調査・レポート・その他
〔2026/7/16〕M&A Do、譲渡企業の着手金・中間金・成功報酬0円の「コールセンターM&A総合センター」を開設
M&A Do(本社:東京都港区、濱田啓揮社長)は、コールセンター領域で会社譲渡や事業承継を検討する経営者に向けたM&A・事業承継の相談窓口「コールセンターM&A総合センター」を開設した。
対象は、コールセンター・BPO・カスタマーサポート会社のM&A、売却、事業承継を秘密保持で支援。コールセンターM&A総合センターでは、譲渡企業から、相談料・着手金・中間金・月額報酬・成功報酬は不要。
コールセンター領域では、経営者の高齢化、後継者不在、人材採用難、原材料費や人件費の上昇、設備投資負担、顧客・取引先との関係維持など、事業承継を考える際の論点が複雑化している。
会社の価値は決算書だけでは判断できない。顧客基盤、現場運営、従業員、許認可、設備、ブランド、ノウハウ、地域での信用まで、買い手が確認しやすい形に整理する必要がある。
コールセンターM&A総合センターは、譲渡企業の費用負担をなくし、社名・所在地などを伏せた初期相談から、コールセンター領域の事業特性を踏まえて譲渡可能性や進め方を確認できる相談窓口として開設した。
〔2026/7/15〕企業情報化協会、「コンタクトセンターDX推進ガイドライン2026年度版」を公開
公益社団法人企業情報化協会(IT協会)は、このたび、「コンタクトセンターDX推進ガイドライン2026年度版」(以下、CCDXガイドライン)を公開(URL:https://jiit.or.jp/lp/cc/ccdx/)した。
AI時代における人の価値を再定義し、コンタクトセンターを「顧客価値創造の戦略拠点」へ転換することを目指した本ガイドラインは、経営層から現場担当者までがDX推進の共通言語として活用できる内容となっている。
本ガイドラインは、コンタクトセンター領域を専門とするFOXeey Consulting(本社:東京都千代田区、根本直樹社長)が主幹を務め、コンタクトセンター運営企業や有識者などで構成する「CCDX推進ガイドライン策定委員会」の協力のもと策定した。
少子高齢化による人材不足や生成AIの急速な進化を背景に、コンタクトセンターには従来型の運営から脱却し、顧客価値を創造する戦略拠点への変革が求められている。
本ガイドラインは、経営層から現場担当者までがDX推進の共通言語として活用できる「羅針盤」として策定した。12の診断軸による成熟度評価することで、ロードマップ設計、KPI設定、業界・規模・業務タイプ別の特性などを体系的に整理し、実践的な視点からDX推進を支援することを目的に発行する。
本ガイドラインは、経営層、コンタクトセンター責任者、DX推進担当者など、コンタクトセンターDXに関わるすべての方を対象としている。
・DX推進の方向性や優先課題を整理できる
・自社のDX成熟度を評価するための視点を得られる
・DX推進ロードマップ策定の考え方を学べる
・DX推進の成果を測定するためのKPI設計の考え方を理解できる
・AI時代における人と組織のあり方を理解できる
・業界や規模に応じた推進のポイントを把握できる
CCDXガイドラインでは、顧客・従業員・経営・社会の4つの視点から構成した12の診断軸をもとに、DX成熟度の評価やロードマップ、成果を測るKPIの考え方などを体系的に整理している。また、業界や企業規模、コンタクトセンターの役割に応じた推進のポイントもまとめており、自社の現状把握からDX推進まで幅広く活用できる。
〔2026/7/13〕企業情報化協会、2026年度(第27期)カスタマーサポート表彰制度24件(24社)の受賞が決定
公益社団法人企業情報化協会(IT協会)は、、「2026年度(第27期)カスタマーサポート表彰制度」において、カスタマーサポート表彰制度審査委員会(委員長:西尾 久美子 近畿大学 経営学部 教授)による厳正な審査の結果、最優秀賞2件、優秀賞4件、特別賞8件、奨励賞10件、合計24件(24社)の受賞を発表した。
