調査・レポート・その他

〔2023/11/20〕日本コールセンター協会、「コールセンター業務倫理ガイドライン チェックリスト」を作成・公開

 一般社団法人日本コールセンター協会は、「コールセンター業務倫理ガイドライン チェックリスト」を2023年11月17日付で作成し、同協会ホームページで公開した。参照URL:https://ccaj.or.jp/telemarketing/index.html
 同協会では、昨今のコールセンター事業におけるコンプライアンス違反に関して、生活者の信頼を失墜させ、コールセンターに求められる役割や事業の根幹に関わることとして大変重く受け止めている。
 2021年8月30日に、適切なコールセンター運営の規範となる「コールセンター業務倫理綱領」ならびに「コールセンター業務倫理ガイドライン」を改定し、周知に努めてきまたが、コンプライアンス違反の事案が発生していることに対し、啓発活動の不備を痛感している。
 そこで、同協会総務委員会では「コールセンター業務倫理ガイドライン」に基づき、次を目的にチェックリストを作成した。
 「コールセンター業務倫理綱領」「コールセンター業務倫理ガイドライン」への理解促進とコールセンター運営に同綱領・ガイドラインを反映いただくための支援ツールとして活用いただくことで、ガイドラインの形骸化防止と実効性を高めることにより、生活者の保護と業界の健全な発展に寄与していく。

〔2023/11/16〕日本コールセンター協会、2023年度「コールセンター企業実態調査」結果をWebに公開

 一般社団法人日本コールセンター協会は、「2023年度コールセンター企業実態調査」の結果をWeb上に公開した。参照URL: https://ccaj.or.jp/telemarketing/doc/outsourcing_research_2023.pdf
 コールセンター企業実態調査」は、➀コールセンター企業の基礎的なデータを調査し、実態を示す、➁経年的なデータを把握することにより業界の動向を確認する、③調査結果をオープンにすることにより、業界の社会的認知度向上や業界の発展に貢献する、の3点を目的に、同協会会員のコールセンター・エージェンシー会員を対象に2007年度より実施している。今年度は対象105社のうち64社より回答があった。
 「売上高」「従業員数」「スーパーバイザーの配置」「在宅コミュニケーター」「センター数」「オペレーションブース数」「対応チャネル」などの経年調査項目に、今年度は「女性役員の比率」「女性管理職の比率」「障がい者雇用」「外国人(外国籍人材)雇用」を加えた23項目について調査を実施した。
 公開した51社の売上高の合計は1兆5022億7600万円で、2022年度と比較して817億円(5.8%)の増加となった。2022年度と比較可能な36社の売上合計は1兆4161億8900万円で、2022年度より805億300万円(6.0%)の増加となった。
 全役員(取締役・会計参与・監査役)の内、女性の比率は「0%」が38社と最も多かった。非公開を除いた62社の内38社(61.3%)で女性役員がいないという状況であった。次いで「11~20%」が9社となった。
 全管理職(課長級と課長級より上位の役職で役員を除く)の内、女性の比率は「11~20%」が最も多く15社で、「1~10%」と「21~30%」がともに13社で続いた。

