〔2020/10/26〕矢野経済研究所、DMP/MA市場に関する調査結果を発表

 矢野経済研究所(本社:東京都中野区、水越孝社長)は、国内のデジタルマーケティング市場を調査し、市場概況、参入企業の動向や将来展望を発表した。
 DMP/MA市場は拡大傾向が続いており、合算した2020年の市場規模(事業者売上高ベース)は551億300万円となる見込みである。そのうち、DMP市場が103億6,800万円(前年比106.7%)、MA市場が447億3,500万円(同111.3%)となっている。
 コロナ禍で顧客行動のオンライン化が急激に進み、オンライン上での顧客行動の把握や顧客接点の創出に向けたデジタルマーケティングツールの重要性が高まっている。既にオンラインチャネルを持っているユーザー企業においては、営業強化に向けた取り組みが加速している。
 一方で、外出自粛などで業界自体が大打撃を受けた観光業界やイベント業界などに向けたサービス売上高は減少している。加えて、在宅勤務が広がったことで、導入を検討中のユーザー企業において、事務処理が行えない、あるいは会議を開催できないなど意思決定にかかる時間が長くなり、思うように導入が進んでいない側面もある。
 2020年は新型コロナウイルスの影響で、顧客の購買行動が急激にデジタルシフト。オンラインでの顧客行動把握や顧客理解、顧客アプローチは、企業にとっての喫緊の課題だ。営業活動を行うにも、在宅勤務が広まったことや感染拡大防止の観点から、従来通りの対面営業といった営業手法は実施しづらい状況にある。今後は、従来の顧客行動に基づいた施策の実施ではなく、オンライン化が急激に進んだ顧客行動のニューノーマルをふまえた顧客体験の創出が不可欠だ。
 顧客行動がオンラインへとシフトしたことで収集できるオンラインデータは増加し、より精度の高いマーケティング施策の実施や、より深い顧客理解へとつなげやすくなっている。一方、企業側だけでデジマツールを運用するハードルはいまだ高い。引き続きベンダーなどによるサポートが重要なポイントとなるだろう。
 DMP/MA市場は今後も拡大傾向が続き、2025年はDMP市場(事業者売上高ベース)が235億5,800万円、同じくMA市場は737億円に成長する見込み。オンライン上で顧客の行動把握や理解、顧客アプローチを強化すべく、今後もデジマツールの需要は高まりそうだ。また、人口減少により人材採用が難しくなっている日本市場においては、業務の効率化や生産性向上に向けた導入も市場拡大の追い風となる。
 一方で、デジタルマーケティング市場全体において、ツールの定着・運用に向けた企業内での体制構築に加え、ツールを活用して何を実現したいのか、ゴールを明確化することが課題だ。加えて、顧客の個人情報に対する意識が高まっていることから、事前同意やオプトアウトなど顧客主導で顧客自身の情報を操作できるような視点や、どのような目的でデータが取得され、活用されるのか、データ取り扱いの透明性の確保が不可欠といえる。


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