コンタクトセンター関連ベンダー動向

〔2025/2/19〕ヘッドウォータース、AIエージェントと業務データ連携で自律思考型AIを可能にする「Agentic RAG」サービス開始

 AIソリューション事業を手掛けるヘッドウォータース(本社:東京都新宿区、篠田庸介社長)は、外部データやツールへのアクセスを通じて大規模言語モデル(LLM)の性能を最大限に引き出す「Agentic RAG(Agentic Retrieval-Augmented Generation)」サービスを開始した。
 ヘッドウォータースでは、「Azure OpenAI Service」による企業向けLLMサービスラインナップの拡充を行い、企業特有のニーズに応じたRAG(Retrieval Augmented Generation)のシステム構築や、コンタクトセンターAIエージェント、駅員業務AIエージェント、マイグレーションAIエージェント、車載エッジAIエージェントのほか、文章校正AIや翻訳AIなど様々なAIエージェントの開発支援を行ってきた。
 その中でヘッドウォータースは「AIエージェント」の早期導入に関心を持つ企業から多くの問い合わせがおり、企業内に蓄積された業務データと組み合わせて、一部の業務を代替する業務特化型AIエージェントに対するニーズは非常に強いものとなっている。
 ヘッドウォータースではこのようなニーズに対して、既に大手顧客導入実績のあるAgentic RAGのサービス提供を行う。Agentic RAGは、AIエージェントとRAGのハイブリッドモデルである多段階検索と自律的推論プロセスを併せ持つテクノロジー。
 これにより、Wordで作成された現場レポートや製品設計書、Excelの受発注資料や製品リスト、データベースに格納された管理データなど、業務ごとに最適化された業務特化型AIエージェントを導入することができる。
 また、AIエージェントに依頼するタスクを分担することで、特定のドメイン知識に長けた専門性と業務の効率性を向上させ、参照するデータソースを絞り込むことでRAGの精度向上にも貢献する。
 業務特化した専用のAIエージェントを自律的に参照する「Agentic RAGオーケストレータ」、AIエージェントの全体設計指針である「Agentic Design Pattern」プランニング、必要要件を満たすための最適なAgentic RAGアーキテクチャ構想支援、セキュアなAgentic RAGを早期構築するためのマルチエージェント基盤「SyncLect AI Agent」を合わせて提供することで、自律性と拡張性に長けた「Agentic RAG」環境を顧客内のMicrosoft Azure環境に構築する。
 Agentic RAGは、大規模言語モデル(LLM)がタスクに応じて “自ら考え、何を検索し、どのように活用するか” を判断する仕組みを取り入れたRAG技術。
 従来のNaive RAGでは、単一ステップの検索結果を元に応答を行うため、目的に応じて追加情報を取りに行く再検索や、部分的に不足したドキュメントを補完するといった作業を十分にカバーできない場合があった。
 これに対してAgentic RAGでは、下記のような多段階・自律的なプロセスを実装することで、より高度なクエリや柔軟な業務要件にも対応できるようになっている。
1.自律的思考プロセス
 モデル自身が「まだ足りない情報は何か」「どのソースへ再度アクセスすべきか」を推論し、必要に応じて外部データソースへ追加アクセスを行う。
2.多段階検索(反復的取得)
 一度の検索だけでなく、状況に応じて複数回の検索や要約、再ランク付けを実行し、最適なコンテキストを構成する。
3.エージェント型推論
 チャットボットや業務支援ツールが問い合わせに応じて行動し、さらに回答の根拠を提示することで高い説明可能性を実現する。
4.高度なコンテキスト管理
 複数のエージェントが連携して深い文章理解を行うことで、誤情報(ハルシネーション)の抑止や不要データの排除に繋げる仕組みを備えている。
 AIエージェントは、自律的に特定のタスクを実行するインテリジェントなシステムで、複数のAIモデルを組み合わせることで、単一のモデルでは困難な高度なタスクを自動で実行する。企業では、電話応対やスケジュール管理、データ入力などの業務を自動化するために利用され、効率的なビジネス成果を達成するのに役立つ。AIエージェントの国内市場は急速に成長しており、2024年から2030年にかけての年平均成長率(CAGR)は44.8%と予測されている。
 マルチエージェントシステムは、複数のAIエージェントが相互に作用し、協調してタスクを達成するシステム。各AIエージェントは自律的に行動し、周囲の環境や他のAIエージェントと情報を交換しながら、全体としての目標を達成する。
 Retrieval Augmented Generation(RAG)は、大規模言語モデル(LLM)と外部のデータベースや情報源を結びつけるための新しい技術。外部の知識ソースを検索し、より強化した文章生成を行う。2024年から2030年にかけて世界のRAGの年平均成長率(CAGR)は44.7%で成長すると予測されている。
 同社では、Agentic RAGは企業独自のAIエージェント活用において、あらゆるプロジェクトでデファクトスタンダードになる技術と考えている。
 企業は、AIエージェントを活用することで、減少する労働人口に対応した新たな働き方の創出を目指している。こうした動向を支えるため、同社は業務効率化やコスト削減といった既存の課題を解決するだけでなく、次世代のユーザー体験を提供する革新的なAIエージェントソリューションの開発に取り組んでいく。
 また、ヘッドウォータースの掲げるアライアンス戦略では、顧客企業ともビジネスパートナーとなり、共に生成AI経済圏を拡大する取り組みを行っていく。

