〔2015/11/1〕TIS、中長期技術戦略推進に向け「AI技術推進室」を新設

 ITホールディングスグループのTISは、中長期技術戦略の推進に向け、AI(人工知能)関連ビジネスのための専任組織「AI技術推進室」を11月1日付けで新設したことを発表した。
 TISでは、5年スパンの中長期的に取り組む技術領域として「Cyber-Physical Systems(以下CPS:サイバーフィジカル・システム)」構想をコンセプトに掲げ、これを構成・実現するための要素技術をAI関連の「機械学習」「自然言語処理」と「IoT(Internet of Things)」「SDI(Software Defined Infrastructure)&オーケストレーション」「ネットワークロボティクス」の5つの分野に定めて、各種施策を推進している。
 Cyber-Physical Systems(CPS)は、制御対象の状態を収集した「デジタルデータ」を蓄積・解析してフィードバックすることで、それまで「経験と勘」でしかわからなかったさまざまな知見を引き出す仕組みを指す概念。
 今回はその施策の一環として、「機械学習」「自然言語処理」に関わるAI技術の強化のために「AI技術推進室」を新設し、技術研究・検証と人材育成を図っていく。また、TISでは、AIを含む技術戦略に対して中期的に約20億円の研究開発投資を行い、その成果をソリューションおよびサービスに適用し、競争力強化とビジネス拡大を目指していく。
 AI技術推進室は、「機械学習」「自然言語処理」といったAI技術の検証・開発、関連技術を用いたサービスおよびソリューションの開発と、先進顧客とのPoC(Proof of Concept:概念実証)の実施などを行う。具体的な適用例としては、自然言語によるドキュメントの活用では、製造業、流通業、サービス業などの各企業には、コールセンターでの会話ログ、問合せの履歴、品質に関するドキュメントなど、まだ十分に活用されていない自然言語によるドキュメントが多数存在する。自然言語処理と機械学習により、このようなドキュメントを自動的に分類、分析し、顧客向けサービスや社内プロセスの改善につなげることを目指す。
 問い合わせ対応業務などへの活用では、顧客向けサービスにおける問い合せや、企業内の業務およびシステムに関する質問など、企業では多くの問い合わせ対応業務が存在する。これらの業務を自然言語による質問応答または対話のシステムによって、支援または代替することを目指す。
 企業内システムのマスタデータの自動メンテナンスへの活用では、顧客向けサービスや企業内システムにおいて、現在人手でメンテナンスをしているマスタデータの中には、一定のルールに基づいて人が判断しているものがある。機械学習技術を用いて、こうしたルールの実装、またはルールそのものの抽出の自動化を実現することにより、業務の効率化を目指す。
 また、既にAI関連技術と「ネットワークロボティクス」「IoT」の組合せ実例として、ロボットを使った集客支援で、既存手法と比較して高い集客効果が出ており、同様の施策支援では流通・サービス業などさまざまな企業から既に多くの引き合いがあるという。TISでは、今後ますます需要が高まるAI関連技術活用ニーズの拡大に応えるべく、AI技術推進室を中心とした技術投資とビジネス拡大施策を進めていくという。


PAGE TOP