〔2025/5/15〕ジェネシス、最新調査レポート「The State of Customer Experience(顧客体験の現状)」を発表

 ジェネシスは、最新の調査レポート「The State of Customer Experience(顧客体験の現状)」を発表した。本調査では、消費者の期待と、世界のカスタマーエクスペリエンス(CX)リーダーの優先事項の変化に関する重要なインサイトが明らかになっている。特に注目すべき点として、調査対象の消費者の約3分の2(64%)が、今後2~3年の間にAIが顧客体験の品質とスピードを向上させると考えている。企
業側にとっても朗報なのは、多くの組織がAIをCX戦略に統合し、現在提供している顧客体験と消費者が求めるサービスとのギャップを埋める取り組みを進めていること。調査結果の詳細:https://www.genesys.com/ja-jp/resources/state-of-cx
 現在のCXリーダーにとって、AIが自社の顧客対応を変革する可能性は最重要課題の1つとなっている。本調査では、CX向上のためにAIの活用を拡大することを最優先事項として挙げたCXリーダーが42%にのぼることが明らかになった。また、多くの企業にとってAIの重要性はますます高まっており、来年のCX関連予算の33%をAI技術に投資する予定であることが示されている。さらに、調査対象のCXリーダーの46%が、従業員の体験向上を目的としたコパイロットやリアルタイムコーチングといったAIソリューションへの投資を行っていることがわかった。これは、CXリーダーの26%が、従業員体験の向上を戦略的なCX目標を達成する上で不可欠と考えていることを反映している。
 消費者が考える「良い顧客体験」を提供できなければ、企業の収益に大きな影響を及ぼす可能性がある。世界中の消費者を対象とした調査では53%が、2回から5回の不満足な対応を経験しただけでお気に入りのブランドを離れると回答している。さらに、30%の消費者は、過去1年間に顧客対応の悪さを理由に取引を停止した企業があると回答した。一方で、世界のCXリーダーの41%が、消費者の高まる期待に対応することが最大の課題であると認識している。そのため、AIを活用して顧客体験を向上させることは、企業にとって不可欠なビジネス戦略となっている。
 以下は、「アジア太平洋地域におけるカスタマーエクスペリエンスの現状」レポートから得られた、日本およびアジア太平洋地域全体における顧客体験(CX)に関する主な調査結果。日本市場の特徴が、地域全体の傾向と大きく異なる可能性があることが明らかになった。
 調査によると、日本のCX市場は、いくつかの主要分野で他のアジア太平洋市場と異なる。調査対象となった日本の消費者は引き続きサービス品質を重視しているが、AIの採用の遅れ、クラウドプラットフォームへの移行の遅れ、データ統合の課題などが、シームレスで個別対応の体験を提供する上での障害となっている。こうした背景を踏まえ、本調査では、日本市場に特有の傾向と課題を浮き彫りにしながら、今後のCX向上に向けた重要な示唆を導き出している。

1.サービスの質がブランド評価に直結
 日本の調査対象となった消費者の73%が「企業の価値はそのサービスの質で決まる」と考えており、アジア太平洋地域平均(76%)、世界平均(82%)と比較してやや低い結果となった。
 それでも、多くの調査対象となった日本の消費者が、CXが企業の評判や信頼性に大きく影響する重要な要素であるという認識が日本でも広がっている。

2.日本の消費者は予測的かつ一貫したサービスを重視、担当者の継続性は二の次に
 お気に入りのブランドとのやり取りにおいて、日本の調査対象となった消費者の68%が、コールセンターが顧客のやり取りを予測し、積極的に解決策を提案することに価値を感じると回答しており、これはアジア太平洋地域で最も高い割合となった。
 一方、「毎回同じ担当者に対応してもらうこと」が重要だと回答した調査対象となった日本の消費者は19%にとどまり、地域内で最も低い数値となった。これは、企業全体での一貫した対応や品質管理がより重視されていることを示している。

3.デジタルチャネルの利用率が世界で最も低い
 調査対象となった日本の消費者の66%がCX対応に電話のライブ担当者を過去12カ月間で最も多く利用したチャネルだと回答し、メールを好む割合は同期間で最も多く利用したチャネルだと回答したのは48%にとどまった。メールの利用率はアジア太平洋平均(66%)を下回り、世界でも最も低い水準。
 また、調査対象となった日本のCXリーダーでチャットボットやバーチャルエージェントを導入していると回答したのはわずか12%にとどまり、アジア太平洋地域の他国の結果と比較して、デジタルエンゲージメントにおける大きなギャップが浮き彫りになっている。

