〔2020/4/1〕ジェネシス、グローバルリサーチの一環として、日本におけるAIの現状の調査結果を発表

 ジェネシスは、人工知能(AI)をテーマに雇用主、社員、消費者を対象にした複数のリサーチから、日本においても雇用主、社員ともにAIの導入についてポジティブな意識を持つとともに、AIを活用したカスタマーサービスについても消費者に受け入れられる土壌が整いつつある結果となった事を発表した。調査は雇用主・社員においては6カ国、消費者は13カ国のグローバルなリサーチの一環として実施されたもの。
 自社のAIの利用に対する考えについて尋ねたところ、日本の雇用主の41%が「自社の目標をより迅速に、より効率良く、より安価に達成できるものだ」、22%は「AIによって社員自身の生産性が上がり、有意義な存在として感じる」と回答し、合計60%以上がAIをポジティブに受け入れている結果となった。同様に社員の6割以上が日々のタスクで時間を削減できることを筆頭に、AIを歓迎していることがわかった。
 さらに、今回のリサーチで雇用主は自社のカスタマーサービスにおけるAIの活用を有効であるととらえていることがわかった。雇用主の27%は「サービスが改善されるなら、お客様は歓迎すると思う」、29%は「AIが導入されても、社員からのサービスが受けられる状況であるなら問題ない」と回答するなど、6割近くがAIを活用したカスタマーサービスが受け入れられるとの認識を示している。それは日本の消費者へのボイス/チャット・ボットに対する、以下の調査結果とも符号している。
 AIをポジティブに受け入れているものの、日本の企業および団体においてAIの採用率はまだ低いのが実情。現在雇用主のわずか16%がAIまたは高度なオートメーションツールを利用していると回答し、社員側の「自分がAIを現在利用している」と回答した13%とほぼ同じ結果となった。日本におけるAIの低い導入率の背景には、AIを含めた新技術のスキルを持つ人材の不足が一因として挙げられる。経済産業省の発表によると将来的に40~80万人の規模で不足が生じる懸念があることも試算されている1。この問題の解決にはAIをはじめとした新しいテクノロ
ジーを活用できる人材の育成が有効な打ち手の1つとなる。しかし、ジェネシスのリサーチにおいては「現在AIを活用できるスキルを持っている」と回答した社員の比率が25%と、現時点ではそうしたスキルを持った人材が少ないのが課題として浮上している。
 さらに、AIのトレーニングは誰が提供すべきだと思うかという質問に対して、雇用主と社員の間で大きなギャップが発生している。社員の72%は「雇用主が提供すべきだ」と回答した一方、雇用主側の回答のトップは「社員自身が身に付けるべきだ」となった。現在、問題が解決するならば、「ボイス・チャットボットサポートで5分を費やす」より「人間が対応するまで10分待ちたい」と回答した消費者の比率は53%で、人によるサービスへの期待が依然として高い傾向にあるが、将来的に迅速かついつでもサービスを受けられる利便性からこの比率は逆転する可能性がある。カスタマーサービスにおけるAIの活用が一般的になった時に備え、雇用主や第三者、政府機関に関わらず、社員に向けた積極的なトレーニングプログラムを導入することは、今後、AIを採用する上で重要な要素になると考えられる。


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