調査・レポート・その他

〔2025/7/3〕HDI-Japan主催「HDI格付けベンチマーク」2025年【生命保険業界】の格付け結果を発表

 サポートサービスにおける世界最大のメンバーシップ団体HDIの日本拠点HDI-Japan(運営:シンクサービス、本社:神奈川県川崎市、山下辰巳社長)は、同社が主催する「Webサポート/問合せ窓口格付」の2025年【生命保険業界】の調査結果を発表した。

生命保険業界 Webサポート格付け結果(調査対象:下記16社)
・三つ星:アフラック生命保険、アクサ生命保険、オリックス生命保険、社かんぽ生命保険、SOMPOひまわり生命保険、大樹生命保険、東京海上日動あんしん生命保険、富国生命保険、三井住友海上あいおい生命保険、明治安田生命保険、メットライフ生命保険、ライフネット生命保険
・二つ星:住友生命保険、ソニ-生命保険、第一生命保険、太陽生命保険
・一つ星:該当なし
・該当なし:該当なし

生命保険業界 問合せ窓口格付け結果(調査対象:下記16社)
・三つ星:アフラック生命保険、オリックス生命保険、SOMPOひまわり生命保険、大樹生命保険、東京海上日動あんしん生命保険、富国生命保険、明治安田生命保険、メットライフ生命保険、ライフネット生命保険
・二つ星:アクサ生命保険、かんぽ生命保険、住友生命保険、ソニ-生命保険、太陽生命保険、第一生命保険、三井住友海上あいおい生命保険
・一つ星:該当なし
・星なし:該当なし

 Webサポートは、三つ星12社、二つ星4社という結果で、一つ星、星なしは該当がなかった。生命保険業界は2024年全業界平均と比べてすべての項目が高い評価となっている。
 Webサポートで高評価のところは、直感的に操作しやすいデザインで、料金シミュレーションやFAQも使いやすく情報収集がスムーズにできる。セルフヘルプ選択肢が充実しており、専門的な知識がなくても契約後のイメージがしやすく、前向きに検討するための情報が得られる。一方低評価のところは、センターとの連携が不充分ですぐに情報が得られず、スピーディに検討や意思決定をしづらい傾向にある。
 問合せ対応は、三つ星9社、二つ星7社という結果で、一つ星、星なしは該当がなかった。生命保険業界は2024年全業界平均と比べて、コミュニケーションと困難な対応は高評価だが、放棄率と対応時間は下回る結果となっている。
 クオリティで高評価のところは、顧客のニーズや要望を積極的に引き出し、個々に合わせた提案を行っている。要点を整理しながら顧客の理解度に合わせた説明をしており、契約を前向きに検討するためのサポートを行っている。一方評価が伸び悩んだところは、顧客の質問に回答しているものの、要望の理解よりも先に商品の提案を行い、顧客が具体的なイメージを持てず、納得感を得られていないことがある。
 パフォーマンスで高評価のところは、時間帯問わずつながりやすく、必要なときにすぐに担当者に相談できる。要望やニーズの理解がはやく、的確な情報提供により短時間で解決でき、顧客に納得感を与えている。一方評価が伸び悩んだところは、説明は丁寧ですが情報量が多く、顧客が内容を充分に理解できていない傾向がある。商品の特徴は伝わっているが、顧客のニーズに充分に応えられていないケースが見受けられる。

