〔2023/6/27〕バーチャレクス・コンサルティング、カスタマ―サクセス実態調査、2023年版第三弾の結果を発表

 バーチャレクス・コンサルティングは、カスタマーサクセスに関する実態調査を実施した。第一弾および第二弾に引き続き、第三弾の結果を取りまとめた。
 対象:全国の20歳から65歳の有職者29,237人の中で、カスタマーサクセスを「自身が担当している/社内に取り組んでいる部署、または担当者がおり、自身もかかわっている」と答えた500人。
 カスタマーサクセスに取り組んでいる、取り組んでいないそれぞれの層に対し、直近一年の新規顧客数および新規売上の推移について尋ねてみると、カスタマーサクセスに取り組んでいる層はいずれも「増加した/上がった」と回答した人が6割を上回った。反対に取り組んでいない層の約6割は、新規顧客数も新規売上数も「変わらない」という結果になった。
 継続売上についても、カスタマーサクセスに取り組み層のうち57.2%が「増加した/上がった」と答えており、カスタマーサクセスの取り組み効果が事業の業況に表れていることが推察される。
 次に、カスタマーサクセスの取り組みを行っている層に対して「カスタマーサクセスに取り組む前と後」での売上高および利益率の変化を尋ねてみた。売上高については56.0%、利益率については51.8%と、いずれも半数以上が「向上した」と回答している。
 カスタマーサクセス取り組みについて効果を感じている層、感じていない/どちらとも言えない層それぞれに、取り組み前後での売り上げ変化について尋ねたところ、効果を感じている人の77.2%が「売り上げが向上したと感じる」と回答した。効果を感じていない人/どちらとも言えない人では45.1%の人が「あまり変化は感じない/わからない」と回答している。
 また利益率の推移については、効果を感じている層の70.7%が利益率の向上を体感しているが、こちらも効果を感じていない/どちらとも言えない層の45.1%は、利益率の変化を感じていないようだ。カスタマーサクセスの取り組み効果を体感している7割以上の人は、売り上げや利益率などの数値も上がっていることが実感できていることがわかる。
 次に、直近一年で顧客に対して新たに始めた/強化した取り組みについて聞いてみたところ、効果を感じている人の3.8%が「メール/チャット等でのサポート情報提供」、次いで、58.7%の人が「ブログ記事やホワイトペーパー等のオウンドメディア上でのコンテンツ提供」など、”テックタッチ”の強化が垣間見える結果となった。前年もその傾向があったが、今年はさらに取り組む人の割合が増加している。今年に関していえば「ChatGPT」が注目を集め、チャットボットやFAQの提供が進んだ企業もあったのではないだろうか。カスタマーサクセスの効果を感じている層、感じていない/どちらとも言えない層では施策の取り組み度合いに大きく差があることがわかる。
 また、カスタマーサクセスの効果を感じている人のほとんどがこれら新たな取り組みを始めたり、取り組みの強化行ったりすることで「期待していた効果が得られた」と回答している。すべての施策がすべての企業に効果をもたらすわけでは当然ないが、自社の商材とユーザーの性質に合わせたコンテンツ発信やサポート体制を効果的に行うことで、効果に繋げられると考えられる。
 カスタマ―サクセスに取り組む人の課題として必ず挙がってくる課題のひとつが「どのツールを選べばよいのかわからない」ということ。対象者にテクノロジーツールの利用状況を尋ねたところ、効果を感じている層で一番多かったのは顧客情報管理ツールで41.7%、それに対して感じていない/どちらとも言えない人の約6割がテクノロジーツールを特に利用していないことがわかった。効果を生み出すためには一見ツールが必須のようにも見えるが、「効果を感じている層」においても各ツールの利用率は約1割から2割とさほど多くないので、実態としては必ずしもカスタマーサクセスツールがないと効果が創出できない、というわけでもなさそうだ。
 今年の調査においても、昨年同様カスタマーサクセスの取り組み効果を感じている人は「売り上げが向上している」と答えた人の割合が大きかったのに対し、効果を感じていない/どちらとも言えない人の半数近くは「売り上げが横ばい状態」という結果となった。効果創出の差はどこで生まれるのか、今回は取組施策と利用ツールの違いで検証してみたが、次回の調査結果では、実際の運用方法や指標などを切り口に分析していく。


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