調査・レポート・その他
〔2026/5/29〕矢野経済研究所、コールセンターサービス事業者が提供するAIサービス市場の調査を実施(2026年)
矢野経済研究所(本社:東京都中野区、水越孝社長)は、国内のコールセンターサービス事業者のAIサービスについて調査を実施し、市場規模および市場動向に関して明らかにした。
コールセンターサービス事業者が提供するAIサービスの市場は、コロナ禍の発生時に、感染防止を目的にオペレーターの稼働人数を減らす必要があったため、オペレーター業務の自動化ニーズが高まり、市場は大きく成長した。 2023年度は、コロナ禍における行動制限などは緩和されたものの、オペレーター人材が不足した状態であったため、オペレーター業務の自動化ニーズは引き続き拡大した。またテレワークが定着したことで、顧客からの接点が多様化し、コールセンターにおいてもWeb、ソーシャルメディアなどの非接触チャネルにて顧客と接するケースが増加したため、それらのチャネルと親和性の高いAIサービスに対するニーズが拡大した。2024年度は、生成AIの急速な普及により、コールセンター業務においてもAIの活用による業務効率化を求める企業が増加し、コールセンター事業者が提供するAIサービスの利用が拡大した。そのため、2024年度のコールセンターサービス事業者が提供するAIサービス国内市場規模(事業者売上高ベース)は、前年度比150.0%の90億円へと拡大した。
一般企業のコールセンター部門の勤務者に対してアンケートを実施したところ、「生成AI活用サービス」の導入状況は全体として「導入している」が19.0%、「導入していないが、導入の予定はある」が30.0%であった。
コールセンターにおけるメイン業務別に見た場合には、「導入している」は「受注センター」が若干高く35.3%であった。「導入していないが、導入の予定はある」については「ヘルプデスク」「問い合わせ対応」「営業アウトバウンド」が33%~34%台と高かった。一方「リサーチアウトバウンド」は6件中5件が「導入しておらず、導入の予定もない」と関心が低いことがうかがえる。
またコールセンターの総席数別で見ると、総席数「100席以上」と比較的規模が大きい方が「導入している」の割合が若干高かった。一方「99席以下」の中~小規模では半数以上が「導入しておらず、導入の予定もない」と回答した。
2025年度以降については、AIがさらに進化し、対話内容の自動要約・記録などといったオペレーター業務の負荷を軽減するだけではなく、感情分析により満足度をリアルタイムで把握しながら顧客に対応するなど、AIの対応範囲がサービス品質の向上にも拡がってきているため、今後AIサービスはコールセンター業務においてさらに活用が進むと予測する。
また今後は、現在生成AIをコールセンターのフロント業務において活用する際に問題となっているハルシネーションのリスクを管理する手法が確立されてくれば、AIサービスの導入はさらに増加していくことになると考える。
以上のことから、コールセンターサービス事業者が提供するAIサービス国内市場規模(事業者売上高ベース)は、2023年度から2029年度までの年平均成長率(CAGR)が31.7%で推移し、2029年度の同市場規模は313億円に達すると予測する。
〔2026/5/21〕Verbex、国内コールセンター業界における音声AI市場の独自試算を発表
音声対話AIプラットフォームを開発・提供するVerbex(本社:東京都渋谷区、森下将憲社長)は、国内コールセンター業界における音声AI市場の独自試算を発表した。
慢性的な人手不足や、ピーク時の呼量増加による応答率低下が深刻な課題となるコールセンター業界において、同社は今後5年間でコールセンター音声AI対応領域(約2.1兆円)のうち、約25%にあたる約5,250億円規模が音声AIによる業務に代替されると予測している。
すべての業務を一律にAI化するのではなく、業務の「定型性」や「求められる感情的配慮」に応じて、AIと人が分業する構図が今後のスタンダードとなる。同社では、コールセンター業務における音声AIの適性を以下の3つのフェーズに分類している。
1.【早期導入フェーズ】定型性が高く、ゴールが明確な「AI主導」の業務
会話のゴールが比較的明確で、「顧客が何を求めているか」を大きく分類できる業務は、音声AIがもっとも価値を発揮しやすい領域。具体的には、一次受付や要件ヒアリング、担当窓口への振り分け、FAQ対応(営業時間案内・配送状況確認・請求金額確認など)、予約変更・キャンセル受付、簡易な解約問い合わせの受付などが該当する。
