インハウスセンター動向

〔2024/3/29〕インテック、TSUBASAアライアンス参加4行にAmazon Connectと連携したコールセンターサービスを導入

 インテックは、TSUBASAアライアンスの参加行である千葉銀行、第四北越銀行、中国銀行、北洋銀行に、Amazon Connectと連携した「fcube」のコールセンターサービスを導入したことを発表した。
 本サービスでは、Amazon Connect Contact LensのAIを活用した音声通話のテキスト化や感情分析に対応し、コールセンター業務の高度化を推進する。
 今回コールセンターサービスを導入した4行では、現行のコールセンターシステムの保守期限到来に伴い、今後の営業戦略において、重要な顧客接点と位置付けるコールセンターの将来的な機能拡張を見据えた、新たなシステムの導入を検討していた。
 そこで、クラウドサービスの拡張性と柔軟性を有するAmazon Connectに着目し、金融機関でAmazon Connectとの連携実績を有するインテックのコールセンターサービスの導入を決定した。今回の決定においては、4行が既に導入しているインテックのCRMサービスと、リアルタイムにシステム連携が可能である点も評価のポイントとなっている。
 Amazon Connect Contact LensのAIによる会話分析では、顧客との会話の文字起こしや顧客の感情分析などが行える。これらのデータを蓄積し、分析することで、顧客満足度の向上やコールセンター業務の高度化を実現できる。今後は、生成AIを活用した機能拡張も検討していく。
 インテックは、これまで多くの金融機関へのコールセンターシステムの導入実績を有し、金融機関が求めるサービス要求を熟知している。この知見をもとに、インテックのサービスは、金融機関のコールセンター運営に必要な機能を標準で実装し、スムーズな導入が可能。
 また、金融機関がクラウドサービスを利用する際に求めるセキュリティなどのシステム要件にも対応し、ネットワークやシステム運用保守などトータルサービスとして提供することで、システム構築、運用に伴う負荷を大幅に削減する。
 Amazon Connectは、AIと機械学習の機能を含むオールインワンのクラウドコンタクトセンター。顧客にて専用設備の保有や前払いのライセンスなどが不要の従量制料金のサービスであり、コールセンター運用の変更や拡張にも柔軟に対応できる。また、継続的に機能改善のリリースをしており、将来にわたって利便性の向上が期待できる。
 インテックのコールセンターサービスも、進化を続けるAmazon Connectと連携し、金融機関のCX変革を支援するための継続的な機能拡張を行う。
 fcubeのコールセンターサービスは、金融機関がコールセンターを「コンタクトセンター(重要な顧客接点チャネル)」として、より金融機関の施策に活用できるよう機能強化を行っていく。従来の電話に加え、メール、SMSでのメッセージやチャット(有人/チャットボット)など、顧客とのコミュニケーション手段の多様化に対応する。また、サービス内に蓄積した音声通話のテキスト化データや感情分析データを活用し、AIによる顧客対応支援に向けた取り組みにも着手している。
 インテックは、豊富な業務ノウハウやネットワーク・セキュリティ技術をもとに、金融機関向けに営業生産性向上につながるサービスを拡充し、行内業務のDX化や金融機関が抱える顧客の課題解決を支援する。

〔2024/3/25〕LIXILで利用中のコールセンターCRM「インスピーリ」で顧客との通話内容の要約が閲覧可能に

 バーチャレクス・コンサルティング(本社:東京都港区、丸山勇人社長、以下、バーチャレクス)は、2021年10月よりLIXIL(本社:東京都江東区、瀬戸欣哉社長)にコールセンターCRM「inspirX(以下、インスピーリ)」を提供している。この度、LIXILが利用するジェネシスクラウドサービスのクラウド型コンタクトセンターソリューション「Genesys Cloud」から自動音声を取得、エーアイスクエアの「AI2 ASR」で音声認識し、さらに「QuickSummary2.0」で要約した内容をコールセンターのCRMであるインスピーリに連携、顧客との通話内容の要約が閲覧できるようになった。
 ここに至る経緯として、LIXILとエーアイスクエアは要約精度の確認や業務への適用効果の試算、ChatGPTを利用する際のリスクや業務適用における課題を洗い出す実証実験を2023年6月から実施、要約精度や処理速度、費用対効果など、業務適用における条件をクリアした上で本番運用を行っている。
 この3社製品の連携によって電話応対後の後処理業務は不要となり、LIXILのコールセンターにおいて約30%の生産性向上を実現している。
 また、QuickSummary2.0とインスピーリがともにアマゾン ウェブ サービス(AWS)をサーバとして利用しているため、AWSの提供するツールを活用することでよりスムーズな連携が行えた。さらに、要約された通話内容はインスピーリに取り込む際、パラメータによって取り込む情報が決められており、個人が特定される内容は削除されているためセキュリティ上の安全性も担保されている。
 バーチャレクス、エーアイスクエア、ジェネシスクラウドサービスはそれぞれ、これまでも多くのコールセンター現場運営に携わってきた。各社の知見や経験をもとに、今後も協力の上テクノロジーの活用による顧客満足度の向上と業務効率化を支援していく。

