インハウスセンター動向
〔2024/10/29〕北國銀行、コンタクトセンター業務高度化AI「PKSHA Speech Insight」を導入
PKSHA Technology(以下、PKSHA)は、グループ会社であるPKSHA Communication(本社:東京都文京区、佐藤哲也社長)が、北國銀行とオペレーター業務高度化AIアシスタント「PKSHA Speech Insight」の運用を開始したことを発表した。PKSHA Communicationは「Weave Trust:企業と顧客の信頼を紡ぎ、コミュニケーションを”選ばれ続ける理由”へ」という事業ビジョンのもと、「AI Suite for Contact Center」の開発・提供を通じ、企業と顧客の複数のコミュニケーション接点の最適化を実現する。
北國銀行は「豊かな明日へ、信頼の架け橋を」を理念に、地域社会に寄り添ったサービスを提供している。コンタクトセンターには約120名のスタッフが在籍し、日々顧客対応を行っているが、銀行店舗の統廃合による非対面業務の増加、デジタル化やキャッシュレス化の進展に伴い、お客様ニーズの多様化が進んでいる。その結果、問合せ件数の増加や、応対内容の複雑化により、スタッフの負担が課題となっていた。
このような背景から、1件あたりのオペレーターの応対業務や、スーパーバイザー(SV)の業務を効率化し、スタッフの負担を軽減するために、コンタクトセンター業務高度化に特化した、PKSHA Speech Insightを導入することが決定された。導入にあたり、プロダクトの精度に加え、PKSHAグループの開発力による個別カスタマイズにより、中長期的な連携・改善を見据えられる点も、導入の決め手となった。
導入にあたり、北國銀行の本社、各拠点、自宅などさまざまな環境で顧客対応をするオペレーターが不安なく顧客対応ができる環境づくりを重視した。
これまでは、多岐にわたるサービスについて、電話応対と同時に、手元でメモを取り、情報を調べながら対応することが常態化していた。
このプロダクトの導入により手書きメモの必要がなくなり、より顧客との対話に集中できるようになることで、不必要な聞き返しや、質問の重複なども避けることができるようになった。さらに、書き起こし内容をリアルタイムでSVが見守ることができ、かつ特定の要因によってアラートが出る仕組みになっているため、クレームやトラブルを早期に発見し、サポートに入ることが可能になった。PKSHA Speech Insightの活用により、オペレーターにとっては安心感をもって顧客対応ができ、SVや組織にとってはクレームを未然に防止することができ、顧客にとってはより高品質な対応が受けられる、それぞれの関係者にとってよりよいコンタクトセンター体制を構築することができた。また、対応内容が可視化されることで、オペレーター自身がより丁寧な日本語を話すよう意識したり、顧客にとってより伝わりやすい話し方について考えるなど、自身の応対について振り返るきっかけとなったという副次的効果もあった。
対話内容の可視化により、オペレーター自身の応対改善やSVによる教育など顧客応対の向上に継続して取り組むとともに、更なるオペレーター支援業務の効率化を目指し、将来的には、「PKSHA FAQ」に登録されているQ&Aと連携させて、よりスムーズにオペレーターがナレッジを確認できる環境を整備する。
また、お客様の声を活かしたサービス改善活動を強化する。これまでは問合せ内容の蓄積がオペレーターに依存しており、改善につなげにくいという課題があった。
本プロダクトの機能により、お客様の声を分析に必要な粒度・精度で効率的に蓄積しデータ利活用が容易になることで、お客様の声を起点とした商品サービスの改善や顧客体験の向上につなげることを視野に入れている。
〔2024/10/29〕トゥモロー・ネット、AI自動化システム「CAT.AI CX-Bot」をダイキン工業がエアコンの修理受付やトラブル時の問い合わせ対応で採用
トゥモロー・ネット(本社:東京都品川区、李昌珍社長)は、ダイキン工業が、エアコンの修理受付やトラブル時の問い合わせで、コールセンター業務の効率化および顧客サービスの向上を目的に、AIを活用した自動化システム「CAT.AI CX-Bot」を導入したことを発表した。ダイキンでは、2023年6月からCX-Botを運用開始し、AI対応完了率96%を達成した。
売上高世界No.1を誇る空調機器メーカーのダイキンでは、空調に関するあらゆる困りごとへのサポートに取り組んでおり、コールセンターへの問い合わせ件数は年間180万件にのぼる。なかでも、国内トップシェアを誇るエアコンに関する修理受付やトラブル時の対応といった問い合わせは、冷房を使い始める夏前の6月頃から夏(7月~8月)にかけて特に集中する傾向にある。これまでは人による対応が中心であったが、近年の酷暑による需要拡大や繁忙期にあわせた人材確保が課題となり、センターの安定運営による顧客満足度の向上と業務効率化を目指し、AIを活用した自動化ツールの検討を開始した。