特にEC・通販の受注対応は、ピーク時のコール集中による応答品質の低下や機会損失が大きく、AI代替による経済的効果が出やすい業務として注目されている。
2.【段階的拡大フェーズ】リスク管理を伴う「AIと人のハイブリッド」
業務完全自動化を急ぐのではなく、段階的に範囲を広げるべき業務群。本人確認を伴う手続き、解約関連のクロージング、特例処理や規定外対応、高額商材の最終受注などがこれに当たる。
これらの領域では、「一次受付や必要情報の収集まではAIが行い、例外発生時は即座にオペレーターへ転送する」という、人とAIのハイブリッド設計が現実的。特に大企業の大規模IVR(音声自動応答)は、メニュー仕様の複雑さや既存システムとの連携要件から、段階的なリプレイスが必要となるケースが多いのが特徴。
3.【人主導フェーズ】感情・判断・責任が問われる「人が担うべき」業務
利用者が「正しい情報」だけでなく「感情を受け止めてもらうこと」を求める場面では、引き続き人の役割が不可欠であり、完全なAI代替が難しい領域。具体的には、クレーム対応や感情的な相談、重要な交渉や説明責任を伴う案件、例外処理が極端に多い問い合わせなどが該当する。コールセンター業務全体を一気に置き換えるのではなく、AIが入口を担い、人がこうした高付加価値対応に集中できる体制を作ることが、もっとも現実的な進化シナリオとなる。
〔2026/5/7〕HDI-Japan主催「HDI格付けベンチマーク」2026年【クレジットカード業界】の格付け結果を発表
サポートサービスにおける世界最大のメンバーシップ団体HDIの日本拠点HDI-Japan(運営:シンクサービス、本社:神奈川県川崎市、山下辰巳社長)は、同社が主催する「Webサポート/問合せ窓口格付け」の2026年【クレジットカード業界】の調査結果を発表した。
クレジットカード業界 Webサポート格付け結果(調査対象:下記10社)
・三つ星:アメリカン・エキスプレス・インターナショナル・インコーポレイテッド(アメリカン・エキスプレス・カード)、イオンフィナンシャルサービス(イオンカード)、ジェーシービー(JCBカード)、三井住友カード(三井住友カード)、三井住友トラストクラブ(ダイナースクラブカード)、三菱UFJニコス(三菱UFJカード)、楽天カード(楽天カード)
・二つ星:クレディセゾン(セゾンカード)、トヨタファイナンス(TS CUBIC CARD)、ユーシーカード(UCカード)
・一つ星:該当なし
・星なし:該当なし
クレジットカード業界 問合せ窓口格付け結果(調査対象:下記10社)
・三つ星:アメリカン・エキスプレス・インターナショナル・インコーポレイテッド(アメリカン・エキスプレス・カード)、イオンフィナンシャルサービス(イオンカード)、三井住友カード(三井住友カード)、三井住友トラストクラブ(ダイナースクラブカード)、三菱UFJニコス(三菱UFJカード)、楽天カード(楽天カード)
・二つ星:クレディセゾン(セゾンカード)、ジェーシービー(JCBカード)、トヨタファイナンス(TS CUBIC CARD)、ユーシーカード(UCカード)
Webサポートは、三つ星7社、二つ星3社という結果で、一つ星、星なしは該当がなかった。クレジットカード業界は2025年全業界平均と比べて「センターとの連携度」以外は高い評価。
Webサポートで高評価のところは、シンプルで直感的に利用でき、目的の情報へスムーズにたどり着くことができる。各カードの特長やメリットを比較しながら検討でき、セルフヘルプ機能も豊富で効率的に疑問を解消しやすい。カードの活用情報やセキュリティに関する注意喚起も充実しており安心して申込みできる。一方低評価のところは、カードごとの違いがわかりづらかったり、問合せ先が気づきにくい場所にあったりと解決に時間がかかることがある。
問合せ対応は、三つ星6社、二つ星4社という結果で、一つ星、星なしは該当がなかった。クレジットカード業界は2025年全業界平均と比べて、特に「平均応答速度」「放棄率」が低評価だが、その他の項目は同等もしくは上回る結果となった。
