コンタクトセンター関連ベンダー動向
〔2026/6/19〕Verbex、リアルタイム音声対話AIを支える独自音声認識・音声合成モデルをAPIとして提供開始
音声対話AIプラットフォームを提供するVerbex(本社:東京都港区、森下将憲社長)は、同社のリアルタイム音声対話AIを支えるコアモデルであるSTT(Speech to Text/音声認識)およびTTS(Text to Speech/音声合成)を、単独のAPIとして提供開始したことを発表した。
VerbexのSTT・TTSは、これまで電話応対、問い合わせ対応、受注対応、予約受付、代表電話の一次受けなど、リアルタイム音声対話AIの中核技術として活用されてきた。
今回のAPI提供開始により、企業、開発者、SIer、BPO事業者、AIエージェント開発企業は、Verbexの音声認識・音声合成技術を、自社サービスや業務システム、コンタクトセンター基盤、AIエージェントに柔軟に組み込むことが可能になる。
生成AIやAIエージェントの普及により、AIの活用はテキストチャットにとどまらず、音声を通じて自然にやり取りする領域へと広がっている。
コールセンター、電話応対、店頭端末、業務アプリケーション、ロボット、IoT機器、車載システムなど、さまざまな領域で「音声でAIとやり取りする」体験が求められている。
一方で、音声AIの体験品質は、LLMだけで決まるものではない。人の発話を正確に認識するSTT、AIの応答を自然で聞き取りやすい音声に変換するTTS、さらにそれらをリアルタイムに処理する低遅延性が、音声AIの実用性を大きく左右する。
特に電話応対やコールセンターのような実運用環境では、電話回線特有の音質、周囲の雑音、言い直し、聞き返し、住所・氏名・商品名・数字の認識、日本語らしい抑揚や聞き取りやすさなど、汎用的な音声技術だけでは対応が難しい課題が存在する。
Verbexは、こうした実運用上の課題に対応するために開発・改善してきたSTT・TTSを、今回、単独のAPIとして外部提供する。
VerbexのSTT APIは、電話応対や会話音声をテキスト化する音声認識API。問い合わせ内容、注文内容、予約希望、顧客情報、社内問い合わせなど、人の発話をAIや業務システムが処理しやすいテキストデータに変換する。電話回線特有の音質や雑音環境、日本語における氏名・住所・商品名・数字など、業務利用で重要となる認識課題への対応を強化しており、コールセンター、通話要約、会話ログ分析、AIエージェント、業務アプリケーションなどに活用できる。
VerbexのTTS APIは、テキストを自然な音声に変換する音声合成API。AIエージェントの応答、電話の自動応答、FAQ回答、予約受付、受注確認、案内音声など、さまざまな音声インターフェースに利用できる。業務利用における聞き取りやすさ、自然な日本語の抑揚、リアルタイム対話に適した応答速度を重視しており、コールセンターや電話応対だけでなく、アプリ、Webサービス、店頭端末、ロボット、IoT機器などへの組み込みにも対応する。
今後Verbexは、STT・TTS APIの対応領域をさらに拡張し、日本語電話応対における認識精度、業界固有用語への対応、リアルタイム処理性能、音声表現の自然さを継続的に向上させていく。
また、SIer、BPO事業者、AIエージェント開発企業、業務システムベンダーとの連携を強化し、金融、自治体、通販、医療、ホテル、コールセンターなど、業界ごとの業務要件に合わせた音声AI活用を推進する。
Verbexは、音声対話AIプラットフォームに加え、STT・TTS APIを通じて、音声をあらゆるAIサービス・業務システムのインターフェースにすることを目指す。
〔2026/6/18〕三井ダイレクト損保、ボイスエージェント「KARAKURI voice agent」が2026年4月から本格稼働
カラクリ(本社:東京都中央区、小田志門社長)は、三井ダイレクト損害保険(以下、三井ダイレクト損保)のお客さまセンター部に、ボイスエージェント「KARAKURI voice agent」を提供し、2026年4月から本格稼働したことを発表した。
三井ダイレクト損保では、同ソリューション導入によりマイページへのログインに関する問い合わせを24時間365日対応できる体制を整え、顧客体験の向上とコンタクトセンターの業務効率化を同時に実現している。稼働後、AIへの苦情は0件(2026年5月時点)を記録しており、幅広い層のお客さまへの受け入れと、デジタルデバイドの解消につながっていることが確認されている。
契約件数100万件を突破した三井ダイレクト損保では、顧客との月間総接点数が約8万~9万件にのぼり、そのうち約65%(月5万~6万件)を電話チャネルが占めている。同社が電話応対の体制強化を急いだ背景には、セキュリティ強化に伴う問い合わせの急増があった。