受賞企業決定に伴い、来る2026年9月10日・11日に開催する「2026年度 第29回 カスタマーサポートシンポジウム」(https://jiit.or.jp/lp/cc/cs_symposium/)にて受賞各社による記念講演、ならびに表彰式典を行う。
■2026年度 第27期 カスタマーサポート表彰制度 受賞企業(詳細:https://jiit.or.jp/awards/cs/)
◆最優秀賞
・シスメックス
・ミスミグループ本社
◆優秀賞
・Uber Japan
・NTT東日本サービス
・ネクセラファーマ/ネクセラファーマジャパン
・WOWOWコミュニケーションズ
◆特別賞
・(デジタル活用)NTTドコモ
・(マネジメント強化)NTT東日本サービス
・(デジタル活用)オーティファイ
・(ES向上)Kirala
・(デジタル活用)トランスコスモス
・(ES・CS向上)ネスレ日本
・(マネジメント強化)みずほ証券
・(マネジメント強化)明治安田生命保険
◆奨励賞
・NTT東日本サービス
・SOMPOダイレクト損害保険
・パーソルコミュニケーションサービス
・PR TIMES
・富士通/パーソルコミュニケーションサービス
・USEN NETWORKS
・ユニオンゲートグループ
・ユニリタ
・横河レンタ・リース
・ヨシダ
〔2026/7/2〕HDI-Japan主催「HDI格付けベンチマーク」2026年【銀行業界】の格付け結果を発表
サポートサービスにおける世界最大のメンバーシップ団体HDIの日本拠点HDI-Japan(運営:シンクサービス、本社:神奈川県川崎市、山下辰巳社長)は、同社が主催する「Webサポート/問合せ窓口格付け」の2026年【銀行業界】の調査結果を発表した。
銀行業界 Webサポート格付け結果(調査対象:下記12社)
・三つ星:auじぶん銀行、SBI新生銀行、住信SBIネット銀行、セブン銀行、ソニー銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行、りそな銀行
・二つ星:イオン銀行、ゆうちょ銀行、楽天銀行
・一つ星:該当なし
・星なし:該当なし
銀行業界 問合せ窓口格付け結果(調査対象:下記12社)
・三つ星:auじぶん銀行、SBI新生銀行、住信SBIネット銀行、セブン銀行、ソニー銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行
・二つ星:イオン銀行、ゆうちょ銀行、りそな銀行
・一つ星:該当なし
・星なし:該当なし
Webサポートは、三つ星9社、二つ星3社という結果で、一つ星、星なしは該当がなかった。銀行業界は2025年全業界平均と比べてすべての評価項目が高評価となっている。
Webサポートで高評価のところは、見つけやすく使いやすく、サポートチャネルおよびセルフヘルプ選択肢が豊富で、問合せ窓口連携もよい。一方低評価のところは、目的情報にたどり着きにくく、文字が多くて理解しにくかったり、問合せ窓口が多岐にわたってわかりにくかったりするところがみられた。
問合せ対応は、三つ星8社、二つ星3社、一つ星1社という結果で、星なしは該当がなかった。銀行業界は2025年全業界平均と比べて「コミュニケーション」「平均応答速度」「放棄率」は低評価だが、その他の項目は同等以上の結果となった。
クオリティで高評価のところは、顧客に合わせた対応で、わかりやすく説明できている。質問の背景を理解し、誠実で親近感のわく対応で共感や寄添いもある。一方評価が低かったところは、一問一答の事務的な対応で、Web以上の情報のない窓口や、受け身な対応で積極的でなく、不安や距離を感じやすい対応がみられた。またチャットの回答が不明確なところもあった。
パフォーマンスで高評価のところは、自動音声応答なく素早くつながり、いつでも担当者つながりやすい。初回コンタクトで速やかに解決でき、意図をくみ取った的確なサポートで満足度高くなっている。一方評価が伸び悩んだところは、自動応答選択肢が多すぎて時間がかかる。また一問一答対応で満足度が低い。保留が多かったり、ネガティブで否定的な対応だったりするところがみられた。
