コンタクトセンター関連ベンダー動向
〔2026/2/12〕アグレックス、AIエージェントによる保険契約サポート業務自動化のPoCを実施
TISインテックグループのアグレックス(本社:東京都新宿区、柳井城作社長)は、AIエージェントを活用した保険契約サポート業務自動化のPoCを2025年7月から9月にかけて、チューリッヒ生命保険と実施したことを発表した。
今回のPoCでは、Salesforceの自律型AIエージェント「Agentforce」を活用し、ライフイベントなどで発生する契約変更手続きの一連のプロセスを自動化するAIエージェント(CXエージェント)を構築した。
業務負荷の軽減とCX(カスタマーエクスペリエンス)の向上に向けて、AIエージェントを組み込んだチャットにより、リアルタイムチェックによる手続き漏れ防止や、人による電話応対・事務作業の削減、自然言語対応による高品質な顧客サポートの実現を目指し、契約サポート業務での実用化の共同検証を実施した。
チューリッヒ生命の広範囲の業務で採用されているSalesforceの導入・運用を支援してきたアグレックスが、Agentforceの構築および製品評価を行い、チューリッヒ生命が自社業務での実用化に向けた顧客・自社目線での評価を行った。
近年、人材不足や顧客ニーズの多様化に伴い、保険業界においてもAIエージェントや生成AIの導入による業務の高度化が進んでいる。特に顧客体験の向上(CX)と業務負荷の軽減(DX)の観点から、AIチャット・音声AI活用による24時間365日対応や待ち時間の削減、電話以外のチャネル拡大による心理的ハードルの削減、自動応答による担当者の業務量削減、および手続き書類の自動チェックなどによる不備の削減などが期待されている。
このような背景から、チューリッヒ生命の契約サポート業務をはじめとする保険業務におけるAIエージェントの早期実用化と、アグレックスのAgentforce活用によるコンタクトセンター業務モデルの事例化とサービス展開を目的として、今回の共同検証に至った。
Agentforceによる実証実験の結果、以下の効果を確認した。
・「品質面」:言語対応の精度、表現力、汎用・適応性
問い合わせおよび受取人変更のコンタクトセンター業務において、マニュアルに基づいた正しい文章および丁寧語での回答が可能であることを確認。また、多言語や方言、文章のバリエーションにも対応ができ、挨拶やクレームのような問いにも概ね対応ができることを確認。
・「システム面」:レスポンススピードおよび不備削減
チャットによる問い合わせ対応において、3秒以内での回答が可能であることと、一連の変更手続きをチャット対応によりリアルタイムで完結可能であることが把握でき、コンタクトセンター業務における回答の効率化が認められた。一方で、マニュアルに記載がない問い合わせやデータ登録処理の多い場合のレスポンス低下が見受けられた。また、リアルタイムチェックによる手続き漏れ削減の効果も見られた。
・「業務面」:契約サポート業務における業務成立性
契約サポート業務における住所変更、改姓、受取人変更などの業務プロセスを、人を介さずにAgentforceで実現可能であることを確認。また、契約管理システムや基幹システム、BRMS等の現行システムとの連携が可能であることも確認。一方で、現状はテキストチャット対応に限定されているため、画像やフォーム等を用いた柔軟なやりとりには対応できず、情報量や操作性の面で課題が残った。今後は定型入力フォームやファイルアップロードとの併用により、UIの拡張を目指す。
・「拡張面」:チャネルの拡張性
LINEなどの他チャネルでの対応が可能であることを確認。今後は、音声技術との連携によるカスタマイズ性の向上が見込める。
・契約サポート業務の自動化における効果
契約サポート業務全体へのAgentforceの適用による人件費の削減に加え、AIエージェントが代替し丁寧なサポートを行うことによる顧客の利便性向上とTAT短縮によるCX向上が期待できる。
アグレックスは、今回のPoCで得た知見を活かし、保険業界をはじめとするAI活用によるCX向上を目指す企業の、AgentforceのPoCの検証準備から検証・チューニング、評価まで約3カ月で支援する「Agentforce活用PoC支援サービス」を展開していく。さらに、コンタクトセンター業務でのAgentforce活用に加え、Salesforceプラットフォーム内での業務完結が可能な次世代コンタクトセンターの実現を目指す。
〔2026/2/10〕奈良市、全国自治体初で、クラウド電話「Zoom Phone」をAI活用型コールセンターと連携し電話応対を刷新