〔2025/2/18〕PKSHA Technology、ANAグループOCSにコンタクトセンター業務高度化AI「PKSHA Speech Insight」を導入

 PKSHA Technology(以下、PKSHA)は、グループ会社であるPKSHA Communication(本社:東京都文京区、佐藤哲也社長宇)が、OCS(本社:東京都江東区、杉口広社長)と、オペレーター業務高度化AIアシスタント「PKSHA Speech Insight」のカスタマーサービスチームにおける全席導入を2025年2月より開始することを発表した。 PKSHA Communicationはコンタクトセンターを総合的に支援するプラットフォーム「AI Suite for Contact Center」を軸に、企業と顧客とのコミュニケーションをよりスムーズにし、強固な信頼関係構築を支援することで、人とソフトウエアが共に進化する未来のコンタクトセンターを実現する。
 ANAグループの国際物流会社OCSは、世界50カ国以上で荷物のdoor-to-door配送を行うにあたり、カスタマーサービスでは、お預かりする貨物に対する顧客からの問い合わせに日々対応している。物流需要の増加を背景に、カスタマーサービスの対応負荷は増加していた。負荷軽減に向け、以前よりチャットボットによる問い合わせ対応の自動化を進めていたが、利用率・解決率に課題があった。カスタマーサービスにおける顧客応対の向上を実現しつつ、チャットボットによる問い合わせの自動化件数向上を図る解決策として、問い合わせの効率化と顧客か
らの問い合わせ理由(通称:コールリーズン)の把握・分析を同時に実現できることから、PKSHA Speech Insightの導入が決定された。
 繁忙期には1日1000件を超える電話を受けるカスタマーサービス部門において、コールリーズンの分析以外にも、電話内容の書き起こし、要約によるアフターコールワーク(ACW)の簡略化、エスカレーション案件の迅速なモニタリングなどを目的として、PKSHA Speech Insightを全体の約1/3の席数から試験導入した。段階的なオンボーディングを経て2025年2月には全席への拡張を完了し、将来的には、ACWを30%削減すること、コールリーズンの通じたチャットボットの改善と利用率向上を目指し、顧客にとって更なる利便性向上を目指す。
 PKSHA CommunicationはPKSHA Speech Insightを含む複数のプロダクトや、個別カスタマイズによりコンタクトセンター支援を行う総合ソリューション「PKSHA AI Suite for Contact Center」の展開を通じて、未来のコンタクトセンターの実現を目指す。