〔2024/3/18〕ソフトバンク、日本マイクロソフトとの共同開発により、生成AIでコールセンター業務の自動化を加速

 ソフトバンクは、生成AIを活用してコールセンター業務の自動化をさらに加速することを目指し、新たに日本マイクロソフトと共同開発を開始する。2024年7月以降、ソフトバンクの自社のコールセンターに順次導入し、既存業務の自動化を拡大していく。生成AIの活用により、顧客の待ち時間の短縮と対応の均質化を図り、顧客満足度の向上を目指す。
 ソフトバンクは、2023年2月に生成AIの業務利用を開始するなど、事業や社内業務への先端テクノロジーの導入を積極的に推進している。コールセンターでも、すでに生成AIの活用を試験的に開始しており、顧客の利便性向上に取り組んできた。こうした中、定型業務が比較的多く、顧客対応などでさまざまな情報を参照するコールセンター業務においては、生成AIによるさらなる自動化の余地があると判断し、日本マイクロソフトの「Azure OpenAI Service」を活用し、生成AIを最大限に活用した最先端のコールセンターの構築を目指すことになった。生成AIを活用することで、顧客の待ち時間を短縮し、より均質な顧客対応の実現を図る。
 ソフトバンクのコールセンターでは、各種サービスのさまざまな問い合わせに対応しており、1万以上の業務が存在する。このうち問い合わせ内容に対する案内や契約内容の照会、契約変更手続きなどの業務を中心に、生成AIを活用していく。具体的には、LLM(Large Language Models:大規模言語モデル)が顧客の問い合わせ内容を判断して案内を行ったり、データソースから情報を収集したりして、最適な回答を行う。
 顧客からの問い合わせに対して、LLMがインテント(検索意図)分類し、決められた順序と固定化されたスクリプトで対応する従来のフロー追従型ではなく、顧客との会話内容に応じて、LLMが必要な機能やデータソースを参照するLLM自律思考型のシステムを開発することで、柔軟かつ高精度な顧客対応を目指す。
 さらに、対応精度の高度化に向けて、ソフトバンクが提供するさまざまなサービス内容やオペレーターの対応パターンなどの大量の情報を基にプロンプティングを行う他、Azure AI Searchを活用してRAGでの連携を行い、社内で保有するデータベースを参照し、顧客への最適な回答をスピーディーに導き出す。
 ソフトバンクは今後、効果検証の結果を踏まえ、ソリューション化および法人顧客向けの提供も検討していく。

〔2024/3/4〕PKSHA Technology、業界初、アート引越センターが「PKSHA Voicebot」を導入

 PKSHA Technology(本社:東京都文京区、上野山勝也社長、以下、PKSHA)は、グループ会社であるPKSHA Communication(本社:東京都文京区、佐藤哲也社長)が、アート引越センター(本社:大阪府大阪市、寺田政登社長)において、電話対応を効率化するために、深層学習と自然言語処理 (NLP) を活用したAIボイスボット「PKSHA Voicebot」を2024年2月より導入したことを発表した。
 アート引越センターは創業以来、引越をサービス業として発展させてきた引越専業者として、業界でもトップクラスのシェアを誇る。年間多くの利用者がいる中、顧客との最初の接点窓口としてコールセンターを設け、月間数万件の問合せに対応している。
 コールセンターに電話で寄せられる問合せは、新規の問合せや、成約済みの顧客からの引越手続きに関する問合せなど、顧客の利用段階によって多岐にわたることからコールセンターにかかる負担も大きく、顧客への対応品質向上のためにも電話対応業務の効率化が課題となっていた。
 アート引越センターではデジタルツールの積極的な活用により、サービスの品質向上を目指すDX戦略を推進しており、この施策の一環として、電話問合わせ対応工数の削減を目指し、音声対応をAIにより自動化するPKSHA Voicebotの導入が決定された。
 AIボイスボットを導入するにあたり、まずは成約済みの顧客から特に多い問合せ内容の自動化対応を対象とした。一次受付では、AIボイスボットが個人の特定と依頼詳細のヒアリングを行い、問合せ内容を担当部門に自動でメールを送付し、担当部門はその内容を元にお客様対応を行う。10日間にわたり試験的な導入を行ったところ、問合せの30%の対応をAIボイスボットが代替、電話を取ることができない「あふれ呼」を30%削減といった成果を実現することができた。顧客の要望にお待たせすることなく対応でき、お客様対応の品質向上にも繋がると判断されたことから、全国のコールセンターでの本導入
が決定された。