クオリティで高評価のところは、顧客のニーズを素早く正確に捉え、積極的にサポートしている。顧客の言葉を用いた説明や、先を見据えた情報提供など柔軟性が高く、常に一緒になって進めている。明るく前向きな姿勢を示し、配慮の行き届いた対応で信頼を得られている。一方低評価のところは、担当者により一問一答の形式的な対応にとどまり、顧客の感情の変化や真意を充分にくみ取れておらず、期待に応えるまでのサポートには至っていない。
パフォーマンスで高評価のところは、速やかに担当者につながりレスポンスも早い。質問には的確に回答し的を射た説明で、短い時間で充分な情報を提供している。ニーズや質問の背景に注目した対応なので、顧客にとって有益なアドバイスとなっており満足度の高い顧客体験を提供している。一方低評価のところは、自動音声の階層が深くわかりにくいうえ、担当者につながるまで長く待たされるので、途中で諦めたくなることがある。
〔2026/4/20〕トゥモロー・ネット、企業におけるAIインフラの活用状況を調査
トゥモロー・ネット(本社:東京都品川区、李昌珍社長)は、2026年2月に実施した「2026年 企業のAIインフラ導入・運用実態調査」の結果を発表した。本調査では、社内AIインフラの導入・運用に関与するIT部門の担当者および戦略決定に関わる部門の責任者である会社員の方(1,030名)を対象に、日本企業においてAIがPoCからビジネス収益化フェーズへと移行する中でボトルネックとなっているインフラ課題を浮き彫りにすることを目的として、AIインフラの利用状況、導入・運用における課題と今後の展望についてアンケートを行った。
AI活用の拡大を背景に、企業のAIインフラ投資は増加する見込み。今後1年間のAIインフラ投資について、「大幅に増加する」、「やや増加する」と回答した企業は70.9%に達し、約7割の企業が投資拡大を見込んでいることがわかった。この結果から、AIインフラは単なるIT基盤ではなく、企業のAI活用戦略を支える重要な経営投資として位置づけられつつあることがうかがえる。実際に、AIを活用したシステムについて、「社外向けの製品・サービスとして明確に想定している」と回答した企業は60.0%に達した。また、「将来的に検討の可能性がある」と回答した企業も31.0%に上り、9割以上の企業がAIを社内の業務効率化にとどまらず、製品・サービスとして社外へ提供する可能性を視野に入れていることがわかった。こうした動きから、AIインフラへの継続的な投資が企業競争力の重要な要素になりつつあると考えられる。
一方で、企業のAIインフラ活用は発展途上、運用・管理を含めた包括的な設計が課題。AI活用の拡大に伴い、企業のAIインフラ整備は進みつつある一方で、その運用体制や管理手法は依然として発展途上にある実態が明らかになった。
AIインフラの導入・運用における課題として最も多く挙げられたのは「人材面」で、25.9%であった。続いて、「コスト面」(18.9%)、「技術面」(18.5%)、「セキュリティ面」(16.2%)と続き、課題は特定の領域に限らず多層的であることがわかった。また、本調査では、情報システム部門と経営企画・DX推進などの戦略部門の回答傾向に大きな差は見られず、AIインフラに関する課題認識は部門を越えて共通していることが判明した。
また運用面では、AIインフラのリソース効率について「満足していない」「どちらともいえない」と回答した企業が53.0%に達しており、高性能リソースを十分に活用しきれていないことがわかる。さらに、GPUなどのAIアクセラレーターのリソース状況を「部分的にしか把握できていない(19.7%)」、または「ほとんど把握できていない(7.1%)」と、正確に把握・管理できていない企業が26.8%存在しており、リソース管理の高度化が今後の重要課題と考えられる。
加えて、AIワークロードの運用基盤として注目されるKubernetesなどのコンテナオーケストレーションツールについては、「本番環境で活用し使いこなせている」と回答した企業は16.6%にとどまった。「PoC/検証段階にある」(40.8%)、「導入したが運用負荷が高く使いこなせていない」(16.2%)といった回答も多く、AIインフラを安定的に運用するための技術・体制整備には依然として課題が残る状況が浮き彫りとなった。
AIインフラの高性能化に伴い、物理的なインフラ環境に対する課題も顕在化している。データセンターやサーバルームの熱対策については、「深刻な課題となっている」「将来的な懸念がある」と回答した企業の合計が58.3%に達し、約6割の企業が発熱対策を課題として認識していることがわかった。