〔2025/2/17〕コラボス、クラウド型AIコールセンターPBX/CTIシステム「VLOOM」お試しキャンペーンを開始

 コラボスは、コールセンターが抱える人手不足や人材定着などの課題解決の一手となるコールセンター業務のAI化を支援するため、クラウド型AIコールセンターPBX/CTIシステム「VLOOM(ヴルーム)」を新規で申し込みの企業を対象に、期間限定で初期費用が0円(無料)となるキャンペーンを開始した。
 本キャンペーンの対象は、同社のCTIシステムを初めて利用される先着20社限定で、VLOOMの導入にかかる初期費用30万円が無料(0円)になる。専用線オプションを除く、音声認識機能を含めたすべてのオプション費用も無料で利用できる。
 VLOOMは、通話のリアルタイムテキスト化や自動要約機能などのAIエンジンを搭載し、コールセンターの受発信業務の効率化や品質向上を実現する、最新クラウド型AIコールセンターPBX/CTIシステム。本キャンペーンを活用することで、初期導入コストの軽減の他、コールセンター業務のAI化を加速し、生産性向上に貢献する。

〔2025/2/15〕TACT、リコーリースで電話自動案内システム「AIコンシェルジュ」を2月より本格稼働

 USEN&U-NEXT GROUPのTACT(本社:東京都渋谷区、溝辺和広社長)は、リコーリースへ2024年7月から同社のAIによる電話自動案内システム「AIコンシェルジュ」を用いて、コールセンター業務の一部自動化を実施してきた。このたび、リース物件の引き揚げ・返却受付などコールセンターの受電における8つの問い合わせ内容の自動対応を2025年2月より本格稼働したことを発表した。
 リコーリースのコールセンターの受電業務は、AIコンシェルジュとオペレーターが、内容により対応を振り分ける新たな運用方法を構築した。AIコンシェルジュでは、8つの問い合わせ内容を自動対応し、ご要望の受付や必要に応じてSMS送信によるWEB誘導を行う。
 代表的な問い合わせの1つである「契約満了に伴う引き揚げ・返却受付」に関するフローでは、AIコンシェルジュがリース物件の受付を行う。担当者氏名や会社名、契約番号などの顧客情報をヒアリングし、引き揚げ依頼の方には、設置先の住所やエレベーターの使用可否などを伺う。また、返却希望の方には、返却先情報が記載された書類の送付希望の有無などを伺い、受付を完了する。ヒアリングした情報はテキスト化してオペレーターに連携されるため、スムーズに後続処理を行うことが可能。
 これまでは定型的な内容も含むすべての受電業務をオペレーターが対応していたが、AIコンシェルジュの導入により、定型的な問い合わせの自動化を行い、オペレーターは複雑な電話へ顧客対応を集中することができる。これにより、顧客満足度の向上を目指す。また、後続処理の工程を含む運用全体の整備を行うことで、業務の効率化を図る。

