〔2022/9/13〕矢野経済研究所、自治体業務アウトソーシング市場に関する調査を実施

 矢野経済研究所(本社:東京都中野区、水越孝社長)は、自治体業務アウトソーシング市場について調査を実施し、市場規模および市場動向に関して発表した。
 自治体業務アウトソーシング市場規模(事業者売上高ベース)は、2020年度は新型コロナウイルスの影響により臨時特別給付金や時短営業協力金など、さまざまな政策が打ち出され、問い合わせ対応、受理業務などの業務が急増したため、多くの自治体でアウトソーシングサービスの利用が増加し、前年度比63.5%増の1,101億4千万円となった。
 2021年度は、新型コロナワクチン関連でのアウトソーシングが市場全体の70%近くを占めるまで拡大し、前年度比144.8%増の2,695億9千万円となった。新型コロナワクチン関連でのアウトソーシングとは、具体的には、コロナ相談窓口、ワクチン予約コールセンター、接種券印刷・発送、接種会場での案内・誘導、接種後のデータ入力などのバックヤード業務などの代行のことである。
 政府は2021年度にデジタル庁を発足させ、2025年度までに自治体システムの標準化完了(各地方公共団体ごとに差異がある基幹系情報システムの調整・統一)を目指しているが、DX化の中でも完全になくすことが難しい従来の業務のアウトソーシング案件が増加していくと予測する。
 DX化により、帳票のデジタル化が進められるが、紙自体が無くなることはなく、また電話対応もチャット対応への切り替えが進むが、電話対応自体が無くなることはないと考える。これらの紙の処理や電話対応のような、完全にはDX化しきれない業務を効率化する手段として、アウトソーシングサービスの活用は今後ますます進んでいくと予測する。
 2022年度に入ってからも、新型コロナワクチン関連でのアウトソーシングの需要は引き続き生じているものの、ワクチン接種対象者の範囲が以前より限定的になっているため、コロナ対策系業務の規模は2021年度と比較すると1/3まで縮小すると見込む。加えて、給付金系業務の規模も縮小が見込まれる。これらの背景から、2022年度の自治体業務アウトソーシング市場規模(事業者売上高ベース)は、前年度比49.0%減の1,375億5千万円と予測する。
 2023年度以降については、コロナ対策系業務に関する「特需」の規模は縮小していくと予測するが、新型コロナウイルス終息に時間を要することも想定され、新たなウイルスの発生リスクも存在し得るため、緊急時の感染対策業務をアウトソーシングする需要は今後も発生していくと予測する。
 自治体において定常的に発生する業務である「戸籍住民系業務」「税務系業務」「国保・介護系業務」「こども関連系業務」のアウトソーシングについては、微増していくと予測する。それは、「高齢化による福祉事業の拡大」、「待機児童解消に向けた保育所増設への対応」など、住民サービスが多様化、煩雑化してきているにもかかわらず、多くの自治体で職員数の減少や、働き方改革による残業時間の削減があり、限られた人的リソースでは処理しきれない業務対応を外部リソースに頼らざるを得なくなってきているためである。また、政府が地方行政サービスの民間委託を積極的に推進していることもアウトソーシングの導入を後押ししている。
 2020年度~2024年度の年平均成長率(CAGR)は-4.1%と、コロナ対策系業務による「特需」で拡大した2020年度の市場規模からはマイナスとなり、2024年度の自治体業務アウトソーシング市場規模(事業者売上高ベース)は932億円になると予測する。


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