コンタクトセンター関連ベンダー動向

〔2024/4/1〕SAS、独立系調査会社の評価においてリアルタイム・インタラクション管理のリーダー企業に選出

 米国 SAS Institute(以下、SAS)は、SAS Customer Intelligence 360が、米調査会社のForrester Researchが発表したアナリスト・レポート「The Forrester Wave Real-Time Interaction Management, Q1 2024」(https://reprints2.forrester.com/#/assets/2/202/RES180527/report)において、リーダーに選出されたことを発表した。
 卓越したカスタマー・エクスペリエンス(CX)の提供を目指すブランドにとって、ハイパー・パーソナライゼーションは重要な機能。リアルタイム・インタラクション管理(RTIM)は、これまでにない速度と精度でリアルタイム・パーソナライゼーションを提供することで、ブランドのCXパフォーマンスを向上させることができる。
 このレポートによると、「SASは、業界全体にエンタープライズRTIMを実装するための最先端のアナリティクス基盤を提供しているだけでなく、今後は、データサイエンスの一般的なパワーユーザーに加え、ナレッジワーカーや顧客対応担当者でも予測AIと生成AIをより簡単に利用できるようになることを約束する」としている。

〔2024/3/29〕インテック、TSUBASAアライアンス参加4行にAmazon Connectと連携したコールセンターサービスを導入

 インテックは、TSUBASAアライアンスの参加行である千葉銀行、第四北越銀行、中国銀行、北洋銀行に、Amazon Connectと連携した「fcube」のコールセンターサービスを導入したことを発表した。
 本サービスでは、Amazon Connect Contact LensのAIを活用した音声通話のテキスト化や感情分析に対応し、コールセンター業務の高度化を推進する。
 今回コールセンターサービスを導入した4行では、現行のコールセンターシステムの保守期限到来に伴い、今後の営業戦略において、重要な顧客接点と位置付けるコールセンターの将来的な機能拡張を見据えた、新たなシステムの導入を検討していた。
 そこで、クラウドサービスの拡張性と柔軟性を有するAmazon Connectに着目し、金融機関でAmazon Connectとの連携実績を有するインテックのコールセンターサービスの導入を決定した。今回の決定においては、4行が既に導入しているインテックのCRMサービスと、リアルタイムにシステム連携が可能である点も評価のポイントとなっている。
 Amazon Connect Contact LensのAIによる会話分析では、顧客との会話の文字起こしや顧客の感情分析などが行える。これらのデータを蓄積し、分析することで、顧客満足度の向上やコールセンター業務の高度化を実現できる。今後は、生成AIを活用した機能拡張も検討していく。
 インテックは、これまで多くの金融機関へのコールセンターシステムの導入実績を有し、金融機関が求めるサービス要求を熟知している。この知見をもとに、インテックのサービスは、金融機関のコールセンター運営に必要な機能を標準で実装し、スムーズな導入が可能。
 また、金融機関がクラウドサービスを利用する際に求めるセキュリティなどのシステム要件にも対応し、ネットワークやシステム運用保守などトータルサービスとして提供することで、システム構築、運用に伴う負荷を大幅に削減する。
 Amazon Connectは、AIと機械学習の機能を含むオールインワンのクラウドコンタクトセンター。顧客にて専用設備の保有や前払いのライセンスなどが不要の従量制料金のサービスであり、コールセンター運用の変更や拡張にも柔軟に対応できる。また、継続的に機能改善のリリースをしており、将来にわたって利便性の向上が期待できる。
 インテックのコールセンターサービスも、進化を続けるAmazon Connectと連携し、金融機関のCX変革を支援するための継続的な機能拡張を行う。
 fcubeのコールセンターサービスは、金融機関がコールセンターを「コンタクトセンター(重要な顧客接点チャネル)」として、より金融機関の施策に活用できるよう機能強化を行っていく。従来の電話に加え、メール、SMSでのメッセージやチャット(有人/チャットボット)など、顧客とのコミュニケーション手段の多様化に対応する。また、サービス内に蓄積した音声通話のテキスト化データや感情分析データを活用し、AIによる顧客対応支援に向けた取り組みにも着手している。
 インテックは、豊富な業務ノウハウやネットワーク・セキュリティ技術をもとに、金融機関向けに営業生産性向上につながるサービスを拡充し、行内業務のDX化や金融機関が抱える顧客の課題解決を支援する。

〔2024/3/29〕CENTRIC、NMPスペシャリストの全株式を取得し、子会社化

 CENTRIC(本社:東京都豊島区、山田亮社長)は、NMP スペシャリスト(本社:東京都新宿区、田頭誠社長、以下、NMPS)の全株式を正式に取得し、NMPSを同社の子会社とした。この取引により、重点事業領域であるBPO分野において、サービスの拡大と多様化を進め、市場において選ばれる事業者を目指す。
 CENTRICは、NMPS株式196,000株(議決権所有割合の100%)の取得により、NMPSの事業をCENTRICグループ事業戦略に統合する。