〔2025/6/17〕サーバーワークス、ITエンジニアの生成AI関連スキルに関する調査結果を公表

 アマゾン ウェブ サービス(以下、AWS)のAWS プレミアティアサービスパートナーであるサーバーワークス(本社:東京都新宿区、大石良社長)は、ITエンジニアの生成AI関連スキルに関する調査結果を公表した。
 サーバーワークスは、エンジニアを中心として働き方に関するさまざまな調査を実施し、新しい時代の働きやすさについて考察していく「働き方ラボ」を立ち上げている。今回の調査結果は、全国に住む20歳以上の企業に勤めるITエンジニア278名を対象に実施した調査をまとめたもの。
 生成AIに関する知識レベルについてたずねたところ、最も多かったのは「基本用語(例:ChatGPT、LLMなど)は知っている」で31.7%、続いて「一般的な技術やユースケースは理解している」で、28.4%でした。より踏み込んで理解している層として、「業務で活用・導入経験があるレベルで理解している」は18%、「生成AIの実装・開発経験があるレベルで理解している」は5.4%であった。
 生成AIについて「知らない」と回答した人を除く232名に、生成AIに関するスキルを身に付けたいと思うかをたずねたところ、「強くそう思う」が24.6%、「ある程度思う」が56.9%と、81.5%の人が、生成AIのスキルを身に付けたいと思っていることがわかる。
 学びたい・強化したい生成AI関連スキルをたずねたところ、最も多かったのは「アプリケーションや業務への組み込み方法」で44.8%、次に「プロンプトエンジニアリング」で37.1%であった。その他「LLM(大規模言語モデル)の仕組み理解(32.8%)」や「導入戦略やプロジェクト設計(31.5%)」なども挙げられた。一方で「何を学べばいいのかわからない」と回答した人も16.4%いた。
 生成AIに関するスキルを身に付けるために現在行っていることをたずねると、「実際にツールを触って試している」が37.9%で、続いて「オンライン動画で学習」が32.3%、「書籍や記事で独学」が31.5%であった。一方、「特に何もしていない」と回答した人も25%いた。
 勤め先の会社で生成AIに関するスキルを身に付ける機会が提供されているかたずねたところ、42.7%の人が「提供されている」と回答した。
 生成AIについてハンズオンで学ぶ機会がほしいと思うかたずねたところ、「ぜひほしい」が27.6%、「どちらかといえばほしい」が42.2%で、「ほしい」と答えた人は69.8%であった。

〔2025/6/5〕HDI-Japan主催「HDI格付けベンチマーク」2025年【化粧品メーカー業界】の格付け結果を発表

 サポートサービスにおける世界最大のメンバーシップ団体HDIの日本拠点HDI-Japan(運営:シンクサービス、本社:神奈川県川崎市、 山下辰巳社長)は、同社が主催する「Webサポート/問合せ窓口格付け」の2025年【化粧品メーカー業界】の調査結果を発表した。

化粧品メーカー業界 Webサポート格付け結果(調査対象:下記9社)
・三つ星:ELCジャパン(Estée Lauder)、オルビス、花王、コーセー、資生堂、ちふれ化粧品、ポーラ
・二つ星:シャネル、パルファン・クリスチャン・ディオール・ジャポン
・一つ星:該当なし
・星なし:該当なし

化粧品メーカー業界 問合せ窓口格付け結果(調査対象:下記9社)
・三つ星:オルビス、花王、コーセー、資生堂、ちふれ化粧品、パルファン・クリスチャン・ディオール・ジャポン、ポーラ
・二つ星:ELCジャパン(Estée Lauder)、シャネル
・一つ星:該当なし
・星なし:該当なし

 Webサポートは、三つ星7社、二つ星2社という結果で、一つ星、星なしは該当がなかった。化粧品メーカー業界は2024年全業界平均と比べてすべての項目が高い評価となっている。
 Webサポートで高評価のところは、顧客が希望に沿って商品を絞り込むことができ利用しやすい。動画や診断サービス、SNSへの連携など多様な情報収集を得ることができる。商品の特長や効果もわかりやすく、またセンターとの連携もよくWebを効果的に活用している。一方低評価のところは、顧客が自分に合った商品にたどり着きにくかったり、知識を得られるコンテンツが少なかったりと自己解決できる手段が不足傾向にある。
 問合せ対応は、三つ星7社、二つ星2社という結果で、一つ星、星なしは該当がなかった。化粧品メーカー業界は2024年全業界平均と比べてすべての項目が高い評価となり、特に顧客満足度が大きく上回っている。
 クオリティで高評価のところは、顧客の悩みや不安をしっかりと理解し、商品の違いや使い方を分かりやすく説明している。明るく丁寧な挨拶から始まり豊富な知識と経験が伝わる対応なので、追加情報に魅力を感じさせている。適度なカジュアルさが心地よく、安心して相談ができる対応。一方評価が伸び悩んだところは、説明の表現が専門的でわかりにくかったり、自信がなく曖昧な伝え方になったりと、顧客に合わせるまでには至らない傾向がある。
 パフォーマンスで高評価のところは、すぐに担当者につながり充分な情報を得ることができる。テンポよく対応を進め顧客にとって楽しい時間を提供しているので、時間の経過が気にならない。顧客のニーズをくみ取り商品説明にとどまらず的確なアドバイスもあり満足度が高い。一方評価が伸び悩んだところは、顧客の問合せ内容にはきちんと答えているが、ニーズを深堀りしたり質問の背景に迫ったりする対応とは言えず、高い満足感を与えるまでではない。

