〔2011/5/9〕ミック経済研究所、CRM関連市場についての動向調査結果を発表

         
CRM 総市場 IT ソリューション/SaaS 別売上高推移

ミック経済研究所は、CRM関連市場についての動向を調査し、その結果をまとめたデータを発表した。本資料では、SIer、SaaSベンダー、ソフトウェアベンダーおよびPBX/ACDベンダー61社を調査し、2009年度から2011年度までのCRM関連売上の実績値と予測値をベースに市場動向を分析している。また、2013年度までの中期予測もしている。
本資料では、CRM市場を「システム・アプローチ」ごとに6つのソリューション((1)マーケティング・ソリューション、(2)セールス/サービス・ソリューション、(3)レコメンデーション・ソリューション、(4)カスタマーサービス・ソリューション、(5)ビジネスインテリジェンス・ソリューション、(6)統合ソリューション)に分類し、個々のソリューションごとに、ITソリューションおよびSaaS市場のトレンドを集計・分析している。
このCRM総市場であるが、ITソリューション市場は経済不況の影響で投資意欲が減退しており、また市場においてもユーザー企業の投資を喚起するような新しいソリューションも登場していないのが現状であり、2008年度をピークに伸び悩みを続けている。一方、CRM関連SaaS市場については、ITソリューション市場と比べて市場規模自体はまだまだ小さいものの、SFAやメールを中心としたマーケティングツール、レコメンドエンジンらのサービスが好調に売上を伸ばしており、双方の市場環境は対極にあると言える。結果、2010年度のCRM総市場は、ITソリューション市場とSaaS市場を合わせて、前年度比97.2%の6294億5000万円と、ITソリューションの減少分をSaaSの増加分でカバーできず、減少している。そのうち、ITソリューション市場は前年度比96.4%の6034億5000万円で、CRM総市場に占める構成比は95.9%となる。一方、SaaS市場は前年度比122.0%の260億円で4.1%を占めている。
SaaS市場は、今回の調査時期の範囲である2008年度より2桁成長を続けており、今後も好調に推移すると予測され、市場は今後も2桁成長で推移していくことが予測される。
一方で、ITソリューション市場は、2008年度をピークに2カ年連続で減少しており、今後もSaaSへの移行およびSI構築単価の下落により、ITソリューション市場は総じてダウントレンドとなる見込みである。よって、2013年度には上述の市場に占める構成比が変化し、ITソリューション市場が92.6%に減少し、SaaS市場が7.4%まで高まると予測される。また、それぞれの市場規模は、ITソリューション市場が2012年度前年度比99.2%(5794億円)、2013年度前年度比99.4%(5758億円)と予測される。SaaS市場は、2012年度前年度比122.9%(314億円)、2013年度119.4%(461億円)と予測される。
さらに、総市場規模は、2011年度を底に、2012年度以降はリプレイス時期がくるため、上向きに転じると見込まれ、2012年度前年度比100.4%(6180億円)、2013年度前年度比100.6%(6219億円)と、緩やかではあるが回復していくと予測される。なお、東日本大震災の影響であるが、ITソリューション市場は大きな影響を受けるものと見られる。これは電力の供給問題によるところが最も大きい。夏頃に再び想定される計画停電による電力の利用制限によって、企業の設備稼働率が低下し、これが設備投資にも影響してくると考えられる。また、世間的な風潮として「自粛」という形で、個人消費も縮小する中で、負のスパイラルに陥ることで、投資環境の悪化が懸念されるためだ。SaaS市場においては、メール配信などの一時的な自粛もあり、市場規模は当初の予測を下回ると考えられるが、限られた投資環境を効率的に分配する際に、ソリューションからSaaSへの移行が進むことが想定されるため、影響は限定的と見られ、市場規模は減少することなく、伸びていくものと予測される。


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