4.一度の対応ミスが顧客離れに直結
 調査対象となった日本の消費者の21%が「たった1回の不適切な対応で企業を乗り換える」と回答しており、インドおよび韓国(いずれも調査対象の消費者の15%)と比較しても高い数値。
 日本市場における不適切なサービス対応がビジネスに与える影響の大きさを示している。

5.個別対応の提供に対する認識ギャップ
 調査対象となった日本の消費者の58%が、自分の課題を解決できる担当者につながることを最も重要なパーソナライズの形であると評価した。しかし、自社が「非常に個別対応できている」と回答した調査対象の日本のCXリーダーはわずか5%にとどまり、世界平均(42%)との差が顕著。

6. AI 技術への投資に大きな地域差
 アジア太平洋地域では、CX予算の約3分の1がAI搭載CX技術に充てられる予定であり 、調査対象となったCXリーダーがインド(46%)、シンガポール(52%)、韓国(40%)などが高い割合を示している。
 一方、日本ではAIに割り当てられているCX予算は15%にとどまり、地域内で最も低い水準となっている。

7.クラウド移行の遅れが競争力の課題に
 調査対象となったアジア太平洋地域の多くのCXリーダーが、柔軟でスケーラブルなCX環境を実現するために今後2年間でクラウドプラットフォームへの移行を進めている。
 対照的に、日本のCX企業でクラウドプラットフォームへの移行を完了しているのはわずか10%であり、地域内でも最も低い数値となっている。これにより、セルフサービスやAIソリューションの本格導入を引き続き妨げる可能性がある。

グローバルにおける重要な調査結果
1. 顧客の期待は妥当だが、待ち時間はそうではない
 チャネルを問わず、世界の調査対象の消費者の86%が、1~10分以内にエージェントとつながることを期待している。しかし、過去1年間で同じく調査対象となった60%以上の消費者が15~60分以上待たされたと回答した。
 一方、企業側はこの問題を過小評価している可能性がある。世界の調査対象のCXリーダーは、10分以上の長い待ち時間が発生するのは全体の10%程度と認識しており、顧客の実際の体験との間に大きな認識のズレがあることがわかった。これは、企業が日々の顧客体験や長時間の待ち時間が引き起こす顧客の不満を十分に把握していないことを示している。

2. 「初回対応での問題解決」がこれまで以上に重要
 世界の調査対象の消費者は、初回対応での問題解決(First-Contact Resolution)を最も重要なサービス要素の1つとして評価したが、同じく世界のCXリーダーでは、これを重要な成功指標の1つと捉えている割合はわずか16%にとどまっている。
 さらに、世界のCXリーダーの32%しか、自社で初回対応率を追跡していないと回答しており、これは顧客満足度や維持率に大きな影響を与える可能性がある。初回対応率の測定戦略を導入することは、顧客のニーズをより深く理解し、サービスのギャップを特定し、顧客体験を向上させるための具体的な施策を講じる上で不可欠な第一歩となる。

3. パーソナライズは顧客ロイヤルティを高めるが、「プライバシー・パラドックス」は依然として存在
 77%の世界の消費者が、常にパーソナライズされたサービス体験を提供するブランドを推奨する可能性が高いと回答し、4分の3近くが、パーソナライズを提供するブランドからより多くの商品を購入すると述べている。
 また、世界の約50%の消費者が、パーソナライズの向上のためにエージェントが自身のデータにアクセスすることを希望しており、約70%が、パーソナライズが不十分な場合に少し不満、あるいは非常に苛立ちを感じると回答した。これは、適切な透明性と管理のもとであれば、消費者がパーソナライズを望み、データ共有に前向きであることを示している。
 さらに、CX機能を完全にクラウドへ移行していない企業の世界の調査対象となったCXリーダーの56%が、今後2年以内に移行を計画しており、AIによる大規模なパーソナライズを実現するための重要なステップであると認識している。

4. 消費者はシームレスなオムニチャネル体験を求めているが、企業の対応は遅れている
 世界の調査対象となった97%の消費者が、オムニチャネル体験(ソーシャルチャネル、チャット、電話などを横断したスムーズな対応)を極めて重要であると考えており、異なるチャネル間をシームレスに移行でき、同じ内容を繰り返さずに済むことを期待している。
 しかし、世界の調査対象となったCXリーダーのうち、自社が完全なオムニチャネル体験を提供できていると回答したのはわずか16%にとどまっている。一方で、そのCXリーダーのうち86%がオムニチャネルの重要性を認識しているにもかかわらず、その実現には至っていない。このギャップは、企業が顧客の期待と投資の方向性をより適切に一致させ、不満の解消に向けた取り組みを強化する大きな機会であることを示している。


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