〔2025/2/14〕テクマトリックス、FastSeries の製品間の連携強化し、コンタクトセンターのオムニチャネル化を強力に支援

 テクマトリックスは、コンタクトセンターのオムニチャネル化を支援するため、「FastSeries」製品間の連携を強化した。これにより、CRM システム「FastHelp」と有人チャットシステム「FastText」がリアルタイムに情報を共有し、オペレーターは双方のシステムで利用者情報や問い合わせ履歴を即時参照できるようになった。今回の連携により、顧客が電話やチャットなどの複数のチャネルを通じて問い合わせをしてきた場合でも、それぞれのチャネル対応オペレーターが一貫性のある応対を行うことが可能となる。オムニチャネル化により、オペレーターの対応が迅速かつ効率的になることで、質の高い顧客体験を提供でき、顧客満足度の向上が期待できる。
 企業のコンタクトセンターに寄せられる問い合わせ手段は、電話、チャット、SNS、問い合わせフォームなど多様化している。これに対応するため、複数のチャネルを連携して運用する「オムニチャネル化」を進める企業が増えている。
 電話対応とチャットなどのデジタルチャネル対応では、オペレーターに求められるスキルが異なるため、多くのコンタクトセンターでは、別々の担当者を配置している。電話対応のオペレーターは CRM システムを使用し、チャット対応のオペレーターはチャット専用のシステムを使用することが一般的だ。従来、CRMシステム「FastHelp」と有人チャットシステム「FastText」を利用している場合、オペレーターはそれぞれの操作画面を開いて問い合わせ対応を行っていた。この状態では、操作画面の切り替えが頻繁に必要となり、作業効率が低下するだけでなく、各画面から利用者情報をコピーして貼り付ける際に誤りが生じるリスクもあった。そのため、コンタクトセンターをオムニチャネル化し、チャネル横断で質の高い顧客対応を提供するために、CRM システムとチャットシステムの優れた連携が求められている。
 コンタクトセンター向けCRMシステム「FastHelp」と有人チャットシステム「FastText」は、双方のシステムのデータをシームレスに連携する。オペレーターは「FastText」でチャット対応を行う際に、画面を切り替えることなく、お客様番号などの利用者固有の情報を基に「FastHelp」の本人情報およびチケット情報を参照できるようになる。これにより、画面切り替えの手間や利用者情報の転記によるミスを減少させることができる。また、必要な項目だけを簡単に設定して参照できるため、オペレーターの参照業務の効率化にも貢献する。

〔2025/2/14〕モビルス、テクマトリックスの「FastHelp」と有人チャット「MOBI AGENT」を連携した「CRM Connect for FastHelp」を提供開始

 モビルスは、有人チャット「MOBI AGENT」をはじめとしたモビルスのCXソリューションと、テクマトリックスのコンタクトセンター向けCRM FastSeriesの「FastHelp」との、データ連携サービス「CRM Connect for FastHelp」の提供を2025年2月12日より開始したことを発表した。
 これにより、オペレーターは問い合わせ対応時に、チャット対応内容と、FastHelp内の利用者情報を同じ画面で照会できるため、利用者情報や問い合わせ履歴などを効率よく参照でき、スピーディーな問い合わせ窓口対応ができるようになった。CRM Connect for FastHelpは、オペレーターの応対業務の短縮や利用者情報に基づいた迅速な利用者対応を可能にし、顧客満足度や顧客体験(CX)の向上に貢献する。
