〔2019/1/15〕ミック経済研究所、クラウド型CRM市場の現状と展望 2018年度版を発表

 ミック経済研究所(本社:東京都港区、有賀章社長)は、CRM分野におけるクラウド型市場の現状と中期予測をまとめた「クラウド型CRM市場の現状と展望 2018年度版」を発表した。
 今回の調査は、CRM分野にクラウドでソリューションを提供するICTベンダー187社を対象にして、そのうち主要ベンダー59社を調査したデータを基に総市場の集計・分析を試みており、クラウドとしているサービスにはASP、SaaS、PaaS、IaaSなどパブリッククラウドのサービスを指し、プライベートクラウドは対象にしていない。
 クラウド市場についてであるが、今回の調査範囲におけるクラウド型CRMの総市場規模は、2017年度に1640億3000万円(YonY26.4%増)となった。オンプレミスの市場がYonYで4%ダウンしたのに対し、好調に推移している。
 特に2017年度に入り、これまでオンプレミスの牙城と言われ、クラウドにシフトすることはないと考えられていた銀行、保険、証券など金融分野で、部門レベルでのクラウド化の検討が始まっている。
 明らかに潮目が変わってきたと答えたベンダーが多かったのも今回調査の特徴となっており、内製化一本でセキュリティも自社で対応してきた金融企業も、1社でセキュリティを担保するためのコスト負担が重くのしかかり、本業に経営資源を集中しなければ、経営が立ち行かなくなる危機感を感じ始めているようだという。
 さらに、2018年度も市場はYonY24.2%増で推移する見込みに加え、東京オリンピックが終わる翌年の2021年度にやや成長にブレーキがかかるものの、2022年には前年の反動もあり伸びが復調することなどから2017年度以降の年平均成長率は24.3%と高水準で推移し、2022年度は4780億5000万円にまで市場は拡大すると予測している。
 クラウドCRM市場が拡大すると予測される中、不安材料があるとすればライセンスフリーのプラットフォームサービスの出現であり、特にチャットシステム、チャットボット、ログ管理、音声認識や音声合成など、アプリケーション層に含まれるものや、Eメール大量配信、IVR、Voiceロギングなどインフラ層のプラットフォームサービスを無償で提供することで、それらを販促ツールとして別の商材を提供するようなビジネスモデルを持つ企業が出現すると、新たな脅威が生じることになるかもしれないと指摘。
 好調に市場を拡大させるクラウドに対し、オンプレミスは2016年度までは横ばい、2017年度以降はダウントレンドで推移し、2016年度に5000億円であった市場が2022年度には1800億円マイナスになり、3200億円規模にまで縮小することが見込まれている。
 これらのことを総合的に判断し、上記のようなライセンスフリーのプラットフォームサービスなどボトルネックが生じないとすれば市場は順調に拡大し、2017年度で25.5%を占めるクラウド市場が2021年度には50.2%と過半数を超え、2022年度には59.9%にまでシェアを拡大すると予測している。


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