〔2026/7/1〕MMD研究所とPKSHA Technology、「コールセンターの心理的安全性に関する意識調査」結果を発表
MMDLabo(本社:東京都中央区、吉本浩司社長)が運営するMMD研究所とPKSHA Technology(以下、PKSHA)は共同で、コールセンターに就業するリーダー以上130人・オペレーター170人を対象に2026年6月4日~2026年6月9日の期間で「コールセンターの心理的安全性に関する意識調査」を実施した。調査結果の詳細:https://aisaas.pkshatech.com/materials/wp_s04/。
コールセンターに就業するリーダー以上130人、オペレーター170人の合計300人を対象に、コールセンターでの業務を続けるにあたって必要だと思うことを聞いたところ(複数回答可)、リーダー以上では「心理的安全性があること」が49.2%と最も多く、次いで「業務負荷が適切であること」が44.6%、「待遇に納得感があること」が37.7%となった。
オペレーターでは「心理的安全性があること」が51.2%と最も多く、次いで「業務負荷が適切であること」が41.8%、「待遇に納得感があること」が41.2%となった。
次に、心理的安全性を損なう要因になると思うものを聞いたところ(複数回答可)、リーダー以上では「育成・フィードバックが不足」「給与や評価に納得感がない」がともに31.5%と最も多く、次いで「カスタマーハラスメント」が26.9%となった。
オペレーターでは「カスタマーハラスメント」が31.8%と最も多く、次いで「給与や評価に納得感がない」が31.2%、「案件が複雑で応対が難しい」が30.0%となった。
本調査の対象者300人に、2025年~現在までの約1年間で何かしらのカスタマーハラスメント対策を実施しているかを聞いたところ、「実施している」が44.3%、「実施していない」が30.0%、「分からない」が25.7%となった。
次にカスタマーハラスメント対策を「実施している」と回答した133人を対象に、新たに導入・強化された対策を聞いたところ(複数回答可)、「対応研修の実施」が40.6%と最も多く、次いで「通話を切断してよい基準の設定」が36.1%、「定義・判断基準の明文化」「SVへのエスカレーション体制の強化」がともに34.6%となった。
本調査の対象者300人に、所属しているコールセンターの現在のカスタマーハラスメント対策は十分に整っているか聞いたところ、「整っている(「十分整っている」と「ある程度整っている」の合算数値)」は28.3%となった。
次に、カスタマーハラスメント対策をさらに強化するうえで、必要なことを聞いたところ(複数回答可)、「カスハラだと思ったらSVにすぐに相談できる雰囲気づくり」が38.7%と最も多く、次いで「オペレーターのメンタルケア体制の充実」が33.0%、「カスハラ発生時の対応マニュアルの充実」が31.7%となった。
本調査の対象者300人に、所属しているコールセンターで心理的安全性を高めるために何かしら施策を取り入れてるかを聞いたところ、「取り入れている」と回答した人は71.3%となった。
次に、心理的安全性を高めるために何かしら施策を「取り入れてる」と回答した214人を対象に取り組みのうち、特に効果を実感しているものを聞いたところ(複数回答可)、「上司・管理者への相談体制の整備」が19.6%と最も多く、次いで「オペレーター同士の情報共有の促進」が17.8%、「フィードバック・面談機会の設置」が17.3%となった。
リーダー以上130人を対象に、「もっと時間をかけたい」と思う業務を聞いたところ、「もっと時間をかけたい業務がある」と回答した人は70.8%となった。
「もっと時間をかけたい業務がある」と回答した92人を対象に、項目別でみると(複数回答可)「オペレーター育成・研修」が44.6%と最も多く、次いで「オペレーターのリアルタイムモニタリング・支援」が29.3%、「応対品質の評価・フィードバック」が28.3%となった。
