〔2020/10/12〕野村総合研究所、AIソリューション「TRAINA/トレイナ」の日本語解析機能とAI/ML機能を強化

 野村総合研究所は、コンタクトセンターをはじめとする企業のリモート応対・接客業務を高度化・効率化するAIソリューション「TRAINA/トレイナ」の機械学習(ML)機能を強化し、日本語解析精度の大幅な向上を実現した。さらに、学習期間については、アマゾン ウェブ サービス(以下、AWS)が提供する「Amazon SageMaker」を活用することで、大幅な短縮が可能となった。
 また、AWSが提供するクラウドコンタクトセンター「Amazon Connect」と連携し、TRAINAを用いた音声認識・対話要約機能をより簡単に利用できるようにした。
 今回は、基礎技術となる日本語解析処理と機械学習アルゴリズムを刷新し、精度を大幅に向上させた。単語の一致のみで意味を捉えようとする従来の方式では、テキストの仕分けや判別を自動化しても、十分な精度が出せない課題があった。これに対して新方式では、文脈によるニュアンスの違いや文全体を通した意味をとらえられるようになり、より高精度な日本語の解析が可能になった。
 なお、同社が行った精度比較検証では、テキスト分類処理の正解率が従来の82.9%から95.4%へと向上したと言う。新技術の適用により、人が文章を読み、意味を理解しながら行っていたテキストの仕分けや判別作業を、高精度に自動化できるとアピールしている。
 また一般的に、機械学習を企業内の業務に適用するには、大量の教師データを用意する必要があり、これが長らく、企業におけるAI活用の課題となってきたが、今回の新方式では、大規模な日本語用例データを使った事前学習モデルをベースに、ファインチューニングと呼ばれる個別業務に特化した補正を行うことで、少量の教師データでも良好な結果を得られる特徴を持つ。
 今回はさらに、日本語解析処理の高速化を図るため、AWSが提供する機械学習の実行基盤「Amazon SageMaker」に対応。導入企業は専用の環境を用意することなく、TRAINAのクラウドサービスにデータをアップロードするだけで、AWSが提供する高性能なGPU基盤を使った機械学習処理ができるようになった。その結果、一般的なオフィス用PCやサーバ環境では数日かかる機械学習処理を数分で完了可能になった。
 一方では、AWSのクラウド型コンタクトセンター「Amazon Connect」との連携も実現。Amazon Connectの導入企業が容易にTRAINAを利用できるようにしている。TRAINAはコンタクトセンターの通話内容をリアルタイムで音声認識し、通話が終了した数秒後に通話の要約文を自動的にまとめ上げる。この結果、オペレーターの応対履歴システムへの入力作業が削減されるとともに、入力品質の個人差が少なくなり、顧客からの重要な問い合わせ、要望、苦情を漏れなく収集可能になる。
 なお同社では、AWSの日本法人であるアマゾン ウェブ サービス ジャパンと協力しながら、顧客企業のデジタル変革に向けたソリューション開発、およびサービス連携を進めていく考えで、今後、AWSのコンタクトセンター向けAIソリューション「AWS Contact Center Intelligence」とさらに連携し、TRAINAを3年間で100社に導入することを目指す。


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