〔2020/10/28〕矢野経済研究所、国内コールセンターサービス市場/コンタクトセンターソリューション市場の調査結果を発表

 矢野経済研究所(本社:東京都中野区、水越孝社長)は、国内のコールセンターサービス市場およびコンタクトセンターソリューション市場を調査し、サービス別の動向、参入企業動向、将来展望を発表した。
 2019年度の国内コールセンターサービス市場規模(事業者売上高ベース)は、前年度比5.8%増の9,963億円であった。同年度は、引き続き労働力不足を背景としたコールセンター業務のアウトソーシングニーズの拡大、電力・ガス自由化に伴う案件に加え、公共分野にて大型スポット案件が発生したことなどからこのような成長を果たした。
 2019年度の国内コンタクトセンターソリューション市場規模(事業者売上高ベース)は、前年度比5.7%増の5,073億円であった。同年度は、システムの更改時期に当たる企業が多かったことやコンタクトセンターにおいてAIを活用したコールセンターソリューションへの投資が増えたこと、また低単価ではあるがクラウド型のコンタクトセンターソリューションが普及したことも要因となって、高い伸びを示した。
 コールセンターという特性上、3密になりやすい職場であることから、各社とも新型コロナウイルス感染防止の対応を進めている。センター内における感染症対策はもちろんのこと、在宅勤務の導入・拡大が進んでいる。従来、主に個人情報漏えいの観点から在宅勤務が進んでこなかったが、コロナ禍においては、センター内の3密対策だけではなく、BCP(事業継続)の観点や不足する労働力を補う意味においても在宅勤務が進んでいる。
 コールセンターサービス市場では、新型コロナウイルスの影響により、公共分野において大型スポット案件が発生している他、一般企業においては、労働力不足や労働者派遣法の改正などを背景に、コールセンター業務をアウトソーシングする流れが強まっている。加えて、コールセンターにおけるエンドユーザーとの接点は電話だけではなく、ソーシャルメディアなどマルチチャネル化が進み、業務の幅が広がりを示していることもアウトソースする動機になっている。
 一方、コロナ禍で顧客企業の業績悪化や先行き不透明感から発注規模が縮小することや、在宅オペレーションの拡大や電話対応以外の業務拡大に伴い、サービス提供単価の下落につながることなど、マイナス面も散見される。以上より、2020年度以降におけるコールセンターサービスの市場規模は、1~2%程度の成長に留まるものと予測する。
 コンタクトセンターソリューション市場は、2020年度はコロナ禍で、在宅環境に適しているクラウド型のコンタクトセンターソリューションを中心に企業の投資が進み、単価が低下傾向にあるため、前年度よりも伸びは鈍化する見込みである。
 2021年度以降は、顧客窓口であるコールセンターシステムへの投資は、引き続き堅調に実行されていくと推測する。しかしながら、クラウド型のコンタクトセンターソリューションを中心に投資が進むため、単価が低下し、引き続き伸びは鈍化していくと予測する。
 ただし、これまで利用の少なかった中小企業において、新たにクラウド型のサービスの導入が増えると想定できる他、Webチャネルとコールセンターを融合させた新たな顧客サポート体制の強化を目的にしたシステム整備も進んでいくと想定できるため、市場規模は微増で推移していく見通しである。


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