〔2012/5/15〕ミック経済研究所、CRMのIT関連市場に関する動向調査結果を発表

 ミック経済研究所(本社:東京都港区、有賀章社長)は、CRMにおけるIT関連市場についての動向を調査し、その結果をまとめたデータを発表した。
2011年度のCRM総市場は、ITソリューション市場とSaaS市場を合わせて、前年度比101.2%の6396億円と微増となっている。そのうち、ITソリューション市場は前年度比100.4%の60870億円で、CRM総市場に占める構成比は95.2%となる。一方、SaaS市場は前年度比118.8%の309億円で4.8%を占めている。
本資料では、SIer、SaaSベンダー、ソフトウェアベンダーおよびPBX/ACDベンダー59社を調査し、2010年度から2012年度までのCRM関連売上の実績値と予測値をベースに市場動向を分析している。また、2014年度までの中期予測もしている。
本調査では、CRM市場を「システム・アプローチ」ごとに6つのソリューション((1)マーケティング・ソリューション、(2)セールス/サービス・ソリューション、(3)レコメンデーション・ソリューション、(4)カスタマーサービス・ソリューション、(5)ビジネスインテリジェンス・ソリューション、(6)統合ソリューション)に分類し、個々のソリューションごとに、SI中心のITソリューションおよびSaaS市場のトレンドを集計・分析している。
このCRM総市場であるが、ITソリューション市場は景気低迷の影響で投資意欲が減退しており、また市場においてもユーザー企業の投資を喚起するような新しいソリューションも登場していないのが現状であり、2008年度をピークに伸び悩みを続けている。だが、2011年3月11日に起こった東日本大震災の影響から、企業の中にはBCPを強く意識する企業が増えてきている。よって、コンタクトセンター向けのソリューションを中心としたCRM市場において、その対策が進められてきており、一部で投資が回復傾向にある。
一方、SaaS市場については、ITソリューション市場と比べて市場規模自体はまだまだ小さいものの、SFA中心のSalesforceを始めとして、各分野のSaaSベンダーは、引き続き好調に売上を伸ばしている。
SaaS市場は、今後は成長率が鈍化するものの、今後も好調に推移すると予測され、市場は今後も2桁成長(2012年度から2014年度までの年平均成長率13.3%)で推移していくことが予測される。
一方で、ITソリューション市場は、リーマン・ショックに端を発した景気低迷の影響を受け、また市場でのSaaSへの移行およびSI構築単価の下落により、2008年度をピークに2ヶ年連続で市場規模が減少していた。今後は、リーマン・ショック以降に凍結となっていた案件が、システムの陳腐化などで、これ以上リプレイスを先延ばしできない状況となっており、市場が動き出してきている。しかし、SaaSへの移行およびSI構築単価の下落の影響、またソーシャルメディアやスマートフォンなどを活用した新たなソリューションの確立には時間を要すると見られる。よって、ITソリューション市場の2012年度から2014年度までの年平気成長率は、1.4%の微増で推移すると予測される。


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