〔2025/5/27〕リンク、業界別 電話業務におけるカスタマー・ハラスメント対策に関する調査結果を発表

 リンク(本社:東京都港区、岡田元治社長)は、全国の20~99歳の男女を対象とした「業界別 電話業務におけるカスタマー・ハラスメント(以下、カスハラ)対策に関する調査」を実施した。
 2025年4月に東京都カスタマー・ハラスメント防止条例が施行開始されるなど、昨今社会的に注目されている「カスハラ」は、電話で顧客と接するコールセンターや問い合わせ窓口でも発生している。そこで、企業向けクラウド型電話システム「BIZTEL」は、勤務先で顧客と電話によるやりとりをする方を対象に、「業界別 電話業務におけるカスタマー・ハラスメント対策に関する調査」を実施した。電話業務におけるカスハラの発生状況や、現場での対応・対策に加え、業界別の特徴や違いがあるのかを調査している。本調査では、電話対応窓口でカスハラ対策を進める際に重要視すべきポイントを示唆している。
 全体のうち7割以上(75.3%)が、電話応対時にカスハラを受けたことがあると回答した。また、業界別では「福祉関連業」(100%)、「建設業」(88.9%)、「官公庁・公共・団体」(83.9%)の順でカスハラを受けたことがある割合が多い結果となった。このことから、市民や一般消費者と接する機会の多い業種だけでなく、建設業といった法人とのやり取りが多い業種でもカスハラが発生していることが明らかになった。
 経験したことのあるカスハラの内容は、「暴言・罵声を浴びせられた」(88.4%)、「延々と同じ内容のクレームを繰り返された」(75.4%)、「長時間拘束された」(68.1%)が多く挙げられた。このような一方的な暴言や執拗なクレーム、長時間の拘束は、現場で対応する従業員に大きな負担を与えかねない問題であるため、発生している場合には迅速かつ効果的なカスハラ対策が必要とされる。
 カスハラが発生した際の対応については、「話を聴きつづけた、または謝りつづけた」(62.5%)が最も多く、次いで「上司に助けを求めた」(48.5%)という結果であった。現場では根本的な解決策がないことによる受け身の対応が中心となっており、従業員が精神的な消耗を強いられているという実態がうかがえる。
 カスハラ対策の実施率は5割(47.0%)に満たない結果となったが、業界別で見ると「建設業」(55.6%)や「金融」(53.8%)、「IT・通信」(50.9%)で対策実施率が高い傾向にあることがわかった。しかし半数以上の現場では依然としてカスハラに対して十分な対策が講じられていないことも明らかになった。
 「対策を実施している」と回答した方に、具体的な対策内容を聞いたところ、「カスハラの発生状況と内容の把握、社内への共有」(76.6%)、「対応マニュアルの作成・配布」(47.9%)が多く挙げられた。これらの対策を第一段階として取り組む企業が増えているが、今後はマニュアルの周知や改善、実運用に向けた対応研修の実施など、効果を発揮するための取り組みや、対応後のメンタルケアなどフォロー体制の構築が必要になると考えられる。
 対策を進めるうえで課題と感じていることについては、「お客さま第一という考えが強く、カスハラを問題にしにくい」(26.3%)が最も多い結果となった。また、「カスハラの基準づくりに苦慮している」(17.3%)、「他の業務が優先で後回しになっている」(16.3%)という回答も一定数見受けられた。
 この結果から、現場と企業の間でカスハラに対する考え方や問題意識に乖離があることがうかがえる。カスハラによって従業員に負担がかかっている場合、従業員を守るためにも組織全体で問題を認識し、方針を検討することが重要といえそうだ。
 今年の4月から東京都で「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例(以下、カスハラ防止条例)」が施行開始されたことを知っているかについて質問したところ、「はい」と答えた人は48.0%と5割を切る結果となった。施行から間もないことや、対象地域が限定されていることも要因といえそうだ。条例の認知は、組織的なカスハラ対策を進める際の後押しにもなるため、企業として従業員への周知や、理解の浸透を深める動きが求められている。
 また、カスハラ防止条例が施行開始されたことを知っていると答えた人に対して、カスハラ条例に期待する効果を聞いたところ「カスハラという問題の認知拡大」(61.5%)、「カスハラ加害者への抑止力」(49.5%)などの回答が多く挙げられたことから、カスハラに対する問題意識の変化や、発生の防止に期待感を持っていることがわかった。しかし、東京都以外に実施している地域は北海道・群馬県など限定的であることから、全国への拡大が今後の課題と考えられる。

