〔2020/7/15〕ANAのコンタクトセンター、AIと新CRMによりお客様満足度向上を強化

 日本IBMは、全日本空輸(以下、ANA)のコンタクトセンターシステムの刷新を支援し、2020年3月26日から新システムが稼働を開始した。新システムでは、音声基盤システムをAVAYA社/NICE社の最新ソリューションで刷新するとともに、複数システムに分散していた旧CRMをセールスフォース・ドットコムが提供するSaaSのSalesforce Service Cloudに移行・統合した。また、IBM® Watsonの音声認識機能(Watson Speech to Text)を利用してコミュニケーターと顧客との会話内容をテキスト化する仕組みの試験利用を開始した。
 ANAグループは「お客様満足と価値創造で世界のリーディングエアライングループを目指します」をグループ経営ビジョンに掲げ、グループの事業活動において、デジタル技術をベースとしたビジネスモデルを構築し、より一層高いお客様満足度の向上を追求し続けている。日米4拠点で1日平均2万件以上の顧客からの問い合わせに対応しているコンタクトセンターは、重要なお客様接点として位置付けられている。新システムを活用することで、お客様ニーズの多様化に対応したサービス品質の向上とコンタクトセンター運営の効率化を図るとともに、顧客が求めるサービスを的確に把握してマーケティング施策に反映していく機能を強化していく。
 新システムの特長としては、音声基盤システムを日米で統合したことにより、電話を着信した拠点に関わらず、空きが出た拠点で受電することが可能となり、顧客の待ち時間の削減を図った。CRMシステムでは、コンタクトセンター拠点間の電話履歴を統一し、電話とメール・チャットなどのチャネル間連携が可能となったため、顧客の問い合わせ履歴情報を一元管理できるようになった。これにより、顧客対応を迅速かつ的確に行うことができ、お客様満足度の向上を図る。さらに、Salesforce Service CloudやWatsonといったSaaSを活用したことで、顧客のニーズに柔軟に対応するシステム構築を実現し、コストを抑えながら最新のサービスを利用できるようになった。
 今回、日本IBMでは、セールスフォース関連のサービス提供に特化した専門チームと音声基盤関連に特化した専門チームが連携し、高度なプロジェクトマネージメントスキルのもと大規模かつ複雑なプロジェクトを推進した。グローバルで培ったスキルや知見および日本での豊富な導入経験を活用し、コンサルティングサービスから、要件定義、システム構築までを一貫して提供し、大規模コンタクトセンターシステムの刷新において、短期間で円滑かつ高品質なシステム構築を支援した。
 ANAコンタクトセンターの今後の展開としては、コミュニケーターと顧客との会話内容をテキスト化する仕組みの本格展開と合わせて、Watsonの情報探索(Watson Discovery)機能を利用し、問い合わせに対する回答候補などの情報をリアルタイムでコミュニケーターに表示する機能などを追加していく予定で、業務効率の向上を図るとともにお客様満足度向上を目指す。


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