次に、リーダー以上130人を対象に、育成や品質改善の時間を確保するにあたって障壁になっていること(複数回答可)を聞いたところ、「自分自身がオペレーションに入らざるを得ない」が34.6%と最も多く、次いで「ナレッジ・マニュアルの更新が追いつかない」が27.7%、「モニタリング・評価に時間がかかる」が22.3%となった。
〔2026/6/3〕HubSpot Japan、カスタマーサービスに関する意識・実態調査2026を発表
AIとCRM搭載のAgentic Customer Platformを提供するHubSpot Japan(本社:東京都千代田区、伊佐裕也社長、HubSpot)は、マクロミルの協力のもと、「日本のカスタマーサービスに関する意識・実態調査2026」を実施した。本調査は、日本国内のカスタマーサービス担当者(以下、CS担当者)618名、および企業のカスタマーサービス利用経験者(以下、利用者)206名、計824名を対象に、カスタマーサービス業務の変化、生成AI活用、顧客の問い合わせ行動を把握することを目的としている。
今回の調査では、利用者の88.3%が企業のカスタマーサービスに問い合わせる前に「いつも」または「たいてい」自己解決を試みると回答した。また、利用者の69.9%が企業のカスタマーサービスにおけるAI対応を「利用したい」と回答する一方で、自分の状況に合わせた柔軟な対応や複雑な技術的トラブルでは人間による対応を希望する回答も上位となった。カスタマーサービスを提供する企業にとっては、顧客が問い合わせ前に正確な情報へたどり着ける環境を整えることに加え、AIによる対応と人間による対応を状況に応じて円滑につなぐ顧客体験の設計が重要になると考えられる。
1. 利用者の88.3%が、問い合わせ前に「いつも」または「たいてい」自己解決を試みる
利用者に、企業のカスタマーサービスに問い合わせる前に自分で解決を試みる頻度を聞いたところ、「いつも自己解決を試みる」が48.5%、「たいてい自己解決を試みる」が39.8%となり、合計88.3%が問い合わせ前に自己解決を試みていることがわかった。「半分くらいは自己解決を試みる」(8.3%)まで含めると96.6%に上る。
問い合わせ前に自己解決を試みる利用者(n=199)が利用する手段としては、「検索エンジン(Google等)」(69.3%)が最多で、「企業のFAQ・ヘルプページ」(56.3%)、「企業のチャットボット」(41.2%)、「生成AI(ChatGPT、Gemini等)」(41.2%)、「知人・同僚に相談」(40.7%)が続いた。特に、BtoBの利用者では、自己解決手段として生成AIを利用する割合が56.6%となり、BtoCの利用者(26.0%)を上回った。
こうした結果から、顧客対応は、問い合わせ窓口に入ってからだけでなく、顧客が情報を探し始める段階から設計する必要があることがうかがえる。企業には、顧客が問い合わせ前に正確な公式情報へたどり着けるよう、FAQ、ヘルプページ、ナレッジベース、AIによる一次回答などの情報環境を整えることが求められる。
2. 利用者の69.9%が企業のAI対応を利用したいと回答。一方、人間対応を求める場面も明確に
企業のカスタマーサービスにおけるAI対応について、利用者の69.9%が「利用したい」と回答した。内訳は、「積極的に利用したい」が28.2%、「場面や内容によっては利用したい」が41.7%です。一方、「できれば人間に対応してほしい」「必ず人間に対応してほしい」の合計は18.0%であった。BtoBの利用者ではAI対応の利用意向が74.8%、BtoCの利用者では65.0%となった。
人間による対応を希望する場面としては、「自分の状況に合わせた柔軟な対応が必要なとき」(47.1%)、「複雑な技術的トラブルを解決したいとき」(45.6%)が上位となった。「すべての場面で人間に対応してほしい」は16.0%にとどまり、利用者はAI対応を一律に拒否しているのではなく、内容に応じてAIと人間の対応を使い分けたいと考えていることがうかがえる。
そのため、企業がAI対応を設計する際には、AIで完結できる問い合わせを増やすだけでなく、顧客が人間による対応を必要とする場面で円滑に切り替えられる導線を整えることも重要だ。