2024年7月のウェブサイトリニューアルによるパスワード要件変更をした際、ログインに関する問い合わせが2~3倍に急増。さらに、2026年9月に予定されている二段階認証(2FA)の本格導入により、さらなる入電数の増加が見込まれていた。当時のログイン関連の問い合わせは月約5,000件に達し、1件あたりの平均応対時間は10分に及んでいた。
また、応対現場ではお客さま層の特性に応じた丁寧なサポートも求められていた。ログインに関する問い合わせの対象となる顧客は平均年齢が61歳、最頻値が72歳。スマートフォンの操作に不慣れな顧客にとって、電話は最も安心できる確実な相談手段であるため、案内が丁寧になるほど1通話あたりの応対時間が長くなる傾向にあった。
同社は、今後の入電数増加への備えと、すべての顧客へのデジタルシフト支援という2つの重要課題を解決するため、カラクリのボイスエージェントの導入を決定した。電話チャネルの混雑を緩和しつつ、チャットボットやSMSなどノンボイス対応を含めたハイブリット化をすることで、誰もが快適に利用できる新たな応対インフラの構築を進めている。
KARAKURI voice agentは、三井ダイレクト損保のマイページへのログインに関する電話問い合わせに対し、24時間365日のサポートチャネルとして稼働している。AIが顧客の状況をヒアリングしながら必要な設定方法や操作手順をステップごとに案内する。
保険業界では、AIが誤った契約情報や手続き手順を案内することが顧客トラブルや規制リスクに直結する。回答精度の担保に寄与しているのが、カラクリのRAG(検索拡張生成)アーキテクチャ。三井ダイレクト損保がKARAKURI chatbotの運用を通じて長年整備してきたデータをナレッジソースとして参照し、回答を生成する。回答範囲が確認済みの社内情報に限定されるため、誤情報を音声で案内するハルシネーションリスクを構造的に低く抑えられている。
カラクリのボイスエージェントが採用するspeech to speech方式は、テキスト変換を介さずに音声で直接入出力を処理する。従来のシナリオ型ボイスボットは対応範囲が限定的で、自然な会話や途中発話への対応に課題があった。同ソリューションは顧客の発話を文脈ごと把握し、途中で「ちょっと待って」と言えば待機し、話が脱線しても会話の流れを自然に戻すリカバリー能力を持つことで、「人間らしい」対話品質を担保している。
2026年4月の本番稼働から約2カ月(2026年5月現在)の実績として、営業時間外(18時以降)における問い合わせの解決率は52.7%に達している。これまで「ただいま営業時間外です」とお伝えするしかなかった夜間・休日のログイン問い合わせに、初めて自己解決の機会を提供できるようになった。
全時間帯の自動解決率は目標(60~70%)に向けて改善過程にあるものの、稼働以降の顧客からの苦情は0件を維持している。60~70代の顧客層においても拒否反応は少なく、AIとの会話を最後まで完了するユーザーが継続して確認されている。2026年5月からはAIへの動線をさらに拡大しており、今後の指標改善が見込まれる。
〔2026/6/18〕VideoTouch、PKSHAグループへ参画
教育AIプラットフォームを展開するVideoTouch(本社:東京都渋谷区、上坂優太社長)は、2026年6月22日付でPKSHA Technology(以下、PKSHA)による同社株式の一部取得に伴い、同社の連結子会社として、PKSHAグループへ参画することを発表した。なお、本件に関しては、2026年6月18日付でPKSHAより適時開示/IR資料が公表されている。
今回のグループ参画を通じて、起点であるコンタクトセンター領域での提供価値を一層強化するとともに、人が直接価値を生むあらゆる現場への展開をPKSHAとともに加速してまいく。
同社は2013年に創業し、2022年8月に「VideoTouch」へ社名変更して以来、コンタクトセンターの人材教育を軸とした経営課題の解決に一貫して取り組んできた。金融企業をはじめとするエンタープライズ企業を中心に、応対品質の管理・改善を支援するプラットフォームとして広く活用されている。
同社は「AIが定型を担うほど、人の応対・接客品質が企業の競争力になる」という考えのもと、人の応対品質を継続的に高める教育AIインフラの構築を目指してきた。その基盤領域がコンタクトセンターであり、現在は、応対を自動解析・評価する「AIモニタリング」、オンデマンド学習サービス「VideoTouch」、対話型研修AIサービス「AIロープレ」の3プロダクトを展開している。これらにより「測る・学ぶ・鍛える」のサイクルを一気通貫で実現し、現場のコミュニケーション品質向上と事業成果の創出を支援している。
