〔2019/9/3〕IDC Japan、世界のCXテクノロジーに対するIT支出額予測を発表

 IDC Japan(本社:東京都千代田区、竹内正人社長)は、世界の顧客エクスペリエンス(以下、CX)テクノロジーに対するIT支出額予測を発表した。Worldwide Semiannual Customer Experience Spending Guideによる新しい予測では、2019年における全世界のCXテクノロジーへのIT総支出額は、前年比7.9%増の5,080億ドルに達する見通しである。
 顧客の期待水準への対応、差別化されたCXの提供に対する企業の関心が高まるにつれ、2018年から2022年までの予測期間中、CXに関するIT支出額は8.2%の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)を達成し、2022年には6,410億ドルに達すると、IDCでは予測している。
 IDCの定義によると、CXとは、業種を問わず顧客に優れたエクスペリエンスを提供し、競合他社との差別化を図る目的で、企業が使用するビジネスプロセス、戦略、テクノロジー、サービスを包含する機能的アクティビティである。
 「顧客」とは、個人(B2C)と企業(B2B)の両方を指している。IDCは、ビジネスプロセスにのみ注目した。そのため、企業が顧客に販売する製品の実際のデザインによるCXは調査に含まれていない。また、ユーザーインターフェースや製品の美観など、製品またはサービス固有の側面も含まれていない。
 IDCが特定した16のユースケースに対して、CX支出額は比較的均等に分布している。実際、上位6つのユースケースを合わせても、2019年の支出額全体の3分の1未満と予測している。
 2019年および予測期間全体を通じて、支出額が最も大きいと予測されるCXユースケースは、カスタマーケア/サポートである。受注処理および対話管理がこれに続く。5年間の予測期間中、支出成長率が最も大きいと予測されるユースケースは、AI主導型エンゲージメント、対話管理、ユビキタスコマースである。
 2019年、CXテクノロジーに対する支出額が最も大きいと予測される業種は、小売業(567億ドル)である。小売業の支出額は、予測期間全体を通じて最大と予測される。小売業で最も多く投資されるユースケースは、デジタルマーケティング、AI主導型エンゲージメント、受注処理であると予測される。
 2019年、組立製造業および銀行が、それぞれ2番目と3番目に支出額が大きい業種となる見通しである。どちらの業種でも、カスタマーケア/サポートが主要なユースケースになると予測される。予測期間中、支出成長率が最も高い業種は、小売業とヘルスケアであり、CAGRはそれぞれ13.1%と11.5%が見込まれている。
 テクノロジーの観点では、CX支出額が最も大きい分野はサービスであり、2019年は2,200億ドルが見込まれている。この合計額の大部分が、ビジネスサービスとITサービスによって二分される見通しである。
 CXテクノロジーの支出額で2番目に大きい分野はソフトウェアであり、CRMアプリケーションとコンテンツアプリケーションが上位になる見込みである。インフラストラクチャおよびデバイスを含むハードウェアは、CX支出額全体で20%近くを占めると予測される。一方、通信サービスは、総支出額の10%未満と予測される。
 地域別に見ると、2019年にCX支出額が最も大きい地域市場は米国であり、組立製造業および小売業が牽引役になると予測される。2番目に大きい地域は西ヨーロッパであり、銀行および小売業が最大の業種と予測される。3番目に大きい市場は中国であり、ヘルスケアおよび小売業のCX支出額が最も大きいと見込まれている。中国は最も高いCX支出成長率が見込まれる市場でもあり、5年間のCAGRは13.6%と予測されている。


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