〔2020/10/12〕富士キメラ総研、「2020 人工知能ビジネス総調査」を発表

 富士キメラ総研(本社:東京都中央区、田中一志社長)は、生産性向上や働き方改革、企業競争力の向上などを目的に、積極的な投資が進んでいるAIの国内市場を調査した。その結果を「2020 人工知能ビジネス総調査」にまとめた。
 本調査では、AIを活用した分析サービスをはじめ、AI環境を構築するためのコンサルティングやSI(システムインテグレーション)、AI環境を支えるアプリケーションやプラットフォームなどをAIビジネスとし、カテゴリー別、業種別にその市場を分析したほか、AI活用が進んでいるソリューション市場、エッジAIコンピューティング市場も捉えた。また、ユーザーアンケートによりAIの導入実態などを把握し、AIビジネス市場を総括した。
 AIが注目され始めた2016年度頃は、AIへの期待感から漠然と導入を検討する企業がみられたが、2018年度以降は、具体的な業務課題の解消に向け活用を検討する企業が増えている。ベンダー側のノウハウの蓄積と共にソリューションが体系化されつつあり、2019年度には実証実験から本格導入に移るケースも増えたことで、市場は大きく拡大した。
 AIを活用するソリューションでは、初期段階として事務処理や顧客問合せ対応など、ある程度定型化された業務の効率化/自動化を目的とした導入が進展している。第二段階として知識を有した従業員や熟練者などが実施していた業務を、ノウハウに関係なく可能とし業務品質を平準化するソリューション、第三段階として蓄積されたデータを用いた、ビジネスの高度化を目的とした活用も今後進んでいくとみられる。
 2020年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、プロジェクト遅延や新規案件の延期などが一時的にみられた。しかし、リモートワークの急速な普及もあり、デジタル技術を活用した構造改革を積極的に進めている企業も多く、経済状況が悪化している中でも企業競争力向上の取組みの一環として、AIへの投資は優先的に行われるとみられ、市場は2019年度比15.4%増の1兆1,084億円が見込まれる。
 2021年度以降は、企業がデジタルトランスフォーメーションを実現するための要素技術の一つとしてAIの利用がさらに増加していき、2025年度には2019年度比2.0倍の1兆9,357億円が予測される。


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