〔2024/12/26〕TMJ、「カスタマーハラスメントの現状と対策に関する調査レポート」を公開

 TMJ(本社:東京都新宿区、丸山英毅社長)は、自社のコンタクトセンターに勤める従業員313名を対象に調査を実施し、「カスタマーハラスメントの現状と対策に関する調査レポート」を公開した。
 調査の結果、コンタクトセンターに従事する業務で受けたカスタマーハラスメント(以下、カスハラ)において、最も多かった被害は「暴言・怒声」であった。中でもカスハラ被害を経験された時に、少しでも「ストレスを感じた」ことがある従業員は9割(90%)もいることが判明。また、お客様による“無理な要求”や“勘違い”からカスハラ化するきっかけになる傾向も明らかになった。現状、これらのカスハラへの対応方法としては、話を聞き続けたり、毅然と対応することでその場を乗り切ったという回答が多く、今後、カスハラへの必要な措置として、「法律・条例による防止」や「消費者への啓蒙活動」が必要だと多くの社員が考えている。
 調査の結果、コンタクトセンターの従業員が業務中に受けたカスハラ被害で最も多かったことは「暴言・怒声」(83%)という結果に。2位は「長時間拘束」(72%)、3位は「クレームの過剰な繰り返し」(69%)となった。これは、顧客からの不適切な発言や高圧的な態度が、従業員に直接的な心理的負担を与えていることを示している。また、こうしたカスハラ被害を経験した従業員の9割(90%)がなんらかの「ストレスを感じた」と回答しており、カスハラが従業員に与える影響は小さくないことが浮き彫りとなった。
 カスハラが発生した主なきっかけとして、第1位「お客様からの無理な要求」(68%)、同率2位「お客様の勘違い」と「従業員の接客態度・言葉遣い」(49%)となった。「無理な要求」には、現実的に対応困難な要望や過剰要求が含まれ、従業員に過度な負担を強いるケースが挙げられる。また「勘違い」では、商品やサービスに対する誤解や認識不足が原因で怒りや不満が向けられる状況が多い傾向が明らかになった。対応策として最も実施していることは「話を聞き続けた」(63%)、2位が「毅然と対応」(55%)、3位が「謝り続けた」(47%)という結果に。これらはその場のトラブルを鎮静化させる手段として機能しているが、根本的な解決には至ら
ない場合も少なくない。
 カスハラを防止するために必要な措置について尋ねたところ、「法律・条例による防止」が1位(68%)、2位は「消費者への啓蒙活動」(58%)、3位は「企業・コールセンターのマニュアルの整備」(52%)となった。企業や組織としての対応やルールの整備を半数以上が求めていることがわかるとともに、法律や条例の整備により社会全体でハラスメントを抑止する効果の期待は大きく、消費者に対する正しい理解を促す啓蒙活動の実施も強く求められている。これらの対策は、従業員の安全と安心を確保する上で重要な課題となっている。
 今回の調査結果を通じて、従業員が業務中に受けたカスタマーハラスメントの深刻さを再認識した。特に、「暴言・怒声」が最も多く、カスハラ被害を経験した約9割の社員が精神疾患やストレスなどを抱え身体的にネガティブな影響を受けていることが判明した。また、これらのハラスメントの多くが、お客様の「無理な要求」や「勘違い」が起因していることも明らかになった。現状では、従業員が毅然と対応したり、話を聞き続けることでその場を乗り切る努力をしており、法律や条例による規制や消費者への啓蒙活動の必要性を強く感じている。
 2024年度は、“カスハラ”が流行語大賞にノミネートされるなど、世間で多く取り沙汰される年となった。特に、東京都がカスタマーハラスメント防止条例を2025年4月より施行決定したことで話題となり、各企業がカスタマーハラスメントの対応方針を公表することが非常に増えた。一方、各企業はカスハラに対する姿勢の公表にとどまっていることや、これからカスタマーハラスメント防止条例が施行されることで、また新たな課題が生まれることも予測される。TMJでは、従業員が安心して働ける環境を整えるべく、業界団体方針を踏まえたカスタマーハラスメント防止策を講じる予定であるとともに、社内のルール整備とケアの強化を図っていく。また、業界全体における意識改革を推進することで、従業員が心身ともに健康で働ける社会の実現に寄与していく。


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