〔2026/5/27〕カラクリがボイス事業へ参入、アウトカム課金型ボイスエージェントを発表
カラクリ(本社:東京都中央区、小田志門社長)は、コンタクトセンター・CX領域に特化したAIソリューションの提供実績をもとに、ボイス事業へ参入することを発表した。
新製品「KARAKURI voice agent」は、電話対応の一次応答に留まらず、通話後の後続業務(CRM連携・申請作成・チケット起票・メール送信など)までAIが自動完結させる設計を特徴とする。さらに業務の完結件数を課金対象とするアウトカム課金モデルの実証を進めており、現在、デザインパートナー企業を募集中。
近年、コールセンターの自動化手段としてボイスボットの普及が進む一方、現場の「つながりにくさ」は深刻化している。コールセンター白書2025によると、市場の平均放棄呼率は12.2%(3年連続で悪化)に上昇、通話後の事務処理時間(ACW)も平均6分に長期化しており、自動化の裏で応対体制の維持が深刻な課題となっている。
この「効率化の形骸化」を招いている要因は、大きく2つある。
機能の限界(部分最適の壁): 従来の自動化は「受付やFAQ応答」などの初期対応に留まり、通話後のシステム入力といった後処理は依然としてオペレーターの手作業に依存しているため、全体の業務負荷を削減できていない。
ビジネスモデルの矛盾(利害の相反): 従来のボイスボットは「通話時間」や「応答件数」に応じた従量課金モデルが主流。そのため、問題が解決せず再入電や有人転送が増えるほどベンダーが潤い、効率化(人が対応する件数の削減)が進むほどベンダーが減収になるという「インセンティブのねじれ」が長年埋め込まれていた。
企業が真に求める「無人完結による対応コストの削減」を実現するには、この構造そのものを変革する必要がある。そこで同社は、ベンダーと企業の利害を一致させ、真の業務効率化とコスト削減にコミットすべく、「成果報酬型」のボイスエージェントを開発した。
「KARAKURI voice agent」は、電話対応から後続の業務処理までを一貫して自動化するAIボイスエージェント。通話件数を増やすことではなく、人が対応しなければならない件数を減らすことを目的に設計されている。
製品は3段階の深度設計を採用している。
・Level1(FAQ応答):一般的な問い合わせに即時回答
・Level2(ヒアリング+後続処理):返品・交換受付や定期便変更・停止といった申請系業務をヒアリングから処理実行まで一貫して自動化する。本人確認をふくむ情報収集からCRMへのデータ連携、申請書類の自動作成、社内チケットの起票、確認メールの送信までを担う。
・Level3(リアルタイム認証+処理実行):将来的には、通話中のリアルタイム本人確認を伴う高度な処理の実行を想定している。
対象業界:EC・通販、会員制サービス、金融、保険など、手続きや個別対応の電話が多い大規模コンタクトセンターを主なターゲットとしている。返品・交換受付、定期便の変更・停止、注文内容確認、各種申請受付など、「ヒアリングのあとに社内手続きが発生する」業務との親和性が高い製品。
カラクリは、KARAKURI voice agentの課金モデルとして「業務が自動完結した件数に応じて費用が発生する」成果連動型課金(アウトカム課金)の実用化を進めている。
音声AIを活用した顧客対応サービスは欧米でも広がりをみせており、米国のSierraや英国のPolyAIなど複数のスタートアップが展開している。ただし、これらはいずれも「電話・チャットへの自動応答」が主軸であり、通話後に発生する社内手続き(顧客情報の更新・書類作成・部門間の連絡など)まで含めて一括で自動化する設計は限定的。「電話対応から後続の社内手続きまで一貫して自動化し、完結件数に応じて課金する」モデルは、国内では先駆けた取り組みとなる。
現在、複数の企業と共同で実証・モデル構築を進めており、「何をもって業務完結とみなすか」の定義・計測方法の確立と、課金モデルの妥当性検証を行っている。商用リリースの時期については、実証の進捗をもとに改めて発表する予定。