〔2012/8/30〕IDC Japan、国内EA/BIパッケージ市場予測を発表
IDC Japanは、EA(ERM/CRM/SCM/製造)パッケージとBI(ビジネスインテリジェンス)ツールの各パッケージ市場を対象とした市場調査の結果と予測を発表した。
2011年の国内EA/BIパッケージ市場規模は3037億6000万円で、前年比成長率は3.9%だった。東日本大震災によってサプライチェーンのぜい弱性が露呈したり、厳しい市場競争に対応するために顧客関係管理の強化が課題として浮き彫りになったりしたことから、SCMアプリケーションとCRMアプリケーションの成長率はそれぞれ5.6%と8.1%だった。SAPは同成長率で2桁成長を遂げ、市場をけん引した。
意思決定に絡んだ情報分析に対するITニーズは依然として高いものの、BIツールは2009年(成長率10.5%)、2010年(成長率6.2%)と比較して、2011年は成長率4.4%と、鈍化傾向がみられた。IDC Japanは、震災の影響でBIツールの導入優先度が一時的に下がったことが要因だと分析する。
2011年に最も成長率が高かったCRMパッケージ市場では、セールス市場でセールスフォース・ドットコム、マーケティング市場でSAS、カスタマーサービス市場ではSAPがそれぞれ首位の座につき、パッケージベンダー間のシェア争いは激しさを増している。次いで成長率の高いSCMパッケージ市場では、在庫管理、物流管理、生産計画の各機能市場でSAPが首位を堅持した。成長率3位のBIツール市場では、エンドユーザークエリ-/レポーティング/アナリシス機能市場でSAP、アドバンスドアナリティクス市場ではSASが首位の座についている。
2011年のERMパッケージ市場は成長率が2.3%で、SCM、製造、CRM、BIパッケージに比べると低成長。だが、市場規模は1598億9600万円で、SCM、製造、CRM、BIの各パッケージ市場を合算した規模よりも大きく、市場の成熟化が進んでいる。このうち、会計パフォーマンス/戦略管理の2011~16年の年平均成長率が4.1%と高い。ERM市場はSAPが首位を堅持しているが、会計パフォーマンス/戦略管理ツール市場はオラクルが首位の座を守っている。
2011年~2016年のEA/BIパッケージ市場は、CAGRが4.0%で堅調に推移すると予測する。とくにCRMパッケージ市場は、年平均成長率が5.1%と高い成長を維持するとみる。