〔2024/2/23〕富士山の銘水、プロジェクト・モードの「NotePM」の導入でコールセンターでのエスカレーション工数3割減に成功

 プロジェクト・モード(本社:神奈川県川崎市、小澤卓馬社長)は、同社が提供する、マニュアル作成・ナレッジ管理ツール「NotePM」が宅配水業界大手の富士山の銘水(本社:山梨県富士吉田市、粟井英朗社長)の情報共有ツールとして導入された。対応工数や業務ミスの削減、確実な情報周知に貢献している。
 同社ではNotePM導入前、オペレーター80~90人が所属するコールセンター全体に、社内の最新情報が行き届いていないという課題を抱えていた。従来は無料の情報管理ツールを社内システムとして利用していたものの、情報の更新がわかりづらかったり、必要以上の情報がヒットしてスムーズに情報を見つけにくかったりという問題が発生していた。
 また、同部門では1日に平均で5~10件ほどの情報更新があるにもかかわらず、最新の情報を把握しづらかったため、顧客を待たせてしまうよりは上司に聞いた方が良いという判断から、電話対応10件中、5件ほどエスカレーションが発生していた。しかし、従来のツールを利用し始めて4年ほど経ったタイミングで限界を感じ、wikiツールの導入を検討するようになった。
 オペレーター自身で必要な情報を見つけられるようになり、エスカレーション件数もNotePM導入前と比べて3割減少したことで、エスカレーション回答を担当する管理者の工数削減につながった。また、「このページを見た人」機能によってオペレーターが情報を確認したか把握できるため、共有情報の管理がしやすくなるという副次的な効果もあった。
 NotePMは、マニュアルやノウハウを簡単に投稿でき、強力な検索機能で欲しい情報をすぐ見つけられるサービス。マニュアル、手順書、業務ノウハウ、社内FAQ、日報・議事録など、何度も検索するような、ストック型の情報管理に最適。

〔2024/2/22〕ピーディーアール、Genesys Cloudの導入により高品質な顧客エクスペリエンスの提供を実現

 ジェネシスクラウドサービス(本社:東京都港区、ポール・伊藤・リッチー社長)は、ピーディーアール(本社:愛知県名古屋市、仲谷公司社長)のコンタクトセンターにおいてGenesys Cloudの導入・稼働が開始したことを発表した。
 ピーディーアール(以下、P.D.R.)は、歯科材料・歯科用医療機器に特化した輸入・通信販売商社で、日本全国の顧客との取引実績があり、ダイヤモンドバー、マスク、グローブ、紙コップから石膏まで、幅広い歯科材料・歯科用医療機器を「安心・安全」をモットーに顧客のもとへ届けしている。コンタクトセンターは、商品の電話注文に加え、商品に関する問い合わせや、オンラインショップのサポートなど、幅広い顧客対応を行っている。今回のGenesys Cloudへの移行は、コンタクトセンター業務の強化を目的としたものであった。複数のクラウドのコンタクトセンター・ソリューションを比較検討した結果、機能、コスト、導入実績、そして将来性とともに、ジェネシスの担当者による迅速な対応と充実したサポートを評価し、Genesys Cloudの導入を決定した。導入決定から1カ月半という短期間で、システムの構築を完了し、運用を開始している。
 Genesys Cloud導入後は、通話の音質が大幅に改善され、顧客体験が向上するとともに、レポーティング機能が充実したことで、センターのパフォーマンスがより正確に可視化できるようになった。その結果、サービスレベルを維持しながらシフトを平準化するなど、コールセンターの運営効率が大きく向上した。今後は、SMS対応やコールバック機能、スクリプト機能などの利用を開始することで、さらに運営効率の向上を図っていく予定。

〔2024/2/21〕エーアイスクエア、auじぶん銀行のコンタクトセンターに「QuickSummary2.0」を導入

 AIを活用した各種ITサービスとコンサルティングを提供するエーアイスクエア(本社:東京都千代田区、石田正樹社長)は、auじぶん銀行のコンタクトセンターにおいて、生成要約サービス「QuickSummary2.0」が採用されたことを発表した。
 auじぶん銀行のCS/CX戦略では、「品質の追求」「効率化の推進」「従業員満足の向上」の3つの重点テーマを掲げて、コンタクトセンターの改善活動を日々行っている。今回、VOC分析の高度化、後処理時間削減、KCS(Knowledge-Centered Service)の高度化を目的としてQuickSummary2.0が採用された。
 エーアイスクエアは、生成要約サービス「QuickSummary2.0」に加え、音声認識サービス「AI2ASR」も合わせて提供する。クラウドコンタクトセンターソリューション「Amazon Connect」と連携し、リアルタイムに取得した音声データから音声認識~要約を行う。
 AI2ASRは、OpenAI社がオープンソースで提供する音声認識エンジン「Whisper」を独自にカスタムし、同社クラウド環境上で提供している。ストリーミングデータを同時並列処理することでスケーラビリティを確保し、また、「Whisper」の認識精度向上のため、エーアイスクエア独自のAIモデルによる不要な発話の出力制御や、単語辞書による誤認識単語の補正処理を行っている。
 QuickSummary2.0は、エーアイスクエアが独自に開発したAIモデルと ChatGPTによる生成要約を組み合わせたコンタクトセンター向け要約サービスで、目的に応じた要約結果をオペレータが選択して表示できる機能を有している。


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