 企業のコンタクトセンターに寄せられる利用者からの問い合わせ手段は、電話、チャット、SNS、問い合わせフォームなど多様化している。どのチャネルからも一貫した応対品質を提供でき、利用者がスムーズに問題を解決できる状態をめざし、複数のチャネルを連携して運用する「オムニチャネル化」を進める企業が増えている。オムニチャネルでの「一貫性のある応対品質」を実現し、顧客満足度を高めてCX向上につなげるためには、顧客(利用者)情報を一元管理するCRMの活用が欠かせない。国内企業のコンタクトセンターにおけるCRMの導入率は約70%に上り、導入を検討する企業の割合も約65%に達するなど、その需要は高く、顧客満足度やCXの向上に貢献するCRMの活用が急がれていた。加えて、コンタクトセンターは採用難・高離職による人材不足が深刻な状況にあり、問い合わせ窓口対応の経験が浅いオペレーターでも「一貫性のある応対品質」が提供できるよう、経験によらないCRMの活用やチャットシステムなどのソリューションとの操作性に優れた連携に配慮が求められていた。
 モビルスとテクマトリックスでは、2024年1月の資本業務提携を契機に、オペレーターの業務効率の改善と利用者への「一貫性のある応対品質」を支援し、顧客満足度やCX向上に貢献するソリューションの開発に着手した。モビルスの「MOBI AGENT」などのCXソリューションと、テクマトリックスのCRMソリューションのFastSeries「FastHelp」とのデータ連携を強化することで、コンタクトセンターの抱える課題を解決し、顧客満足度やCXの向上に貢献するサービスとして、この度、「CRM Connect for FastHelp」の提供を開始した。
 モビルスが提供する「CRM Connect」は、「MOBI AGENT」をはじめとするCXソリューションとCRMとをデータ連携するサービス。従来、「MOBI AGENT」と「FastHelp」を利用している場合、オペレーターはそれぞれの操作画面を開いて問い合わせ応対をしていた。この状態では、操作画面の切り替えの手間が増えることによる作業効率の低下や、各画面から利用者情報をコピーして貼り付ける作業による参照情報の取り違えの可能性もあった。
 CRM Connect for FastHelpを利用すると、オペレーターはMOBI AGENTでのチャット対応時に、画面を切り替えずに、お客さま番号などの利用者固有の情報を基にFastHelpの本人情報およびケース情報を参照できるようになる。これにより、双方の画面を切り替える必要がなくなり、画面切り替えの手間や利用者情報の転記による参照情報の取り違えを低減できるほか、簡単に利用する必要な項目に絞って参照項目が設定できるため、オペレーターの参照業務の効率化に貢献できる。
 今後の開発予定として、FastHelpの利用者情報を活用した新機能を開発する予定。MOBI AGENT以外にもCRM Connect for FastHelpは、チャットボット「MOBI BOT」やボイスボット「MOBI VOICE」、利用者情報の安全な受け取りができる「Secure Path」と連携した運用を可能にしていくことで、応対効率を改善できるようになる。手続き受付時の情報参照や、電話の事前ヒアリング内容の一元管理など、利用者情報や問い合わせ内容の参照・管理を容易にすることで、オムニチャネルでの「一貫性のある応対品質」を実現し、顧客満足度を高めてCX向上につなげる付加価値の高いサポートを実現できるようになる。

