〔2018/11/21〕エス・アンド・アイとフィナンシャル・エージェンシー、Watsonを活用したコンタクトセンター向けの通話内容書き起こしサービスを提供開始

 IBM Watsonの経験と実績を多く持つエス・アンド・アイ(以下、S&I)と、保険事業においてコンタクトセンター運営を展開するフィナンシャル・エージェンシー(以下、FA)は、Watsonを活用したコンタクトセンター向けの通話内容書き起こしサービス「AI Log」の提供を開始した。
 コンタクトセンターでは、応対品質の向上やトラブル防止を目的に通話内容を録音し、その録音データを「お客様に必ずご案内すべきこと」を伝えることができているか、「禁則ワード」を発してはいないかなどの品質管理業務に活用している。保険代理店として39社の保険会社の商品を扱い、保険会社のコンタクトセンター運営および銀行・クレジットカード会社・通販会社といった他保険代理店のコンタクトセンター運営を展開するFAは、年間40万時間にもおよぶ通話内容を約60名からなる専門部隊がチェックし、「禁則ワード」や「必須ワード」など確認すべき部分を聞き起こし、品質管理を行っていた。
 しかし、録音データの聞き起こしから内容をチェックするには実際の通話の約2倍の時間を要すため、品質管理の観点で非常に重要な業務である一方で、費やす時間とのコストバランスに苦慮していた。また、通話内容のチェックには、法令やガイドライン、取り扱う商品に対する豊富な知識など、担当者に高いスキルが要求される。そのため、モニタリング精度に個人の経験による差が生じてしまわぬよう均一化のための教育に時間を要するなどの課題もあった。
 AI Logの活用により、全通話内容がWatsonの音声認識機能であるSpeech to Textを用い自動的にテキスト化され、法令違反や不適切な表現となり得る「禁則ワード」の自動チェックとハイライト表示が可能になる。これにより、通話内容を聞きながら該当箇所を探る「耳」によるチェックではなく、既にテキスト化された内容を「視覚的」に把握し、チェックすべき箇所を効率的に確認できるようになる。また、チャット形式の採用で、オペレーターと顧客それぞれの発話が確認でき、必須ワードのタグ表示など、個人の経験やスキルによらない効率的なチェックが可能になる。先行して利用を開始しているFAでは、これまで全通話の約30%にとどまっていた聞き起こしを全件処理できるようになる他、作業にかかる時間を年間約15,000時間削減できるほどの効果が出ている。
 FAではAI Logの導入により、オペレーター側の音声認識率90%以上、相対的に音質の劣る顧客側の音声についても認識率約75%と高い精度を実現している。FAは、日本全国の20代~80代までの幅広い年齢、性別、方言などさまざまな特徴を持つ顧客音声ログデータを約400万時間分保有している。今回、音声認識率をいかに高くできるかに重点を置き、これらの音声ログデータとFAが持つノウハウをもとに、S&Iの学習データの構築を専門で行う「CORPUS factory」が効率的に精度を向上させている。
 FAとS&Iは、保険業界に特化した学習データだけではなく、基本的な応対マナーや禁則ワード、方言や人名などの基本的な情報による学習データの精度向上を継続的に取り組んでいく。これにより、応対品質の向上および顧客の声分析などを取り進めるあらゆる業種のコンタクトセンターで、AI Logの利用開始とともに実用的なサービスとしてその効果を実感できるようになる。
 AI Logでは、学習データの構築のプロフェッショナル集団である「CORPUS factory」が、書き起こされたテキストデータをもとに精度向上を強力にサポートすることで、導入企業でのAIによる音声認識の精度向上に対する不安や煩わしさを解消し、応対品質管理業務の大幅な効率化を実現する。


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