〔2009/8/9〕富士キメラ総研、国内のSaaS/PaaS関連市場の調査結果を発表

 富士キメラ総研は、“所有から利用へ”をキーワードに関心が高まっているSaaS、PaaS市場を調査分析した。その結果を報告書「2209 SaaS/PaaS関連市場の現状と将来展望」にまとめた。
調査対象31サービスを集計した2008年度のSaaS/PaaS市場は708億円となった。中規模企業による手組みシステムやパッケージシステム活用からの乗り換えや、大規模企業における部門導入がSaaS/PaaS市場拡大を牽引している。景気悪化により投資抑制が顕著になってきている中で、今後は大規模企業においても部門導入から全社導入へと利用が広がると見込まれる。中小企業やSOHOでは、安価に短期間に業務アプリケーションが利用可能なことから、今後徐々に利用が拡大していくと見込まれる。PaaS市場は2007年度に立ち上がり、2008年度から国内大手コンピュータベンダやSIer、データセンター事業者、通信キャリアなどが本格的にPaaS事業への取り組みを始め、ラインアップの強化・充実を図っている。現状ではSaaS事業者のPaaS利用は限定的であり、大手企業を中心とした一般企業向けの開発基盤提供としての需要を中心に成長していくとみられる。SaaS/PaaS市場は、2013年度には1551億円(2008年度比219%)になると予測される。
ユーザー規模別に見ると、2008年度は大規模企業(1000名以上)市場35%、中規模企業(100~999名)市場40%と、中規模以上が4分の3を占める。大規模企業は、部門導入からSaaS/PaaS利用を始めるケースが多く、フロントオフィス系や情報系アプリケーションを中心に利用が進んでいる。2009年度以降は、部門導入から全社導入へとSaaS/PaaSの業務適用範囲を広げるユーザーが増えると見込まれる。全体の25%を占める小規模企業は、従来コスト面がネックとなり業務パッケージ/システム導入を見送っていたが、低コストで業務アプリケーション利用が可能になることからSaaS導入が増えはじめている。
フロントオフィス系では、CRM/SFAがフロントオフィス系市場を牽引している。課題は、既存システムとの連携が必要となるユーザーが多く、高額なシステム構築費用がかかることである。今後もCRM/SFAを中心に成長が続くとみられる。ただし、成長市場であるため新規参入事業者の増加が予想され、競争が激化すると想定される。また、CTI市場もコンタクトセンターのアウトソーシング需要の高まりを背景として成長していくとみられる。


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