〔2012/1/27〕富士キメラ総研、国内企業向けSaaSサービスの市場の調査結果を発表

 富士キメラ総研(東京都中央区:田中一志社長)は、ネットワーク経由のアプリケーション提供サービスSaaSの国内市場の規模推移や占有率、市場概況、環境変化などの調査を実施してこの市場の動向を把握し、今後の市場予測と展望を行った。
この調査では、企業向けSaaSについて、汎用系SaaSサービスを「業務系」「情報活用系」「Web系」「音声/映像系」の4グループに分けて28品目、特定系SaaSサービスではエネルギー管理や介護施設業務管理など主要特定業務17品目の国内市場を分析した。
産業の空洞化に加え、国内市場も頭打ちになっている中、日本のICT産業の今後はクラウドコンピューティングによる新規需要の創造と、グローバルビジネス展開の実現がポイントとなる。さらにクラウドコンピューティングがこれまで遅れていた中小企業のICT化を促し、企業間競争力を高める原動力となる。
2011年3月の東日本大震災は、企業およびキャリア/サービスプロバイダ、データセンタ事業者のICTインフラ構築構想に大きな変化をもたらした。物理的な距離による遅延や外部へのデータ配置によるセキュリティ問題などを懸念しICTインフラの外部委託を敬遠していた企業も、データの損失リスクやシステムダウンリスクに対するBCP対策として、クラウドに対するニーズが拡大した。
2011年第1四半期は東日本大震災の影響から取引案件の凍結、先送りが見られたが、第2四半期以降はBCP対策、計画停電対策として、SaaSに対する評価が高まり、2011年度は10年度の1786億円から12%伸び2000億円となり、2015年度2958億円と年平均10%超で堅調に拡大すると予測する。汎用系SaaSの一部サービスではコモディティ(日常一般)化も見られ始め、価格競争による利益率低下が懸念されている。こうした商品価値の低下を回避するため、個別SaaSの提供からSaaS間の連携による付加価値向上が積極的に行われており、統合による進化が見られる。
一方、業種や業務で標準化できる機能を特定の業種・業界向けに提供する特定系SaaSに対するニーズも高まっており、今後SaaS市場は汎用性と特定性という顧客要求の2極化が進んでいく。


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