〔2023/11/16〕J.D. パワー、2023年法人向けテクニカルサポートコールセンター満足度調査結果を発表

 J.D. パワー ジャパン(本社:東京都港区、山本浩二社長、略称:J.D. パワー)は、J.D. パワー 2023年法人向けテクニカルサポートコールセンター満足度調査の結果を発表した。本調査は「サーバー」、「PC/タブレット」、「コピー機/プリンター」、「業務ソフト」の4つのIT製品部門における、企業向けのテクニカルサポートコールセンターの満足度を測定している。
 本年調査における各部門の総合満足度は「サーバー部門」が677ポイント(前年比+9ポイント)、「PC/タブレット部門」が668ポイント(前年比+18ポイント)、「コピー機/プリンター部門」が700ポイント(前年比+7ポイント)、「業務ソフト部門」が676ポイント(前年比+6ポイント)となった。すべての部門において前年調査(2022年11月発表)からの満足度向上が確認された。中でも「PC/タブレット部門」では前年からのスコア向上が顕著となった。全部門で「コールセンターでの問題解決や電話対応に要した時間」や「用件に対し提供された情報や回答内容の適切さ」といった評価が向上しており、業界全体でコールセンターでの対応力・解決力が向上している状況がうかがえる。過去5年間でのスコアを比較すると、多くの部門で概ね年々スコアが向上しており、本年も満足度が前年から上昇している。コロナ禍でのコールセンター運営に大きな影響を及ぼした時期も含め、途切れることのない継続的な応対品質の向上が図られていると言える。
 本年の調査ではIT製品分野ごとにテクニカルサポートで最も優先的に利用したい問い合わせ窓口/方法(「コールセンター」や「オンライン」)について聴取した。すべての製品分野で「コールセンター」が半数以上を占める結果となった。中でも「コピー機/プリンター」では64%となり、最も多く挙がった。トラブルの際はサービスエンジニアの訪問対応が必要となるケースが多い製品であり、業務への影響を抑えるためにも、すぐに連絡を取り、修理対応の要請をしたいといったニーズが高いことが背景にあると考えられる。
 一方、「オンライン」については、「PC/タブレット」で35%と最も高く、「問い合わせフォーム/メール」が最も多く挙がっている。口頭でやり取りを行うのではなく、情報の詳細な記述やファイルの添付などにより用件を伝えたい/回答を得たいといったニーズが他の製品分野と比べて高いものと推察される。
 現在、さまざまな業界において、コールセンター業務のオムニチャネル化が進められているが、企業向けのIT製品サポートにおいても、製品分野ごとの問い合わせ用件の特徴や顧客の特性やニーズを適切に捉えたサポートチャネルの提供が重要と言えよう。
 総合満足度ランキングは下記の通り。

<サーバー部門>(対象7ブランド)

第1位:大塚商会(697ポイント)
「電話のつながりやすさ」、「応対の丁寧さ」、「コールセンターでの問題解決や電話対応に要した時間」、「用件・要望に対する理解力」の4ファクターで最高評価。

第2位:リコージャパン(695ポイント)
「用件に対し提供された情報や回答内容の適切さ」、「説明のわかりやすさ」の2ファクターで最高評価。

第3位:DELL(687ポイント)
「製品知識」ファクターで最高評価。

<PC/タブレット部門>(対象8ブランド)

第1位:大塚商会(714ポイント)
2年連続の総合満足度第1位。「電話のつながりやすさ」、「応対の丁寧さ」、「製品知識」、「コールセンターでの問題解決や電話対応に要した時間」、「用件に対し提供された情報や回答内容の適切さ」、「説明のわかりやすさ」、「用件・要望に対する理解力」の全7ファクターで最高評価。

第2位:リコージャパン(696ポイント)

第3位:富士通(695ポイント)

<コピー機/プリンター部門>(対象8ブランド)

第1位:大塚商会、リコージャパン(同点、708ポイント)
大塚商会は2年連続の総合満足度第1位。「応対の丁寧さ」、「用件に対し提供された情報や回答内容の適切さ※」、「用件・要望に対する理解力」の3ファクターで最高評価。
リコージャパンは「製品知識」、「コールセンターでの問題解決や電話対応に要した時間」、「説明のわかりやすさ」の3ファクターで最高評価。

第3位:シャープマーケティングジャパン(706ポイント)
「電話のつながりやすさ」、「用件に対し提供された情報や回答内容の適切さ※」の2ファクターで最高評価。

※大塚商会とシャープマーケティングジャパンの「用件に対し提供された情報や回答内容の適切さ」のスコアは同点。

<業務ソフト部門>(対象9ブランド)

第1位:大塚商会(700ポイント)
「電話のつながりやすさ」、「応対の丁寧さ」、「コールセンターでの問題解決や電話対応に要した時間」、「用件に対し提供された情報や回答内容の適切さ」の4ファクターで最高評価。

第2位:弥生(684ポイント)

第3位:PCA(683ポイント)

