〔2024/7/1〕アルティウスリンク、「Microsoft Copilot」によるコンタクトセンター業務の実証実験を完了
アルティウスリンク(本社:東京都新宿区、網野孝社長)は、マイクロソフト社が提供するAIアシスタント「Microsoft Copilot」を活用したコンタクトセンター業務の実証実験を完了、「ヒト」と「AI」のハイブリッド運用で業務効率化・品質向上を実現し、一部の実業務へ導入した。
本実証実験では、米国OpenAI社の大規模言語モデル「GPT-4」などを活用したAIアシスタント「Microsoft Copilot」でメール問合せ対応に関する一連のプロセスを検証し、工数削減に成功、顧客満足度の向上に寄与した。
アルティウスリンクは、2022年よりデジタルコンタクトセンタープロジェクトを始動し、「人」と「デジタル」、そして「AI」をバランス良く組み合わせたITインフラやサービスの次世代化に取り組み、注力領域の1つに、オペレーション業務の生産性および、品質向上を目的とするコンタクトセンター運用のノウハウとデジタル技術の融合によるBX(ビジネストランスフォーメーション)が挙げられる。
本実証実験においては、メール対応のうち、特に難易度が高く人によって品質のばらつきが出やすい業務において、生成AI活用によるオペレーター支援の可能性を運用と技術の両面で検証した。
大手ソフトウェア企業のテクニカルサポート窓口のメールオペレーション業務を対象に、Microsoft Copilotシリーズの法人向けサービス「Copilot for Microsoft 365」を活用し、約3カ月間繰り返し検証を行った。
問合せ分析では、問合せ内容から「緊急度」「深刻度」「クレーム有無」「情報不足」の4項目を5段階で判定し優先度を設定、返信メール文案を作成した。その成果として、問合せの前さばきを自動化することで初動工数を13%短縮、優先度の高い問合せから対応することで、クレームや機会損失を防止した。
メール添削では、「業務マニュアル」に加え、アルティウスリンクで標準化された「応対品質マニュアル」を生成AIに学習させてオペレーターが作成したメールを添削し、修正箇所を理由付きで明示した。その成果として、2次チェックを自動化することで有人工数を51.4%削減。応対品質のばらつきも解消され品質向上に寄与した。
CSAT(顧客満足度スコア)予測では、問合せの要旨に対して顧客満足度を事前予測して、低スコアが予測される問合せに対して追加フォロー案を提示した。その成果として、事前予測の精度80%。スコア予測が低い問合せを事前にフォローすることでお客様満足度向上に寄与した。
オペレーションを熟知するプロンプトエンジニアによる設計でハルシネーションの問題も解消し、十分な効果が見込めることから実業務に導入を開始、かつ短期間での構築を実現した。また、アルティウスリンクがこれまで培ってきたオペレーションノウハウを集約した「応対品質マニュアル」を生成AIに学習させることで、効率化と高水準のサービス品質を両立するとともに、オペレーターの研修期間の短縮も見込んでいる。
今後の取り組みとして、「Copilot for Microsoft 365」の活用範囲を広げ、トラブルシューティングに関するメール文案の自動作成や、顧客とやりとりしたメールの完結判定など、実業務への本格的な導入に向けて実証実験を進めている。またプロンプトエンジニアの育成を強化し、Microsoft Copilotを拡張した「Microsoft Copilot Studio」の実装を視野に、多言語対応などさらなる範囲拡大に向け検証を行っていく。