奈良市ではこれまでコールセンター業務を含めた電話応対業務の見直しを検討し、さまざまな取組を進めてきた。本年度、電話交換機のデジタル化(スマホ化含む)とAIによる自動応答を備えた新コールセンターの構築・運営業務を調達し、そのプラットフォーム(基盤)にZOOM社の製品を採用する結果となった。これを受け、2026年2月10日にZVC JAPANと「音声コミュニケーション及びAI活用事業に関する協定」を締結した。
3月16日からは「Zoom Phone」などの運用を開始。最新AIによる通話のデータ化・分析により、将来的には市民を待たせない「ワンストップ対応」を実現し、「デジタル化の最後の砦」である電話業務を刷新する。市民サービスの向上と職員の負担軽減を強力に推進していく。
奈良市コールセンターでは年間約14万件の電話問い合わせを受信。そのうち約3割は回答できているものの、約7割は職員へ転送し対応。
3月16日より、本庁舎内・コールセンター電話においてクラウドPBX(Zoom Phone)を全面稼働開始(契約期間は3年間)。同システムでは、AIによる「文字起こし」「通話要約」機能を導入し、メモ作成・伝言の負担軽減と情報共有を迅速化。
2026年秋以降、コールセンターで「Zoom Virtual Agent」による問い合わせ自動応答を開始予定。「ワンストップ対応」の実現により市民サービスの向上を目指す。
自治体において「Zoom Phone」「Zoom Contact Center」「Zoom Virtual Agent」を統合導入し、職員の負担軽減と市民サービスの向上を図る取り組みは日本初の事例。
〔2026/2/9〕ゴルフダイジェスト・オンラインが、EC窓口のコンタクトセンターに対話型音声AI SaaS「アイブリー」の実証実験を開始
IVRy(本社:東京都港区、奥西亮賀社長)は、日本最大級のゴルフポータルサイト「GDO」を運営するゴルフダイジェスト・オンライン(本社:東京都品川区、石坂信也社長、以下、GDO)において、EC窓口のコンタクトセンターに対話型音声AI SaaS「アイブリー」を活用した実証実験を開始したことを発表した。
近年、顧客からの問い合わせチャネルは電話に加えチャットやSNSなど多様化しており、オペレーターの採用・育成コストや離職率の高さも相まって、コンタクトセンターの運営負荷は増加傾向にある。安定的かつ高品質な顧客対応体制の構築と、運営効率化の両立が多くの企業にとって重要な課題となっている。
ゴルフ関連サービスを総合的に展開するGDOにおいても、EC窓口コンタクトセンターの運営効率化およびコストの削減は重要な経営課題であった。
こうした状況の中、GDOではAI技術を活用した業務効率化を検討しており、アイブリーを用いた実証実験を行うことで、AIによる自動応答の精度と有人転送およびオペレーション変革の有効性を検証する運びとなった。
この度の導入では、GDOのEC窓口コンタクトセンターにアイブリーのAIボイスエージェントとAIネイティブな電話システムを試験導入する。 注文のキャンセル・変更、在庫確認といった定型的な問い合わせをAIが自動応答することで、有人対応への入電を3~4割削減し、コストの最適化が可能かを検証する。
さらに、今回の導入は単なるコスト削減に留まらず、「IVRy Analytics」を活用したデータドリブンな運用変革を目的としている。
これまで管理者の主観が入りやすかった品質評価からデータに基づいた品質評価への移行が可能になった。IVRy Analyticsで可視化される応対ごとの「満足・不満足」データや「AIラベリング」機能(問い合わせ内容の自動分類)を活用し、客観的なデータに基づいて「どの問い合わせの満足度が低いか」などの改善対象を特定し、迅速なオペレーション改善サイクルが実現できるかを検証する。
従来の「待ち呼(あふれ呼)」を減らすための運用から、アイブリーの「あふれ呼AI受付」機能の活用へ転換。入電が集中した場合でもAIが一次受付を行い、全件取りこぼさない応答率100%の体制を構築およびその効果を測定する。
AIとオペレーターが連携するハイブリッド対応の実用性を検証する。定型的なヒアリングはAIが行い、詳細な対応が必要な場合にのみ人へ転送する。顧客・オペレーター双方にとってストレスのない効率的な対話フローの構築を目指す。
従来、管理者がCTIシステムから手動でデータを抽出し作成していた入電レポート業務を、IVRy Analyticsのダッシュボードで完結させ、管理工数の削減効果を確認する。
〔2026/2/6〕CAC identityとパーソルビジネスプロセスデザイン、顧客視点の自動品質評価サービスで業務提携開始
CAC identity(本社:東京都中央区、中西英介社長)は、パーソルビジネスプロセスデザイン(本社:東京都江東区、市村和幸社長)と、コンタクトセンター向け通話自動品質評価分野において業務提携契約を締結した。