3. CS担当者がAIに任せたい業務はFAQ、データ集計、記録分類。共感的対応は人間担当を希望
CS担当者に、AIと人間のどちらが担当するのが望ましいかを業務別に聞いたところ、AI担当を望む割合が高かったのは「よくある質問(FAQ)への定型的な回答」(64.2%)、「顧客データや対応履歴の集計・分析」(60.5%)、「問い合わせ内容の記録・分類・振り分け」(56.3%)であった。
一方、人間担当を望む割合が最も高かったのは「顧客の感情に寄り添った共感的な対応」(53.2%)。「クレーム対応・エスカレーションの判断」(39.8%)、「新人CS担当者の教育・ナレッジ共有」(35.1%)、「複雑な問題の原因特定と解決策の判断」(34.0%)も人間担当を望む割合が相対的に高くなった。
この結果から、カスタマーサービスにおけるAI活用は、人間の仕事を一律に置き換えるものではなく、業務単位でAIと人間の役割を設計することが重要だと考えられる。ただし、実際の問い合わせ対応では、問い合わせ内容や顧客の希望によって必要な対応が変わる。AIと人間の役割を大まかに定めながらも、AI対応から人間による対応へ円滑に切り替える判断や導線をあわせて設計することが重要。
4. 生成AI活用者の過半数が、対応時間、スキル習得、負担感、対応品質で改善を実感
CS担当者全体のうち、カスタマーサービス業務で生成AIを活用している人は35.0%であった。生成AI活用者に、業務への影響を聞いたところ、「1件あたりの問い合わせ対応にかかる時間」と「新しい知識やスキルの習得スピード」はそれぞれ55.6%が「改善した」と回答した。「業務上のストレスや負担感」は53.2%、「顧客対応の品質(正確性・適切さ)」は51.4%が「改善した」と回答しており、生成AI活用者の間では効率だけでなく品質や負担感にも改善実感が見られる。
生成AI活用者が効率化されたと感じる時間の使い道としては、「顧客一人ひとりに合わせた丁寧な対応」(34.3%)、「自身のスキルアップや研修への参加」(31.0%)、「複雑・高度な問い合わせへの対応」(29.6%)が上位となった。生成AI活用は、単なる対応時間の短縮だけでなく、人間が担うべき丁寧な対応や高度な問い合わせ対応に時間を充てる可能性を示している。
5. 組織支援ありの層では、生成AI活用率とCS職の将来性に対する前向きな見方が高い傾向
CS担当者に、勤務先で生成AI活用に対する支援や取り組みがあるかを聞いたところ、「支援あり」は41.7%、「特に支援や取り組みはない」は48.9%、「生成AIの業務利用が禁止されている」は9.1%であった。支援内容としては、「AI活用のガイドライン・ルールが策定されている」(16.7%)、「AIツールの利用費用を会社が負担している」(14.6%)、「AI活用に関する研修・トレーニングがある」(14.4%)が上位。
組織による支援がある層では、生成AI活用率が67.1%だったのに対し、支援がない層では12.8%であった。また、CS職の将来性を明るいと感じる割合は、組織による支援ありの層で56.2%、支援なしの層で28.0%となった。なお、この結果は相関を示すものであり、組織による支援が生成AI活用率や将来性への見方を直接高めることを示すものではない。
ただし、組織による支援の内容を見ると、ガイドライン、研修、公式ツールの提供、成功事例の共有、上司や経営層による推奨など、AI活用を個人の試行錯誤にとどめず、日常業務の中で使える状態に近づける取り組みが含まれる。AI活用をCS組織の能力として定着させるには、ツール導入だけでなく、利用方針、ナレッジ整備、教育、品質管理、エスカレーションルールを含めた運用設計が必要になる。
6. カスタマーサービスに届く問い合わせは全体で一様に複雑化しているわけではなく、変化に向き合う層で強く実感される傾向
CS担当者に、顧客からの問い合わせ内容が1年前と比べてどう変化したかを聞いたところ、「変わらない」が66.7%で最多となった。「複雑化・高度化した」の合計は27.3%、「単純化した」の合計は6.0%。
