〔2016/6/2〕J.D. パワー アジア・パシフィック、2016年コールセンター満足度調査結果を発表

 J.D. パワー アジア・パシフィック(本社:東京都港区、鈴木郁社長、略称:J.D. パワー)は、2016年コールセンター満足度調査の結果を発表した。
 同調査は、直近1年以内に企業のコールセンターに問い合わせをした一般消費者を対象に、企業のコールセンターに対する満足度を聴取するとともに、各種活動実態を調べたもの。2016年3月にインターネット調査を実施し、11,300人から回答を得た。今回調査対象となった業界は、銀行、証券会社、生命保険会社、損害保険会社、クレジットカード会社、携帯電話事業者、固定インターネット回線サービス事業者、自動車メーカー。参考業界:パソコン関連メーカー・家電・電気製品メーカー、通信販売会社。
 満足度の測定にあたっては、コールセンター利用時に経験する領域(=ファクター)を予め設定し、各ファクターに関連する詳細項目への評価を基に1,000点満点で算出している。各ファクターが総合満足度に与える影響度は、「担当者/オペレーター」(66%)、「自動音声案内」(34%)であった(カッコ内は影響度)。
 今年から対象業界として加わった固定インターネット回線サービス事業者を除き、自動車メーカー以外は、いずれの業界も前年比で評価を少し下げたが、結果としては今年も損害保険会社が総合満足度トップ(669点)で2012年の調査開始以来5年連続トップとなった。しかし、対面以外での顧客対応の要であるコールセンターの顧客満足度向上に向け、オペレーター対応や運用改善に取り組む企業が業界を問わず増加した結果、2013年調査、2014年調査に見られたような、損害保険会社のコールセンター満足度評価の圧倒的優位性は無くなり、2位の自動車メカー、3位の証券会社とは僅差となり、評価は拮抗している。
 今回評価対象となった企業/ブランド(合計76企業/ブランド 以下、企業と表記)の総合満足度の平均は646点(1000点満点)で、前年の調査と同じ結果となった。しかしながら、各企業単位での満足度評価の上下は少なくなく、評価対象となった企業内でのトップスコアとボトムスコアは前年度調査に比べ差が大きく開いた。今回トップのアメリカン・エキスプレスは前年もトップであったが、今年は前年比19ポイントアップとさらに評価を向上させた。
 今回の評価対象76企業の内、700点を超える高評価を得たのは5企業のみだったが、この5企業にはいくつかの共通点が見られた。当然のことながら、すべての詳細評価項目(自動音声案内、担当者/オペレーターでそれぞれ設定)で全体平均を上回っていたが、特に、担当者/オペレーターの評価項目で平均を大きく上回る傾向があった。担当者/オペレーターの評価項目の中で最も全体平均との差が大きかったのは「オペレーターへの電話の繋がりやすさ」で、平均と比較して、明らかな評価差があった。ここで言う「オペレーターへの電話の繋がりやすさ」は自動音声案内を通過した回答者であれば、自動音声案内が完了してからオペレーターが応答するまでの時間を指している。実際にオペレーター対応待ちの平均時間は全体では4.4分であったが、上位5社の平均は2.1分と高評価を裏付ける結果であった。
 また、この調査では、コールセンターに電話をかけた際、1回で繋がったか否か(かけ直す必要があったか)を聴取しているが、1回で繋がった人の割合は全体平均では74%であるのに対し、この上位5企業の平均は88%と明らかに1回で繋がる率が高かった。
 企業に問合せを行う際、ウェブや対面など、いくつかある問合せチャネルの中からなぜコールセンターを選んだのかという問いに対し、回答者の4割は「迅速に解決できるから」と回答している。迅速な解決を実現するためには、まず、繋がる必要があり、繋がった後も、自動音声案内で情報の入力が完了してから、オペレーターに早く繋がる必要がある。評価上位企業は、この「繋がる」「すぐにオペレーターと話せる」という最もベーシックな顧客の期待を裏切らない運用を実施できている企業と言ってもよいだろう。


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