コンタクトセンターでは、お客様対応の品質向上を目的としたモニタリング業務の重要性が高まっている。現在、多くの企業では人手による応対品質の評価・チェックを行っているが、大量の通話データを処理するための工数負担や、評価者によって判断基準が異なるといった課題を抱えている。
この課題を解決するため、会話内容をテキスト化して自動評価する手法が注目されてきた。しかし、テキスト情報だけでは、声のトーンや印象など音声特有の情報を適切に評価することができず、完全な自動化の実現が困難な状況が続いていた。
こうした中、CAC identityは自社開発の音声感情解析AI「Empath」を活用し、感情を含む「声の印象」の数値化によって、透明性と納得感の高いフィードバックを実現する自動評価ツール「mimity」を展開してきた。
このたび、パーソルビジネスプロセスデザインが持つHDI国際標準をベースにした評価設計・運用ノウハウと当社のAI技術を融合させることで、現場の課題に即した独自のAIモデルを共同開発した。本モデルをmimityのオプション(評価モデル)として提供することで、顧客視点の評価をより運用しやすい形で実装し、モニタリング業務の効率化と品質改善の両立を支援するため、本業務提携に至った。
顧客体験の鍵を握る応対品質評価には、企業視点の基準だけでなく、顧客が「どう感じたか」という顧客視点の評価が不可欠。本提携では、両社の技術とノウハウを融合し、この視点を体現する次世代の自動品質評価ソリューションを実現した。
独自の音声感情解析技術により、テキストだけでは捉えきれない、声のトーン・抑揚・話速・間の取り方といった音響特徴を数値化し、顧客が応対を通じて受け取る「声の印象」を可視化する。これにより、会話内容だけでなく、「どのように伝えているか」まで含めた評価が可能となる。
パーソルビジネスプロセスデザインが保有するHDI国際標準をベースにした顧客視点の評価設計・改善支援ノウハウをmimityのオプション(評価モデル)として提供する。HDI国際標準の客観的な視点に基づき、サービス体制、コミュニケーション、対応スキル、プロセス/対応処理手順、困難な対応などの評価項目を4段階で評価する。これにより、HDI-Japanのクオリティ格付けによる三つ星獲得を意識した、顧客視点の評価が可能になる。
パーソルビジネスプロセスデザインがコンタクトセンター運営の現場で培ってきた評価・指導・改善の知見をもとに、mimityの評価結果を 現場で使いやすい形に整理・表現する設計が可能。
一般的な自動評価のように点数や抽象的なコメントを返すのではなく、「なぜこの評価なのか」「どの行動が評価に影響したのか」を説明しやすい形で示し、SVや品質管理担当者がそのままフィードバックや育成に活用できることを重視している。
これにより、評価が単なる結果の提示で終わるのではなく、現場での指導、オペレーターの行動改善、継続的な品質向上につながる“運用に耐える評価”として活用できるようになる。
これらを通じ、評価業務の効率化と顧客体験価値(CX)の最大化を同時に支援する。mimityは2026年中に30社以上への導入、2028年には100社以上への導入を目指し事業展開を行う。
〔2026/2/6〕ジェネシスと富士通、Genesys Cloudでイオンフィナンシャルサービスのコンタクトセンター業務を刷新
ジェネシスクラウドサービス(本社:東京都港区、ポール・伊藤・リッチー社長、以下、ジェネシス)と富士通は、イオンフィナンシャルサービスのコンタクトセンター業務を刷新し、効果検証を完了した。
本取り組みにおいて、ジェネシスはクラウド型コンタクトセンター・プラットフォーム「Genesys Cloud」の幅広い機能を提供した。富士通は、Genesys Cloudを導入し、レポートなどの管理機能やシステム間連携を含む業務要件に応じた個別カスタマイズを実施するとともに、導入後の保守運用を担っている。本導入は、2,500席規模となり、国内金融機関において最大級のコンタクトセンター導入事例の1つ。
イオンフィナンシャルサービスは今後、音声認識を活用した「AIコンシェルジュ(音声ボット)」を導入予定。これにより、顧客は電話機のプッシュ操作を行うことなく、自然な音声対話で適切なメニューに直接接続されるようになる。さらに、イオングループの他コンタクトセンターへの展開も視野に入れており、ジェネシスと富士通は引き続き、イオングループ全体のコンタクトセンターシステムの進化を支援していく。
