〔2022/5/10〕バーチャレクス・コンサルティング、2022年カスタマーサクセスに関する実態調査結果を発表

 バーチャレクス・コンサルティングは、カスタマーサクセスに関する実態調査を実施した。この調査は2019年から毎年行っており、今回で4回目となる。
 全国の20歳から65歳までの有職者24,061人を対象に、「カスタマーサクセスという言葉を聞いたことがありますか?」と尋ねたところ、「聞いたことがある」と回答した人は全体の16.6%と、昨年の18.0%から減少する結果となった。カスタマーサクセスという言葉を聞いた事がないという人は4年連続8割を超えている。
 また「聞いた事がある」人の中で、カスタマーサクセスとは何かを理解している人の割合は、今回の対象者全体のわずか2.6%となり、過去4年で一番低い理解率という結果となった。経年で見ると「多少理解している/少し知っている」人の割合は毎年微増しており、またカスタマーサクセスという言葉は聞いた事あるものの、それが何かは全く知らないという人の割合は1.9%と、これまでで一番少ないという結果になった。
 カスタマ―サクセスという言葉に出会う機会があった人のほとんどは、それがどういうものか多少なりとも知識があるものの、正しく理解していると言えるレベルには達しておらず、まだまだカスタマーサクセスへの理解が浸透していないことが伺える結果となった。また、「カスタマーサクセス元年」と言われた2018年から数年経過しているにもかかわらず、その言葉すら聞いた事がない人が8割以上を占める状態が続いており、情報感度レベルの二極化が明確に表れてしまった結果と言える。なお対象者の役職別でデータを見ると、どの層も昨年と比較して「カスタマーサクセスという言葉を聞いた事がある」と回答した人が減少している中、唯一「本部長・事業部長」の層のみこの割合が3.8%上昇している。昨年の調査においてもこの層の感度が一番高いという結果が出ており、事業の数字を背負う立場であるため、カスタマーサクセスの必要性・重要性に触れる機会が社内においても多い方であるポジションであることがわかる。
 次に、カスタマーサクセスという言葉を認知している3,530人に対して、「勤務先でカスタマーサクセスに取り組んでいる部署、または担当者がある/いるか」と尋ねたところ、部署がある/担当者がいると答えた人は49.1%で昨年からわずかに減少、また取り組みの予定がある人、取り組みの必要を感じている人についても減少しており、「取り組みの必要性を感じていない」と答えた人が増加するという結果になった。
 この結果を回答者の勤務先従業員規模別に見てみると、「取り組んでいる部署、または担当者がいる」と回答した割合について、5,000~9,999人規模の企業では7.7%、500人~999人規模の企業ではわずかながら0.9%、昨年より増加している。全体の割合としては従業員数が多い企業ほどカスタマ―サクセスの取り組みが進んでいて、少ない企業ほど進んでおらず、かつ必要性も感じていなという傾向は昨年とあまり変わらない。
 さらに勤務先企業資本別でカスタマーサクセス取り組み状況を見てみると、外資系企業に勤務している人で社内取り組みがあると回答した人は昨年よりやや減少しているが、それでも8割以上が「カスタマーサクセスの部署がある/担当者がいる」結果となった。また「必要性を感じている」と回答した人とともに「必要性を感じない」と答えた人も増加している。日系企業においては、外資系企業と比較してもまだ割合は低いものの、社内取り組みありと答えた人は昨年より増加、50%を越えた。少しずつではあるものの、日系企業の中でカスタマーサクセスに取り組む企業が増えてきていることがわかる。
 なお、カスタマーサクセスを社内で取り組んでいると答えた人のうち、回答者自身が「カスタマーサクセスを担当している/取り組みに関わっている」という人の役職内訳を見てみると、「一般社員」が22.4%と一番多いものの、次に多かったのが「会長・社長・経営者・CEO」で15.5%と、企業のトップの人たちが自らカスタマ―サクセスに取り組んでいるケースも多いことがわかった。全体を見ても、決裁権を持つ役職者の人でカスタマーサクセスに関わっている人は意外にも多いということがわかる。
 毎年定点で行っている本調査において、カスタマーサクセスへの認知・理解や取り組み意向など、さまざまなセグメントで数値が減少する結果となった。コロナ禍に見舞われた2020年当初は対面での顧客対応が物理的に難しくなったこともあり、カスタマーサクセスというキーワードが瞬間風速的に広がったように感じられたが、コロナ禍も3年目に突入し、DX推進など企業が大きな変化・変革が求められている中で、新たな対外的取り組みまで意識が届かなかったのだろうか。さらに直接的なコミュニケーションが減ったことも影響してか、新たな情報に触れる機会が少なくなってしまっている層、しかしそんな環境下でもアンテナ高く情報をキャッチし、カスタマーサクセスの取り組みをより深く進めて行った企業、この二極化がさらに進んだ一年になってしまったのかもしれない。実際にカスタマ―サクセスを継続的に行っている企業では、どういった取り組みが行われ、どのような効果が出ているのか、さらに本調査のデータを深掘り・分析し、今後数回にわたってその結果を発表していく。


PAGE TOP