〔2020/11/30〕トヨタのコールセンター業務に、日立製作所のテキスト要約システム「CoreExplorer/TS」を適用

 日立製作所と日立ソリューションズ東日本は、トヨタ自動車の次世代コールセンター実現に向けた取り組みの一環として、テキスト化した通話内容を自動的に要約するシステムを開発・検証してきた結果、このたびテキスト要約システム「CoreExplorer/TS」が採用されたことを発表した。
 これにより、テキスト化された顧客とコミュニケーターの通話内容から不要な内容を除去し、高い精度で重要な要素のみを簡潔に要約することを実現し、応対記録の作業時間短縮などコミュニケーター業務の生産性向上を支援する。
 本システムは、事前に応対マニュアルや過去のFAQ、CRMシステムの情報などを読み込ませておくことで、テキスト化された通話内容から自動で重要な部分を判断し要約することが可能。教師あり機械学習では膨大な正解文章を教師データとして学習させる必要があったが、教師なし機械学習を採用したことで、これまで膨大な工数がかかっていた学習作業を大幅に削減することで、運用コスト低減を実現した。
 これまでの検証の結果、今後のCRMシステムとの連携や応対記録内容のデータ活用などを見据えた一定の要約精度であると評価いただき、今回、本番環境での採用決定となった。
 近年、コールセンターでは、少子高齢化に伴う労働人口の減少により人手不足が深刻化していることに加え、働き方改革や新型コロナウイルス感染拡大の影響により、リモートワークの推進などさまざまな変革が求められている。そのような背景のもと、チャットボットやAIなどデジタル技術による業務の自動化や効率化とともに、テキスト化した音声データを分析することでコンプライアンスの遵守やサービス品質の向上につなげる取り組みが拡大している。
 しかし、デジタル技術の積極的な活用が進む一方で、通話内容の分析においては、会話特有の相槌やフィラー(「あの」「まあ」といった会話の合間の言葉)など、不要な単語や内容までもがテキスト化されてしまい、データを活用しづらいという課題があった。
 日立および日立ソリューションズ東日本は、トヨタの次世代コールセンター実現に向けた取り組みに、システム全体を取り纏める日本ユニシスと連携しながら参画している。将来を見据えた顧客対応の強化や顧客の声の活用強化などをテーマに取り組みが推進されている中、コミュニケーター業務の効果的な時間活用に向けて、音声認識や自然言語処理などデジタル技術適用の検討を進めてきた。具体的には、コミュニケーターの応対記録業務の低減を目的に、2019年1月から、自動要約システムのプロトタイプでの検証を開始し、要約の精度向上のためのチューニングなどを経て、教師なし機械学習で高い要約精度が出せるテキスト要約システムの製品化に至った。


PAGE TOP