イオンフィナンシャルサービスのコールセンターでは、「AEON Pay」、「イオンカード」、「WAON」をはじめとする決済サービスに加え、銀行・保険・ローンなど多岐にわたる金融サービスを一括して対応している。問い合わせ内容の多様化や案内先の細分化により、顧客の待機時間増加が大きな課題となっていたほか、今後のサービス拡充を見据え、従来のオンプレミス型のコールセンターシステムの改修が必要となっていた。
Genesys Cloud導入に伴い、コンタクトセンター業務を刷新したことで、稼働を開始してから6カ月以内に以下の成果が得られている。
・自己完結率の向上
IVRに、自己解決メニューを拡充しており、顧客による「引落し不能後の入金連絡受付」のメニューにおいては、自己完結率が従来から21%向上し、顧客の待機時間の削減につながった。
・SMSによる自動対応
IVRからの問い合わせにSMSを自動送信する仕組みを導入することで、簡易な問い合わせはセルフサービスで解決され、オペレーターはより高度な業務に集中可能となった。
・迅速な機能拡張と柔軟な運用
クラウドサービスかつローコード基盤により、新サービス投入やIVRの変更をスピーディに実施可能になるとともに、今後は内製化により、一層の早期対応が可能になる。
〔2026/2/5〕RevComm、Web会議解析AI「MiiTel Meetings」、Webexと連携
RevComm(本社:東京都千代田区、会田武史社長)は、同社が提供するWeb会議解析AI「MiiTel Meetings」が、Webexとの連携を開始した。
Web会議解析AI「MiiTel Meetings」は、オンライン商談のブラックボックス化を防ぎ、売れる仕組みの可視化や業務の自動化をすることにより、企業の生産性向上に貢献する「MiiTel」ブランドのサービス。
MiiTel Meetingsは、シスコシステムズが提供するWebexとの連携を開始した。これにより、Zoom、Microsoft Teams、Google Meetに加え、Webexを利用している企業においてもMiiTel Meetingsが提供する自動録音、自動文字起こし、AI自動要約によるトーク解析、集計機能のCRM/SFA連携、Salesforceなど顧客管理システムとの自動連携機能を活用することができる。
また、対面会話解析AI「MiiTel RecPod」や電話解析AI「MiiTel Phone」と併せて活用することで、ビジネスのすべてのコミュニケーションにおける音声データを蓄積できる。AIビジネスアシスタント「MiiTel Synapse Copilot」により、蓄積した音声データを社内横断データベース化することで、顧客とのコミュニケーションデータを経営資源としてワンストップで活用することができる。迅速な意思決定と的確なアクションに活用することができる。
〔2026/2/3〕キューサイ、NiCE CXone MPower導入により2部門のシステム統合と業務効率化を実現
ナイスジャパン(東京都港区、オリビエ・ジオレット社長、以下、NiCE)は、キューサイ(本社:福岡県福岡市、石川順朗社長)が「NiCE CXone MPower」を導入し、トラムシステム(本社:愛知県名古屋市、梶田幸宏社長)の営業支援および導入プロジェクトマネジメントのもと、2部門に分かれていたシステムの統合と業務効率化を実現したことを発表した。
キューサイでは、テレビ通販のコールセンター業務において、月間15万件規模のコンタクトセンターを運営している。従来は「新規顧客」と「既存顧客」で担当部門が分かれ、それぞれ異なるシステムを運用していたため、システムの統合の検討は度々行われていたものの、さまざまな要因により実現には至っていなかった。また、既存システムではデータ分析や活用機能が十分でなく、業務改善や運営最適化を進める上で課題を抱えていた。
複数のソリューションを比較検討した結果、キューサイの運営規模に柔軟に対応可能な点を評価し「NiCE CXone MPower」を採用した。機能面では各社大きな差がなかったものの、コスト面での優位性に加え、導入支援における担当者の姿勢や提案力が決め手となった。導入ベンダーであるトラムシステムからは戦略的な価格提案が行われ、加えて迅速かつ柔軟な対応力が高く評価された。
NiCE CXone MPowerの導入により、新規顧客と既存顧客で分かれていたシステムを統合し、コンタクトセンター全体の運用を一元化することができた。これにより、システム管理の負荷軽減や運用コストの適正化に加え、オペレーター間での情報共有がスムーズになり、業務効率の向上につながっている。
今後は、統合されたシステム基盤を活用したデータ分析をさらに推進し、継続的な業務効率化と顧客満足度向上を目指す。また、チーム全体で情報共有を強化し、安定的かつ継続的なサポート体制の構築に努めていく。