〔2024/3/29〕ベルシステム24、エスプールセールスサポートと共同で、「リアルプロモーションCRM」を提供開始

 ベルシステム24とエスプールセールスサポート(本社:東京都千代田区、浦上壮平社長)は共同で、リアルでの顧客接点を強化したい企業に向けた、対面プロモーションによる見込み顧客の獲得からCRM分析に基づいた電話などでのアフターフォローによるロイヤル顧客化まで、一連の支援をワンストップで担う「リアルプロモーションCRM」の提供を開始した。
 EC・通販で扱う商品をリアルに体験する場をつくりたい、Webサイトの説明だけでは伝わらない商品のアピールをしたい、広告と連動し対面で商品・サービスを訴求していきたいなど、クライアント企業のニーズに合わせ、オフラインとオンラインを繋いだ新規顧客アプローチを実現する。
 コロナ禍をきっかけに、あらゆる世代の顧客層においてECサイトなどでのオンライン購買は加速し、新規顧客獲得の競争が激化している。多数の選択肢から自社の商品やサービスが選ばれるためには、顧客接点の拡大、対面でのプロモーションによる商品やサービスの価値の訴求といった活動が求められている。
 また、継続的な購買を促すエンゲージメントの醸成には、オフライン・オンラインにおける双方向の継続的な接点の構築が必要となる。一方で、対面でのプロモーションは、ロケーションの選定や販売ブースの施工、チラシなどの制作・配布など、さまざまな準備に時間を要することが多いことに加え、アフターフォローまでなかなか進められないといった声も多くある。
 このような背景の下、エスプールセールスサポートが持つ対面プロモーションのノウハウとベルシステム24が持つCRM設計・電話などのアフターフォローメソッドを掛け合わせることで、クライアント企業の負担なく、新たな顧客の獲得から継続的な購買行動の促進を実現する本サービスの開発に至った。
 本サービスは、対面プロモーション、アフターフォローの2つのプロセスで実施する。対面プロモーションプロセスでは、ロケーション選定、プロモーション内容の企画・設計から、販促物の準備や販売員の育成、運営までのすべてを行う。アフターフォロープロセスでは、対面プロモーションで獲得した顧客に対して、顧客情報やアンケート結果などを基にしたCRM分析を行い、電話・メールなどによる適切なタイミングでのアプローチにより、定期購入会員への引き上げなどを行う。加えて、CRM分析を基に、トークスクリプトや研修内容のブラッシュアップを行うなど最適なPDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を回すことで、オフライン・オンライン双方での顧客獲得力を上げていく。クライアント企業は、商材を準備するだけで、最適なプロモーションを実施することが可能。
 導入の流れとして、テストトライアルの約2カ月間でさまざまなロケーションでの対面プロモーションを約40開催実施し、その結果を基に、改善点の洗い出しや効果検証を実施、スケジュールや、CPA・CPOといった成果指標などを整理したうえで、本運用を進めていく。
 今後両社で本サービスの導入を進めるとともに、両社での知見を基に、クライアント企業の経営課題を解決し、改善・実践するパートナーとして、より高い次元でのBPOサービスを提供していく。

〔2024/3/28〕三菱UFJニコスが「補助金アドバイザリー・サポートサービス」の受付業務にコラボスの「GROWCE」を採用

 コラボスは、顧客情報管理(CRM)システムにマーケティングの機能を搭載した統合CRMマーケティングシステム「GROWCE」が、三菱UFJニコスの運営する、国や地方自治体の各種補助金や助成金の申請準備を支援するサービス「補助金アドバイザリー・サポートサービス」の受付業務に採用されたことを発表した。
 三菱UFJニコスは、個人・企業向けのクレジットカードの発行や加盟店への決済システム導入、金融機関などからのカード発行業務の受託など、快適・安全・安心なキャッシュレス社会の実現に向け、多様な決済サービスを提供する三菱UFJフィナンシャル・グループの中核企業。同社は2023年4月に、中・小規模法人向けのキャッシュレスやDXの支援を目的に、国や地方自治体の各種補助金や助成金を十分に活用できていない街の飲食店などへ、補助金・助成金制度の紹介から申請手続きまでを包括的に支援する「補助金アドバイザリー・サポートサービス」の事業を本格的に開始した。これに伴い、顧客からの問い合わせ情報を効率的に管理するためのCRMシステムの導入が必要となり、複数の企業を比較検討した結果、コラボスの統合 CRM マーケティングシステム「GROWCE」を採用することになった。

