〔2023/9/27〕J.D. パワー、2023年携帯電話サービス顧客満足度調査結果を発表
J.D. パワー ジャパン(本社:東京都港区、山本浩二社長、略称:J.D. パワー)は、J.D. パワー 2023年携帯電話サービス顧客満足度調査の結果を発表した。
本調査は、大手キャリア、バリューキャリア 、MVNO、オンライン専用ブランド/プランの4部門に分けて携帯電話サービスの顧客満足度を測定している。
本年の総合満足度は、大手キャリア部門では597ポイント(前年比+2ポイント)となり、前年調査(2022年9月発表)からの大きな変化は見られなかった。
バリューキャリア部門は639ポイント(前年比+5ポイント)となり、やや向上した。ファクター別では総合満足度への影響度が最も大きい「通信品質」のスコアで前年から+14ポイントの向上が見られており、特に一部のブランドでの向上が顕著であった。
MVNO部門は650ポイント(前年比-4ポイント)となった。「通信品質」ファクターで前年から-11ポイントの低下が見られており、一部の携帯電話事業者の回線網を使用したMVNOユーザーでのスコア低下が顕著となっている。
オンライン専用ブランド/プラン部門は655ポイント(前年比-11ポイント)となった。MVNO部門同様に、「通信品質」ファクターが特に低下しており(前年比-18ポイント)、一部のブランドでスコアが大きく低下した。オンライン専用ブランド/プランは、大手キャリアやバリューキャリアと比べて毎月のデータ使用量が多く、スマートフォンでの動画視聴などを行うユーザーが多い特徴がある。このため、同じ携帯電話事業者の回線網を使用していても、他部門のユーザーと比べて、つながらない、つながりにくい、といった事象を敏感に感じたユーザーが多いものと推察される。
本年の業界全体での総合満足度は前年比+4ポイントにとどまるものの、ファクター別にみると「手続き・サポート対応」ファクターの満足度は前年から+15ポイントと、全5ファクターのうち最も向上した。中でも「オンライン」での手続き・サポートの満足度が最も向上している(前年比+17ポイント)。
近年、携帯電話業界においても店舗やコールセンターの業務効率化等を目的に、オンラインサポートの利用促進が図られているが、業界全体でオンラインサポートの満足度は向上傾向にあると言える。調査対象となった全14ブランド中、9ブランドで前年からスコアが10ポイント以上向上しており、多くのブランドで「必要な情報が得られるまでにかかった時間」、「掲載内容・提供情報のわかりやすさ」といった項目で評価の向上が見られた。
オンラインサポートで利用したページ・機能別に満足度をみると、「ビデオ通話によるサポート」を利用したユーザーの満足度が737ポイントと最も高い結果となった。一部のブランドではビデオ通話を使用したオンライン接客やオンライン手続きの支援サービスが開始されているが、このような取り組みは顧客満足度の向上・改善においても効果的と言える。
また、前年と比較すると、「オペレーターとのチャットによるサポート機能」(有人チャット)や「AIチャットボット機能」(AIチャット)を利用したユーザーの満足度がそれぞれ+30ポイント前後と大きく向上した。有人チャットにおいては「オペレーターとすぐにチャットを開始できた」、「オペレーターからの返信はスムーズだった」という回答も増加しており、有人・AIともにチャットサポートの提供品質向上がうかがえる結果となった。しかし、有人チャットでは41%、AIチャットでは半数以上の52%のユーザーが目的の用件が「解決しなかった」と回答しており、解決率はまだ高いとは言えない状況にある。オンラインサポートの利用拡大に向けて今後の更なる改善が期待される。
今年5月から、携帯電話会社を変更する際の予約番号発行が不要となり、乗り換え先の携帯会社で申し込むだけでMNP手続きを進めることができる「MNPワンストップ」が開始された。携帯電話会社変更の利便性や流動性を高める目的で導入されたサービスであるが、認知度は非常に低い結果となった。
「MNPワンストップ」について、「内容まで詳しく知っている」と回答したユーザーは6%、「なんとなく知っている」と回答したユーザーは15%にとどまり、「知らない」と回答したユーザーが80%となった。年代別に見ても大きな違いはなく、10代-20代では77%が、60代以上では84%が「MNPワンストップ」を「知らない」と回答している。市場の競争活性化や顧客流動性を高めていくために始まったサービスではあるが、ユーザーへの周知・理解促進がまず必要となっている。
総合満足度ランキングは下記の通り。
<大手キャリア部門>(対象3ブランド)
第1位:docomo(603ポイント)
3年連続の総合満足度第1位。「通信品質」、「サービスメニュー」、「手続き・サポート対応」の3ファクターで最高評価。
第2位:au 、SoftBank(同点、591ポイント)
SoftBankは「各種費用」、「提供端末」の2ファクターで最高評価。
<バリューキャリア部門>(対象3ブランド)
第1位:Y!mobile(647ポイント)
2年連続の総合満足度第1位。「通信品質」、「サービスメニュー」、「提供端末」、「手続き・サポート対応」の4ファクターで最高評価。
第2位:UQ mobile(641ポイント)
第3位:楽天モバイル(626ポイント)
「各種費用」ファクターで最高評価。
<MVNO部門>(対象5ブランド)
第1位:IIJmio(666ポイント)
3年連続の総合満足度第1位。「通信品質」、「各種費用」、「提供端末」の3ファクターで最高評価。
第2位:mineo (659ポイント)
「サービスメニュー」、「手続き・サポート対応」の2ファクターで最高評価。
第3位:イオンモバイル(652ポイント)
<オンライン専用ブランド/プラン部門>(対象3ブランド)
第1位:LINEMO(680ポイント)
3年連続の総合満足度第1位。「通信品質」、「サービスメニュー」、「手続き・サポート対応」の3ファクターで最高評価。
第2位:povo(672ポイント)
「各種費用」ファクターで最高評価。
第3位:ahamo(645ポイント)