〔2011/8/8〕ミック経済研究所、デイザスタリカバリ市場予測を発表。2010年度1583億円、2011年度は前年度比111.2%の1760億円と予測
ミック経済研究所は、デイザスタリカバリ(以下DR)ソリューション市場規模予測をまとめた。本調査におけるDRソリューションとは、自然災害などのリスクに備え、ITシステムおよびデータのバックアップ環境を、プライマリシステムとは別施設(拠点)に準備するソリューションとしている。
本調査では、DRソリューションを、ユーザー企業が自前のDR環境を構築する(1)SI構築型DRソリューションと、ユーザー企業がDR環境としてデータセンターサービスを利用する(2)DC提供型DRソリューションに分け、(1)と(2)の合計をDRソリューション総市場と定義している。同マーケティング資料では、国内のITベンダ、SIer、データセンター事業者など合計45社の売上高や動向、各種戦略などについて調査した。
2010年度のDRソリューション総市場規模は1583億円であった。2011年度は、2011年3月に発生した東日本大震災の影響から、需要が増し、前年度比111.2%の1760億円の市場規模になると見込まれる。2012年度以降の市場動向は、震災をきっかけとしたユーザーの危機管理や事業継続に対する意識の高まりにより、年10%前後と高い伸び率で推移し、2016年度には、2818億円の市場規模になると予測される。
2010年度のSI構築型DRソリューション市場規模は563億円、DC提供型DRソリューション市場規模は1020億円であった。DRソリューション総市場に占める売上構成比は、2010年度、SI構築型(35.6%)、DC提供型(64.4%)となっている。堅牢性、セキュリティ面などで評価が浸透しているデータセンターサービスを提供しているDC提供型が高い構成比となった。
2011年度は、SI構築型が前年度比107.3%の604億円、DC提供型が前年度比113.3%の1156億円の市場規模になると見込まれる。
今後の市場動向としては、今回の震災を契機にユーザーの自前主義の見直しが進み、SI構築型の伸びは徐々に鈍化し、DC提供型に需要はシフトしていくと考えられる。特にDC提供型はクラウドサービスの浸透が市場の伸びを牽引する。これまでクラウドサービス普及に向けての1つの障害となっていたのが、自社外部にITリソースを置くことによるデータ漏えい、流出への不安であった。それが、今回の震災を経た現在では、ITリソースそのものを失うリスクの方が大きいという認識になってきている。