〔2024/6/3〕プロシード、国内外の組織に対して「コンタクトセンターの品質管理に関する調査」を実施

 プロシード(本社:東京都中央区、柳楽仁史社長)は、米国COPCと協力し、コンタクトセンターにおける重要なテーマの1つである「品質管理」についてグローバル調査を行った。
 顧客へ提供されるサービスのデジタル化が加速している中、簡単なお問合せはデジタルチャネルで対応されるようになり、有人チャネルへは従来よりも多くの難易度の高いお問い合わせが入るようになった。難易度の高いお問合せにはデジタルチャネルでは対応しきれない複雑な問題も含むが、カスタマーハラスメントのような「誰かに思いを聞いてほしい」といった感情的なものも含まれる。こういった背景から各社では人による応対の重要性が見直されており、現状どのような取り組みをされているか今回調査した。
 この調査では、コンタクトセンターの品質管理プロセス、テクノロジーの活用、従業員のモニタリング、カリブレーション(判断基準合わせ)などについて、グローバルのコンタクトセンター関係者1,014名からの回答結果をもとに現状を掘り下げている。
 はじめに、どれほどのコンタクトセンターで品質管理の取り組みが、どれほど重要なものとして行われているか分析をするために、以下の調査を実施した。
1.運営方針(当年の目標)に含まれているか?
2.品質管理を行っているか?
 結果、おおよそ7割の組織の運営方針(当年の目標)の中に「品質」が含まれており、おおよそ9割がいずれかのチャネルにおいて品質管理を行っていると回答し、非常に重要なテーマとしてほぼすべてのコンタクトセンターで行われていることがわかった。
 次に、この多くのコンタクトセンターにとって重要である品質管理に対して、どれほどのコンタクトセンターが音声自動分析などのデジタルツールを利用しているのかを分析するため、以下の調査を実施した。
1.モニタリングにおいてデジタルツールを利用しているか?
2.そのデジタルツールには満足しているか?
 結果、品質管理(モニタリング)においてデジタルツールを利用しているのは、おおよそ6割であり、満足度(とても満足 と 満足 の回答者の割合)もまた6割ほどであった。このことから業界全体としてコンタクトセンターの品質管理においてデジタルツールの活用が進んでいるものの、その適用・成果についてすべての企業が満足しているわけではないことがわかった。
 これはデジタルツールの課題でもあるが、利用者側の課題であるとも考えることができる。例えば品質管理プロセスそのものに問題があった場合、デジタルツールを導入したとしても、つまり方法を変えたとしても内容自体に改善はなく同じ問題に直面し、期待していた成果を得られないためである。
 今回の調査では品質管理に重要となるさまざまな側面について包括的な調査を行った。今回紹介するのは業界全体の課題が発見された側面の一部。まずはモニタリングの方法について。有人チャネル(オペレーター)のモニタリングで活用されている方法について調査をした結果が以下のとおり。
 単体で最も多いのは「録音によるリモートモニタリング」であり、それ以外の方法も5割を超えていた。しかし、いずれの方法でもモニタリングを実施しているのは43%のみであった。
 方法が異なれば見えるポイントも異なる。例えば録音によるリモートモニタリングであれば自然なオペレーターの応対のレベルや、問題があった応対に対してピンポイントで原因を調査することができる。センター全体の品質を把握するための抜き取り調査の方法としても客観的であるため適切。
 反対にモニタリング実施者がオペレーターの文字通り真横について応対を確認する「サイドバイサイド」は客観的なモニタリングにならない。なぜなら単純にモニタリング実施者が真横にいるため多くのオペレーターが普段以上の努力をする可能性が高いため。とはいえ、応対中のPC操作やログの記録など、課題のあるオペレーターに対して改善機会はどこか作業面から見るのに適している。
 このように、目的によってモニタリングの方法を使い分けるのが効率と成果の高い品質管理ですが、これができていたのは4割程度と低いことがわかった。
 最後に紹介するのはモニタリングの結果の分析。ここで紹介するのは対象者へ「モニタリングスコアと顧客満足度の関係について分析しているか?」と調査した結果。
 今回の調査では有人チャネル(オペレーター)も、SSTでも7割ほどのコンタクトセンターでこの分析がされていることがわかった。残りの3割のコンタクトセンターではこのような分析がされておらず、非効率な品質管理が行われている可能性があることがわかった。
 両者の関係性を立証できていなければ、顧客満足度の向上に繋がるかよくわかっていない中でモニタリングへの投資を続けることになる。こういったコンタクトセンターで良く起こる問題が「モニタリングスコアは高いが、顧客満足度は低い」や「モニタリングでよくミスが付く項目と、顧客満足度調査でお客様からご指摘頂く項目が異なる」などという問題。
 このような状態で、例えば冒頭で紹介したテクノロジーを活用したとしてもそもそも内部でのチェック項目が、顧客が重視する視点とずれているためいくらモニタリングを行いスコアを改善したとしても最終的に重要となる顧客満足度に繋がらない。


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