こうした背景から、液体冷却技術への関心も高まっている。液体冷却技術の導入状況について、「導入を決定・実行している」(13.9%)、「本格的に検討中」(38.1%)と、半数以上の企業が導入、または導入を検討していることが明らかになった。
AI処理に伴う電力消費と発熱の増大は、今後のAIインフラ運用における重要な課題であり、液体冷却をはじめとする次世代冷却技術の導入が、持続可能なAI基盤構築の鍵になると考えられる。
〔2026/4/2〕HDI-Japan主催「HDI格付けベンチマーク」2026年【ネットワークカメラ業界】の格付け結果を発表
サポートサービスにおける世界最大のメンバーシップ団体HDIの日本拠点HDI-Japan(運営:シンクサービス、本社:神奈川県川崎市、山下辰巳社長)は、同社が主催する「Webサポート/問合せ窓口格付け」の2026年【ネットワークカメラ業界】の調査結果を発表した。
ネットワークカメラ業界 Webサポート格付け結果(調査対象:下記6社)
・三つ星:ティーピーリンクジャパン
・二つ星:アンカー・ジャパン、SWITCHBOT、塚本無線、DXアンテナ、パナソニック
・一つ星:該当なし
・星なし:該当なし
ネットワークカメラ業界 問合せ窓口格付け結果(調査対象:下記6社)
・三つ星:該当なし
・二つ星:アンカー・ジャパン、SWITCHBOT、DXアンテナ、ティーピーリンクジャパン、パナソニック
・一つ星:塚本無線
・星なし:該当なし
Webサポートは、三つ星1社、二つ星5社という結果で、一つ星、星なしは該当がなかった。ネットワークカメラ業界は2025年全業界平均と比べて「役立度/解決度」「安心して利用できる」は高評価ですが他の項目は下回る結果となった。
Webサポートで高評価のところは、製品情報が整理されているので見つけやすい。画像や動画、製品ごとのマニュアルなど、セルフサービスも充実しており、顧客は自分に合った解決方法を選ぶことができる。さらに製品ごとの機能や違いも視覚的に確認でき、検討に役立つ。一方低評価のところは、一度に多くの情報が表示されるので目的の内容にたどり着きにくい。またFAQがあっても、カテゴリから探す必要があり情報を得るのに手間がかかる。
問合せ対応は、二つ星5社、一つ星1社という結果で、三つ星、星なしは該当がなかった。ネットワークカメラ業界は2025年全業界平均と比べて、すべての評価項目を下回る結果となった。
クオリティで高評価のところは、担当者の知識が豊富で自信がありプロらしい。説明が分かりやすく、必要な情報を整理して提供し回答が迅速。また補足や利用上の注意点など、積極的な情報提供もあり、前向きな姿勢で支援している。一方低評価のところは、共感や配慮が少なく、説明が一方的になることがある。問合せの背景や質問の意図に焦点を当てず製品中心の説明となっているので、顧客の利用目的に合わせたサポートには至っていない。
パフォーマンスで高評価のところは、チャネル問わず担当者につながりやすく、レスポンスも早いので、顧客は必要な情報を得られやすい。ニーズに合わせた的確な説明やアドバイスもあり、顧客は短い時間で解決できる。一方低評価のところは、どのチャネルもつながりにくくレスポンスも遅く、情報が得られにくい。顧客固有の質問には回答に時間がかかり、充分な情報を提供できておらず、対応範囲が限定的で顧客の満足度は低い傾向にある。
〔2026/3/30〕Foonz、「企業がAIに任せたい業務・任せたくない業務の境界線」に関する調査結果を発表
Foonz(本社:神奈川県横浜市西区、星野純一社長)は、従業員100名以上の企業に所属し、CS・コールセンター運営・DX推進・情報システム・事業部門の問い合わせ対応に関与する担当者・責任者を対象に、「企業がAIに任せたい業務・任せたくない業務の境界線」に関する調査を実施した。
近年、顧客対応の効率化や人手不足解消を目的として、音声AIやAIエージェントなどの自動応答システムを導入する企業が増えている。しかし、「すべての問い合わせ業務をAIに任せてよいのか」と頭を悩ませる現場の担当者も多いのではないだろうか。では、企業はどこまでの領域をAIに任せ、どのような業務を「人が直接対応すべき」と判断しているのだろうか。また、顧客満足度を下げずにAI運用を成功させるための理想的な役割分担や、有人対応へ切り替える条件はどこにあるのだろうか。
「貴社では、AIを用いた問い合わせ対応(例:音声、AIエージェントなど)を導入しているか」と尋ねたところ、以下のような回答結果になった。