エアコンの修理受付やトラブル対応の問い合わせでは、住所や氏名の聴取に加え、故障部分や状態の確認を行う必要があり、音声だけのやり取りでは、ユーザーが情報・状態を正確に伝えることに苦労する場合があった。CX-Botでは、チャットボット(テキスト)とボイスボット(音声)を1つのプラットフォームで同時に利用することができるため、言葉で説明が難しいものやユーザー側で該当する選択肢が思いつかない場合は、テキストチャット内で、ボタン形式で回答を誘導することが可能。利用者のニーズに対する対応範囲の広さが評価され、今回の採用に至った。また、AIでも話のスピードや自然さといった、人と会話しているようなスムーズなコミュニケーションができる点も高い評価を受けた。
幅広い年齢層から問い合わせがあることから、高齢の方に対しても負担をかけずに必要な情報を聴取できるシナリオ構築を心がけた。音声のみで複数の情報を聴取するのは難しいため、AIの1回の発話につき1つの情報だけ聴取することや、「〇〇のようにお話ください」のような発話例を入れ、初めてボイスボットを使う方でも使いやすいシナリオ設計にこだわった。さらに、ボイスボットとチャットボットなど機能を併用する際には、簡単な質問はボタン形式で回答できる設計で入力の手間を省き、ユーザーの負担軽減を行いスムーズに利用できるように努めた。
〔2024/10/29〕Stand Technologies、シーデーシー情報システムの自治体のコールセンター音声ガイダンスにAI音声サービス「Voice Space」を活用
Stand Technologies(本社:東京都渋谷区、河合真吾社長・中川 綾太郎社長)は、AI音声サービス「Voice Space」を、シーデーシー情報システム(本社:千葉県千葉市、音田昌利社長)に、自治体のコールセンター音声ガイダンスを目的として、活用を開始したことを発表した。
Voice Spaceは、最先端のAI技術を使用した「テキスト読み上げ機能」と「ボイスチェンジ機能」を利用することができ、声を使った制作の効率化を実現できる音声AIサービス。
テキスト読み上げ機能では、200以上の豊富な音声モデルの中からイメージにあった声を選ぶことができ、日本語の自然なイントネーションでAI音声を生成することができる。併せて、日本語テキストを外国語に翻訳して読み上げる「翻訳・読み上げ機能」も54カ国語対応で提供している。
ボイスチェンジ機能は、あなたの声をAI音声モデルの声に変換できる機能。性別年齢を問わず誰でも自身の音声ファイルをアップロードすることで、簡単に音声変換を実現できる。最新の技術を活用し、日本語を話すときのイントネーションを考慮した自然な音声生成にも対応しているため、表現豊かなAI音声が生成可能(オリジナル音声モデル制作も可能)。
〔2024/10/24〕ビッグローブ、Google CloudのAI技術を活用し次世代カスタマーサポートプラットフォームを構築
ビッグローブ(本社:東京都品川区、山田靖久社長、以下、BIGLOBE)は、顧客満足度向上に向けた取り組みの一環としてグーグル・クラウド・ジャパンと協力して、Google Cloudの生成AIを活用した次世代カスタマーサポートプラットフォームを構築すると発表した。
なお本日10月24日から、コールセンターの問い合わせ対応支援を目的としたリアルタイムAI分析を開始し、顧客の待ち時間短縮やオペレーターの業務負荷軽減の両立を実現していく。
AIを活用したBIGLOBEの次世代カスタマーサポートプラットフォームの特長は以下の通り。
1.問い合わせ対応支援で待ち時間を短縮(10月24日より運用開始)
コールセンターの待ち時間短縮を目指し、10月24日より新しいシステムを導入した。このシステムは、顧客からの問い合わせ内容に適した回答や対応策を、AIが大量の対応マニュアルやFAQから瞬時に作成し、オペレーターをサポートする。
これにより、オペレーターが顧客と話しながらマニュアルや情報を探す時間が減り、必要な情報をより早く正確に見つけることができるようになった。結果として、顧客の待ち時間が短縮され、オペレーターの負担も軽減される。
事前検証の結果では、現場のオペレーターの約7割がAIの提供する回答に満足しているという声が寄せられている。この新しいシステムにより、より迅速で正確なお客さまサービスの提供を目指す。
2.チャットボットの回答チェック機能で正答率を向上(運用中)
顧客へのチャットボット回答の正確性を向上させるため、AIを活用した自動チェックシステムを導入した。従来は問い合わせ履歴の一部を人手でランダムに抽出し、質問内容と回答内容に間違いがないか目視で確認していたが、この方法では時間と手間がかかり、また判断が恣意的になるという課題があった。
自動チェックシステムは従来の目視確認と約9割の一致率を示し、信頼性が確保されている。これにより、チャットボットの回答内容を効率的かつ公平な判断で確認できるようになり、人手による確認作業が不要となった。
本システム導入に伴い、従来の目視確認作業を省略し、その時間をチャットボットの学習強化や改善に充てられるようになったため、顧客への回答の正確性が向上し、サービス品質の向上につながっている。
〔2024/10/23〕MJS、生成AI活用の問い合わせ対応システムを開発、10月よりカスタマーサポート部門で利用を開始
