〔2019/3/1〕トランスコスモス、リターゲティング広告最適化AIを使った広告運用サービスを開始

 トランスコスモスは、機械学習を自動化する最先端AI「DataRobot」と独自のDMP(データマネジメントプラットフォーム)である「transcosmos decode」(以下、DECode)を組み合わせたデータドリブンコミュニケーションサービスのひとつとして、リターゲティング広告最適化AIを使った広告運用サービスを2019年3月より開始する。2019年度内に20社以上の導入を目指す。
 近年、「AIの民主化」(=あらゆる企業のあらゆる業務でAI活用が進むという潮流)の中で、消費者と企業のマーケティングコミュニケーション領域においてもAI/機械学習を活用する企業が増えている。しかし、データサイエンティストやAIエンジニアなどの専門人材を確保し、必要なデータを収集・加工して、高度な確率統計の予測モデルを構築し、業務用システムとして仕組み化し、運用部隊に実装するという一連の業務を、自社のみで遂行するのは極めて困難だ。
 トランスコスモスは、幅広いクライアント企業におけるAIの民主化の実現を支援すべく、Web・EC・コールセンターなどのマルチチャネルデータを統合管理し、DataRobotなどのAIとの連携を可能にする独自DMPであるDECodeを構築し、2017年4月に運用を開始した。DMPとAIを連携させたデータドリブンコミュニケーションのスキームを構築し、既に20件以上のトライアルプロジェクトを実施、その成果の一部を新サービスや現場の業務効率化ツールの形で仕組み化し続けている。
 今回のリターゲティング広告最適化AIも、そうした取り組みから派生した新サービスのひとつ。第1弾として、自社サイトのアクセスログやCRMデータをDECodeで統合し、DataRobotによる予測モデルを構築し、確率上位の顧客にリターゲティング広告を配信する際に、直接GDN(Google Display Network)、DBM(DoubleClick Bid Manager)への連携が可能な仕組みを正式にリリースする。
 従来の広告運用では、運用担当者が勘と経験による試行錯誤を繰り返しながら、人力で配信すべきセグメントの条件を発見/設定することが一般的あった。ただし、1日前にTOPページだけを閲覧した顧客と、7日前に商品の詳細情報までじっくりと回遊した顧客のどちらに優先的に広告を当てるべきか、といった精緻な検証を人力で網羅することは現実的には不可能であった。
 しかし、今回のリターゲティング広告最適化AIを活用すれば、膨大に存在する自社Webサイト内の顧客/cookieの行動パターンからDataRobotを用いてコンバージョン(購入や成約などの行動。以下、CV)しやすいパターンを学習し、未知の顧客に対し自動的にCV予測確率を付与することで、人力と比べスピーディーかつ高精度なセグメント配信が可能になる。しかも、クライアント企業の担当者は、自社サイトにDECodeタグを入れるだけでよく、機械学習の知識や技能をもつデータサイエンティストや、予測モデルをシステム化し実装するAIエンジニアなどを自力で調達する必要はない。
 実際にリターゲティング広告最適化AIを試験導入したプロジェクトでは、クライアント企業内に毎日蓄積されるWebサイトの閲覧履歴と顧客属性情報をDECodeで統合し、DataRobotを使ってリターゲティング広告配信用の濃淡の付いたセグメントを日次で生成。セグメントごとに入札額を変更することで、優良顧客の80%を補足する高精度な予測モデルを構築した。そのモデルを使ったセグメント配信を実施した結果、従来の広告運用と比べ130%のROI改善に成功し、短期間でAI/機械学習を活用した最先端のデジタルプロモーションを実現した。
 しかし、いたずらにROIだけを求めると配信規模が縮小してしまうため、現在は明らかに無駄打ちになっているセグメントへの配信を抑制し、それによって浮いた予算をより確度の高いセグメントにリソースを集中投下する、または別の媒体やチャネルにまわし新規顧客層の開拓や見込み客の育成を強化するなどの運用上の工夫を行うことで、ROIを改善しつつ配信規模を拡大し、成約数を約1.6倍に伸ばすことに成功している。


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