『すでに導入している(44.1%)』、『検討している(50.1%)』、『過去に検討し延期・見送った(5.8%)』。約半数が「検討中」であることから、現在は導入に向けた情報収集やシステム選定といった動きが進んでいると推察される。
では、有人対応についてはどのように感じているのだろうか。「問い合わせ対応において、有人対応に限界を感じているか」と尋ねたところ、約9割が『強く感じる(36.8%)』『やや感じる(55.4%)』と回答した。大多数が有人対応に限界を感じている現状が浮き彫りとなった。『あまり感じない』『全く感じない』と回答した方は1割未満にとどまっており、人の手だけに頼るこれまでのやり方は限界を迎えていることがうかがえる。
そのような中、企業はAIにどのような役割や解決策を求めているだろか。「AI問い合わせ対応の導入で期待する効果」について尋ねたところ、『一次対応の削減(38.6%)』と回答した方が最も多く、『問い合わせの取りこぼし防止(37.0%)』『オペレーターの負荷軽減(36.8%)』となった。上位となった回答から、「現場の負担軽減」と「業務効率化」を急務と考えていることがわかる。特に、「一次対応の削減」や「オペレーターの負荷軽減」に期待が集まる背景には、初期段階の対応に膨大な時間と人手が割かれている実態があると考えられる。「取りこぼし防止」や「品質の平準化」と回答した方も多く、対応漏れによる機会損失や顧客満足度の低下を防ぎたいというニーズがあることも推察できる。
では、実際の業務プロセスの中で、どの部分をAIに任せたいと考えているのだろうか。「AIに任せたい問い合わせ対応の業務」について尋ねたところ、『一次受付・要件整理(38.6%)』と回答した方が最も多く、『よくある質問への回答(36.4%)』『担当部署への振り分け(33.9%)』となった。上位3項目に共通しているのは、顧客との「接点(入り口)」となる定型的な業務であるという点。顧客の用件を正しく聞き取って適切な部署へつなぐ業務や、マニュアル化しやすいよくある質問への回答は、数に追われがちで担当者の負担になりやすい領域だといえる。こうした「初期対応」のフェーズをAIに任せ、人はより複雑で個別性の高いサポートに集中したいという意図がうかがえる。
一方で、「これだけは人の手で対応すべきだ」と考えているのはどの部分なのだろうか。「AIには任せにくく人が対応すべきだと思う問い合わせ対応の業務」について尋ねたところ、『重大なトラブル・障害の報告(33.0%)』と回答した方が最も多く、『クレーム(29.7%)』『個人情報・機微情報の取り扱い(27.2%)』となった。上位になった『重大なトラブル・障害の報告』や『クレーム』は、初期対応の誤りが大きな信用問題に発展するリスクがあるため、AIに任せるのではなく人が対応すべきだと思う方が多いと考えられる。また、『個人情報・機微情報の取り扱い』も上位に入っており、AIのセキュリティリスクや情報漏洩に対する懸念があることがうかがえる。
こうした人とAIの役割分担を踏まえた上で、実際の運用の中では、どのような状況下でAIから有人対応へ切り替えるべきだと考えているのだろうか。「AIから有人対応へ切り替えるべきだと思う条件」について尋ねたところ、『強い怒り・不満の検知(38.2%)』と回答した方が最も多く、『緊急性が高い案件(36.2%)』『ユーザーからの有人対応の希望(30.6%)』となった。有人対応に切り替えるべき条件として、AIには難しい「感情のケア」や「臨機応変な判断」が求められる『強い怒り・不満の検知』や『緊急性が高い案件』が上位に挙がった。また、『ユーザーからの有人対応の希望』も見られ、AIを万能視せず、あくまで初期対応のツールとして位置付けていることがわかる。
では、AIによる問い合わせ対応でも許容できる条件はどのようなものだろうか。「AIによる問い合わせ対応でも許容できる条件」について尋ねたところ、『待ち時間のない迅速な対応(34.4%)』と回答した方が最も多く、『対応ログ・履歴の保存と確認(31.9%)』『誤認識時の容易な修正や訂正(28.2%)』となった。『待ち時間のない迅速な対応』が最も多く、有人窓口特有の「待たされるストレス」がないという利便性が評価されているようだ。また、『対応ログ・履歴の保存と確認』『誤認識時の容易な修正や訂正』が上位に挙がったことから、AIが対応してもミスが少なく、任せても懸念が少ないものなら許容できると考えていることがうかがえる。
