〔2011/8/8〕ガートナー ジャパン、2015年までの「国内ITサービス市場規模予測」を発表
ガートナー ジャパンのリサーチ部門は、最新の「セグメント別国内ITサービス市場規模予測」を発表した。
2011年の市場規模は、前年比マイナス2.1%の9兆6,301億円になると見込んでいる。東日本大震災による市場への悪影響は震災発生直後にガートナーが想定した範囲を大きく超えておらず、事業継続計画 (BCP)/ディザスタ・リカバリ (DR) 対応の強化などこれまで以上にITサービスの需要が高まる領域もあるものの、以前から国内ITサービス市場は成熟化の傾向にあった上に、震災による新規プロジェクトの延期、中断が加わったことで、2011年の成長率はマイナスになると見込んでいる。2012年に各産業で業績回復が進めば、その後、ITサービス支出も徐々に拡大すると予想している。本市場の2010年から2015年にかけての年平均成長率は0.3%、2015年の市場規模は9兆9961億円になると予測している。
ハードウェア製品保守サポート市場は、震災以前からほかのセグメントに比べても特に成熟化の傾向が顕著であり、2015年までは市場縮小が続くと予測している。2011年は、震災による製品購入の手控え、契約範囲の縮小といったマイナス要因が加速し、成長率のマイナス幅が大きくなると予測している。ソフトウェア製品保守サポート市場も、2011年は新規ライセンスの購入を伴うプロジェクトの凍結がネガティブに影響し、市場が縮小するとみている。
開発/システムインテグレーション(SI)市場は、震災直後を中心に企業で新規プロジェクトへの投資に対する慎重な姿勢が強まった影響を受け、2011年は通期でもマイナス成長になると見込んでいる。現場のオペレーションの可視化を進め、経営変化への迅速な対応を支援するITシステムの需要が高まるとみているが、今年度上半期の大型プロジェクト実行数は限られると想定している。
Tマネジメント市場は、2011年も前年とほぼ同じ規模で推移するとみている。震災の深刻なダメージを受けた企業をのぞき、運用業務の効率化やコスト削減を目的としたITマネジメントサービスの利用は続くと想定している。2012年以降も引き続き共同センター利用の増加、SaaSなどのクラウドサービスの浸透、iPadのような新クライアント端末の資産管理ニーズが見込まれるという。
BPOを中心としたプロセスマネジメント市場は、震災とそれに起因する電力供給制限に伴う生産と消費の活動停滞によって、コンタクトセンターやロジスティクスの領域でトランザクション量が低下することで、市場が縮小するとみている。2012年以降は、グループ企業同士のシェアセンター化、SaaSを基盤としたプロセスマネジメントサービスの利用拡大が市場成長に寄与するとしている。だが、情報処理領域での単価下落が影響して、市場拡大のペースは緩やかになると予測している。