一方、能動的フォローを兼務する層では42.5%、生成AI活用者では46.8%、組織による支援ありの層では43.8%が、問い合わせ内容が複雑化・高度化したと回答した。利用者の約9割が問い合わせ前に自己解決を試みるなか、すべての現場で一様に問い合わせが複雑化しているとは言えないものの、AI活用や能動的な顧客対応に取り組む層では、問い合わせ内容の変化を強く感じている可能性がある。
また、能動的フォローを兼務する層では、CS職の将来性を明るいと感じる割合も53.1%と、受動的サポート中心の32.6%を上回った。問い合わせ対応に加え、顧客の状況に応じた支援や提案も担う層では、AI時代のカスタマーサービスの役割をより前向きに捉えている可能性がある。
〔2026/5/29〕矢野経済研究所、コールセンターサービス事業者が提供するAIサービス市場の調査を実施(2026年)
矢野経済研究所(本社:東京都中野区、水越孝社長)は、国内のコールセンターサービス事業者のAIサービスについて調査を実施し、市場規模および市場動向に関して明らかにした。
コールセンターサービス事業者が提供するAIサービスの市場は、コロナ禍の発生時に、感染防止を目的にオペレーターの稼働人数を減らす必要があったため、オペレーター業務の自動化ニーズが高まり、市場は大きく成長した。 2023年度は、コロナ禍における行動制限などは緩和されたものの、オペレーター人材が不足した状態であったため、オペレーター業務の自動化ニーズは引き続き拡大した。またテレワークが定着したことで、顧客からの接点が多様化し、コールセンターにおいてもWeb、ソーシャルメディアなどの非接触チャネルにて顧客と接するケースが増加したため、それらのチャネルと親和性の高いAIサービスに対するニーズが拡大した。2024年度は、生成AIの急速な普及により、コールセンター業務においてもAIの活用による業務効率化を求める企業が増加し、コールセンター事業者が提供するAIサービスの利用が拡大した。そのため、2024年度のコールセンターサービス事業者が提供するAIサービス国内市場規模(事業者売上高ベース)は、前年度比150.0%の90億円へと拡大した。
一般企業のコールセンター部門の勤務者に対してアンケートを実施したところ、「生成AI活用サービス」の導入状況は全体として「導入している」が19.0%、「導入していないが、導入の予定はある」が30.0%であった。
コールセンターにおけるメイン業務別に見た場合には、「導入している」は「受注センター」が若干高く35.3%であった。「導入していないが、導入の予定はある」については「ヘルプデスク」「問い合わせ対応」「営業アウトバウンド」が33%~34%台と高かった。一方「リサーチアウトバウンド」は6件中5件が「導入しておらず、導入の予定もない」と関心が低いことがうかがえる。
またコールセンターの総席数別で見ると、総席数「100席以上」と比較的規模が大きい方が「導入している」の割合が若干高かった。一方「99席以下」の中~小規模では半数以上が「導入しておらず、導入の予定もない」と回答した。
2025年度以降については、AIがさらに進化し、対話内容の自動要約・記録などといったオペレーター業務の負荷を軽減するだけではなく、感情分析により満足度をリアルタイムで把握しながら顧客に対応するなど、AIの対応範囲がサービス品質の向上にも拡がってきているため、今後AIサービスはコールセンター業務においてさらに活用が進むと予測する。
また今後は、現在生成AIをコールセンターのフロント業務において活用する際に問題となっているハルシネーションのリスクを管理する手法が確立されてくれば、AIサービスの導入はさらに増加していくことになると考える。
以上のことから、コールセンターサービス事業者が提供するAIサービス国内市場規模(事業者売上高ベース)は、2023年度から2029年度までの年平均成長率(CAGR)が31.7%で推移し、2029年度の同市場規模は313億円に達すると予測する。