〔2025/2/13〕ファンケル、カスタマーサービスの満足度向上を目的にモビルスのCX戦略支援を採用

 モビルスは、ファンケル(本社:神奈川県横浜市、三橋英記社長)が、同社のCX戦略支援サービスを採用し、「CX Consulting」および有人チャット「MOBI AGENT」、チャットボット「MOBI BOT」を導入したことを発表した。これにより、ファンケルはカスタマーサービスで提供しているチャットボットのシナリオ編集等が自社内で行えるようになり、チャット運用の自走化を実現した。また、これまでチャットボットの情報更新は、LINEとウェブチャットのチャネルごとで作業が必要であったが、本導入により共通で管理できる環境を整備し、さらに各チャネルとFAQ(よくある質問)でシステム連携を行なった結果、情報更新の作業時間を3分の1に削減した。
 化粧品・サプリメントの大手ファンケルではカスタマーサービスで「お客さま一人ひとりに最高の体験価値(CX)を提供すること」をビジョンに掲げている。また、カスタマーサービス自体を従来のお客さま相談室のようなコストセンターではなく、売上につながるプロフィットセンターとして位置付けている。これらを実現するためには、利用者一人ひとりと向き合うことが運営上欠かせない。そのためにオペレーター一人ひとりの対話力や提供する情報の質向上に加え、十分な応対時間を確保するために、オペレーター人材の確保や業務の効率化など、顧客対応とオペレーションの両面から同時に改善していく必要があった。
 ファンケルでは、化粧品やサプリメントなどにおいて定期便を提供しており、配送日の変更や停⽌といった内容の問い合わせを多く受けている。これらの手続きは電話やウェブサイト上のマイページで行うことができる。しかし「マイページのID・パスワードを忘れてしまった・ログインできない」といった利用者が多く、これは利用者自身でパスワードの再設定などを行うことで自己解決が可能な内容ですが、電話に問い合わせが集中してしまう課題を抱えていた。
 ファンケルでは、これまでもウェブチャットやLINE、FAQで利用者が自己解決できる仕組みはあったが、このように利用者自身で解決できずに電話での問い合わせに行き着くケースが多数発生しており、案内内容や導線に改善の余地があった。問い合わせ対応数を増やすには電話対応オペレーターの増員が近道だが、人件費の高騰や人手不足により難しい面があった。
 そのため、カスタマーサービスではこれまで外部に依頼していたチャット運用の自走化やチャットボットとFAQの連携、LINEとウェブチャットの管理共通化を行うことで、情報更新の作業時間の削減や更新頻度の向上を目指していた。
 これらすべてが実現できること、またコスト面での評価から、ファンケルは同社のCX戦略支援サービスを採用し、チャットボットをはじめとしたモビルスの各サービスを導入するに至った。
 ファンケルは、同社のCX戦略支援サービスを採用し、有人チャットシステム「MOBI AGENT」と、チャットボット「MOBI BOT」、さらに「CX Consulting」の「導入支援プラン」と「あんしんサポート」を導入した。これにより、事務的な手続きなど定型的な問い合わせへの対応はチャットボットで自動化し、チャットボットでは解決できない時には有人チャットできめ細やかな顧客対応を行う体制を構築した。また、CX支援サービスによりモビルスの専任担当者が、効果的なチャットボットのシナリオ設計・構築、さらに運用自走化に向けて離脱ポイントなどの課題特定分析などのノウハウや操作方法の解説など運用面においてもサポートした。
 加えてシステム開発を行い、FAQ・LINE・ウェブチャット間の情報更新の共通管理ができる環境を整備した。これによりチャットボットの自動回答の精度向上や業務効率化につながり、オペレーターを増員せずとも十分な問い合わせ対応ができるようになった。
 ファンケルではカスタマーサポート専用のLINE公式アカウントを2024年1月に新設した。問い合わせ導線を改善しつつチャットボットを経由して本人特定を行い、さらに有⼈チャットによるサポート対応をすることでLINEやウェブチャットでも個々の利用者の要望に応じて手続きを行えるようになった。これにより、チャットでの手続きが可能になり、電話への集約が低減し、問い合わせ導線の最適化に成功している。
 モビルスのサービス導入前はチャットシナリオの変更や追加をベンダーに依頼していた。導入を機に自社での編集が可能になり、シナリオ構築の自走化を実現している。また、FAQとの連携やLINEとウェブチャットの情報更新を共通で管理できるようになったり、自己解決可能な問い合わせには自動回答による対応ができるようになったりしたことで、導入前と比べ情報更新の作業時間を3分の1に短縮した。
 このような迅速な情報公開体制の強化により、利用者が高い関心を寄せる情報をタイムリーに提供できるようになった。この改善は、利用者がファンケルに期待するブランドイメージ「安心・安全」に応えることにもつながっている。
 近年は業務効率化の観点からノンボイス比率を高めたり電話応答を削減したりする通販企業が増えている。一方で、利用者が求めるチャネルでの対応を重視しているファンケルでは、主要利用者が40歳以上の中高年という背景もあり、利用者の困りごとに対応するために電話とチャットなどのノンボイス双方に配慮したカスタマーサービスを提供している。利用者が望む手段で問い合わせができるよう、電話窓口は最後まで守っていくとしている。本導入により、業務効率化を実現したことで、電話で話したい利用者と向き合うための時間の確保や環境の構築につながっている。
 ファンケルでは、CXや売上向上につながるプロフィットセンターを目指して、より高度なCRM連携やLINE運用、VOC活用を目指し、生成AI導入も視野に入れている。モビルスはオペレーション支援AI「MooA」などのCXソリューションやコンサルティング機能を提供し、ファンケルのカスタマーサービス戦略ならびにCX向上を実現するビジネスパートナーとして引き続き支援していく。


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