〔2023/11/15〕SIGNATE、AI/データ人材の活用に関する意識調査結果を発表

 開発から育成まで企業のDXをトータルにサポートするSIGNATE(本社:東京都千代田区、齊藤秀社長)は、外部のAI/データ人材活用の検討に関わっている会社員108名を対象に、AI/データ人材の活用に関する意識調査を実施し、その結果(https://go.signate.jp/impact_partners02_Inquiries)を発表した。
 まず、外部のAI/データ人材の活用を検討している背景として、約6割の企業が「DXを推進していきたいから」と回答した。また、外部のAI/データ人材の活用を「将来予測」の場面で検討していたり、「データの分析や可視化」、「活用するデータの基盤やインフラ構築」といった工程で活用したいと考えている人が多くいた。一方で、半数以上が「経験・スキルだけでは人材の実力が判断しづらい」といったハードルを感じていることがわかった。
 今回の調査では、AI/データ人材の活用を検討しているものの、「依頼する人材の実力が判断しづらい」というハードルがあることが明らかになった。今後は、DXの推進に伴い、「ミスマッチの無いAI/データ人材の活用」が重要となってくる。人材活用のミスマッチを防ぐために、データ分析やAI開発のスキルを定量的に測定できるコンペティションの成績や、実務経験などの実力も事前に把握した上で、その企業にとって「最適な人材」を活用できる「AI開発・DXプロジェクト支援サービス」の利用を検討してみるのはいかがだろうか。

〔2023/11/14〕矢野経済研究所、国内のBPO市場に関する調査結果(2023年)を発表

 矢野経済研究所(本社:東京都中野区、水越孝社長)は、国内のBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場を調査し、サービス別の動向、参入企業動向、将来展望を発表した。
 2022年度のBPOサービス全体(IT系BPOと非IT系BPOの合算値)の市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比3.0%増の4兆7,020億9,000万円と推計した。内訳は、IT系BPO市場規模が同3.5%増の2兆7,829億円、非IT系BPO市場規模が同2.4%増の1兆9,191億9,000万円であった。
 昨今の労働力不足・人材不足を背景として、働き方改革やDX(業務自動化を中心としたデジタル技術による業務変革)に取り組む企業が増え、コア業務や新たな業態開発への経営資源の重点投下やそれに合わせた人的リソースの再配置など、自社内リソースの再構築を加速させている。また、それらの企業では単体業務の委託だけでなく、抜本的な事業体制の見直しに伴い、戦略立案などのコア業務やコンサルティング業務までを一気通貫でアウトソースする機運が高まっていることなどから、BPO市場規模は拡大基調で推移している。
 2023年度のBPOサービス市場は委託業務内容の拡大に加え、官公庁においても外注化機運が高まっていることから、今後も拡大基調で推移するとみて、全体の市場規模は事業者売上高ベースで前年度比4.2%増の4兆8,975億9,000万円、内訳では、IT系BPO市場規模が同5.5%増の2兆9,360億円、非IT系BPO市場規模が同2.2%増の1兆9,615億9,000万円といずれも引き続きのプラス成長を予測する。

〔2023/11/10〕プロシード、カスタマーセンターに特化したWell-beingスタンダードを提供開始

 プロシード(本社:東京都千代田区、根本直樹社長)は、英国ICXI(International Customer Experience Institute)により開発されたWell-beingスタンダード(IEHWS:International Employee Happiness and Well-being Standard)を活用したサービス提供を2023年11月から開始することを発表した。
 この規格は、カスタマーセンターなどの顧客接点で働く従業員のWell-beingを目的とした方法論であり、働きがい、幸福度の向上による離職率低減や顧客体験を含む業務のパフォーマンス向上を目指すもの。
 近年の世界的なパンデミックやカスタマーサービスのデジタル化、サステナブル経営へのステークホルダーからの期待の高まりなど、ビジネス環境は急速に変化している。企業と顧客を結ぶカスタマーセンターなどへの影響も大きくなる中、各企業は従業員と顧客またビジネスの発展のために、新たな組織運営を模索せざるを得なくなった。
 このような背景から、ICXIは本領域の専門家、事業会社の経営層、世界で活躍するコンサルタントと共に、多くの企業が適切な取り組みを進められるようWell-beingスタンダードを開発した。
 Well-beingスタンダードは、上記のビジネス環境を受け、ICXIにより2023年に開発されたマネジメントフレームワーク。
 従業員幸福度および顧客体験の向上に関わる主要な研究、また理論や原則に基づいており、従業員のWell-beingに関する目標を達成するために強化すべき主要な要素:VECTOR6を定義し、これらをもとに改善のための明確な手順をまとめたもの。
 VECTOR6とは、➀価値観主導のリーダーシップ(VALUES LED LEADERSHIP)、➁就業環境と組織文化(ENVIRONMENT AND CLIMATE)、➂キャリアコントロール(CAREER CONTROL)、➃チームワーク主導のスーパービジョン(TEAMWORK LED SUPERVISION)、➄組織の有効性(ORGANISATIONAL EFFECTIVENESS)、➅報酬と承認(REWARD AND RECOGNITION)。タンダードにはこれらに加え、➆パフォーマンスの測定、➇パフォーマンス結果が含まれる。
 ICXIの日本におけるグローバルパートナーであるプロシードでは、国内の組織向けに、以下のサービスを提供開
始する。
・Well-beingスタンダードの規格書(2023年11月より販売開始)