〔2025/5/15〕ジェネシス、最新調査レポート「The State of Customer Experience(顧客体験の現状)」を発表

 ジェネシスは、最新の調査レポート「The State of Customer Experience(顧客体験の現状)」を発表した。本調査では、消費者の期待と、世界のカスタマーエクスペリエンス(CX)リーダーの優先事項の変化に関する重要なインサイトが明らかになっている。特に注目すべき点として、調査対象の消費者の約3分の2(64%)が、今後2~3年の間にAIが顧客体験の品質とスピードを向上させると考えている。企
業側にとっても朗報なのは、多くの組織がAIをCX戦略に統合し、現在提供している顧客体験と消費者が求めるサービスとのギャップを埋める取り組みを進めていること。調査結果の詳細:https://www.genesys.com/ja-jp/resources/state-of-cx
 現在のCXリーダーにとって、AIが自社の顧客対応を変革する可能性は最重要課題の1つとなっている。本調査では、CX向上のためにAIの活用を拡大することを最優先事項として挙げたCXリーダーが42%にのぼることが明らかになった。また、多くの企業にとってAIの重要性はますます高まっており、来年のCX関連予算の33%をAI技術に投資する予定であることが示されている。さらに、調査対象のCXリーダーの46%が、従業員の体験向上を目的としたコパイロットやリアルタイムコーチングといったAIソリューションへの投資を行っていることがわかった。これは、CXリーダーの26%が、従業員体験の向上を戦略的なCX目標を達成する上で不可欠と考えていることを反映している。
 消費者が考える「良い顧客体験」を提供できなければ、企業の収益に大きな影響を及ぼす可能性がある。世界中の消費者を対象とした調査では53%が、2回から5回の不満足な対応を経験しただけでお気に入りのブランドを離れると回答している。さらに、30%の消費者は、過去1年間に顧客対応の悪さを理由に取引を停止した企業があると回答した。一方で、世界のCXリーダーの41%が、消費者の高まる期待に対応することが最大の課題であると認識している。そのため、AIを活用して顧客体験を向上させることは、企業にとって不可欠なビジネス戦略となっている。
 以下は、「アジア太平洋地域におけるカスタマーエクスペリエンスの現状」レポートから得られた、日本およびアジア太平洋地域全体における顧客体験(CX)に関する主な調査結果。日本市場の特徴が、地域全体の傾向と大きく異なる可能性があることが明らかになった。
 調査によると、日本のCX市場は、いくつかの主要分野で他のアジア太平洋市場と異なる。調査対象となった日本の消費者は引き続きサービス品質を重視しているが、AIの採用の遅れ、クラウドプラットフォームへの移行の遅れ、データ統合の課題などが、シームレスで個別対応の体験を提供する上での障害となっている。こうした背景を踏まえ、本調査では、日本市場に特有の傾向と課題を浮き彫りにしながら、今後のCX向上に向けた重要な示唆を導き出している。

1.サービスの質がブランド評価に直結
 日本の調査対象となった消費者の73%が「企業の価値はそのサービスの質で決まる」と考えており、アジア太平洋地域平均(76%)、世界平均(82%)と比較してやや低い結果となった。
 それでも、多くの調査対象となった日本の消費者が、CXが企業の評判や信頼性に大きく影響する重要な要素であるという認識が日本でも広がっている。

2.日本の消費者は予測的かつ一貫したサービスを重視、担当者の継続性は二の次に
 お気に入りのブランドとのやり取りにおいて、日本の調査対象となった消費者の68%が、コールセンターが顧客のやり取りを予測し、積極的に解決策を提案することに価値を感じると回答しており、これはアジア太平洋地域で最も高い割合となった。
 一方、「毎回同じ担当者に対応してもらうこと」が重要だと回答した調査対象となった日本の消費者は19%にとどまり、地域内で最も低い数値となった。これは、企業全体での一貫した対応や品質管理がより重視されていることを示している。