〔2024/3/28〕NICE、DiDiに採用され、AI主導のパーソナライズされたインタラクションをリアルタイムで実現

 NICEは、世界規模で配車サービスを展開するDiDiがクラウドベースの革新的なテクノロジーとして、「NICE Workforce Management」(WFM)と「Employee Engagement Manager」(EEM)を採用したことを発表した。DiDiは現在、世界中のコンタクトセンター業務を予測、スケジュール、管理し、業務効率を向上させる体制を整えている。世界最大級のWFM顧客基盤のサポートを担当するBettaは、導入時にNICE Value Realization Servicesと提携し、複数の国で統合を実施し、コンサルテーション、トレーニング、サポートサービスを提供している。
 DiDiは、中核となるビジネス、機能、技術的要件に対応しつつ、成長をサポートする拡張性を備えたワークフォース管理ソリューションを求めていた。複数の大陸にまたがり、特定の地域特性を持つ事業を展開しているDiDiにとって、NICE WFMはAIと柔軟性を兼ね備えており、コスト効率と正確性に優れ、最適なサービスレベルを維持するスケジューリング要件を満たすことができる。正確な予測により、適切なスキルを持ったチームが適切な時間に利用できるようになり、顧客満足度の向上につながる。
 さらに、NICE EEM を追加することで、人員配置のニーズにリアルタイムで対応できるようになり、カスタマーサポートチームは、チームのエンゲージメントと仕事への満足度に貢献できるスケジュールで効率的に作業できるようになった。さらに、Intelligent Intraday Automation により、プロアクティブなアプローチで必要に応じて調整を行い、問題が発生する前に排除することができる。

〔2024/3/28〕PKSHA、日本マイクロソフト支援のもと新たな大規模言語モデルを開発

 PKSHA Technology(以下、PKSHA)は、世界で初めて「Retentive Network(RetNet)」を活用した日英大規模言語モデル(Large Language Model、以下、LLM)を開発することを発表した。なお、開発は日本マイクロソフトの技術支援のもと行われている。PKSHAは「人とソフトウエアの共進化」というビジョンの元、今回のLLM開発を通じ、ビジネスにおける生成AIの実用性を高め、主にコンタクトセンターや社内ヘルプデスクにおける生産性向上を支援していく。2024年4月以降、段階的にビジネス現場での実運用を開始する予定。
 2022年11月のChatGPTの登場により、生成AIの進化が加速し、国内外でもさまざまなモデルの研究・開発が進んでいる。PKSHAは、日本マイクロソフトから学習用インフラの提供および技術支援を受け、以下の特徴を持つ新たなLLMを開発した。
 既に公開されているLLMは、基盤となるアーキテクチャに「Transformer」を使用しているケースが主流だが、本モデルは、その後継といわれるRetNetを使用する世界初の日英モデル。RetNetは、マイクロソフトの研究開発機関であるMicrosoft Researchによって開発され、学習速度、長文入力時の推論速度やメモリ効率が優れている上に、従来と同等以上の精度を持つことが示されている。メモリ効率に優れるということは、従来モデルよりも少ないGPUで運用することができ、コスト面でも優れていると言える。このアーキテクチャを使用することで効率的な長文理解と優れた回答速度を両立する日英対応のLLMを実現する。
 モデルのパラメータ数としては、コンタクトセンターなどにおける実装を視野に、出力精度と運用コストのバランスに優れた70億パラメータを採用した。このモデルを活用することで、例えば日本語の新聞紙2ページの情報量を入力した際に、精度を保ちながら従来モデルの約3.3倍の速度で出力することが可能となり、入力情報量が多くなるほど優位性が高まる。また、モデルの開発にはMicrosoftによって研究開発された深層学習フレームワーク「DeepSpeed」を採用し、その強みであ
る高い並列分散処理能力を発揮するためのLLM学習ノウハウとAzure上のGPUサーバー群が日本マイクロソフトから提供されている。DeepSpeedの活用により効率的に学習を進め、プロトタイプモデルによる性能確認を早期に実現した。
 PKSHAは2012年の創業当初から自然言語処理(NLP)の研究開発に注力し、コミュニケーション領域を中心にAIの社会実装を行ってきた。コンタクトセンターや社内ヘルプデスク領域を中心に6000件以上のAI活用の実績を持ち、その領域のさらなる高度化を実現するために同モデルの活用を進めていく。
 具体的な使用例としては、コンタクトセンターでのリアルタイムの顧客関係管理(CRM)の実現や、社内ヘルプデスクでの従業員問い合せの高度化などが挙げられる。これらの実装により、企業の効率化とサービス品質の向上が見込まれる。
 PKSHAは、さらなる検証と改善を行い、2024年4月ごろから段階的にビジネス現場での実運用を開始する予定。最初の対象領域としては、既にAIの導入実績があるコンタクトセンターや社内ヘルプデスクを想定し、領域や活用ケースを広げていく。


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