〔2026/9/29〕RightTouch・IVRy・モビルス、生活者550名と顧客対応従事者400名にカスハラの実態を調査
RightTouch(本社:東京都品川区、長崎大都社長)は、IVRy(本社:本社:東京都港区、奥西亮賀社長)、モビルスと共同で、「全国の20代~60代の生活者」と「全国の20代~60代の顧客対応従事者」を対象とした2つの調査を実施し、その結果を発表した。
2026年10月1日、改正労働施策総合推進法が施行され、カスタマーハラスメント(以下、カスハラ)対策が、従業員を雇用するすべての企業に義務づけられる。
カスハラを生まないための「発生予防」という視点での議論はまだ少なく、多くは対面接客の現場を中心に語られてきた。そのため、電話など非対面の顧客接点における実態は、十分に明らかになっていない。顧客対応の現場をAIで支援する3社は、カスハラを顧客個人の問題ではなく、企業と顧客の接点で起きる構造の問題として捉え直すため、生活者と顧客対応従事者の双方に調査を実施した。
待ち時間やたらい回しといった「仕組みの壁」がカスハラを誘発している可能性(誘発型カスハラ)が、生活者・顧客対応従事者双方の回答から浮かび上がった。
顧客対応従事者の51.8%が「電話の待ち時間、情報連携不足、たらい回しなど、自社の案内フロー・仕組みの不備が、お客様を怒らせる引き金になった」と回答。さらに55.8%が「電話に出た時点で、すでに顧客が感情的になっていた」と答えており、怒りはオペレーターが応対を始める前に生まれている。
「電話がつながるまで何分待つとイラ立つか」で生活者の最多回答は「3分」(33.8%)、「何分を超えると強い口調や苦情が増えるか」で現場の最多回答も「3分」(34.8%)。3分以内の累計では生活者52.2%、現場57.4%と、立場の異なる両者がほぼ同じラインを我慢の限界として認識していた。
生活者の65.0%が「嫌な顧客と思われたくない/カスハラのように思われたくない」と感じて言いたいことを飲み込んだ経験があると回答。現場側でも56.1%が「言いたいことを我慢しているように見えるお客様がいる」と感じており、生活者の萎縮を感じ取っていた。
生活者の64.2%が、待ち時間なく状況や要望を聞き取り、必要に応じて人へ引き継ぐ対応であれば、相手がAIでも感情は「変わらない/むしろ冷静になる」と回答した。また、55.9%がAIによるスムーズな電話対応によって感情的な言動をする人が減ることに期待し、71.3%が高精度な対話AIボイスボットを「ぜひ利用したい/解決できれば利用したい」と回答している。顧客対応従事者では、49.5%がAIによる初期対応で心理的負担が軽減されると回答し、45.5%が対応時間の短縮や高度な業務への集中などの業務改善を見込んでいる。
今回の調査から、カスハラの一部は、問い合わせ開始前の待ち時間やたらい回しといった、多様化・増幅し続ける問い合わせの構造的な課題によって誘発されていると考えられる。また、生活者の65.0%が「カスハラと思われたくない」と伝えたいことを飲み込んだ経験を持っており、不満や要望を伝えないまま離れていく「サイレントカスタマー」を生む可能性もある。強い言動も、言葉を飲み込むことも、顧客の困りごとなどの1人ひとりの声が各顧客接点で適切に受け止められていないことの表れといえる。
こうした状況を踏まえると、カスハラ対策は、起きた後の対処から、起こさないための顧客体験設計へと視点を広げる必要がある。多くの生活者が問い合わせ前に訪れるWebサイトやアプリで困りごとを解消できる環境を整えることや、電話窓口など問い合わせに至った際にAIオペレーターが状況を受け止め、適切な担当者へつなぐことも、有効なアプローチの一つとして考えられる。AIによる対応には、生活者の55.9%、顧客対応従事者の49.5%が期待を寄せている。