3.デジタルチャネルの利用率が世界で最も低い
 調査対象となった日本の消費者の66%がCX対応に電話のライブ担当者を過去12カ月間で最も多く利用したチャネルだと回答し、メールを好む割合は同期間で最も多く利用したチャネルだと回答したのは48%にとどまった。メールの利用率はアジア太平洋平均(66%)を下回り、世界でも最も低い水準。
 また、調査対象となった日本のCXリーダーでチャットボットやバーチャルエージェントを導入していると回答したのはわずか12%にとどまり、アジア太平洋地域の他国の結果と比較して、デジタルエンゲージメントにおける大きなギャップが浮き彫りになっている。

4.一度の対応ミスが顧客離れに直結
 調査対象となった日本の消費者の21%が「たった1回の不適切な対応で企業を乗り換える」と回答しており、インドおよび韓国(いずれも調査対象の消費者の15%)と比較しても高い数値。
 日本市場における不適切なサービス対応がビジネスに与える影響の大きさを示している。

5.個別対応の提供に対する認識ギャップ
 調査対象となった日本の消費者の58%が、自分の課題を解決できる担当者につながることを最も重要なパーソナライズの形であると評価した。しかし、自社が「非常に個別対応できている」と回答した調査対象の日本のCXリーダーはわずか5%にとどまり、世界平均(42%)との差が顕著。

6. AI 技術への投資に大きな地域差
 アジア太平洋地域では、CX予算の約3分の1がAI搭載CX技術に充てられる予定であり 、調査対象となったCXリーダーがインド(46%)、シンガポール(52%)、韓国(40%)などが高い割合を示している。
 一方、日本ではAIに割り当てられているCX予算は15%にとどまり、地域内で最も低い水準となっている。

7.クラウド移行の遅れが競争力の課題に
 調査対象となったアジア太平洋地域の多くのCXリーダーが、柔軟でスケーラブルなCX環境を実現するために今後2年間でクラウドプラットフォームへの移行を進めている。
 対照的に、日本のCX企業でクラウドプラットフォームへの移行を完了しているのはわずか10%であり、地域内でも最も低い数値となっている。これにより、セルフサービスやAIソリューションの本格導入を引き続き妨げる可能性がある。

グローバルにおける重要な調査結果
1. 顧客の期待は妥当だが、待ち時間はそうではない
 チャネルを問わず、世界の調査対象の消費者の86%が、1~10分以内にエージェントとつながることを期待している。しかし、過去1年間で同じく調査対象となった60%以上の消費者が15~60分以上待たされたと回答した。
 一方、企業側はこの問題を過小評価している可能性がある。世界の調査対象のCXリーダーは、10分以上の長い待ち時間が発生するのは全体の10%程度と認識しており、顧客の実際の体験との間に大きな認識のズレがあることがわかった。これは、企業が日々の顧客体験や長時間の待ち時間が引き起こす顧客の不満を十分に把握していないことを示している。

2. 「初回対応での問題解決」がこれまで以上に重要
 世界の調査対象の消費者は、初回対応での問題解決(First-Contact Resolution)を最も重要なサービス要素の1つとして評価したが、同じく世界のCXリーダーでは、これを重要な成功指標の1つと捉えている割合はわずか16%にとどまっている。
 さらに、世界のCXリーダーの32%しか、自社で初回対応率を追跡していないと回答しており、これは顧客満足度や維持率に大きな影響を与える可能性がある。初回対応率の測定戦略を導入することは、顧客のニーズをより深く理解し、サービスのギャップを特定し、顧客体験を向上させるための具体的な施策を講じる上で不可欠な第一歩となる。

