心安全に利用できるようにサポートやガイダンスの要望がある」ことが分かった。

〔2023/4/25〕NEC、デジタルヒューマン協議会を設立

 NECは、さまざまなシーンでの利活用が進む「デジタルヒューマン」について議論する場として、デジタルヒューマン、小学館集英社プロダクション、セブン銀行など有志企業8社とともにデジタルヒューマン協議会を設立し、本日第1回会合を開催する。
 デジタルヒューマンとは、AIとコンピューターグラフィックスなどを組み合わせた、デジタル空間上の人間に似た存在(AIアバター)のこと。利用シーンとしては、多言語音声に対応しインタラクティブな案内ができるデジタル施設案内、24時間365日稼働するWeb上のデジタルコールセンター、生体認証と組み合わせたデジタルサイネージ、現実空間とメタバースをシームレスに連動し仕事をサポートするデジタルアシスタントなど、幅広い分野での利活用が期待されている。これにより、人間だけでは負担が大きく困難なサービスの実現だけでなく、社会問題となっている労働力不足の解消にも貢献すると考えられている。
 NECはデジタルヒューマンの社会実装の加速には、個社の枠を超えて業界全体で最新情報や知見、課題を共有することが必要であり、また業界の横断的なコミュニケーションは産業発展のきっかけになると考え、このたび本協議会を設立した。

〔2023/3/23〕プロシード、人間味のあるデジタル体験「Humanized Digital Experience」を人とAIで実現するサービスを提供開始

 プロシード(本社:東京都千代田区、根本直樹社長)は、デジタル化社会における人間味のある優れた顧客体験を「Humanized Digital Experience(ヒューマナイズド デジタル エクスペリエンス)」(以下、HDX)というコンセプトとして定義し、その実現を支援するサービスを開始した。
 本コンセプトは電通デジタル(本社:東京都港区、瀧本恒社長)と共同で構想・開発しこの度同社と業務提携を行い、第1弾として次世代型コンタクトセンター組織構築のためのソリューションの提供を開始した。
 企業と生活者との間のコミュニケーションは、コロナ禍によって大きな変革が起こっており、EC決済後の店舗受け取りやオウンドメディア上での従業員とのチャットなど、オンラインとオフラインの融合がまた一段進化した。
 さらにWeb3やメタバースなどにおける新たなコミュニケーションの場の登場や、ChatGPTに代表される対話型・生成型AIの実用化など、あらゆるシーンをデジタルが包み込む世界が目前に迫っている。一方で、現在提供されている各デジタルチャネルにおいては、デジタルツールが場当たり的な繋ぎ合わせになってしまっていたり生活者に対して臨機応変な対応ができておらず、真の顧客課題を解決できていないケースが散見されている。
 このような状況を受け、プロシードは、カスタマージャーニーのあらゆるステップ、シーンがデジタルでカバーされるこれからの“Digital Anywhere”時代に向け人とテクノロジーの融合による人間味ある顧客体験をHDXと定義し、サービスを展開していく。
 生活者とのあらゆる接点となるデジタルチャネルにおいて人が持つ暖かみと臨機応変さを踏まえたデジタル体験を提供し、「コンタクトセンターの効率化&有効活用」、「ECなどデジタル上で完結(購入・決済・手続き)できる顧客の拡大」、「オンラインセールスの加速と営業変革」、「テクノロジーを活用した次世代型店舗での接客」などのアップデートを目指す。

〔2023/3/17〕ジェネシス、「カスタマーエクスペリエンスとこれからの働き方」という新たな調査レポートを発表

 ジェネシスクラウドサービス(本社:東京都港区、ポール・伊藤・リッチー社長)は、MIT Technology Review Insights社との協力のもと、世界12カ国にわたる800人のシニアビジネスリーダーを対象に行った新たな調査レポート「カスタマーエクスペリエンスとこれからの働き方」を発表した。
 コロナ禍において、世の中の多くの組織がカスタマーエクスペリエンスにおけるDXを促進し、クラウド化や在宅勤務など、従業員に安全な環境を整えた上でカスタマーサービスを継続的に提供することに専念してきた。アフターコロナ時代を目前にしている現在、組織がより柔軟な働き方を導入することで従業員のエンゲージメントを低下させないという新たな課題に直面している。今回、ジェネシスはMIT Technology Review Insightsと協力し、CX領域のリーダー企業がいかにその課題に取り組み、新たなツールやテクノロジーの導入によって従業員エクスペリエンスを継続的に提供できるかと理解を深めるべく本調査を実施した。
 調査では、対象者の96%が回答した「CX担当者の新規採用」がCX部門が現在直面している最大の課題であるということが明らかになった。しかし一方で、調査平均40%という高い離職率にも関わらず「CX担当者の高い離職率」を課題としているのはわずか3割と、既存の従業員を定着させるより、新しい従業員を見つけるという課題に関心を持つという矛盾した結果になった。調査では、コロナ前のような大量離職を前提にした組織作りや人材採用から脱却し、組織が柔軟性、学習、そしてキャリアでの成長を軸とした働き方を定着させる転換点に差し掛かってきている事を示唆する結果もでてきており、76%が「CXスタッフの士気やエンゲージメント低下」が課題と回答している。デジタルでのコミュニケーションが増加する中で、CXをブランドの戦略的差別化要因としていくためには、人によるタッチポイントであるコンタクトセンターが企業の顔となり、従業員のモチベーション向上や離職率を最低限に抑える仕組み作りが、今後のCX戦略においては重要になって来るといえそうだ。
 コロナ禍において従業員の安全な環境を整える事に加え、多くの組織がハイブリッド、またはリモートな環境を構築することが新たなメリットをもたらしている。そのメリットについては、回答者の84%が「柔軟性の向上による従業員の定着」と回答し、60%が「従業員のストレス軽減と精神衛生の改善」につながったと回答している。この結果は、毎日の出社より週に数日のテレワークが幸福感の上昇に関連しているというこのほど発表された日本の厚生労働省*1が発表した調査結果と共通していることがわかる。さらに、ジェネシスの日本でのユーザー企業の中でも、在宅勤務を導入し、一つの拠点に依存しない働き方を導入したことによって、普段リーチできなかった人材の採用につながったという声も上がってきている。
 組織がその顧客によりシームレスで、パーソナライズされたカスタマーエクスペリエンスの提供を追求しているなか、CX人材戦略と人材のニーズを再検討している組織が現れている。今後1~2年間価値が高まる可能性があるCXスキルについて伺ったところ、今後の優れたカスタマーエクスペリエンスが顧客の動向の理解から始まることから、回答者の98%が「データ・分析スキル」と回答している。このスキルは今後のデファクトスタンダードのスキルの1つとなるでしょう。それに次いで、「カスタマープロセス・マッピングやカスタマージャーニー最適化の能力」が挙がり、回答者の94%が重要なCXスキルとして位置付けている。この結果は、CXでのキャリアを目指す人材に求められるスキルの進化を表していると同時に、組織が既存の人材にそのスキルを身に付く十分なトレーニングと技術サポートを与える必要性も表していると言えそうだ。