財務・会計システムおよび経営情報サービスを開発・販売するミロク情報サービス(本社:東京都新宿区、是枝周樹社長、以下、MJS)は、生成AI(ChatGPT)を活用した問い合わせ対応システム「MJS BOT(仮称)」(以下、MJSBOT)を独自開発し、2024年10月よりMJSのカスタマーサポート部門で利用を開始した。
MJSBOTは、MJSのカスタマーサポート部門のスタッフが入力した質問に対し、RAG技術を用いてマニュアルやFAQ、過去の問い合わせ履歴など、これまでに蓄積された膨大な文書から関連性の高い情報を検索し、適切な回答を生成することができるAI問い合わせ対応システム。生成された回答に対して、スタッフが回答精度に関する評価や回答で間違っている部分の指摘を入力できる機能を実装しており、その結果を分析し対策を実施することで、継続的な精度向上を可能とする。さらに、日々発生している問い合わせ履歴などの文書は毎日MJSBOTへ自動的に取り込む仕組みを実現しているため、人の手を介さずに日に日に回答できる範囲が広がり、回答精度が改善される特徴を持つ。
また、Microsoft社のAzure OpenAI Serviceを採用し、プライベートなネットワーク環境で使用するため外部からアクセスはできず、社内情報が外部へ漏えいしない安全な環境で使用している。
MJSは、会計事務所と企業のユーザー向けに、システムの操作方法や障害などの問い合わせに対応するカスタマーサポート部門を有し、年間42万件を超える問い合わせに対応しており、顧客がいつでも安心してMJSのシステムを利用できる体制を構築している。
今回、カスタマーサポート部門へMJSBOTを導入することで、さらなる問い合わせ業務の効率化を図るとともに、回答の迅速化、品質向上と平準化によるカスタマーサポート窓口の満足度向上を目指す。また、今後は、顧客が直接MJSBOTに質問を入力し、自己解決できるようにするなどシステム活用の幅を広げよりスムーズな問題解決を目指すなど、顧客への付加価値向上に向け取り組んでいく。
〔2024/10/22〕ビーウィズ、JR九州が問い合わせ窓口でクラウドPBX・コールセンターシステム「Omnia LINK」を導入
ビーウィズは、九州旅客鉄道(以下、JR九州)において、同社が提供するクラウドPBX・コールセンターシステム「Omnia LINK」が導入されたことを発表した。
九州地域において鉄道事業をはじめ、さまざまな事業を展開しているJR九州。同社のコールセンターに寄せられる問い合わせは、運行情報の確認、インターネット列車予約やEXアプリの操作、遺失物のご相談、介助依頼など、多岐に渡る。2024年6月からは、駅への問い合せもコールセンターに集約しており、JR九州の顧客満足を支える上で、コールセンターは重要なタッチポイントのひとつ。
JR九州では、従来利用されていたコールセンターシステムのレポート機能が複雑すぎるために、稼働状況やVOCの分析が思うようにいかず、解決策を模索されていた。また、管理者が通話の途中からでも適切に状況を把握できる「リアルタイムでのテキストモニタリング」や、必要とされる業務知識が幅広いことから生じがちな「オペレーターのスキル差」を埋めるための支援機能、さらには、台風などの際に在宅勤務を可能とする機能を求めていた。
JR九州では、2022年より新システムの導入に向けて検討を開始。約5社のシステムを比較検討した中から、リアルタイムでのテキストモニタリングや、応対スキルの標準化、VOCの分析といった課題を解決するための機能を網羅していたOmnia LINKが選ばれた。JR九州は、福岡・天神や横浜にあるビーウィズのコールセンターを見学し、在宅オペレーターが電話応対する様子も映像で確認された。JR九州の担当者は「自分たちが将来実現したい姿をイメージできた」と話す。
JR九州では、2024年3月よりOmnia LINKの利用を開始された。オペレーターの通話内容がリアルタイムにテキスト化されることで、管理者はオペレーターの通話内容をテキストでモニタリング可能になり、業務効率が向上している。また、生成AIによる自動要約機能により、後処理時間の短縮も実現。そして応対内容のテキスト化により、今後のVOC活用への足掛かりができた。
レポート機能についても、通話時間や後処理時間といったデータの可視化が実現したことで、今後の業務改善やオペレーターへの支援策に活用していく道筋ができた。また、在宅コールセンターの実現に向けた取り組みも開始。JR九州の担当者は「将来は、どこからでもオペレーターが電話を取れるようにしたい」と話す。
〔2024/10/21〕JALカード コンタクトセンター、通訳サービス(英語)を開始
JALカード(本社:東京都品川区、西畑智博社長)は、「JALカード コンタクトセンター」にてテレコメディア(本社:東京都豊島区、橋本力哉社長)が提供する「多言語コンタクトセンター」の通訳サービスを導入した。外国人の顧客がより安心してお問い合わせいただけるコンタクトセンターを目指す。
このたび多言語(英語)での対応を希望する顧客に対し、顧客・JALカード・通訳者の3者間の同時通話が可能となるサービスの導入をすることにした。これにより、日本語に不安を感じる顧客でも、安心して問い合わせできる。