3. パーソナライズは顧客ロイヤルティを高めるが、「プライバシー・パラドックス」は依然として存在
 77%の世界の消費者が、常にパーソナライズされたサービス体験を提供するブランドを推奨する可能性が高いと回答し、4分の3近くが、パーソナライズを提供するブランドからより多くの商品を購入すると述べている。
 また、世界の約50%の消費者が、パーソナライズの向上のためにエージェントが自身のデータにアクセスすることを希望しており、約70%が、パーソナライズが不十分な場合に少し不満、あるいは非常に苛立ちを感じると回答した。これは、適切な透明性と管理のもとであれば、消費者がパーソナライズを望み、データ共有に前向きであることを示している。
 さらに、CX機能を完全にクラウドへ移行していない企業の世界の調査対象となったCXリーダーの56%が、今後2年以内に移行を計画しており、AIによる大規模なパーソナライズを実現するための重要なステップであると認識している。

4. 消費者はシームレスなオムニチャネル体験を求めているが、企業の対応は遅れている
 世界の調査対象となった97%の消費者が、オムニチャネル体験(ソーシャルチャネル、チャット、電話などを横断したスムーズな対応)を極めて重要であると考えており、異なるチャネル間をシームレスに移行でき、同じ内容を繰り返さずに済むことを期待している。
 しかし、世界の調査対象となったCXリーダーのうち、自社が完全なオムニチャネル体験を提供できていると回答したのはわずか16%にとどまっている。一方で、そのCXリーダーのうち86%がオムニチャネルの重要性を認識しているにもかかわらず、その実現には至っていない。このギャップは、企業が顧客の期待と投資の方向性をより適切に一致させ、不満の解消に向けた取り組みを強化する大きな機会であることを示している。

〔2025/5/9〕HDI-Japan主催「HDI格付けベンチマーク」2025年【クレジットカード業界】の格付け結果を発表

 サポートサービスにおける世界最大のメンバーシップ団体HDIの日本拠点HDI-Japan(運営:シンクサービス、本社:神奈川県川崎市、山下辰巳社長)は、同社が主催する「Webサポート/問合せ窓口格付け」の2025年【クレジットカード業界】の調査結果を発表した。

クレジットカード業界 Webサポート格付け結果(調査対象:下記10社)
・三つ星:アメリカン・エキスプレス・インターナショナル・インコーポレイテッド(アメリカン・エキスプレス・カード)、イオンフィナンシャルサービス(イオンカード)、クレディセゾン(セゾンカード)、ジェーシービー(JCBカード)、三井住友カード(三井住友カード)、三井住友トラストクラブ(ダイナースクラブカード)、三菱UFJニコス(三菱UFJカード)、ユーシーカード(UCカード)、楽天カード(楽天カード)
・二つ星:トヨタファイナンス(TS CUBIC CARD)
・一つ星:該当なし
・星なし:該当なし

クレジットカード業界 問合せ窓口格付け結果(調査対象:下記10社)
・三つ星:アメリカン・エキスプレス・インターナショナル・インコーポレイテッド(アメリカン・エキスプレス・カード)、イオンフィナンシャルサービス(イオンカード)、三井住友トラストクラブ(ダイナースクラブカード)、三菱UFJニコス(三菱UFJカード)、楽天カード(楽天カード)
・二つ星:クレディセゾン(セゾンカード)、ジェーシービー(JCBカード)、トヨタファイナンス(TS CUBIC CARD)、三井住友カード
(三井住友カード)、ユーシーカード(UCカード)
・一つ星:該当なし
・星なし:該当なし

 Webサポートは、三つ星9社、二つ星1社という結果で、一つ星、星なしは該当がなかった。クレジットカート業界は2024年全業界平均と比べてすべての項目が高い評価となっている。
 Webサポートで高評価のところは、直感的に操作しやすく必要情報を見つけやすく利便性が高い。セルフヘルプ選択肢が豊富でチャットボットやFAQが使いやすくなっている。異なるカードの比較もしやすく、セキュリティも安心できる。そしてWebと一貫性のある的確な窓口サポートを受けられる。一方低評価のところは、新規向け情報が少なかったり、問合せ窓口が見つけにくかったりした。
 問合せ対応は、三つ星5社、二つ星5社という結果で、一つ星、星なしは該当がなかった。クレジットカード業界は2024年全業界平均と比べて、平均応答速度と放棄率が大きく下回っている。
 クオリティで高評価のところは、礼儀正しく丁寧で簡潔明瞭で的を射た対応ができている。説明に無駄がなく、提供サービスに関して精通しており、信頼感の高いプロらしい対応であった。親近感のわく顧客に近づいた対応で、顧客と一緒に問題解決がでている。一方低評価のところは、一問一答の対応や受け身で自信のない対応で、顧客との距離が縮まらないケースがみられた。
 パフォーマンスで高評価のところは、つながりやすく初回コンタクトで解決でき、質問を把握して速やかに対応を進め一度で充分な情報を得られた。また顧客に理解できる内容で満足度が高くなっている。なおチャットのレスポンスがよく、イメージ通りの対応で満足度が高いところもあった。一方低評価のところは、時間帯によってつながりにくく、音声選択がわかりにくいところもあった。また一回の問合せでは解決できないところも評価を下げている。

