インハウスセンター動向

〔2024/7/25〕コープさっぽろ、「自動電話注文ダイヤル」を全道に拡大

 生活協同組合コープさっぽろ(以下、コープさっぽろ)は、6月18日より一部地域での宅配システムトドックの自動音声ガイダンスによる注文受付サービスを行っていたが、この度7月29日よりさらに全道にサービスを拡大する。 
 現状、コールセンターでは、年間で約32万件の電話注文を受け付けている。このため、コールセンターオペレーターによる電話注文対応の負荷を軽減し、組合員からの問い合わせ対応にオペレーターがより多くの時間を割けるようにすることが必要となっていた。また、雪害時や災害時には入電数が増加し、組合員の電話注文の機会損失が発生していた。
 新サービスは、従来オペレーターが対応していた注文処理をIVRで無人対応できるようにしたもの。このサービス導入により、受付時間が長くなり、コールセンター営業時間外でも注文が可能となり、組合員の好きなタイミングでの注文が可能となる。混雑する時間帯の電話注文も待たせることなく「自動電話注文ダイヤル」で受け付けることができるようになる。また、注文は、電話のボタンのみで完結できるようになっており、組合員の手間をとられない。

〔2024/7/24〕PKSHA Communication、アニコム損害保険コンタクトセンターに業務高度化AI「PKSHA Speech Insight」を導入

 PKSHA Communication(本社:東京都文京区、佐藤哲也社長)は、アニコム損害保険と、オペレーター業務高度化AIアシスタント「PKSHA Speech Insight」の運用を開始したことを発表した。
 ペット保険の領域で15年連続シェアNo.1を誇るアニコム損害保険では、市場成長による契約件数の増加を背景に、コンタクトセンターにおける電話対応負荷の増加が課題となっていた。また、競争環境の激化に伴い、それらの効率化と同時に、応対品質を高めることによる顧客満足度向上と、コンタクトセンターに寄せられるお客様の声(以下、VoC)を新たなサービス改善に活用するための仕組みづくりも求められている。それらの複数課題を同時に実現できる手段としてコンタクトセンター業務高度化サービスである「PKSHA Speech Insight」の導入が決定された。
 PKSHA Speech Insightは、通話内容の自動書き起こしや要約技術により、受電後の処理を行うアフターコールワーク(以下、ACW)の負担を減らしたり、検索支援や通話のモニタリングにより通話品質を向上する他、VoCのデータ化が同時に実現でき、コンタクトセンターの課題を多角的に解決できるとし、1カ月半の検証を経て導入が決定された。
 今回、顧客応対品質の向上に向け、まずは効率的なオペレーションの実現が目指された。多岐にわたる業務の中でも、特に受電後のACWの負荷に着目し、処理時間を従来から37%程度削減することを目標に、検証に着手された。
 具体的には、ACW時の文字入力業務を、通話内容の自動書き起こし・要約機能の活用により効率化すること、顧客応対に必要な規約・約款等の情報検索を、書き起こし内容を活用したナレッジ検索により効率化することで時間の短縮が実現された。実証実験では、業務に適した要約精度も確認でき、当初目指していた37%以上の工数削減を実現した。
 まずは、運用を定着させ、中長期に活用することで効率化と電話の応答率向上を推進する。また、今後はコンタクトセンターの稼働状況やオペレーターの応対品質フィードバックを様々な視点でモニタリングできる「応対品質ダッシュボード」の運用組み込みを行い、更なる効率化と品質向上の実現を目指す。

〔2024/7/23〕NTTコム オンライン、「モバイルウェブ ビジュアルIVR」を西武・プリンスホテルズワールドワイドが採用

 NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション(本社:東京都品川区、塚本良江社長、以下、NTTコム オンライン)の提供する「モバイルウェブ ビジュアルIVR(以下、モバイルウェブ)」が、西武・プリンスホテルズワールドワイド(本社:東京都豊島区、金田佳季社長)の予約センター「お問合せポータルサイト」に採用された。
 西武・プリンスホテルズワールドワイドは、予約センターにおいて、宿泊予約のほかに、レストラン予約、忘れ物、運営する各ホテルの連絡先など、Webサイトで案内可能な問合せも多く対応していた。
 そのため、問合せが集中する繁忙期においても、顧客にはより快適に電話が繋がるシステム、また希望の窓口を音声以外でもスムーズに案内できるシステムを構築したいという課題を抱えていた。
 この課題に対してNTTコム オンラインは、問合せ時に顧客自身で解決することを目的としてモバイルウェブを提案し、採用された。モバイルウェブのビジュアルIVRは、オンライン完結できる問い合わせに対して、自動音声ガイダンスの選択に応じて顧客の携帯番号にSMSを送信し、スマートフォン上のメニュー選択から該当のWebページに誘導するとともに、リアルタイムに掲載情報を最新化することが可能となる。これにより、顧客の自己解決を促進し、オペレーターの応答率と客様満足度の向上が期待できる。