〔2023/3/14〕J.D. パワー、2023年生命保険金請求対応満足度調査結果を発表

 CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関であるJ.D. パワー ジャパン(本社:東京都港区、山本浩二社長、略称:J.D. パワー)は、2023年生命保険金請求対応満足度調査の結果を発表した。
 本調査は、新型コロナウイルス感染症による給付金請求が過去最多を迎える中、直近1年以内における生命保険会社の保険金請求対応に関して調査を実施した。
 総合満足度は、前年調査(2022年3月発表)に比べ-12ポイントとなり、医療給付金に関する請求で大きく低下した。特に、新型コロナウイルス感染時の「みなし入院」に対する入院給付金の支払対象見直し前後となる2022年9月と10月については、さらに-20ポイント以上の低下が見られ、全体の総合満足度を押し下げる要因となった。なお、ファクター別では、「保険金支払」ファクターでの満足度低下が顕著であった。
 医療給付金の請求チャネルにおいて、コールセンター経由での請求が減少し、ホームページチャネルでの請求が増加している。これは給付金請求件数の急増により、コールセンターがつながりにくい中、生命保険会社各社がホームページからの請求を促した結果によるものと推察される。また、ホームページ上で「すべての手続きが完了した」割合は、前年に比べ+9ポイント増加しており、手続き面での改善が見られる。
 一方、利用率の上がったホームページチャネルをはじめ、営業担当者、店舗窓口、コールセンターなど、すべてのチャネルを通して、医療給付金の請求を行った人の総合満足度に大幅な低下が見られた。最も低下した評価項目は「保険金支払までの迅速さ」であり、「保険金支払までの経過報告の適切さ」が続く。また、各社で差はあるが、保険金支払までの期間長期化は本調査でも確認され、生命保険会社へ請求書類を提出してから入金までの期間について「1カ月超」の割合が前年の1%から10%に増加した。さらに、支払予定日から遅れたという回答も、前年の1%から7%に増加が見られ、こういった保険金支払の遅延や不確定さが各社の総合満足度の低下につながったことがうかがえる。 一方で、給付金決定までの所要期間についてコールセンターや営業担当者から説明があった場合は、なかった場合に比べ、総合満足度が+69ポイント高いことも確認された。すなわち、保険金請求対応に
おいて、見通しのつきにくい状況下であっても、顧客への説明や経過報告は、顧客満足度の低下防止に有効であると言える。
 総合満足度ランキングは下記の通り。
第1位:住友生命(717ポイント)
「保険金支払」ファクターで最高評価。
第2位:明治安田生命(713ポイント)
第3位:ソニー生命(712ポイント)
「請求手続」ファクターで最高評価。

〔2023/3/7〕CDO Club Japan、「CDO:最高デジタル責任者の設置状況ならびにDXの実施状況」に関する実態調査を実施

 グローバルでDXに取り組む経営執行職であるCDO(最高デジタル・データ責任者)のコミュニティを運営するCDO Club Japanは、日本国内でのDXの状況を把握するために、CDO Club Japanの会員ならびに一般の一部上場企業を対象に「CDO:最高デジタル責任者の設置状況ならびにDXの実施状況」に関する実態調査を実施した(https://cdoclub.jp/)。
 主な調査結果は、以下のとおり。
1.企業におけるDXの責任者」が明確になっている企業が全体の46%

2.CDO/CIOとして「企業におけるDXの責任者」を設置している企業は、11.5%
 企業におけるDXの責任者としてCDOを任命している企業が全体の約4.5%(Chief Digital Officerが2.7%、Chief Data Officerが1.8%)、CIO(Chief Information Officer)がDXの責任者を兼任している企業が全体の約7%

3.企業におけるDXの責任者」がいる方が外向きの価値創造に注力される傾向にある

4.企業におけるDXの責任者」がいる企業の方が組織的連携やガバナンスが整備される傾向にある

5.企業におけるDXの責任者」がいる企業の中でも、特にCDO(最高デジタル責任者)がいる企業の方がDXに対する活動成果が高まる傾向にある


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