〔2012/6/13〕J.D.パワー、2012年コールセンター満足度調査結果を発表

 J.D.パワー アジア・パシフィック(本社:東京都港区、アルバート ラパーズ社長)は、2012年コールセンター満足度調査の結果を発表した。
 当調査は、直近1年以内に企業のコールセンターに問い合わせをした一般消費者を対象に、企業のコールセンターに対する満足度を聴取するとともに、各種活動実態を調べたもの。調査初年度となる本年は、2012年4月にインターネット調査を実施し、1万280人から回答を得た。調査対象業界は、パソコン関連メーカー、家電・電気製品メーカー、インターネットサービスプロバイダー、銀行、証券会社、生命保険会社、損害保険会社、消費者金融、クレジットカード会社、自動車メーカー、携帯電話事業者。満足度の測定にあたっては、コールセンター利用時に経験する領域(=ファクター)を予め設定し、各ファクターに関連する詳細項目への評価を基に1000点満点で算出している。各ファクターが総合満足度に与える影響度は、「担当者/オペレーター」(71%)、「自動音声案内」(29%)であった(カッコ内は影響度)。
 当調査では、コールセンターに問い合わせをした企業の商品やサービスを今後利用したいかを聞いている。その結果、満足度が1000点満点中800点以上と特に高い層の56%が、今後の再利用意向が「非常に高い」と回答した。その一方で、満足度が500点未満と特に低い層ではその割合が8%にとどまる。コールセンター利用における満足度が高いと、その企業の商品やサービスの継続利用意向も高くなることから、コールセンター対応品質の向上は、企業にとってもロイヤルカスタマー創出につながる重要な活動といえる。また、コールセンターを利用する際に経験するさまざまな対応について、その有無や実態を聴取し、高い満足獲得に寄与する活動を分析している。その結果、自動音声案内においては、メニュー操作の指示が「とてもわかりやすい」と答えた人の満足度が、「わかりにくい」と答えた人の満足度に比べて400点程度、全体平均と比べても100点以上高くなる。ただし、「とてもわかりやすい」と回答した人の割合は利用者全体の20%に留まっている。自動音声案内においても、利用者の操作性に配慮した方法や説明の検討など、満足度向上に向けた改善の余地がまだあるといえる。
 担当者/オペレーターの対応では、「名前を呼んでの挨拶」や、「問い合わせ内容の復唱」、通話終了時に「他に問題が無いかの確認」など、利用者の用件解決にとどまらない問いかけや配慮が、高い満足度につながっている。これらの活動が実施されている場合の満足度は、実施されていない場合に比べ100点以上高くなるものもある。
 これらの活動の実施率は高くても全体の7割程度となっており、より高い満足度を獲得するためには、更なる徹底をはかる必要がある。
 今回評価対象となった業界の中で最も満足度が高かったのは、損害保険会社であった。ファクター評価をみると、特に「担当者/オペレーター」の評価が他業界に比べて高い。中でも、“用件・要望に対する担当者/オペレーターの配慮”、“問題の解決や対応に要した時間”の評価はトップ水準となっている。損害保険会社の担当者/オペレーターが行っている対応実態をみると、実施率が全体の25%である利用者の「名前を呼んでの挨拶」は33%、全体では58%の実施率である「他に問題が無いかの確認」は64%となっている。損害保険会社においては、担当者/オペレーターによるより高いレベルでの配慮や対応が、高い満足度を牽引しているといえる。
 最近はインターネットやメールなど、企業へのコンタクト方法は多様化しているが、当調査の回答者全体の8割が次回もコールセンターを利用したいと回答している。企業にとってコールセンターは、顧客との重要な接点でもあり、日々変化する顧客のニーズや嗜好、意識をタイムリーに把握する場として、重要性が高まっていることも事実である。コールセンターが顧客視点に立ったオペレーションを行い、顧客視点に基づく対応品質強化を目指すことは、既存顧客の維持や新規顧客の獲得といった企業活動において、重要な役割を担っている。


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