2025年4月にはPKSHAと資本業務提携を締結し、コンタクトセンター向け教育AIに関する同社のノウハウと、PKSHAの先端AI技術の協働を進めてきた。今回のグループ参画は、その提携の深化にあたる。同社の「AIが支え、人が輝く」というビジョンと、PKSHAの「人とソフトウエアの共進化」というビジョンが深く共鳴したことが、今回の参画の根底にある。
グループ参画により、より厳格なセキュリティ・コンプライアンス基準が求められるエンタープライズ企業への対応力強化、グループのリソースを活用したプロダクト開発の加速に加え、コンタクトセンターで確立した品質改善のサイクルを、両社共同でより広範な領域へ展開していくことが可能になると判断した。
PKSHAは、ChatAgent・VoiceAgent・FAQ・PKSHA Speech InsightなどのAI SaaS群を通じてコンタクトセンターにおける「顧客対応の自動化・ナレッジ化」を支えてきた。一方、同社は「AIモニタリング」「VideoTouch」「AIロープレ」の3プロダクトにより、「人の応対品質を測る・学ぶ・鍛える」領域を担っている。
両社が1つのグループとなることで、応対の自動化から、人による応対の品質向上までを一気通貫でカバーする体制が実現する。自動化が進むほど重要性が増す「人の応対品質」までを含めた、AIコンタクトセンターの全体像を、両社のプロダクトとデータの連携によって提供していく。
コンタクトセンターで磨いてきた「測る・学ぶ・鍛える」の品質改善サイクルは、人が直接価値を生むさまざまな現場に応用可能なもの。今後は、両社の顧客基盤と技術を掛け合わせ、企業の人材育成領域へと提供価値を拡げ、AIを活用した人材育成の仕組みを幅広い現場に届けていく。
〔2026/6/18〕RevComm、電話解析AI「MiiTel Phone」、AIビジネスアシスタント「MiiTel Synapse Copilot」が、日本生命に導入
RevComm(本社:東京都千代田区、会田武史社長)は、同社が提供する電話解析AI「MiiTel Phone」とAIビジネスアシスタント「MiiTel Synapse Copilot」が、日本生命保険相互会社に導入された。インサイドセールス部門における生産性向上・活動解析の高度化に向けて活用される。
日本生命は、事業活動を通じて「誰もが、ずっと、安心して暮らせる社会」の実現を目指している。生命保険を中心にアセットマネジメント・ヘルスケア・介護・保育などのさまざまな安心を提供する“安心の多面体”としての企業グループを、目指す企業像として掲げている。
MiiTel PhoneとMiiTel Synapse Copilotは、インサイドセールス部門において、資料請求をいただいた顧客との電話でのコミュニケーションの場面で活用している。1人ひとりの夢や希望、不安に向き合い、それぞれのライフプランに合った最適な提案やサポートを実現するために、顧客とのコミュニケーションを記録するとともに、生成AIを活用し、顧客の声のビッグデータを解析し、サービス向上や新サービス開発に役立てる。
RevCommは、電話解析AI「MiiTel Phone」やAIビジネスアシスタント「MiiTel Synapse Copilot」の提供を通じて、顧客に提供するサービス品質の向上と、コミュニケーションの最適化に寄与していく。
〔2026/6/18〕PKSHA Technology、京急電鉄にコンタクトセンターに「PKSHA Speech Insight」を導入
PKSHA Technology(本社:東京都文京区、上野山勝也社長、以下、PKSHA)は、京浜急行電鉄(以下、京急電鉄)に、オペレーターによる顧客応対の品質と効率を高めるAI SaaS「PKSHA Speech Insight」を導入した。
AIが通話内容を項目ごとに自動整理する「属性要約」機能を活用し、属人化していた顧客応対記録の質を均一化する。入力業務の自動化により通話・事務時間を短縮し、「電話のつながりやすさ」の向上とオペレーターの負担軽減を両立することで、質の高い顧客体験と働きやすい環境を実現する。
PKSHAは「未来のソフトウエアを形にする」というミッションのもと、自然言語処理をはじめとする独自技術を活かしたAIの研究開発と社会実装に取り組んでいる。今回の取り組みでは、京急電鉄が長年培ってきた顧客応対のノウハウをAIによって形式知化し、組織全体の応答品質を向上させることで、コンタクトセンターを「問い合わせ対応の場」から「信頼を生む拠点」へと進化させることを目指す。
京急電鉄のコンタクトセンターでは、列車運行から商業施設、株式関連など多岐にわたる問い合わせに対応している。問い合わせ領域が広範なため、話題ごとに統一的な記載ルールを整備・維持することが難しく、結果として、蓄積されたデータを横断的に分析してサービス改善に活かすことが困難であった。