〔2024/7/16〕三井住友フィナンシャルグループ、アバター接客サービスのコールセンター業務における実証実験開始

 三井住友フィナンシャルグループ(以下、SMBC グループ)は、法人企業向けコールセンター業務の一部で、アバターによる接客サービスの実証実験を開始した。本実証実験を通じ、アバターを活用することにより、お客さま体験の向上と、従業員の働き方改善の両立が図れるかを検証する。
 法人企業向けの電話による商品やサービスの説明業務において、同意を頂いた一部の顧客に対し、AVITA (本社:東京都品川区、石黒浩社長)の人の見た目をアバターに変換するオンライン接客サービス「AVACOM」を使用して説明を実施する。親しみやすいアバターでの接客により顧客の被接客体験向上を目指すとともに、多様なバックグラウンドを有する従業員が、場所や他者からの見られ方に捉われることなく能力を発揮できる環境構築を目指す。
 SMBCグループは 2023年9月にAVITAとアバターや生成AIなどのAI技術を活用した協業に向けた検討を開始する旨の基本合意書を締結し、さまざまな業務・サービスにおける活用可能性を検討してきた。
 今回の実証実験の実施はその一環であり、今後、グループ内の他業務での更なる活用可能性を検討するとともに、一部の外部企業とも共同で実証実験を行っていく。SMBCグループとAVITAの両社は、アバターやAI技術を活用することで人と社会の新たな繋がりが生まれる温かみのある DXを推進し、社会全体の人材の有効活用実現を目指す。

〔2024/7/4〕ジェネシスクラウドサービス、カーニバル・ジャパンでGenesys Cloud導入を開始

 ジェネシスクラウドサービス(本社:東京都港区、ポール・伊藤・リッチー社長)は、米国ドラマにちなみ、「ラブ・ボート」の名で知られる世界で最も象徴的なクルーズ・ブランドであるプリンセス・クルーズのジャパンオフィスとして運営するカーニバル・ジャパンにてオール・イン・ワンのCCaaSSソリューション「Genesys Cloud CX」の導入・稼働が開始したことを発表した。
 カーニバル・ジャパンは、年間数百万人ものお客様を最も人気のデスティネーションへお連れし、夢のバケーションをお届けしているプリンセス・クルーズのジャパンオフィスとして2012年に設立した。就航12年目となる日本発着クルーズの運航を通じて、日本生まれの客船であるダイヤモンド・プリンセスで巡る一番身近な海外旅行の提案とともに、メダリオン・クラスによる顧客の要望に合わせたきめ細かいサービスで、質の高いクルーズ体験を提供している。同社のコンタクトセンターでは、プリンセス・クルーズ予約デスク、プリンセス・クルーズ・アプリのサポートデスクを運営している。顧客のニーズを汲み取った適切な提案を通じた予約やアプリ利用の際の顧客体験を向上していく上で、精度の高い入電数やオペレーターの応対品質のレポート機能や、プロダクティビティを可視化するための分析ツールを導入が必要だったことからコンタクトセンター基盤システムの選定を開始。コンタクトセンターシステムの機能とともに、日本におけるサポート体制とインターフェイスの使いやすさを重視しながら選定を進め、複数のシステムを比較した結果、Genesys Cloud CXを導入する運びとなった。
 Genesys Cloudを導入後、特に入電ボリュームやプロダクティビティを可視化できるようになったほか、オペレーターのクロススキルの管理が容易になった。この結果、レポートによってキューの混み状況を適切に把握し、エージェントのリソースを混雑状況に応じてより効率的に配分することなどが可能になり、業務効率化やCXの質向上における効果を実感している。さらに今後はマルチチャネルへの対応や、応対品質管理、アンケート調査の機能などの活用によって、さらに顧客体験の向上を目指していく。

