〔2026/3/30〕Foonz、「企業がAIに任せたい業務・任せたくない業務の境界線」に関する調査結果を発表
Foonz(本社:神奈川県横浜市西区、星野純一社長)は、従業員100名以上の企業に所属し、CS・コールセンター運営・DX推進・情報システム・事業部門の問い合わせ対応に関与する担当者・責任者を対象に、「企業がAIに任せたい業務・任せたくない業務の境界線」に関する調査を実施した。
近年、顧客対応の効率化や人手不足解消を目的として、音声AIやAIエージェントなどの自動応答システムを導入する企業が増えている。しかし、「すべての問い合わせ業務をAIに任せてよいのか」と頭を悩ませる現場の担当者も多いのではないだろうか。では、企業はどこまでの領域をAIに任せ、どのような業務を「人が直接対応すべき」と判断しているのだろうか。また、顧客満足度を下げずにAI運用を成功させるための理想的な役割分担や、有人対応へ切り替える条件はどこにあるのだろうか。
「貴社では、AIを用いた問い合わせ対応(例:音声、AIエージェントなど)を導入しているか」と尋ねたところ、以下のような回答結果になった。
『すでに導入している(44.1%)』、『検討している(50.1%)』、『過去に検討し延期・見送った(5.8%)』。約半数が「検討中」であることから、現在は導入に向けた情報収集やシステム選定といった動きが進んでいると推察される。
では、有人対応についてはどのように感じているのだろうか。「問い合わせ対応において、有人対応に限界を感じているか」と尋ねたところ、約9割が『強く感じる(36.8%)』『やや感じる(55.4%)』と回答した。大多数が有人対応に限界を感じている現状が浮き彫りとなった。『あまり感じない』『全く感じない』と回答した方は1割未満にとどまっており、人の手だけに頼るこれまでのやり方は限界を迎えていることがうかがえる。
そのような中、企業はAIにどのような役割や解決策を求めているだろか。「AI問い合わせ対応の導入で期待する効果」について尋ねたところ、『一次対応の削減(38.6%)』と回答した方が最も多く、『問い合わせの取りこぼし防止(37.0%)』『オペレーターの負荷軽減(36.8%)』となった。上位となった回答から、「現場の負担軽減」と「業務効率化」を急務と考えていることがわかる。特に、「一次対応の削減」や「オペレーターの負荷軽減」に期待が集まる背景には、初期段階の対応に膨大な時間と人手が割かれている実態があると考えられる。「取りこぼし防止」や「品質の平準化」と回答した方も多く、対応漏れによる機会損失や顧客満足度の低下を防ぎたいというニーズがあることも推察できる。
では、実際の業務プロセスの中で、どの部分をAIに任せたいと考えているのだろうか。「AIに任せたい問い合わせ対応の業務」について尋ねたところ、『一次受付・要件整理(38.6%)』と回答した方が最も多く、『よくある質問への回答(36.4%)』『担当部署への振り分け(33.9%)』となった。上位3項目に共通しているのは、顧客との「接点(入り口)」となる定型的な業務であるという点。顧客の用件を正しく聞き取って適切な部署へつなぐ業務や、マニュアル化しやすいよくある質問への回答は、数に追われがちで担当者の負担になりやすい領域だといえる。こうした「初期対応」のフェーズをAIに任せ、人はより複雑で個別性の高いサポートに集中したいという意図がうかがえる。
一方で、「これだけは人の手で対応すべきだ」と考えているのはどの部分なのだろうか。「AIには任せにくく人が対応すべきだと思う問い合わせ対応の業務」について尋ねたところ、『重大なトラブル・障害の報告(33.0%)』と回答した方が最も多く、『クレーム(29.7%)』『個人情報・機微情報の取り扱い(27.2%)』となった。上位になった『重大なトラブル・障害の報告』や『クレーム』は、初期対応の誤りが大きな信用問題に発展するリスクがあるため、AIに任せるのではなく人が対応すべきだと思う方が多いと考えられる。また、『個人情報・機微情報の取り扱い』も上位に入っており、AIのセキュリティリスクや情報漏洩に対する懸念があることがうかがえる。