・Well-being組織診断(同上)

・Well-being組織改善支援(同上)

・ICXIおよびプロシードによるWell-beingスタンダード組織認定制度(同上)

・従業員幸福度・Well-beingに責任を持つマネジメント層向け研修(2024年2月以降 提供開始予定)

〔2023/11/8〕アルティウスリンク、顧客ロイヤルティにフォーカスした調査「企業とお客様とのコミュニケーション実態2023」を発表

 KDDIエボルバとりらいあコミュニケーションズの経営統合会社であるアルティウスリンク(本社:東京都新宿区、網野孝社長)は、商品・サービスを「指名買い」している20~79歳の男女2,060人を対象とした「企業と消費者が有機的につながり、より関係性を深めるコミュニケーション設計」をテーマにした消費者調査「企業とお客様とのコミュニケーション実態2023年版」を発表した。
 本調査では、企業やブランドの商品・サービスに愛着、信頼といった心理的要因で形成されるロイヤルティを持つ消費者(以下、ロイヤルティ顧客)にフォーカスした志向や行動比較を行い、最新の消費者行動の実態やDX推進と人対応におけるコミュニケーションの在り方を解説する。
 ロイヤルティ顧客の「商品・サービスの購入回数」調査では、2回以上が全体の91.8%と高いリピート率があり、内10回以上のリピートが41.8%と最も高い結果となった。また、「企業・ブランドに対する行動」調査では、同じブランド・サービスラインナップの他商品や新商品の購入(41.7%)や、家族・友人にお勧めする(38.7%)割合が高く、これらの結果から、ロイヤルティ向上が購買意欲を高めたヘビーユーザー化や肯定的な口コミを発信するファン化につながることが推察できる。
 また、他者にお勧めする方法の調査では、電話やメール、LINE、SNS、レビューサイトなどの非対面ツールではなく、「直接会って勧める」とした回答が92.9%になり、顧客によるレコメンドが企業から見えないオフラインで行われていることが明らかとなった。
 新規参入や競業が多い現代において、「お気に入り」企業・ブランドに選ばれ続けることは容易ではありません。離脱リスクを下げるには、顧客特性や愛着・信頼感を感じる要素を把握したアプローチが重要になる。
 本調査では、「企業・ブランドのロイヤルティ顧客群(A群)」「商品・サービスのロイヤルティ顧客群(B群)」に分類・比較することでアプローチのヒントを入手。例えば、B群の46.5%が安価であれば乗り換えを検討すると回答した設問でA群の63.2%が安価でも乗り換えを検討しないと回答していることから、企業・ブランドに対するロイヤルティ形成が離脱リスク低減のポイントのひとつになると推察できる。
 さらに愛着・信頼感を感じる要素を前述のA・B群に分類・比較したところ、離脱リスクの低いA群が重視する「信頼性」「ブランドイメージ」「対応・サービス」「アフターサービス」「企業理念・パーパス」などの「商品・サービス」そのものではない要素で2群間のギャップが生じたことから、信頼を与える企業のブランドイメージを確立し、顧客体験を強化する施策が有効と考えられる。
 本調査では、ロイヤルティを持つブランド数と利用継続意向、優位な競合商品への乗り換え意向などの「実態」把握に役立つ情報や、ロイヤルティ醸成に欠かせない顧客対応の内容の他、企業からのアプローチにフォーカスした「印象」「喜ぶ特典」「歓迎する接点」などの調査結果も公開している。


PAGE TOP