〔2024/7/3〕トゥモロー・ネットの「CAT.AI」を東京ガスがコールセンター対応で採用ボイスとチャットの同時利用でAI対応完了率最大96%を達成

 トゥモロー・ネット(本社:東京都品川区、李昌珍社長)は、東京ガスが、コールセンター対応において顧客サービス向上と、特に引っ越しの繁忙期を中心に急務であった業務効率化を目的に、AIを活用した自動化システム「CAT.AI(キャット エーアイ)」を2024年2月に本格導入したことを発表した。
 東京ガスのコールセンターでは、繁忙期と閑散期の入電数の差が大きく、人材確保に苦慮する場面がある。引っ越しシーズンの3~4月には、多くの問い合わせが集中するため、コールセンターにかかる負担も大きく、顧客への対応品質向上のためにも、電話対応業務の効率化が課題となっていた。特に、問い合わせの約半数を占めるガス開閉栓手続きの自動化については数年にわたり検討を重ねていが、聴取内容やシステム連携の難易度が高く、これまで実現に至っていなかった。
 ガスの開閉栓対応には契約者名(漢字)やマンションなどの建物名の正確な聴取が求められる。そのため、チャットボット(テキスト)とボイスボット(音声)が1つのプラットフォームで同時に利用できる「CXマルチモードAI」を搭載した「CAT.AI」が採用された。CAT.AIは、音声とテキストを使ったナビゲーションのわかりやすさや、顧客の好みに応じた対応方法の選択が可能な柔軟性が評価された。
 CAT.AIのCXデザイナーチームが拘ったシナリオデザインでは、電話をしながらショートメッセージを開くという動作をスムーズに進める案内を追加し、住所の入力ではユーザーの方ができるだけ入力や選択に迷わないよう、入力や選択を分けて提示するようなステップを追加し、スムーズかつ違和感のないAIでの対応を実現した。また、音声案内の終了タイミングの選択を可能にする仕様に工夫することで、通話時間の短縮や通話料の負担軽減も実現した。その結果、2024年3月の繁忙期にはAI対応完了率が最大96%を達成した。

〔2024/7/2〕三井住友カード、コンタクトセンターでELYZAの生成AIの本番利用を開始

 三井住友カードと大規模言語モデル(LLM)の社会実装を進めるELYZA(本社:東京都文京区、曽根岡侑也社長)は、三井住友カードが運営するコンタクトセンターにおいて、ELYZAの提供する、検索拡張生成(RAG)技術を用いた生成AIの本番利用を開始したことを発表した。本生成AIの導入により、オペレーターの応対スピードの向上、ならびに問い合わせチャネルの強化を実現し、三井住友カードへの問い合わせをより便利に利用できるになる。
 2023年の消費全体に占めるキャッシュレス決済比率が39.3%と過去最高を更新した。キャッシュレス決済の普及拡大が続く中、三井住友カードでは2023年度の新規申込みが500万件(うち300万件がプロパーカードの申込み)を超えるなど、大変多くの顧客が利用している。こうしたなか、三井住友カードのコンタクトセンターには、利用に関する内容などをはじめ、月間約50万件を超える問い合わせがあり、対応品質と対応可能件数の向上が急務となっている。
 近年急速に進展する生成AIは、コンタクトセンターの業務高度化・効率化に寄与し、生成AIの活用によって、顧客対応品質の向上にも貢献する。ELYZAが提供する生成AIは、RAG技術などの高度活用が可能でありながら、独自のLLM活用基盤に支えられた堅牢な生成AIのため、セキュリティ基準の高いコンタクトセンターでもリスクを抑えながら活用できる点を評価し、導入に至った。
 本生成AIは、三井住友カードのコンタクトセンターに寄せられる問い合わせに対し、検索拡張生成(RAG)技術を活用して社内データを検索(探索AI)し、回答の草案を自動で生成(回答生成AI)するもの。2024年6月末よりコンタクトセンターのメール回答業務で利用を開始している。年内には同様の生成AIをチャットでの問い合わせにも展開予定で、その際には業務用アプリケーションにAPIで組み込みを行う想定。最終的には、オペレーターの生産性向上効果として、顧客からの問い合わせ対応にかかる時間が最大で60%程度短縮される見込み。なお、本生成AIはELYZAが開発するLLM実用化プラットフォーム「ELYZA App Platform」経由で提供される。


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