〔2017/11/1]日本オラクル、企業の管理職を対象にした働き方改革とデジタル活用に関する調査結果を発表

 日本オラクルは、働き方改革への取り組みとデジタル活用について管理職の立場からみた取り組みの現状、課題や効果、今後の期待に関する意識調査を行った。同調査によって、働き方改革に取り組んでいる企業が80 %以上を占める一方、残業時間の削減や有給休暇取得促進など労働時間削減施策が多く、ビジネス成長を意識した生産性向上への取り組み、ICT(以下、デジタル)活用については課題があることが明らかになった。
 本調査は、慶應義塾大学大学院経営管理研究科岩本研究室の協力を経て2017年10月、従業員100名以上の国内企業で働く部長職以上の管理職412名を対象に実施されたもの。企業経営者、管理職による働き方改革の現状認識を明らかにし、働き方改革による生産性向上を実現するための課題を特定することを調査の目的としている。さらに、生産性向上のためのデジタル活用度合い、具体的な活用領域や今後期待する領域なども調査した。
 働き方改革とデジタル活用に関する現状、課題や効果に関する調査結果と考察は以下の通り。
1.働き方改革の目的は「生産性向上」という認識
 目的の上位は「生産性向上(48.7%)」、「ワークライフバランスの実現(44.9%)」、「コンプライアンス遵守(41.3%)」の3つである(回答者数341名)。働き方改革本来の目的が「生産性向上」であるという認識は十分にされている。一方でそれ以外に高い回答率を得たのは、働き方改革関連法案への対応、社員の働く環境改善、健康増進や満足度向上などである。自社の持続的成長や競争力強化など「生産性向上」によるビジネス成長を直接的に示唆する回答は少ない。

2.働き方改革の効果と生産性向上を測定する仕組みへの満足度は低い傾向
 働き方改革の「効果が出ている」という回答は341名中45%で、46%は効果が出ていない、と回答している。働き方改革の主目的は「生産性向上」と認識しているにも関わらず「生産性を測定する仕組みの有効度合い」については、412名の77%が「十分ではない」と回答し、また生産性と人事評価の連動度合いについては80%が「十分ではない」と回答している。生産性向上を目指す一方で、実際に働く従業員の評価とは連動していないことが明らかになった。

3. 働き方改革で上手くいっている取り組みは労働環境改善施策
 働き方改革の具体的な取り組みで上手くいっているものの上位は、「残業時間の削減(57.8% )]」「有給休暇の消化促進(38.7%)」「女性活躍の支援(30.2%)」 の3つである (回答者数341名)。その後には「オフィス環境の整備」などが続き、労働環境の改善が取り組みの中心となっている。

4. 働き方改革で上手くいっていない取り組みは人事制度や仕組みの導入
 働き方改革として上手くいっていない取り組みとその要因の上位は、「人事評価指標・方法の変更(22.5%)」「柔軟な勤務制度の導入(22.9%)」「残業時間の削減 (19.9%)」の3つである(回答者数341名)。労働時間の削減はじめ労働環境改善については、積極的に取り組んでいる一方で上手くいっていないという回答の上位にもあがっている。実際の業務量を減らすための取り組みを行っていないにもかかわらず労働時間だけを削減するというのは結果的に無理が生じていると感じている人が多いからだと考えられる。時間で管理する人事制度からの脱却、業務の負担を削減する仕組みの導入、業務の標準化や社員個人のスキル向上をなくして労働時間削減だけをしても効果は出にくい。

5.デジタル活用の現状としては、「積極的に活用している」と回答したのは412名中7%、特にタレントマネジメントをはじめとしたHRテクノロジーの活用度が低い
 デジタル活用度合いに関する質問に対し51%が「活用していない」もしくは「あまり活用していない」と回答している。また、「活用している」と回答した中での具体的なデジタルツールとしては「経理・財務システム」、「グループウェア」、「ビデオ会議システム」が上位にあげられており、働き方改革以前からのデジタル活用と大きな変化は見られない。「生産性向上」のためにデジタルを積極的に活用しようという動きはまだ鈍いと考えられる。一方で今後デジタルが企業の将来的な成長に貢献すると思う方は全体の74%を占めた。中期的にIoT, ビッグデータ、ロボット/RPA, AIなどの最新テクノロジーによって生産性を向上したい分野としては販売・営業業務と製造・生産業務が上位を占めた。


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