こうした人とAIの役割分担を踏まえた上で、実際の運用の中では、どのような状況下でAIから有人対応へ切り替えるべきだと考えているのだろうか。「AIから有人対応へ切り替えるべきだと思う条件」について尋ねたところ、『強い怒り・不満の検知(38.2%)』と回答した方が最も多く、『緊急性が高い案件(36.2%)』『ユーザーからの有人対応の希望(30.6%)』となった。有人対応に切り替えるべき条件として、AIには難しい「感情のケア」や「臨機応変な判断」が求められる『強い怒り・不満の検知』や『緊急性が高い案件』が上位に挙がった。また、『ユーザーからの有人対応の希望』も見られ、AIを万能視せず、あくまで初期対応のツールとして位置付けていることがわかる。
では、AIによる問い合わせ対応でも許容できる条件はどのようなものだろうか。「AIによる問い合わせ対応でも許容できる条件」について尋ねたところ、『待ち時間のない迅速な対応(34.4%)』と回答した方が最も多く、『対応ログ・履歴の保存と確認(31.9%)』『誤認識時の容易な修正や訂正(28.2%)』となった。『待ち時間のない迅速な対応』が最も多く、有人窓口特有の「待たされるストレス」がないという利便性が評価されているようだ。また、『対応ログ・履歴の保存と確認』『誤認識時の容易な修正や訂正』が上位に挙がったことから、AIが対応してもミスが少なく、任せても懸念が少ないものなら許容できると考えていることがうかがえる。
では、AIによる問い合わせ対応を実際に運用していく上で、現場の担当者が抱く不安とは何なのだろうか。「AI問い合わせ対応を導入・運用する上で、不安な点」について尋ねたところ、『クレームの増加(37.4%)』と回答した方が最も多く、『セキュリティリスク(29.7%)』『回答精度(28.0%)』となった。最も多かったのは『クレームの増加』に対する不安であった。これは3番目に多かった『回答精度』とも密接に関わっており、「AIの返答でお客様を怒らせてしまうのではないか」という現場のリアルな不安が読み取れる。また、『セキュリティリスク』への不安も上位に入っており、情報漏洩などの取り返しのつかない事態への警戒もうかがえる。
では、そのような不安を解消し、円滑な運用を実現するためにはどのような体制が重要だと思うのだろうか。「AI問い合わせ対応の運用で重要だと思う体制」について尋ねたところ、『FAQ・ナレッジの整備(28.0%)』と回答した方が最も多く、『AIの継続的な学習・改善(27.3%)』『AIに任せる範囲の事前決定(25.9%)』となった。「FAQの整備」や「AIの継続的な学習・改善」が上位に挙がったことから、AIを「導入して終わり」のツールではなく、育成していくシステムと捉えていることがうかがえる。また、「任せる範囲の事前決定」と回答した方も多く、AIを問い合わせ対応でうまく活用するためには、AIを生かせる環境の設定が重要であることが示された。
最後に、「AI問い合わせ対応の意思決定において、最終的に“判断の重心”はどこに置かれるべきだと思うか」と尋ねたところ、『費用対効果(ROI)(31.6%)』と回答した方が最も多く、『運用体制の安定性(28.9%)』『顧客体験の維持・向上(28.2%)』『従業員の負荷軽減・満足度向上(28.2%)』となった。『費用対効果(ROI)』が最多になり、ビジネスツールとして導入コストに見合う成果が最優先されるようだ。一方、『運用体制の安定性』や『顧客体験の維持・向上』も上位に挙がり、単なるコスト削減だけでは不十分であることがわかった。さらに、『従業員の負荷軽減・満足度向上』も挙がっており、AI問い合わせ対応はコスト、現場の安定、そして顧客と従業員双方の満足度という「全体のバランス」で判断されるようだ。