〔2025/4/23〕J.D. パワー、2025年カーシェアリングサービス顧客満足度調査結果を発表

 CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関であるJ.D. パワー ジャパン(本社:東京都港区、木本卓社長、略称:J.D. パワー)は、2025年カーシェアリングサービス顧客満足度調査の結果を発表した。
 本年の総合満足度スコアは667ポイント(1,000ポイント満点)で、前年調査の690ポイントから23ポイント低下した。前年調査でも総合満足度スコアは12ポイント低下しており、この2年間で満足度低下に歯止めがかかっていない。
 ファクター別に前年と比較すると、すべてのファクターで評価が低下しており、特に、総合満足度に対する影響度が最も大きい「各種料金」では-25ポイントの低下となった。
 年に1回、国内のカーシェアリングサービス利用者を対象に、カーシェアリングサービスの利用状況や各種経験、満足度を聴取し明らかにする調査。今回で9回目の実施となる。
 総合的な顧客満足度に影響を与えるファクターを設定し、各ファクターの詳細評価項目に関するユーザーの評価を基に1,000ポイント満点で総合満足度スコアを算出。総合満足度を構成するファクターは、総合満足度に対する影響度が大きい順に以下の通り(カッコ内は影響度)。
 「各種料金」(33%)、「サービスメニュー」、「車両」(共に21%)、「予約(ウェブページ/モバイルアプリ)」(20%)、「コールセンター」(5%)。
 2025年カーシェアリングサービス顧客満足度調査結果ランキングは以下のとおり(1,000ポイント満点)。
1.TOYOTA SHARE 744ポイント
2.オリックスカーシェア 708ポイント
3.三井のカーシェアズ 684ポイント
4.タイムズカー 654ポイント
調査平均 677ポイント 
 「料金体系がわかりやすい」、「月額基本料金が妥当」といった回答が昨年より減少しており、料金に対する納得感を持つユーザーが減少していると推察される。また、次に影響度が大きい、ステーションの利便性や車両数といった評価の「サービスメニュー」は-22ポイントの低下となった。
 ここ数年、多くの事業者がステーション数や車両台数の拡大に取り組んでいるが、「サービスメニュー」の詳細評価を見ると、「ステーションの利便性」に関するスコアの低下が顕著だった。
 カーシェアの利用目的は「旅行」が最も多く(44%)、前年比で4ポイント増加している。また、よく利用するステーションの立地では「旅行先、出張先の駅や空港近く」が前年より増え、約2割に達しており、地方都市や観光地での利用も拡大していることがうかがえる。
 しかしながら「旅行先、出張先の駅や空港近く」のステーション利用者の満足度は前年比で大幅に低下している。地方ではステーション数が限られ、旅行需要は特定の時期やエリアに集中しやすいため空車不足が発生しやすく、結果としてステーションの利便性評価の低下を招いていると考えられる。
 一部の事業者では、駐輪スペースを設けるなど自転車での来場が可能なステーションを展開していることを受け、本年調査より「ステーションまでの主な移動手段」に関する設問を追加した。
 よく利用するステーションの立地が自宅周辺または自宅の最寄り駅近くの場合に、「自転車」を利用する割合は14%と一定数いることが明らかとなった。また、これらの「自転車」ユーザーの総合満足度スコアは693ポイントで、「徒歩」ユーザー(668ポイント)より高いことが確認された。自転車でのアクセスが可能になることで、利用できるステーションや車種の選択肢が広がり、利便性が向上し、高い満足度につながっていると推察される。
 カーシェア事業者にとっては、駐輪によるトラブルや接触事故などのリスクを踏まえた安全対策に配慮しつつ、自転車でのアクセスの受け入れ態勢を整備することで、満足度の向上や商圏の拡大が期待できると考えられる。


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