では、AIによる問い合わせ対応を実際に運用していく上で、現場の担当者が抱く不安とは何なのだろうか。「AI問い合わせ対応を導入・運用する上で、不安な点」について尋ねたところ、『クレームの増加(37.4%)』と回答した方が最も多く、『セキュリティリスク(29.7%)』『回答精度(28.0%)』となった。最も多かったのは『クレームの増加』に対する不安であった。これは3番目に多かった『回答精度』とも密接に関わっており、「AIの返答でお客様を怒らせてしまうのではないか」という現場のリアルな不安が読み取れる。また、『セキュリティリスク』への不安も上位に入っており、情報漏洩などの取り返しのつかない事態への警戒もうかがえる。
では、そのような不安を解消し、円滑な運用を実現するためにはどのような体制が重要だと思うのだろうか。「AI問い合わせ対応の運用で重要だと思う体制」について尋ねたところ、『FAQ・ナレッジの整備(28.0%)』と回答した方が最も多く、『AIの継続的な学習・改善(27.3%)』『AIに任せる範囲の事前決定(25.9%)』となった。「FAQの整備」や「AIの継続的な学習・改善」が上位に挙がったことから、AIを「導入して終わり」のツールではなく、育成していくシステムと捉えていることがうかがえる。また、「任せる範囲の事前決定」と回答した方も多く、AIを問い合わせ対応でうまく活用するためには、AIを生かせる環境の設定が重要であることが示された。
最後に、「AI問い合わせ対応の意思決定において、最終的に“判断の重心”はどこに置かれるべきだと思うか」と尋ねたところ、『費用対効果(ROI)(31.6%)』と回答した方が最も多く、『運用体制の安定性(28.9%)』『顧客体験の維持・向上(28.2%)』『従業員の負荷軽減・満足度向上(28.2%)』となった。『費用対効果(ROI)』が最多になり、ビジネスツールとして導入コストに見合う成果が最優先されるようだ。一方、『運用体制の安定性』や『顧客体験の維持・向上』も上位に挙がり、単なるコスト削減だけでは不十分であることがわかった。さらに、『従業員の負荷軽減・満足度向上』も挙がっており、AI問い合わせ対応はコスト、現場の安定、そして顧客と従業員双方の満足度という「全体のバランス」で判断されるようだ。
〔2026/3/25〕フライル、「AIコンタクトセンター調査2026」を公開
コンタクトセンター向けVOC分析・応対品質改善サービス「Flyle」を開発・提供するフライル(本社:東京都港区、財部優一社長)は、2026年2月、コンタクトセンター現場リーダー~経営層422名に対して実施したアンケート調査「AIコンタクトセンター調査2026」のレポート(全57ページ)を公開した。調査レポートのダウンロードは(無料):https://biz.flyle.io/resources/contact-center-ai-survey-2026
企業における多様なAI活用領域の中でも、コンタクトセンターではAIの導入・活用が進んでいる。実際に本調査の対象者でも、約9割が「本格導入」または「一部導入・PoC」段階に入っており、来期の投資意向でも「増額」または「現状維持」との回答が約86%に上る。
コンタクトセンターは「顧客の声」が集中する、企業にとって重要な情報のハブ。問い合わせ・クレーム・要望・解約理由など、顧客が「事業改善に寄与する本音を語る」タッチポイントでもある。また、コンタクトセンターでの応対品質は、顧客満足度やNPS(顧客推奨度)にも影響する。
AIを活用することで、日々コンタクトセンターに発生する膨大な問い合わせを自動分析し、リスク検知・事業改善インサイトの抽出や、顧客応対における応答率・応対品質向上へと繋げることが可能。こうした背景から、顧客理解と事業改善の起点となりうる戦略拠点として、AI活用の重要性はますます高まっている。
AI活用が当たり前になった今、問われているのは「導入したかどうか」ではなく「成果につながっているかどうか」だ。本調査では、AI導入で「期待通り」または「期待以上」の効果を実感しているとの回答は65%にとどまり、約3社に1社は投資に見合う成果を実感できていない。
成功企業と停滞企業を分けた要因はどこにあるのか。導入時にどんな壁に直面し、運用後にどんな誤算が生じたのか。本調査では、コンタクトセンター現場リーダー~経営層422名への調査を通じ、これらの問いに多角的に迫った。