顧客が求めているのは問い合わせに対する答えそのものではなく、問題が解決される体験。しかし、情報やナレッジが存在していても、適切な文脈・タイミングで届かなければ問題解決には至らない。京急電鉄では、PKSHA Speech Insightによる顧客応対記録の自動・均一化を起点に、顧客の声を確実に蓄積・分析してサービスに反映する仕組みの構築を目指す。
今回導入したPKSHA Speech Insightは、顧客とオペレーターの会話をリアルタイムで書き起こし、通話終了後にAIが自動で要約を行う。
本導入の核となるのが「属性要約」機能。この機能は、通話内容から「問い合わせ内容」「回答内容」など、あらかじめ設定した管理項目ごとに情報を自動抽出・整理する。オペレーターの経験やスキルに依存することなく、均一な粒度・構造で応対記録が生成されるため、記録品質の平準化とACWの削減を実現し、CRMへの転記作業も大幅に効率化する。
メモ作業から解放されたオペレーターは顧客との対話に集中でき、応対品質の向上にもつながる。SVはモニタリング機能で通話状況をリアルタイムに把握できる。エスカレーションワード(対応上注意が必要なキーワード)検知のアラートにより、適切なタイミングでオペレーターをフォローすることもできる。
京急電鉄では今後、均一な粒度で蓄積された応対データを基盤として、ナレッジの最適化やFAQ環境の整備を段階的に進め、オペレーターの応対品質向上と教育期間の短縮を目指す。さらに、自動ラベル分類によるコールリーズン集計やVOC分析の高度化に着手し、顧客の声をサービス改善に直結させる仕組みの確立に取り組んでいく。
PKSHAは、本取り組みを通じて、問い合わせの1つひとつを解決体験として届け、顧客と企業の間の信頼関係の構築を支援する。
〔2026/6/17〕バーチャレクスとVXアクト、AIを活用した音声データ解析の伴走支援サービスを提供開始
バーチャレクスグループのバーチャレクス・コンサルティング(本社:東京都港区、丸山勇人社長、以下、バーチャレクス)と、VXアクト(本社:東京都港区、奥村祥太郎社長)は、企業が保有する音声データを活用し、顧客の声(VoC)の分析からレポーティングまでを実現する「AIを活用した音声データ解析の伴走支援サービス(以下、音声データ解析伴走支援サービス)」を共同で開発を行い、提供を開始したことを発表した。すでに先行導入による実績を上げている同サービスは、コンタクトセンターやカスタマーサポート部門などに蓄積された通話録音データをAIで分析し、潜在課題の発見や改善提案、レポート作成までを支援するもの。企業ごとの業務や課題に合わせて、AI活用環境の構築から運用定着までを伴走型で支援する。
創業以来25年以上にわたり、バーチャレクスグループでは、コンタクトセンターの構築・運営支援を通じて、多くの企業の顧客接点改革を支援してきた。その中で、企業には膨大な通話録音データが蓄積されているにもかかわらず、その多くが保存されるだけで十分に活用されていないという実態を目の当たりにしてきた。多くのコンタクトセンターでは、オペレーターやスーパーバイザーからの報告をもとに運営改善や品質向上に取り組んでいる。しかし、このような運営では既知の課題への対応は可能である一方、顧客自身も言語化できていない潜在ニーズや、現場で見過ごされている課題を発見することには限界がある。
こうした課題を解決するため、バーチャレクスとVXアクトは、グループで長年培ってきたコンタクトセンター運営の知見と生成AI技術を組み合わせ、実際のコンタクトセンター業務において音声データの分析に取り組んできた。その結果、これまで把握できなかった潜在的な課題の抽出や改善提案の創出に成功し、音声データが企業にとって極めて価値の高い経営資産となり得る可能性を確認した。この実践を通じて蓄積したノウハウと知見を広く提供するため、「AIを活用した音声データ解析の伴走支援サービス」の提供を開始する。
〔2026/6/17〕RightTouch、電話の応対品質をAIで自動評価する「QANT コーチ(β)」を提供開始
エンタープライズ向けにAIコンタクトセンター基盤を提供するRightTouch(本社:東京都品川区、野村修平社長、長崎大都社長)は、生成AIを活用しコンタクトセンターの応対品質を全量・均質に自動評価する新プロダクト「QANT コーチ(β)」の提供を開始した。
同プロダクトは、これまでスーパーバイザー(SV)の工数制約により一部の応対しか評価できなかった課題を解消し、メール・電話・チャットを含むすべての応対データを生成AIが統一基準で自動評価する。評価結果を起点に、オペレーターへのフィードバックと学習サイクルを高速で回す運用を実現する。
将来的には、人だけでなくAIオペレーターの評価・学習にも同基盤を適用し、人とAI双方が同じ品質基準のもとで進化し続ける「自己進化型コンタクトセンター」の実現を目指す。